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事件
参 奥の朝
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奥にも朝がやって来た。
佳穂はいつものようにきちんと身なりを整えて奥方様の部屋に伺候した。
やがて仏間にお入りになったので、お帰りを待っていると、廊下からお園の声が聞こえた。
「まことでございますか」
「急ぎ部屋へ戻れ」
鳴滝の声音は厳しい。一体、何があったのか。お園に不手際があるとは思えない。これまで鳴滝がお園に厳しい声を掛けるなど聞いたことがなかった。
何やら不穏なものを感じているのは控えている小姓らも同様だった。
「何があったのでしょうか」
おくらが佳穂を見た。佳穂は落ち着いた顔を見せねばと静かに言った。
「鳴滝様からいずれお話がありましょう。それまでは静かに」
おくらは口をつぐんだ。
そこへ奥方様が戻って来た。淑姫も一緒だった。二人ともいつもより固い表情をしていた。鳴滝がやや遅れて入って来た。いつも鳴滝のそばにいる松村の姿がないことに佳穂は気付いた。
「皆の者に、伝えることがある」
鳴滝はそう前置きした。佳穂はお園に関することであろうかと不安を覚えていた。お園が不始末を起こすはずはないのだが。
「昨夜、中奥でゆゆしきことがあった」
皆息を呑んだ。佳穂は身体中の血が下がっていくような心持ちになった。中奥といえば、御前様か若殿様かに関わることである。もしや若殿様の身に何かあったのではあるまいか。
「まだ取り調べをしておるので、詳しいことはわからぬ。だが、皆にも伝えおく。この奥にても不埒の振舞ある時は女子であろうと、容赦はせぬ。このことに関して、身内の者の不始末につき、お園をしばらく謹慎とする。食事を運ぶ者以外は決して部屋に入ってはならぬ」
身内の不始末。つまりお園ではなくお園の家族が何かしたということらしい。お園の家族というのは江戸では兄の梶田仁右衛門だけである。中屋敷の用人の仁右衛門が一体何をしたのか。
「なお、御前様、若殿様には御機嫌うるわしくあらせられる」
騒ぎで御前様も若殿様も怪我をしたり、心を痛めることはなかったということである。
だが、佳穂にとっては冷静ではいられなかった。
お園が兄の不始末で謹慎になったのだ。
一体、中奥で何が起きたのか。佳穂は鳴滝にすぐにでも話を聞きたかった。だが、それより先に奥方様に話があると呼ばれた。
「困ったことになった」
人払いした部屋で奥方様は眉間に皺を寄せていた。こんな表情は見たことはなかった。よほどのことがあったに違いない。
「若殿様が昨夜、寝所で女子に襲われての」
なんということか。若殿様の寝所に女人がいたとは。又四郎は新たに奥女中に声を掛けたのか。佳穂に掛けた甘い言葉は偽りだったのか。佳穂は全身の血が下がるどころか、失せてしまいそうな心持ちになった。だが、ここで取り乱してはならぬと必死で歯を食いしばった。
さらに追い打ちをかけたのは次の言葉だった。
「中屋敷のお志麻の方じゃ。若殿様を、松丸のかたきと言うてな。すぐに小姓や書院番の者が来たゆえ取り押さえられた。若殿様に怪我はない」
奥方様は亡くなった若殿様を最近は松丸と幼名で呼ぶ事が増えていた。まるで光信院と呼ぶのを拒むかのように。
何かの聞き間違いではないかと思い、佳穂は繰り返した。
「お志麻が、若殿様をかたきと言ったのでございますか」
「若殿様が持って来た豚肉のせいで死んだのだと言うのだ」
「豚肉で、死んだ……」
豚の肉というのは食べたことはない。だが死ぬようなものなのか。
「わらわにはわからぬ。若殿様が松丸を殺すなど、あるわけがなかろうに。それなのに、なぜ……。しかもな、お志麻を屋敷に引き入れた者がいるらしい」
「どういうわけで」
「お志麻は尼に唆されて若殿様を仇と思い込んだらしい。それでどこぞの尼と共謀して中屋敷を出て上屋敷に入ったと。調べがまだ終わっておらぬゆえ、詳しいことはわからぬ」
