究極妹属性のぼっち少女が神さまから授かった胸キュンアニマルズが最強だった

危機2

　汚らしい男はパティたちに近づくと、震えているセーラに触ろうとした。パティはセーラをかばうように、男との間に入ると、男の手をはたき落とした。

「汚い手で私の友達に触らないで！」
「このアマ！生意気なヤツめ！」

　男は顔を真っ赤にして怒ると、パティの頬を引っぱたこうと腕を振り上げた。ポケットの中のアクアがすかさず水防御魔法を使ってくれる。男の手は、出現した水の壁によって防がれた。

「いってぇ！何だ、この娘の魔法か？！」
「言ったでしょう？私たちに触らないで！」

　パティの啖呵に男は怒りでくちびるを震わせている。何か言おうとするのを、馬車を運転している御者の男がさえぎった。

「おい！こいつらは商品だ。キズをつけるな！価値が下がる」
「うるせぇな！わかってるよ！」

　汚い男は仲間の注意に反発する。ジェシカとセーラは、自分たちの置かれている状況を理解し、わんわん泣き出した。

　早くジェシカたちをなぐさめてあげたいが、パティはできるだけ男から状況を聞き出したかった。

「ねぇ、私たちを売るって、誰に売るの？」
「何だ？怖がらねぇのか？キモの座った娘だなぁ。だがこれを聞けばお前も泣き叫ぶだろう。お前たちは金持ちにペットとして売られるんだよ。一生家族には会えないぜ？恨むんならお前たちの美しさを恨むんだな」

　男の言葉に、ジェシカとセーラはさらに声をあげて泣いた。ジェシカの魔法のせいか、パティも悲しい気持ちになってきた。家族に会えない。パティは早く家族のデイジーとマイラのところに行きたかった。

　美少女コンテストで優勝した事を姉たちに自分の口で報告したかった。早く家族に会いたい。パティの目から涙がポロリと涙が流れた。

　男はパティが怖がっているのだと思い、満足そうに運転席に戻って行った。

　馬車の中はパティたちだけになった。パティはジェシカとセーラをその場に座らせて言った。

「大丈夫よ？ジェシカ、セーラ。泣かないで？私がきっと助けるから」
「だって、だって、助けるったってどうするのよ？パティだって捕まってるじゃない」

　セーラはグズグズと小さな子供のように鼻をすすりながら言った。

「何か作戦があるの？パティ」

　ジェシカはセーラの背中を撫でながらパティに質問した。ジェシカは少し気持ちが落ち着いたようだ。パティは大きくうなずいて答えた。

「ええ、私は冒険者。私には仲間がいるの。彼らは頼りになる冒険者たちよ？彼らはあの会場にいたの。だから私たちがさらわれたってすぐにわかるはずだわ。もうすぐ私の仲間が助けに来てくれる。それまで辛抱してくれる？」

　目を真っ赤にしたジェシカとセーラはコクンとうなずいた。