究極妹属性のぼっち少女が神さまから授かった胸キュンアニマルズが最強だった

盛平

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パティ初戦2

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 パティとガラの悪い男たちとの距離がぐんぐん縮まる。男たちは、小娘のパティが本当に襲いかかってくるとは思っていなかったのだろう。

 真剣を手に、どうしたものかとうろたえているのが見てわかる。腹の出た男は、刃をパティに当てないようにひらたく剣を構えた。

 パティは素早く男との間合いをつめると、形だけの威嚇の剣を払いのけ、両手で持った杖で男の胸を突いた。

 男とパティの身体の大きさは、大人と子供ほど違うが、パティは正しい構えと踏み込みで、大地からの力を利用する事ができる。

 杖の先端が男の胸に当たると、男はポーンと吹っ飛ばされて、気絶してしまった。

 辺りが一瞬静寂に包まれた後、野次馬たちが歓声をあげる。

 やったな、嬢ちゃん。すごいぞ。などとはやしたてる声が飛ぶ。もう一人の男は顔を真っ赤にして怒った。

「この小娘!」

 男は刃をパティに向けて構えた。パティを斬る気だ。それでいい、それでこそ実戦だ。

 パティは深呼吸をして荒い呼吸を整えた。パティの二倍も身長のある男が剣を振り上げで襲いかかってくる。

 パティは冷静に杖で剣をはたき落とすと、杖をクルリと回転させて、相手の首すじに打ち込んだ。男はそのまま仰向けに倒れて気絶した。

 野次馬たちは、ドッと声をあげた。口笛と歓声がパティを包み込んだ。パティはガラの悪い男たちに勝利したのだ。

 マックスたちがパティに駆け寄ってくる。口々にパティやったね、とほめてくれる。

「えへへ、ありがとう。皆」

 パティはマックスとチャーミーの頭を撫でて、肩にとまったピンキーに頬をすり寄せた。

 アクアの入ったショルダーバッグを持ったエラルドが近づいてくる。パティはエラルドからバッグを受け取り、ちょこんと顔を出しているアクアの頭を優しく撫でた。

 エラルドは機嫌良さそうにパティに言った。

「よくやった、パティ。さすが俺の弟子だ」

 パティは嬉しくなって、はいと返事をしようとしたが、するどい声にさえぎられた。

「よくやったじゃないわよ!」

 パティは突然目の前にあらわれたマイラに抱きしめられた。

「マイラ!」
「パティ!大丈夫?!ケガはない?!」

 マイラはパティを守るようにしてエラルドをにらんだ。

「どういう事よ!エラルド!気をかせて二人っきりにしてあげたら、パティを悪漢と戦わせるなんて信じられない!」

 パティはマイラのけんまくに驚いてしまったが、エラルドもマイラの真意がわからないようで、首をかしげていた。

「どうしたんだマイラ。機嫌が悪そうだな?」
「どうしたもこうしたもないわよ!男なら女の子が危険な目にあっていたら守りなさいよ!」
「パティは俺の弟子だ。パティの実戦相手は、パティが勝てる相手を選んだ。別に危険はない」
「そういうんじゃないわよ!女の子はね、お姫さまなの!エラルドはパティをお姫さまみたいに扱わなきゃいけないの!」
「?。マイラ、言っている意味がわからない。パティは村出身だ。姫ではない」

 エラルドとマイラの話しがちっともかみ合わない。マイラの美しい顔がこわばる。エラルドのとなりに立つロレーナも困り顔だ。

 パティにもよくわからないが、マイラはエラルドのパティの扱いが気に食わないらしい。

 エラルドはパティの杖の師匠だ。パティはエラルドの考え方に従わなければいけないし、それがパティのためになる事を知っている。

 マイラはパティの姉だ。パティの事をとても大切にしてくれる。マイラがこんなに怒るのは、きっとパティのためなのだろう。パティは仕方なくマイラに言った。

「マイラ、そろそろ休憩時間が終わってしまうんじゃない?」

 マイラははたと動きを止め、パティにエラルドとロレーナを宿屋まで案内するように指示した。不安顔のロレーナに笑顔で向き直った。

「じゃあロレーナ。またね?」
「は、はい!ありがとうございました、マイラ」

 ロレーナは新しく着ているキュロットスカートのすそを持ち上げた。ゴタゴタ続きで気づかなかったが、マイラはロレーナに動きやすい旅装束を買ってあげたようだ。何となくパティとおそろいのような服だった。

 パティはしきりに首をかしげるエラルドと、困り顔のロレーナを連れて、マイラと懇意にしている宿屋までの道案内をした。
 

 
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