佳穂はあまりのことに唖然とした。お志麻の敵討ち、尼と共謀……、思いも寄らぬ話にこれは何か下手な芝居の筋書きではないかと思った。
「若殿様にはけがはないが、騙されてお志麻を外に出した中屋敷の用人の梶田は謹慎しておる。監視を付けてな」
それでお園が謹慎になったのかと、佳穂は気付いた。
「お志麻の方は」
「取り調べ中じゃ。表御殿の番所で別式女の堀江麻乃と松村が日の出の前から立ち会っておる」
別式女の堀江麻乃は四十過ぎているが、動きは若々しく、下手な男よりも腕が立つ。佳穂も小太刀を麻乃から教わった。
「お志麻の方はどうなるのでございますか」
「殿も憂慮なさっておる。松丸を思うがゆえのことであろうが、なぜに若殿様を仇と恨むようになったか。その上、お志麻が仇、仇と言うを表の者が聞いておる。おかしな話が広まらねばよいのだが」
おかしな話。それは、若殿が前の若殿を殺して世継ぎになったという話か。
「若殿を世継ぎに選んだは、重臣らと御前様じゃ。若殿様自身がなりたいと申したわけではない。承諾したのは兄上じゃ。他にも名まえの上がっていた者は大勢おるのに」
奥方様の顔が少し赤らんでいた。
「奥方様、のぼせが」
「ああ、そうじゃな。すまぬ」
佳穂は小姓を呼び、医師に伝えた。他の小姓はすぐに床の用意をした。
奥方様を床に休ませていると、医師が来た。長い付き合いの医師はすでにのぼせの薬を用意していた。
小姓らがすぐに煎じ、薬を飲ませると落ち着いたようだった。
「少々、御心労が募っておいでですな」
医師の言う通りだった。腹を痛めて生んだ斉倫を失い、その御手付きのお志麻の方に、新たに世継ぎになった甥の又四郎が仇呼ばわりされとなれば、平穏でいられるわけがなかった。
この心労の種が軽くならねば、体調が落ち着くはずはない。
佳穂はなんとかしなければと思ったが、一体どうすればよいのか。
それにお園のこともある。兄がお志麻の件に巻き込まれたと知れば、持病の癪もぶりかえすかもしれぬ。
表へ戻る医師に佳穂はお園の癪の薬を出してもらえぬか頼んだ。
「お園殿か」
「はい。今は大丈夫ですが、心労で癪を起こすかもしれません」
医師は何やら仔細ありと思ったのか、後で薬を調じてそちらへよこそうと言ってくれた。とりあえず、お園に対してできることはそれくらいであった。なにしろ部屋の前には御次が二人見張りのために座っている。入って様子を見るわけにもいかなかった。
お園の部屋子も入れず、廊下で泣きそうな顔をしていた。
佳穂は二人を淑姫の部屋へ連れて行った。淑姫は何も聞かず、二人を預かると言った。
「かたじけないことにございます」
「ちょうど人が足りぬので、困っておったところゆえ」
淑姫は心配いらぬとばかりに言った。先日の三人の小姓に続き中臈のお園がいないというのは、確かに不便だろう。
「それより、お佳穂、そなただけぞ、若殿様を力づけられるのは」
淑姫の小さな声に佳穂は耳をそばだてた。
「今度のことで、若殿様はかなり参っておられる。先ほど仏間でお顔を拝見したが、目が赤かった。眠れなかったのであろう。よもや仇と言われようとは。そんな事実はなくとも、兄上の死で得をしたと思われておるのだからな。何が起きても慌てず、若殿様第一にお仕えせよ。お園のことは心配いらぬゆえ」
「医者に癪の薬を頼んでおります」
「では、後で持って参れ。わらわが飲ませるなら、誰も文句を言うまい」
本当に心強い方と佳穂は淑姫を見上げていた。
離縁を申し渡した花尾の殿様は惜しいことをされたのかもしれぬと思えてくる。
それにしても若殿様は大丈夫であろうか。眠れないほどに苦しんだことを想像すると、胸が痛んだ。
「ところで」
淑姫はにやりと笑った。
「若殿様は高輪にはいつ行くのだ。できたら、わらわにも豚肉をもらってきてもらえぬか、頼んで欲しいものだが」
「それは」
やはり淑姫は淑姫だった。
ねだり事をするのは最もやってはならぬことだった。佳穂の困惑する表情を見た淑姫はガハハと笑った。
