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戦闘準備
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翌日亜子たちは朝食の後、校庭に集合した。ついに戦闘訓練が始まるのだ。
亜子たちグループは、五人横並びになった。目の前には狐太郎たちのグループ。亜子は不安な面持ちで狐太郎を見た。狐太郎は厳しい目で亜子を見返した。
狐太郎は本気で亜子たちを倒しにかかってくるのだ。亜子はぶるりと身体を震わせた。
「はい、皆さん。ではこれから戦闘訓練を始めます。ルールは簡単、相手を立ち上がれないように倒せばいいのです。だけど決して殺してはだめですよ?」
その場にそぐわないにこやかな表情で、担任の雪奈が言った。発言はものものしく、亜子はさらに怖くなった。亜子の真っ青な顔を見た雪奈は、笑顔で言った。
「大丈夫よ?亜子さん。本当に危なくなったら先生が強制的に止めるわ?でも、先生が助けてくれるなんて思ってやったらだめよ?真剣に戦って」
雪奈は笑顔だが、声は真剣だった。亜子はしっかりうなずいた。雪奈は亜子の決心が固まった事を見てとると、クラス全員に言った。
「皆さんの中で変化する人は、先生に服とくつをあずけてください」
そういえば、狼牙は狼になるのだ。亜子はとなりにいる狼牙のパーカーを脱がせて雪奈に渡した。雪奈は受け取ったパーカーをきれいにたたむと、洗濯カゴに入れた。狼牙はパーカーの下は全裸ではだしだ。狼牙はあまり服を着るのが好きではないようだ。
狼牙は亜子よりも長く生きているとはいうが、見た目は小さな子供だ。亜子はもう狼牙の裸が気にならなくなった。
亜子の目の前を、服を手に持った全裸の清姫が歩いて行く。亜子は口をあんぐりと開けてから、清姫に言った。
「き、清姫ちゃん。バスタオルか何かはおらないと、」
「大丈夫よ、これから変身するから」
清姫は全裸である事を、とくに恥ずかしがる事はなく、あっけらかんと答えた。山彦は両手で目をおおいなから、怒ったように言った。
「だったら早く変身しろよ!」
清姫は、はいはいと面倒くさそうに答えてから、目をつむった。すると、清姫のスラリと伸びた二本の足がくっつき、ヘビのような下半身になった。
亜子は呆けたように清姫を見つめた。清姫は美しかった。まるでギリシャ神話のエキドナのような美しさだった。
だが清姫は上半身は美しい少女のままだ。同性の亜子でも、どうしても目のやり場に困ってしまう。山彦は手のすきまから、ちらりと清姫を見てから、大声で叫んだ。
「中途半端な変化するなよ!ちゃんとヘビになれよ!」
「えぇ?こっちの方が綺麗でしょ?」
山彦の命令に、清姫は不服そうに答える。亜子は思わず清姫に言った。
「清姫ちゃん!今の姿、とってもきれい!」
清姫は笑って、でしょ?と答えた。亜子はうなずいて言葉を続ける。
「だけど、大ヘビになってもきっとキレイだわ?」
清姫は、そうかしらと首をかしげたが、亜子の言う通りにしてくれた。完全な真っ白な大ヘビの姿になった清姫は神聖な美しさだった。亜子はお世辞ではなく素直に言った。
「清姫ちゃん、とっても綺麗」
清姫は嬉しそうに亜子の頬に顔をすり寄せた。完全に大ヘビになった清姫は、人の言葉が話せないのだ。
山彦は清姫が大ヘビになったのを見ると、ホッと息をはいて、目から手を離した。河太郎と狼牙は、清姫が胸を出していても、さして気にならなかったようだ。亜子が聞くと、河太郎はあっけらかんと答えた。
「みなもは人魚になるとおっぱい丸出しだから気にならない」
河太郎の言葉に、狼牙も続く。
「俺の母ちゃんいつも真っぱだか」
「・・・。そうなんだ」
