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天下激動
弐 逃亡の果て
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それは十月も末の風の強い午後のことだった。
午前の執務を終えた慶温が奥に来た。いつもなら千代や近頃あちこちを歩き回るようになった松丸をそばに呼んでひととき遊ぶのに、この日は子どもらを乳母に預け人払いし座敷に佳穂と二人きりになった。
緊張した表情の慶温に、佳穂は自分まで固くなってどうすると思い、笑顔を作った。
「御前様、いかがなさいましたか」
一呼吸置いて続けた。
「とうとう英吉利の戦船が参りましたか」
「それはない」
慶温の緊張が少し緩んだように見えた。
「よかった。それでは戦ではないのですね。御前様の顔を見ると、まるでこれから戦が始まるようで」
「戦ではないが、戦のようなものかもしれぬ」
佳穂ははっとした。
「ある人の家族を助けたい。その手助けをお佳穂にして欲しいのだ」
人助けなら喜んでしようと思った。
「畏まりました。それで、その方とは」
「長岡英仙」
佳穂は記憶を手繰り寄せた。慶温の口からこれまでその名を聞いたことはなかった。だが、どこかで聞いたような。思い出した。その刹那、微笑は消えた。
「もしや、火事に乗じて牢破りをした町医者」
「そうだ。だが、ただの町医者ではない。蘭学者で、多くの蘭書を翻訳している。余もその著作を読んでいる。この国になくてはならぬ人だ」
慶温がそう言うならそうなのだろう。
だが、佳穂は別の話も知っていた。それはまことに恐ろしい話であった。
「牢破りのために、小伝馬町の牢屋敷の下人に金を渡して火を付けさせたのでございましょう。千代姫が生まれた年でしたか、火付けをした下人が火あぶりになったとお喜多らが申しておりました。恐ろしいことよと思いました。御前様も国許でお聞き及びのはず」
江戸の出来事は江戸家老から国許に逐一報告がある。
「知っている」
「ならば、なぜに」
子を持つ佳穂にとって家族の安全を脅かす火付け、ましてやそれをさせる人間など、悪鬼も同様だった。
その人物を慶温がこの国にはなくてはならぬ人と言うのは驚きを通り越して信じられなかった。
「確かに、長岡のやったことは許されぬことだ。だが、彼が牢内や牢を出てから行なった翻訳は多くの人々に読まれ、学問の普及に貢献している。実は、余は長岡を望月・月影領内に同伴し、藩校の教授や軍制の改革をさせている。また、彼の助言で、昨年から領内で種痘を実施している。これで疱瘡にかかる子どもが減るのだ。結果として長岡は大勢の者を助けているのだ」
種痘のことは佳穂も聞いていた。千代と松丸にも受けさせるという話もしている。
だが、領内にいたというのは信じられぬほど恐ろしいことに思われた。御公儀に知られたら大変なことになるのではないか。
「ただ、長岡はもう領内にはおらぬ」
佳穂は少しだけ安堵した。
「江戸にいる家族とともに暮らしたいと領内を出てしまった」
「江戸にいるのですか」
再び佳穂は恐怖を覚えた。
「お佳穂、そなたには許せぬかもしれぬが、長岡とて人。家族を思う情は余と同じなのだ」
「ですが、処刑された下人はどうなるのですか。下人にも家族があったはず」
それを言われれば、慶温も言い返せない。だが、彼にはどうしても譲れないことがある。
「確かにそうだ。長岡のしたことは罪深きことだ。なれど、家族はどうだ。妻も子も何も悪事はしておらぬ」
「それはそうですが、なぜ、わらわが助けねばならぬのでしょうか」
「奥が一番安全だからだ。ここは余の他は女子しか入れぬ。実は長岡の支援をしている者は他にもいてな、そちらから頼まれたのだ。そろそろ今の隠れ家も町奉行所に見つかりそうだと。そうなると長岡は捕縛され、家族とは引き離される。恐らく妻女の兄が御家人ということでそちらに引き取られよう。だが、その兄の素行が好ましくない。ゆえに町奉行所の手の届かぬところに家族だけでもと」
