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だが断る!
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私が生徒会長を務める王立学園に、最近貴族になったばかりだという男爵令嬢が高等部第1学年に転入して来た。
「貴族になったばかりでまだ何も解らず、たいへんでしょうからどうか気に掛けてやってくれませんか?」
と学園長が私に言って来た。
何故王族の私が男爵令嬢の面倒をみなければならない?
「解った…では1年前男爵に叙爵されたウノ家のご令嬢を付けよう。
立場も近いし良い手本になるだろう。」
ウノ家は商家でその商売の実績から、男爵に叙爵された。
早くも子爵への陞爵も噂されている家だ。
そのご令嬢も品行方正で、彼女を婚約者にと望む貴族令息も多いと聴く。
そんな彼女の側にいれば、きっとその男爵令嬢も立派な淑女になれるはずだ。
「あ…いや…その、是非殿下のお側で…… 」
はぁ?だから何故、王族の私が男爵令嬢の面倒をみなければならないんだ?
おかしな事を言う。
「学園長はその男爵家に、何か弱みでも握られているのか?
そうでなければ、その様なおかしな話を持って来る訳あるまい。
話によっては相談に乗るが…… 」
という私の言葉に、学園長は慌てて『急用が出来た。』と言って学園内にある私の執務室から出て行った。
その翌年…今度は貴族になったばかりの子爵令嬢が高等部第2学年に転入して来るという。
「貴族になったばかりでまだ何も解らず、たいへんでしょうからどうか気に掛けてやってくれませんか?」
「解った…では2年前に代替わりして平民から子爵家になったドス家のご令嬢を付けよう。
立場も近いし良い手本になるだろう。」
ドス家の現当主は元々ドス家の3男で、成人後は平民として暮らしていたが跡取りの長男が跡継ぎを遺さぬまま病死し。次男の頭が残念だった為に急遽、跡継ぎとして家族ごと子爵家に戻って来たのだ。
因みに現子爵の妻も元子爵令嬢なので、問題ないらしい。
たいへんだったのは子爵令嬢だ。
だが普段からの躾が良かったからか、少し元気過ぎる所はあるがきちんとマナーの守れる良いご令嬢だ。
いずれは彼女が子爵家を継ぎ、女子爵になる予定である。
「あ…いや…その、是非殿下のお側で…… 」
はぁ?だから何故、王族の私が子爵令嬢の面倒をみなければならないんだ?
おかしな事を言う。
「学園長はその子爵家に、何か弱みでも握られているのか?
そうでなければ、その様なおかしな話を持って来る訳あるまい。
話によっては相談に乗るが…… 」
という私の言葉に、学園長は慌てて『急用が出来た。』と言って学園内にある私の執務室から出て行った。
更にその翌年…今度は貴族になったばかりの伯爵令嬢が高等部第3学年に転入して来るという。
「貴族になったばかりでまだ何も解らず、たいへんでしょうからどうか気に掛けてやってくれませんか?」
「解った…では3年前に伯爵家の養子なったトリイ家のご令嬢を付けよう。
立場も近いし良い手本になるだろう。」
トリイ家の養子になったご令嬢は領主の妻の連れ子だが、非常に頭も良く品行方正で既にいくつかの大店から是非息子の嫁にと言われているそうだ。
「あ…いや…その、是非殿下のお側で…… 」
はぁ?だから何故、王族の私が伯爵令嬢の面倒をみなければならないんだ?
おかしな事を言う。
「学園長はその伯爵家に、何か弱みでも握られているのか?
そうでなければ、その様なおかしな話を持って来る訳あるまい。
話によっては相談に乗るが…… 」
という私の言葉に、学園長は慌てて『急用が出来た。』と言って学園内にある私の執務室から出て行った。
いったい何がしたかったのだろうか?
そもそも王族や上位貴族と中位貴族、下位貴族では立場やマナーが違い過ぎる。
もちろん男性と女性では覚えなければいけない事が、まったく違う。
それに私にも側近候補達にも、それぞれ婚約者がいる。
そんな私達がその転入生のご令嬢の面倒をみる様な事をしていたら、下手をすると婚約破棄問題、廃嫡にまで発展する恐れがある。
それなのに何故、学園長は頻りに元平民の娘の面倒をみる様に薦めて来たのだろうか?
まさかハニートラップ?
そして数ヶ月後…卒業式を前に何故か学園長は学園を去る事になり、学園長代理は侯爵夫人が努める事になった。
その後、卒業式及び卒業パーティーは無事に終わった。
そうそう元学園長のハニートラップ疑惑の真相、それは……
実は元学園長が面倒をみる様に頼んで来た元平民の娘は全員、元学園長の庶子であわよくば私や側近候補達の嫁にしようと企んでいたそうだ。
しかも男爵家、子爵家、伯爵家の弱みを握り無理矢理養女にさせていたとか……
私が危惧していた事と真逆だった。
途中で諦めていれば良かったのに、欲をかいて3人目の娘まで伯爵家の養女にしたところで奥方にバレてしまい婿養子だった学園長は離婚されて3人の庶子と共に家を追い出されたそうだ。
因みに私も婿養子に出るので、気をつけようと思う。
♡♡♡
☆※1高位貴族
公爵、侯爵、辺境伯(国によっては侯爵爵と同等の爵位)
☆中位貴族
伯爵
☆下位貴族
子爵、男爵
(継承権有り)
☆貴族未満
准男爵、騎士爵
(称号だけでほぼ平民に近い、継承権は無い。)
国によって多少の違いがありますが、概ねこんな感じです。
☆叙爵…貴族では無い者が爵位をもらう事。
☆ 陞爵 …貴族の身分が上がる事。
「貴族になったばかりでまだ何も解らず、たいへんでしょうからどうか気に掛けてやってくれませんか?」
と学園長が私に言って来た。
何故王族の私が男爵令嬢の面倒をみなければならない?