亜子は人間として育ったので、あやかしや半妖の倫理観や羞恥心はよくわからなかった。
亜子たちグループは、五人横並びになった。目の前には狐太郎たちのグループ。亜子は不安な面持ちで狐太郎を見た。狐太郎は厳しい目で亜子を見返した。
狐太郎は本気で亜子たちを倒しにかかってくるのだ。亜子はぶるりと身体を震わせた。
「はい、皆さん。ではこれから戦闘訓練を始めます。ルールは簡単、相手を立ち上がれないように倒せばいいのです。だけど決して殺してはだめですよ?」
その場にそぐわないにこやかな表情で、担任の雪奈が言った。発言はものものしく、亜子はさらに怖くなった。亜子の真っ青な顔を見た雪奈は、笑顔で言った。
「大丈夫よ?亜子さん。本当に危なくなったら先生が強制的に止めるわ?でも、先生が助けてくれるなんて思ってやったらだめよ?真剣に戦って」
雪奈は笑顔だが、声は真剣だった。亜子はしっかりうなずいた。雪奈は亜子の決心が固まった事を見てとると、クラス全員に言った。
「皆さんの中で変化する人は、先生に服とくつをあずけてください」
そういえば、狼牙は狼になるのだ。亜子はとなりにいる狼牙のパーカーを脱がせて雪奈に渡した。雪奈は受け取ったパーカーをきれいにたたむと、洗濯カゴに入れた。狼牙はパーカーの下は全裸ではだしだ。狼牙はあまり服を着るのが好きではないようだ。
狼牙は亜子よりも長く生きているとはいうが、見た目は小さな子供だ。亜子はもう狼牙の裸が気にならなくなった。
亜子の目の前を、服を手に持った全裸の清姫が歩いて行く。亜子は口をあんぐりと開けてから、清姫に言った。
「き、清姫ちゃん。バスタオルか何かはおらないと、」
「大丈夫よ、これから変身するから」
清姫は全裸である事を、とくに恥ずかしがる事はなく、あっけらかんと答えた。山彦は両手で目をおおいなから、怒ったように言った。
「だったら早く変身しろよ!」
清姫は、はいはいと面倒くさそうに答えてから、目をつむった。すると、清姫のスラリと伸びた二本の足がくっつき、ヘビのような下半身になった。
亜子は呆けたように清姫を見つめた。清姫は美しかった。まるでギリシャ神話のエキドナのような美しさだった。
だが清姫は上半身は美しい少女のままだ。同性の亜子でも、どうしても目のやり場に困ってしまう。山彦は手のすきまから、ちらりと清姫を見てから、大声で叫んだ。
「中途半端な変化するなよ!ちゃんとヘビになれよ!」
「えぇ?こっちの方が綺麗でしょ?」
山彦の命令に、清姫は不服そうに答える。亜子は思わず清姫に言った。
「清姫ちゃん!今の姿、とってもきれい!」
清姫は笑って、でしょ?と答えた。亜子はうなずいて言葉を続ける。
「だけど、大ヘビになってもきっとキレイだわ?」
清姫は、そうかしらと首をかしげたが、亜子の言う通りにしてくれた。完全な真っ白な大ヘビの姿になった清姫は神聖な美しさだった。亜子はお世辞ではなく素直に言った。
「清姫ちゃん、とっても綺麗」
清姫は嬉しそうに亜子の頬に顔をすり寄せた。完全に大ヘビになった清姫は、人の言葉が話せないのだ。
山彦は清姫が大ヘビになったのを見ると、ホッと息をはいて、目から手を離した。河太郎と狼牙は、清姫が胸を出していても、さして気にならなかったようだ。亜子が聞くと、河太郎はあっけらかんと答えた。
「みなもは人魚になるとおっぱい丸出しだから気にならない」
河太郎の言葉に、狼牙も続く。
「俺の母ちゃんいつも真っぱだか」
「・・・。そうなんだ」
亜子は人間として育ったので、あやかしや半妖の倫理観や羞恥心はよくわからなかった。
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