「わらわが自分で頼むゆえ。自分の欲しい物は自分で欲しいと言わねばならぬからな。そなたもぞ」
欲しい物は自分で欲しいと言わねばならぬ。
佳穂の欲しい物。一瞬だけ、又四郎の顔が思い浮かび、佳穂は慌ててその面影を打ち消した。
若殿様は今は喪中だが、いずれは奥方様を娶られる。佳穂一人の物にはできないのだ。
御前様も若殿様も奥の女達全員の物と言ってもいいかもしれない。佳穂だけが独占できるわけがないのだ。だから欲してはならない。
そう思いながらも、寂しさが胸をよぎるのはなぜなのか。佳穂は己の心の不思議さにとまどうばかりだった。
そこへ鳴滝の部屋子が呼びに来たので、佳穂は年寄の控えの間に急いだ。
鳴滝の部屋には青ざめた顔をした松村がいた。夜中から先ほどまでお志麻の取り調べに立ち会っていたと言う。
鳴滝にも奥方様同様、心労の色が見えた。
「とりあえず、松村から聞いたことを知らせておく。他言は無用ぞ」
内容は奥方様から知らされた話とほぼ同じだったが、お志麻や二人の家臣の取り調べで新たにわかったことも付け加えられていた。
「若殿様は分家の部屋住みであった頃、月に一度ほど中屋敷の光信院様を訪ねておいでだったそうじゃ。お志麻も同席していたという。若殿様は阿蘭陀カピタンや通詞、蘭学者や蘭癖の大名家の世継ぎらと交遊がおありでな。阿蘭陀語や英吉利語の本を写し、本邦の言葉に改め小遣いを稼いでおいでだったそうな」
だから英吉利語を知っていたのかと佳穂は又四郎の努力に改めて敬意を覚えた。
「それで親しくなった他の大名家の方々から豚の肉や牛の肉などをいただき、食べきれぬからと中屋敷に持って行ったとのこと。光信院様が亡くなる前日にも某家からいただいた豚を焼いてともに召しあがったとのこと。お志麻は伶観という尼を信じており、その尼の言葉を信じて豚肉に毒を盛られたから光信院様が亡くなったのだと思い込んでおる」
「ともに召し上がったのにですか」
それはおかしな話であった。
「豚というのはよく火を通さねば当たることがあるそうじゃな。それで亡くなる者もおるから、お志麻は豚のせいと思い込んでしまったようじゃ。それに若殿様はあまり召し上がらなかった。光信院様がほとんど召し上がっておいでだったので、それで毒を多く身体に入れることになったとお志麻は言うておる」
つまり食い意地の張った光信院様の自業自得ではないのかと佳穂は思ったが、さすがにそれは口に出せなかった。
「医者は光信院様の死は食べ物のせいではないと申しておる。ただ、西洋では肉をたくさん食べる者の中に心の臓を悪くする者がいるとも言うておる。光信院様は少々食い意地が張っておられたのかもしれぬ」
鳴滝がそれを言うのかと、佳穂は驚いた。
「つまり、お志麻の言うことは誤りじゃ。お志麻の思い込みじゃ」
「では、お志麻の方はどうなるのでしょうか」
「もう中屋敷に置くことはできぬ。親に引き取らせるしかあるまい。ただあのようなことを言い続けたままではよろしくない。座敷牢に入れるしかあるまいな。その分手当てをはずまねばならぬが。梶田も相応の罰が下ろう」
愚かなことをした者に罰が下るのは仕方あるまい。
ただ、愛する人を失った悲しみで、冷静な判断力を失い思い込みのために座敷牢に入ることになったとは、あまりに哀れなお志麻であった。
「それと、お志麻に付き添って中屋敷を出た小姓のおみちの行方がわからなくなっておる。お志麻だけが上屋敷に連れて来られたようなのだ。お志麻は途中から目隠しをされていたそうな」
「なんと」
中屋敷の小姓のおみちは一昨年まで上屋敷にいて淑姫に仕えていたので知っている。淑姫の嫁ぎ先にはついていかず、中屋敷の中臈のお里久の方に仕えるようになっていたが、お里久の方が昨年の秋に勤めを退いたので、お志麻の方付きになったのである。父親は国許で城代家老に仕えており、母方の親戚には先代の御前様の御国御前もいるという家の出で、素直な少女だった。上屋敷にいる頃、江戸で奉公した後は国にいる許婚者と祝言を挙げると言っていた。