「解った…では1年前男爵に叙爵されたウノ家のご令嬢を付けよう。
立場も近いし良い手本になるだろう。」
ウノ家は商家でその商売の実績から、男爵に叙爵された。
早くも子爵への陞爵も噂されている家だ。
そのご令嬢も品行方正で、彼女を婚約者にと望む貴族令息も多いと聴く。
そんな彼女の側にいれば、きっとその男爵令嬢も立派な淑女になれるはずだ。
「あ…いや…その、是非殿下のお側で…… 」
はぁ?だから何故、王族の私が男爵令嬢の面倒をみなければならないんだ?
おかしな事を言う。
「学園長はその男爵家に、何か弱みでも握られているのか?
そうでなければ、その様なおかしな話を持って来る訳あるまい。
話によっては相談に乗るが…… 」
という私の言葉に、学園長は慌てて『急用が出来た。』と言って学園内にある私の執務室から出て行った。
その翌年…今度は貴族になったばかりの子爵令嬢が高等部第2学年に転入して来るという。
「貴族になったばかりでまだ何も解らず、たいへんでしょうからどうか気に掛けてやってくれませんか?」
「解った…では2年前に代替わりして平民から子爵家になったドス家のご令嬢を付けよう。
立場も近いし良い手本になるだろう。」
ドス家の現当主は元々ドス家の3男で、成人後は平民として暮らしていたが跡取りの長男が跡継ぎを遺さぬまま病死し。次男の頭が残念だった為に急遽、跡継ぎとして家族ごと子爵家に戻って来たのだ。
因みに現子爵の妻も元子爵令嬢なので、問題ないらしい。
たいへんだったのは子爵令嬢だ。
だが普段からの躾が良かったからか、少し元気過ぎる所はあるがきちんとマナーの守れる良いご令嬢だ。
いずれは彼女が子爵家を継ぎ、女子爵になる予定である。
「あ…いや…その、是非殿下のお側で…… 」
はぁ?だから何故、王族の私が子爵令嬢の面倒をみなければならないんだ?
おかしな事を言う。
「学園長はその子爵家に、何か弱みでも握られているのか?
そうでなければ、その様なおかしな話を持って来る訳あるまい。
話によっては相談に乗るが…… 」
という私の言葉に、学園長は慌てて『急用が出来た。』と言って学園内にある私の執務室から出て行った。
更にその翌年…今度は貴族になったばかりの伯爵令嬢が高等部第3学年に転入して来るという。
「貴族になったばかりでまだ何も解らず、たいへんでしょうからどうか気に掛けてやってくれませんか?」
「解った…では3年前に伯爵家の養子なったトリイ家のご令嬢を付けよう。
立場も近いし良い手本になるだろう。」
トリイ家の養子になったご令嬢は領主の妻の連れ子だが、非常に頭も良く品行方正で既にいくつかの大店から是非息子の嫁にと言われているそうだ。
「あ…いや…その、是非殿下のお側で…… 」
はぁ?だから何故、王族の私が伯爵令嬢の面倒をみなければならないんだ?
おかしな事を言う。
「学園長はその伯爵家に、何か弱みでも握られているのか?
そうでなければ、その様なおかしな話を持って来る訳あるまい。
話によっては相談に乗るが…… 」
という私の言葉に、学園長は慌てて『急用が出来た。』と言って学園内にある私の執務室から出て行った。
いったい何がしたかったのだろうか?
そもそも王族や上位貴族と中位貴族、下位貴族では立場やマナーが違い過ぎる。
もちろん男性と女性では覚えなければいけない事が、まったく違う。
それに私にも側近候補達にも、それぞれ婚約者がいる。
そんな私達がその転入生のご令嬢の面倒をみる様な事をしていたら、下手をすると婚約破棄問題、廃嫡にまで発展する恐れがある。
それなのに何故、学園長は頻りに元平民の娘の面倒をみる様に薦めて来たのだろうか?
まさかハニートラップ?
そして数ヶ月後…卒業式を前に何故か学園長は学園を去る事になり、学園長代理は侯爵夫人が努める事になった。
その後、卒業式及び卒業パーティーは無事に終わった。
そうそう元学園長のハニートラップ疑惑の真相、それは……
実は元学園長が面倒をみる様に頼んで来た元平民の娘は全員、元学園長の庶子であわよくば私や側近候補達の嫁にしようと企んでいたそうだ。
しかも男爵家、子爵家、伯爵家の弱みを握り無理矢理養女にさせていたとか……
私が危惧していた事と真逆だった。
途中で諦めていれば良かったのに、欲をかいて3人目の娘まで伯爵家の養女にしたところで奥方にバレてしまい婿養子だった学園長は離婚されて3人の庶子と共に家を追い出されたそうだ。
因みに私も婿養子に出るので、気をつけようと思う。
♡♡♡
☆※1高位貴族
公爵、侯爵、辺境伯(国によっては侯爵爵と同等の爵位)
☆中位貴族
伯爵
☆下位貴族
子爵、男爵
(継承権有り)
☆貴族未満
准男爵、騎士爵
(称号だけでほぼ平民に近い、継承権は無い。)
国によって多少の違いがありますが、概ねこんな感じです。
☆叙爵…貴族では無い者が爵位をもらう事。
☆ 陞爵 …貴族の身分が上がる事。
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