「長岡という人はどうなるのですか」
「一人ならなんとか逃げられよう。もし捕えられても、死罪にならぬよう、余も手立てを尽くすつもりだ」
そんなに簡単にことがうまくいくのだろうかと佳穂は思う。もしそれほどの人ならば、もっと早く罪を減じられ牢を出られたのではないか。
「家族の方だけなのですね」
「ああ。奥には子ども以外の男は入れぬであろう」
「畏まりました」
恐らく慶温は佳穂が嫌だと言っても連れて来てしまうだろう。
何より、広い江戸にはいくらでも逃げ場所があるであろうに、この屋敷の奥に隠すということは、追手が迫っているということではないのか。それを受け入れぬという非人情なことは佳穂にはできなかった。慶温はそんな佳穂の性格を分かった上で言っているのだと、佳穂自身分かり過ぎるほど分かっている。危険なことを考える夫とわかっていたものの、こういうことがこの先またあるかもしれぬと思うと不安がよぎる。
だが、受け入れると決めたなら、迷うわけにはいかなかった。人の命を預かるのだから。
妻子だけならなんとかなろう。御末の長屋の一部屋に入れて奉公人の扱いをすればわかるまい。そう決めて、佳穂は尋ねた。
「御子はいくつですか」
「一番上の娘が十歳、下の男子が千代と同じ五つだ」
ならば娘は部屋子に紛れさせればよい。男子は女子のなりをさせて千代の遊び相手を装えばよいかもしれぬ。
「いつまでここに置くのでしょうか」
「それほど長いことではない。長岡が放免されればまた親子で暮らせる日が来るはず」
そううまくいくものであろうか。佳穂は漠然とした不安を感じていた。
話はそれだけで、慶温はすぐに表御殿に戻ってしまった。
ややあって側用人からの連絡が伝えられた。三人は夕刻新しい奉公人として来るということだった。
夕刻、御末の頭からということで切手書のおふねが新しい奉公人が入ったことを伝えた。普通なら報告だけで目通りはしないのだが、佳穂は奉公人を呼んだ。無論、御末という名目なので座敷ではなく庭先での対面となる。
今にも雨が落ちてきそうな黒い雲の下、三人は跪いた。
新しい奉公人だという女はお駒という三十過ぎの女で十歳の加奈と五歳になる男子英之助を連れていた。三人ともこざっぱりした服装であった。が、この時期の寒さをしのぐには少々厳しく思われた。三人には後で袷や綿入れを着せてやらねばなるまい。
「こたびはまことにかたじけなく」
お駒の挨拶を縁側に立つ佳穂は制した。
「よい。そなたらは奉公人。今日はゆっくり休んで明日から励んでおくれ」
お駒は深々と頭を下げた。子ども二人もそれにならい、頭を下げた。
佳穂は年寄の鳴滝を呼び、御末のお駒と子どもの処遇について事細かに命じた。鳴滝は何やら訳ありの者らしいと思ったが、細かいことは聞かずに仰せの通りにと従った。
「三人とも奥に入った由にございます」
益永寅左衛門の報告に、慶温は安堵した。
「そうか。ご苦労だった。して青山は」
長岡英仙は青山に隠れ住んでいた。
「今日のところは」
無事ということらしい。
ふと耳を澄ませると雨戸を打つ雨音が聞こえた。
「今宵は荒れそうだな」
よもやこのような夜に奉行所が動くとは思えなかった。
寅左衛門が部屋を出た後、書見をしていると、不意にシロの吠える声が聞こえた。無駄吠えをしないのに珍しいと思った。そのどこか物悲しい響きに、慶温は不安を覚えた。
その夜、遠山左衛門少尉景元の命を受けた南町奉行所の定廻り、臨時廻り、隠密廻り同心らは捕り方らを従えて青山へ向かっていた。
翌朝、慶温は益永寅左衛門から長岡英仙死亡の知らせを受けることとなる。
自害したとも、捕り方らに十手で打たれて人事不省となり護送中の駕篭の中で死亡したとも言われている。
平岡の遺体は裁きが出るまで、塩漬けにされて保存された。
南町奉行遠山左衛門少尉景元は長岡の逃亡に関わった人々や借家の家主らを探索し取り調べた。その中には蘭学者の中田らもいた。