「おみちは一体どこへ」
「今、目付の配下が探索しておる。町方の駕籠屋を使っておるゆえ、しらみつぶしに調べればわかろう」
そうは言うが気の遠くなるような話であった。
鳴滝は佳穂を見つめた。
「お佳穂、そなたにはまことに重い勤めになってしもうた」
重い勤め。佳穂にとっては今でも十分重いのだが。
「なれど、これはそなただけのことではない。若殿様も同じ。いや、もっとおつらいはず」
世継ぎを毒殺したと疑われ、仇と言われ刃を向けられたなど、表御殿の者だけならともかく他の藩にまで知られたら、若殿様が恥をかく。その事実は重い。
大名の家臣、いや武家の家臣は皆、主君に恥をかかせまいとするものである。そのために、城の坊主や役人等あちこちに付け届けをして便宜を図ってもらうのは当然のこと。秘密も漏らすまいとする。
だが、大名屋敷にいるのは忠義の家臣だけではない。期限付きで雇われる奉公人も少なくない。彼らは期限が来れば辞めて他の屋敷に移る。また他の家の奉公人と親しいこともある。彼らが無責任に面白おかしく主君やその家族の話を語ることもあった。
「若殿様のためにも、お佳穂、そなたがここは一つ気張らねばならぬぞ。若殿様をそなたは心を込めてお慰めするのだ」
そう言うと、鳴滝は背後の棚の抽斗の奥から書物を出した。
「これは男女和合の秘技を記した書物。これを読んで次こそは」
鳴滝は手にした書物を佳穂の手にがしっと握らせた。
鳴滝の迫力に佳穂は後ずさりしそうになった。あの絵だけでも目が滑るのに、今度は分厚い草子である。
「夕刻までにここで読むのじゃ。この書は人目に触れさせるわけにはいかぬのでな。昼餉はここに持ってこさせるゆえ、心置きなくな」
鳴滝はそう言うと、部屋を出て奥方様のいる座敷に向かった。
佳穂にとっては拷問にも等しい時間が始まった。
佳穂に与えられた書物は色道指南書と言われるものである。江戸時代には多くの種類のものが出版されており主に男性が読んでいたようだが、月野家の奥には女性向けに記された物が伝わっていた。多くの書籍から重要な部分だけを抜き出し流麗な筆跡は御家流、挿絵は一流の絵師に注文して描かれたものということで美術的にも価値あるものだった。
だが、そんなことは佳穂には関係なかった。知っている少女が行方不明になったのに、こんな書物を読んでいいのかと思う。ではどうしたらいいのか。外に探しに行くなど不可能だった。奥女中の外出は一人ではできない。町中を乗り物に乗らずに移動するなどとんでもない話だった。何より、広い江戸のどこを探せばいいのか。佳穂たち奥女中は屋敷から出ることはめったにないので、江戸の町のどこがどうなっているかなど知らないのだ。外に出たら迷子になるのがおちである。結局、目付の配下の者達に任せるしかない。彼らを信じて待つしかないのだ。
佳穂はため息をつきつつ、書物をめくった。今自分にできることをするしかないのだと。
「御方様、よろしいでしょうか」
お喜多の声が聞こえた。ここにいると聞いてやってきたのだろう。書物を閉じて入るように言った。
お喜多は中に入るとすぐに襖を締め切った。
「先ほど表御殿から、中屋敷の小姓のおみちが連れて来られました」
「おみちが」
よかったとほっと息をついた。
そういえば、お喜多もおみちを知っている。よく一緒に菓子を食べたりしていた。
「して、おみちの様子は」
「それがすっかり憔悴しており、目も泣き腫らしたのか真っ赤で」
よほど恐ろしい思いをしたに違いなかった。だが、生きていてよかった。
「一体、何があったのでございますか」
お喜多らにはまったくおみちの件は知らされていない。佳穂はまだ詳しい話をするわけにはいかなかった。
「私も詳しいことはわからぬ。何も聞かずにおみちに優しくしておくれ。」
「かしこまりました」
お喜多が出て行った後、佳穂は書物を開いた。
