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フロンの町3
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食堂に行くと当のエラルドがゆうぜんとイスに腰をかけていた。ロレーナは兄にかけよった。
「あ、お兄ちゃん。おはよう」
「遅いぞロレーナ。寝坊したんだろう」
「しぃてませぇん。レディは支度に時間がかかるんですぅ」
「何がレディだ。その髪、パティにゆってもらったんだろう。パティ、迷惑をかけたな」
エラルドはその場の状況を見なくてもお見通しらしい。パティはエラルドに朝のあいさつをしてから質問した。
「エラルド、どこに行っていたの?」
「まぁ、ちょっとな。朝飯にしよう」
エラルドは言葉をにごしてから、店主に朝食を頼んだ。朝食は昨日のスープだった。パティたちは手早く食事をし、身支度をしてから宿屋を後にした。
宿屋の店主はエラルドに、バカな事を考えないで帰るように再三忠告していた。エラルドはあいまいに返事を返していた。
「これからどうするの?お兄ちゃん」
ロレーナはかんさんとしたフロンの大通りを飛びはねるように歩きながら言った。
「うむ、パティ。ピンキーに頼んである場所に行ってもらっていいか?」
「ええ、いいわよ。どこに行くの?」
パティが肩に乗ったピンキーをひとなでして答えた。エラルドは歯切れ悪く、空を飛びながら話すと答えた。
パティはエラルドたちを大通りの小道に連れていった。ここならば人の目につきにくいだろう。
パティはピンキーにお願いして大きくなってもらった。マックスとチャーミーは小さくなってアクアの入っているショルダーバックに入ってもらう。
パティが先頭で、ロレーナ、エラルドの順だ。はしゃぐロレーナを抱きしめながらエラルドは話し出した。
「俺は昨夜ザイラム盗賊団のアジトに行っていた」
「えっ!見つかったの?!」
エラルドの発言にパティはすっとんきょうな声をあげた。これから時間をかけてパティたちも一緒に探すものだと思っていたからだ。
「ああ。フロンの町の人たちの話しで、だいたいの場所は把握できた。ザイラム盗賊団のアジトはこの森の中腹にある。
パティたちはピンキーにお願いして、ザイラム盗賊団のアジトから一キロほど離れた場所に着陸した。あまりアジトに近づきすぎると、盗賊たちと鉢合わせする危険があるからだ。
パティたちはおのおの地面に座って休けいを取った。
「エラルドったら、言ってくれればピンキーにもついて行ってもらったのに。夜通し歩いて疲れているでしょ?」
「いいや、それはできない。ピンキーはパティの魔法だろう。夜中ピンキーに手伝ってもらえば、パティの魔力が減ってパティが疲労してしまう」
「?。そうかしら。私が眠っている時、ピンキーたちは自由にどこか行ったりしているわよ?誰か一人が私の側にいれば、私の事守ってくれるし」
「そうなのか?パティの魔法は不思議だな。俺の魔法は《ファイヤーソード》だが、剣を出す事はぞうさないが、炎を出し続けると疲労してしまう」
「ふうん、そうなのね。魔法は人それぞれなのね」
「ああ、ロレーナの魔法にしてもそうだ。《ガーディアン》はロレーナの精神状態に大きく影響する。ロレーナが落ち込んでいると、《ガーディアン》の効果が弱くなる」
エラルドの言葉にロレーナがギクリとする。
「えっ!お兄ちゃんケガした事あるの?!」
「いや。ロレーナが守ってくれているからかすり傷だ。だが魔法が不安定だという事に変わりはない。魔法を常に安定的に使えるようにするのがこれからのロレーナの課題でもある」
「・・・。はい」
エラルドの言葉に、ロレーナはうなずいた。
「あ、お兄ちゃん。おはよう」
「遅いぞロレーナ。寝坊したんだろう」
「しぃてませぇん。レディは支度に時間がかかるんですぅ」
「何がレディだ。その髪、パティにゆってもらったんだろう。パティ、迷惑をかけたな」
エラルドはその場の状況を見なくてもお見通しらしい。パティはエラルドに朝のあいさつをしてから質問した。
「エラルド、どこに行っていたの?」
「まぁ、ちょっとな。朝飯にしよう」
エラルドは言葉をにごしてから、店主に朝食を頼んだ。朝食は昨日のスープだった。パティたちは手早く食事をし、身支度をしてから宿屋を後にした。
宿屋の店主はエラルドに、バカな事を考えないで帰るように再三忠告していた。エラルドはあいまいに返事を返していた。
「これからどうするの?お兄ちゃん」
ロレーナはかんさんとしたフロンの大通りを飛びはねるように歩きながら言った。
「うむ、パティ。ピンキーに頼んである場所に行ってもらっていいか?」
「ええ、いいわよ。どこに行くの?」
パティが肩に乗ったピンキーをひとなでして答えた。エラルドは歯切れ悪く、空を飛びながら話すと答えた。
パティはエラルドたちを大通りの小道に連れていった。ここならば人の目につきにくいだろう。
パティはピンキーにお願いして大きくなってもらった。マックスとチャーミーは小さくなってアクアの入っているショルダーバックに入ってもらう。
パティが先頭で、ロレーナ、エラルドの順だ。はしゃぐロレーナを抱きしめながらエラルドは話し出した。
「俺は昨夜ザイラム盗賊団のアジトに行っていた」
「えっ!見つかったの?!」
エラルドの発言にパティはすっとんきょうな声をあげた。これから時間をかけてパティたちも一緒に探すものだと思っていたからだ。
「ああ。フロンの町の人たちの話しで、だいたいの場所は把握できた。ザイラム盗賊団のアジトはこの森の中腹にある。
パティたちはピンキーにお願いして、ザイラム盗賊団のアジトから一キロほど離れた場所に着陸した。あまりアジトに近づきすぎると、盗賊たちと鉢合わせする危険があるからだ。
パティたちはおのおの地面に座って休けいを取った。
「エラルドったら、言ってくれればピンキーにもついて行ってもらったのに。夜通し歩いて疲れているでしょ?」
「いいや、それはできない。ピンキーはパティの魔法だろう。夜中ピンキーに手伝ってもらえば、パティの魔力が減ってパティが疲労してしまう」
「?。そうかしら。私が眠っている時、ピンキーたちは自由にどこか行ったりしているわよ?誰か一人が私の側にいれば、私の事守ってくれるし」
「そうなのか?パティの魔法は不思議だな。俺の魔法は《ファイヤーソード》だが、剣を出す事はぞうさないが、炎を出し続けると疲労してしまう」
「ふうん、そうなのね。魔法は人それぞれなのね」
「ああ、ロレーナの魔法にしてもそうだ。《ガーディアン》はロレーナの精神状態に大きく影響する。ロレーナが落ち込んでいると、《ガーディアン》の効果が弱くなる」
エラルドの言葉にロレーナがギクリとする。
「えっ!お兄ちゃんケガした事あるの?!」
「いや。ロレーナが守ってくれているからかすり傷だ。だが魔法が不安定だという事に変わりはない。魔法を常に安定的に使えるようにするのがこれからのロレーナの課題でもある」
「・・・。はい」
エラルドの言葉に、ロレーナはうなずいた。
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