俺の彼氏には特別に大切なヒトがいる

ゆなな

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俺の彼氏には特別に大切なヒトがいる〜A面〜

A面2

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 それから真琴さんはチョコ味、俺はストロベリー味のアイスクリームを買った。
 二人で公園のベンチに座って、最後にはどっちがどっちの味を買ったのかわからなくなるくらい甘ったるいキスを交わしながら食べた。
「ん……っ」
 ひんやりとして甘い真琴さんの口の中を存分に堪能して唇を離す。
 最後に、ちゅる、と舌を吸うと、真琴さんの唇から甘い吐息が溢れて、どうにかなりそうだったけど、何とか理性をかき集めて、公園でいっぱい話してから真琴さんを家まで送った。
「家の前まで送ってくれなくても、大丈夫だよ?」
 俺女の子じゃないしさ、と真琴さんは笑う。
「送りたいんだよ。送らせて?」
「……ほんと、そういうとこタスクはもう……」
 完璧な彼氏だなって真琴さんは小さく呟いて俯いた。真琴さんの心臓がドキドキしているのが伝わって、真琴さんは本当に俺に恋してくれているんだってわかる。
 閑静な住宅街ではあまり歩いている人もいなく、二人だけの世界みたいだった。
 離れがたくて、二人してゆっくり歩いたけれど、真琴さんの家の門の前にとうとう辿り着いてしまった。
 家が近付いてきたところで、そっと繋いだ指先は解いていた。
「おやすみのちゅー、したらだめ?」
 それなのに、往生際悪くそんなことを言う俺に真琴さんは困ったように笑った。
「俺もしたいけど……」
 そうだよね。家族や近所の人に見られたら困るもんね。
 すべすべの頬に指を滑らせて、聞き分けよくじゃあまた明日って言おうとしたときだった。
「お帰りー」
 真琴さんの家の隣の家の扉が開いて、出てきたのは夕方正門で別れたコータ先輩だった。
 真琴さんに向かって伸ばした指は薄闇の空気の中で迷子になって、それから静かに下りた。
 風呂に入ったばかりなのか、上下スウェットで濡髪のコータ先輩はサンダルを引っ掛けて真琴さんの家の門扉の前までやってきた。
 何だか学校で見かける姿がとは違ってすごい色気が漂っている。
「コータまだ飯食ってなかったの?」
 真琴さんはそんな色気マシマシのコータ先輩に嬉しそうに話しかけてる。
「まこちゃん今日お泊りしないって言ってたから、一緒に食った方が琴美さん楽かと思って待ってた」
 コータ先輩んちは共働きだから、小さい頃から平日は毎日真琴さんの家で夕飯食ってんだって。
「悪ぃ。待たせた?」
「んーん。俺もさっき帰ってきたから全然。それより琴美さん晩メシ、麻婆豆腐って言ってた」
「え。マジで? 久々じゃね?」
「な。琴美さんの麻婆豆腐旨いよなー」
 そう言って真琴さんとコータ先輩は二人で真琴さんの家の門扉の中に吸い込まれていく。
「あ。タスクも麻婆豆腐食ってけばいいじゃん。いっぱい作ったみたいだし、寄ってけば?」
 コータ先輩がくるり、と俺を振り返って誘った。
 そう、コータ先輩が、誘った。
「や。俺は今日はそんなつもりじゃなかったんで、帰ります」
 俺がそう言うと、真琴さんは残念そうに、でもちょっとだけホッとしたような顔でそっか、と短く言った。
「送ってくれてありがとう、タスク。また明日ね」
 うんと優しい恋人の顔で真琴さんは俺に言った。
 そして、二人は俺を残して真琴さんの家の中に入ってしまった。
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