少しだけ気持ちが軽くなった。書物を楽しむ境地にまではいかないが、それでも先ほどよりも頭の中にあれこれがすんなりと入ってきた。
佳穂はいつものようにきちんと身なりを整えて奥方様の部屋に伺候した。
やがて仏間にお入りになったので、お帰りを待っていると、廊下からお園の声が聞こえた。
「まことでございますか」
「急ぎ部屋へ戻れ」
鳴滝の声音は厳しい。一体、何があったのか。お園に不手際があるとは思えない。これまで鳴滝がお園に厳しい声を掛けるなど聞いたことがなかった。
何やら不穏なものを感じているのは控えている小姓らも同様だった。
「何があったのでしょうか」
おくらが佳穂を見た。佳穂は落ち着いた顔を見せねばと静かに言った。
「鳴滝様からいずれお話がありましょう。それまでは静かに」
おくらは口をつぐんだ。
そこへ奥方様が戻って来た。淑姫も一緒だった。二人ともいつもより固い表情をしていた。鳴滝がやや遅れて入って来た。いつも鳴滝のそばにいる松村の姿がないことに佳穂は気付いた。
「皆の者に、伝えることがある」
鳴滝はそう前置きした。佳穂はお園に関することであろうかと不安を覚えていた。お園が不始末を起こすはずはないのだが。
「昨夜、中奥でゆゆしきことがあった」
皆息を呑んだ。佳穂は身体中の血が下がっていくような心持ちになった。中奥といえば、御前様か若殿様かに関わることである。もしや若殿様の身に何かあったのではあるまいか。
「まだ取り調べをしておるので、詳しいことはわからぬ。だが、皆にも伝えおく。この奥にても不埒の振舞ある時は女子であろうと、容赦はせぬ。このことに関して、身内の者の不始末につき、お園をしばらく謹慎とする。食事を運ぶ者以外は決して部屋に入ってはならぬ」
身内の不始末。つまりお園ではなくお園の家族が何かしたということらしい。お園の家族というのは江戸では兄の梶田仁右衛門だけである。中屋敷の用人の仁右衛門が一体何をしたのか。
「なお、御前様、若殿様には御機嫌うるわしくあらせられる」
騒ぎで御前様も若殿様も怪我をしたり、心を痛めることはなかったということである。
だが、佳穂にとっては冷静ではいられなかった。
お園が兄の不始末で謹慎になったのだ。
一体、中奥で何が起きたのか。佳穂は鳴滝にすぐにでも話を聞きたかった。だが、それより先に奥方様に話があると呼ばれた。
「困ったことになった」
人払いした部屋で奥方様は眉間に皺を寄せていた。こんな表情は見たことはなかった。よほどのことがあったに違いない。
「若殿様が昨夜、寝所で女子に襲われての」
なんということか。若殿様の寝所に女人がいたとは。又四郎は新たに奥女中に声を掛けたのか。佳穂に掛けた甘い言葉は偽りだったのか。佳穂は全身の血が下がるどころか、失せてしまいそうな心持ちになった。だが、ここで取り乱してはならぬと必死で歯を食いしばった。
さらに追い打ちをかけたのは次の言葉だった。
「中屋敷のお志麻の方じゃ。若殿様を、松丸のかたきと言うてな。すぐに小姓や書院番の者が来たゆえ取り押さえられた。若殿様に怪我はない」
奥方様は亡くなった若殿様を最近は松丸と幼名で呼ぶ事が増えていた。まるで光信院と呼ぶのを拒むかのように。
何かの聞き間違いではないかと思い、佳穂は繰り返した。
「お志麻が、若殿様をかたきと言ったのでございますか」
「若殿様が持って来た豚肉のせいで死んだのだと言うのだ」
「豚肉で、死んだ……」
豚の肉というのは食べたことはない。だが死ぬようなものなのか。
「わらわにはわからぬ。若殿様が松丸を殺すなど、あるわけがなかろうに。それなのに、なぜ……。しかもな、お志麻を屋敷に引き入れた者がいるらしい」
「どういうわけで」
「お志麻は尼に唆されて若殿様を仇と思い込んだらしい。それでどこぞの尼と共謀して中屋敷を出て上屋敷に入ったと。調べがまだ終わっておらぬゆえ、詳しいことはわからぬ」
佳穂はあまりのことに唖然とした。お志麻の敵討ち、尼と共謀……、思いも寄らぬ話にこれは何か下手な芝居の筋書きではないかと思った。
「若殿様にはけがはないが、騙されてお志麻を外に出した中屋敷の用人の梶田は謹慎しておる。監視を付けてな」
それでお園が謹慎になったのかと、佳穂は気付いた。
「お志麻の方は」
「取り調べ中じゃ。表御殿の番所で別式女の堀江麻乃と松村が日の出の前から立ち会っておる」
別式女の堀江麻乃は四十過ぎているが、動きは若々しく、下手な男よりも腕が立つ。佳穂も小太刀を麻乃から教わった。
「お志麻の方はどうなるのでございますか」
「殿も憂慮なさっておる。松丸を思うがゆえのことであろうが、なぜに若殿様を仇と恨むようになったか。その上、お志麻が仇、仇と言うを表の者が聞いておる。おかしな話が広まらねばよいのだが」
おかしな話。それは、若殿が前の若殿を殺して世継ぎになったという話か。
「若殿を世継ぎに選んだは、重臣らと御前様じゃ。若殿様自身がなりたいと申したわけではない。承諾したのは兄上じゃ。他にも名まえの上がっていた者は大勢おるのに」
奥方様の顔が少し赤らんでいた。
「奥方様、のぼせが」
「ああ、そうじゃな。すまぬ」
佳穂は小姓を呼び、医師に伝えた。他の小姓はすぐに床の用意をした。
奥方様を床に休ませていると、医師が来た。長い付き合いの医師はすでにのぼせの薬を用意していた。
小姓らがすぐに煎じ、薬を飲ませると落ち着いたようだった。
「少々、御心労が募っておいでですな」
医師の言う通りだった。腹を痛めて生んだ斉倫を失い、その御手付きのお志麻の方に、新たに世継ぎになった甥の又四郎が仇呼ばわりされとなれば、平穏でいられるわけがなかった。
この心労の種が軽くならねば、体調が落ち着くはずはない。
佳穂はなんとかしなければと思ったが、一体どうすればよいのか。
それにお園のこともある。兄がお志麻の件に巻き込まれたと知れば、持病の癪もぶりかえすかもしれぬ。
表へ戻る医師に佳穂はお園の癪の薬を出してもらえぬか頼んだ。
「お園殿か」
「はい。今は大丈夫ですが、心労で癪を起こすかもしれません」
医師は何やら仔細ありと思ったのか、後で薬を調じてそちらへよこそうと言ってくれた。とりあえず、お園に対してできることはそれくらいであった。なにしろ部屋の前には御次が二人見張りのために座っている。入って様子を見るわけにもいかなかった。
お園の部屋子も入れず、廊下で泣きそうな顔をしていた。
佳穂は二人を淑姫の部屋へ連れて行った。淑姫は何も聞かず、二人を預かると言った。
「かたじけないことにございます」
「ちょうど人が足りぬので、困っておったところゆえ」
淑姫は心配いらぬとばかりに言った。先日の三人の小姓に続き中臈のお園がいないというのは、確かに不便だろう。
「それより、お佳穂、そなただけぞ、若殿様を力づけられるのは」
淑姫の小さな声に佳穂は耳をそばだてた。
「今度のことで、若殿様はかなり参っておられる。先ほど仏間でお顔を拝見したが、目が赤かった。眠れなかったのであろう。よもや仇と言われようとは。そんな事実はなくとも、兄上の死で得をしたと思われておるのだからな。何が起きても慌てず、若殿様第一にお仕えせよ。お園のことは心配いらぬゆえ」
「医者に癪の薬を頼んでおります」
「では、後で持って参れ。わらわが飲ませるなら、誰も文句を言うまい」
本当に心強い方と佳穂は淑姫を見上げていた。
離縁を申し渡した花尾の殿様は惜しいことをされたのかもしれぬと思えてくる。
それにしても若殿様は大丈夫であろうか。眠れないほどに苦しんだことを想像すると、胸が痛んだ。
「ところで」
淑姫はにやりと笑った。
「若殿様は高輪にはいつ行くのだ。できたら、わらわにも豚肉をもらってきてもらえぬか、頼んで欲しいものだが」
「それは」
やはり淑姫は淑姫だった。
ねだり事をするのは最もやってはならぬことだった。佳穂の困惑する表情を見た淑姫はガハハと笑った。
「わらわが自分で頼むゆえ。自分の欲しい物は自分で欲しいと言わねばならぬからな。そなたもぞ」
欲しい物は自分で欲しいと言わねばならぬ。
佳穂の欲しい物。一瞬だけ、又四郎の顔が思い浮かび、佳穂は慌ててその面影を打ち消した。
若殿様は今は喪中だが、いずれは奥方様を娶られる。佳穂一人の物にはできないのだ。
御前様も若殿様も奥の女達全員の物と言ってもいいかもしれない。佳穂だけが独占できるわけがないのだ。だから欲してはならない。
そう思いながらも、寂しさが胸をよぎるのはなぜなのか。佳穂は己の心の不思議さにとまどうばかりだった。
そこへ鳴滝の部屋子が呼びに来たので、佳穂は年寄の控えの間に急いだ。
鳴滝の部屋には青ざめた顔をした松村がいた。夜中から先ほどまでお志麻の取り調べに立ち会っていたと言う。
鳴滝にも奥方様同様、心労の色が見えた。
「とりあえず、松村から聞いたことを知らせておく。他言は無用ぞ」
内容は奥方様から知らされた話とほぼ同じだったが、お志麻や二人の家臣の取り調べで新たにわかったことも付け加えられていた。
「若殿様は分家の部屋住みであった頃、月に一度ほど中屋敷の光信院様を訪ねておいでだったそうじゃ。お志麻も同席していたという。若殿様は阿蘭陀カピタンや通詞、蘭学者や蘭癖の大名家の世継ぎらと交遊がおありでな。阿蘭陀語や英吉利語の本を写し、本邦の言葉に改め小遣いを稼いでおいでだったそうな」
だから英吉利語を知っていたのかと佳穂は又四郎の努力に改めて敬意を覚えた。
「それで親しくなった他の大名家の方々から豚の肉や牛の肉などをいただき、食べきれぬからと中屋敷に持って行ったとのこと。光信院様が亡くなる前日にも某家からいただいた豚を焼いてともに召しあがったとのこと。お志麻は伶観という尼を信じており、その尼の言葉を信じて豚肉に毒を盛られたから光信院様が亡くなったのだと思い込んでおる」
「ともに召し上がったのにですか」
それはおかしな話であった。
「豚というのはよく火を通さねば当たることがあるそうじゃな。それで亡くなる者もおるから、お志麻は豚のせいと思い込んでしまったようじゃ。それに若殿様はあまり召し上がらなかった。光信院様がほとんど召し上がっておいでだったので、それで毒を多く身体に入れることになったとお志麻は言うておる」
つまり食い意地の張った光信院様の自業自得ではないのかと佳穂は思ったが、さすがにそれは口に出せなかった。
「医者は光信院様の死は食べ物のせいではないと申しておる。ただ、西洋では肉をたくさん食べる者の中に心の臓を悪くする者がいるとも言うておる。光信院様は少々食い意地が張っておられたのかもしれぬ」
鳴滝がそれを言うのかと、佳穂は驚いた。
「つまり、お志麻の言うことは誤りじゃ。お志麻の思い込みじゃ」
「では、お志麻の方はどうなるのでしょうか」
「もう中屋敷に置くことはできぬ。親に引き取らせるしかあるまい。ただあのようなことを言い続けたままではよろしくない。座敷牢に入れるしかあるまいな。その分手当てをはずまねばならぬが。梶田も相応の罰が下ろう」
愚かなことをした者に罰が下るのは仕方あるまい。
ただ、愛する人を失った悲しみで、冷静な判断力を失い思い込みのために座敷牢に入ることになったとは、あまりに哀れなお志麻であった。
「それと、お志麻に付き添って中屋敷を出た小姓のおみちの行方がわからなくなっておる。お志麻だけが上屋敷に連れて来られたようなのだ。お志麻は途中から目隠しをされていたそうな」
「なんと」
中屋敷の小姓のおみちは一昨年まで上屋敷にいて淑姫に仕えていたので知っている。淑姫の嫁ぎ先にはついていかず、中屋敷の中臈のお里久の方に仕えるようになっていたが、お里久の方が昨年の秋に勤めを退いたので、お志麻の方付きになったのである。父親は国許で城代家老に仕えており、母方の親戚には先代の御前様の御国御前もいるという家の出で、素直な少女だった。上屋敷にいる頃、江戸で奉公した後は国にいる許婚者と祝言を挙げると言っていた。
「おみちは一体どこへ」
「今、目付の配下が探索しておる。町方の駕籠屋を使っておるゆえ、しらみつぶしに調べればわかろう」
そうは言うが気の遠くなるような話であった。
鳴滝は佳穂を見つめた。
「お佳穂、そなたにはまことに重い勤めになってしもうた」
重い勤め。佳穂にとっては今でも十分重いのだが。
「なれど、これはそなただけのことではない。若殿様も同じ。いや、もっとおつらいはず」
世継ぎを毒殺したと疑われ、仇と言われ刃を向けられたなど、表御殿の者だけならともかく他の藩にまで知られたら、若殿様が恥をかく。その事実は重い。
大名の家臣、いや武家の家臣は皆、主君に恥をかかせまいとするものである。そのために、城の坊主や役人等あちこちに付け届けをして便宜を図ってもらうのは当然のこと。秘密も漏らすまいとする。
だが、大名屋敷にいるのは忠義の家臣だけではない。期限付きで雇われる奉公人も少なくない。彼らは期限が来れば辞めて他の屋敷に移る。また他の家の奉公人と親しいこともある。彼らが無責任に面白おかしく主君やその家族の話を語ることもあった。
「若殿様のためにも、お佳穂、そなたがここは一つ気張らねばならぬぞ。若殿様をそなたは心を込めてお慰めするのだ」
そう言うと、鳴滝は背後の棚の抽斗の奥から書物を出した。
「これは男女和合の秘技を記した書物。これを読んで次こそは」
鳴滝は手にした書物を佳穂の手にがしっと握らせた。
鳴滝の迫力に佳穂は後ずさりしそうになった。あの絵だけでも目が滑るのに、今度は分厚い草子である。
「夕刻までにここで読むのじゃ。この書は人目に触れさせるわけにはいかぬのでな。昼餉はここに持ってこさせるゆえ、心置きなくな」
鳴滝はそう言うと、部屋を出て奥方様のいる座敷に向かった。
佳穂にとっては拷問にも等しい時間が始まった。
佳穂に与えられた書物は色道指南書と言われるものである。江戸時代には多くの種類のものが出版されており主に男性が読んでいたようだが、月野家の奥には女性向けに記された物が伝わっていた。多くの書籍から重要な部分だけを抜き出し流麗な筆跡は御家流、挿絵は一流の絵師に注文して描かれたものということで美術的にも価値あるものだった。
だが、そんなことは佳穂には関係なかった。知っている少女が行方不明になったのに、こんな書物を読んでいいのかと思う。ではどうしたらいいのか。外に探しに行くなど不可能だった。奥女中の外出は一人ではできない。町中を乗り物に乗らずに移動するなどとんでもない話だった。何より、広い江戸のどこを探せばいいのか。佳穂たち奥女中は屋敷から出ることはめったにないので、江戸の町のどこがどうなっているかなど知らないのだ。外に出たら迷子になるのがおちである。結局、目付の配下の者達に任せるしかない。彼らを信じて待つしかないのだ。
佳穂はため息をつきつつ、書物をめくった。今自分にできることをするしかないのだと。
「御方様、よろしいでしょうか」
お喜多の声が聞こえた。ここにいると聞いてやってきたのだろう。書物を閉じて入るように言った。
お喜多は中に入るとすぐに襖を締め切った。
「先ほど表御殿から、中屋敷の小姓のおみちが連れて来られました」
「おみちが」
よかったとほっと息をついた。
そういえば、お喜多もおみちを知っている。よく一緒に菓子を食べたりしていた。
「して、おみちの様子は」
「それがすっかり憔悴しており、目も泣き腫らしたのか真っ赤で」
よほど恐ろしい思いをしたに違いなかった。だが、生きていてよかった。
「一体、何があったのでございますか」
お喜多らにはまったくおみちの件は知らされていない。佳穂はまだ詳しい話をするわけにはいかなかった。
「私も詳しいことはわからぬ。何も聞かずにおみちに優しくしておくれ。」
「かしこまりました」
お喜多が出て行った後、佳穂は書物を開いた。
少しだけ気持ちが軽くなった。書物を楽しむ境地にまではいかないが、それでも先ほどよりも頭の中にあれこれがすんなりと入ってきた。
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