奉行所の役人らは共に暮らしていた家族の行方も追ったが、ついに見つかることはなかった。
また、慶温ら陰ながら関わっていた大名・旗本の名は取り調べでは出ず、追及されることはなかった。
十二月、遠山は逃亡に関わった人々の遠島・追放等の処罰を決定、長岡は生きていれば死罪と決まった。
本来なら下人に放火をさせている長岡は下人同様火あぶりになるのだが、幕閣の中には鳥居耀蔵によって陥れられた長岡への同情が強く、またその著書への評価の高さもあり、遠山は刑を減じて死罪としたのである。
長岡はすでに死亡しているため、その遺体は「取り捨て」となった。
彼の遺体は千住小塚原の刑場に運ばれ斬首された後、塩漬けになっていたため試し切りされることなく回向院の墓地に埋葬された。
長岡英仙の亡くなった十月の末以降、月野慶温は野菜の塩漬けや塩辛等を一切己の食膳に載せぬように命じた。それは彼が亡くなるまで続いた。
一方、佳穂は慶温が以前のように無邪気に床で英吉利の話をしなくなったことに気付いた。だが、興味が薄れたわけではないようだった。むしろ、何か重い物を心の奥底に押し隠しているように見えた。まるで慶温の中に長岡英仙が住み着いてしまったかのように思われた。
佳穂にできるのは、そんな慶温を黙って見守ることだけだった。
午前の執務を終えた慶温が奥に来た。いつもなら千代や近頃あちこちを歩き回るようになった松丸をそばに呼んでひととき遊ぶのに、この日は子どもらを乳母に預け人払いし座敷に佳穂と二人きりになった。
緊張した表情の慶温に、佳穂は自分まで固くなってどうすると思い、笑顔を作った。
「御前様、いかがなさいましたか」
一呼吸置いて続けた。
「とうとう英吉利の戦船が参りましたか」
「それはない」
慶温の緊張が少し緩んだように見えた。
「よかった。それでは戦ではないのですね。御前様の顔を見ると、まるでこれから戦が始まるようで」
「戦ではないが、戦のようなものかもしれぬ」
佳穂ははっとした。
「ある人の家族を助けたい。その手助けをお佳穂にして欲しいのだ」
人助けなら喜んでしようと思った。
「畏まりました。それで、その方とは」
「長岡英仙」
佳穂は記憶を手繰り寄せた。慶温の口からこれまでその名を聞いたことはなかった。だが、どこかで聞いたような。思い出した。その刹那、微笑は消えた。
「もしや、火事に乗じて牢破りをした町医者」
「そうだ。だが、ただの町医者ではない。蘭学者で、多くの蘭書を翻訳している。余もその著作を読んでいる。この国になくてはならぬ人だ」
慶温がそう言うならそうなのだろう。
だが、佳穂は別の話も知っていた。それはまことに恐ろしい話であった。
「牢破りのために、小伝馬町の牢屋敷の下人に金を渡して火を付けさせたのでございましょう。千代姫が生まれた年でしたか、火付けをした下人が火あぶりになったとお喜多らが申しておりました。恐ろしいことよと思いました。御前様も国許でお聞き及びのはず」
江戸の出来事は江戸家老から国許に逐一報告がある。
「知っている」
「ならば、なぜに」
子を持つ佳穂にとって家族の安全を脅かす火付け、ましてやそれをさせる人間など、悪鬼も同様だった。
その人物を慶温がこの国にはなくてはならぬ人と言うのは驚きを通り越して信じられなかった。
「確かに、長岡のやったことは許されぬことだ。だが、彼が牢内や牢を出てから行なった翻訳は多くの人々に読まれ、学問の普及に貢献している。実は、余は長岡を望月・月影領内に同伴し、藩校の教授や軍制の改革をさせている。また、彼の助言で、昨年から領内で種痘を実施している。これで疱瘡にかかる子どもが減るのだ。結果として長岡は大勢の者を助けているのだ」
種痘のことは佳穂も聞いていた。千代と松丸にも受けさせるという話もしている。
だが、領内にいたというのは信じられぬほど恐ろしいことに思われた。御公儀に知られたら大変なことになるのではないか。
「ただ、長岡はもう領内にはおらぬ」
佳穂は少しだけ安堵した。
「江戸にいる家族とともに暮らしたいと領内を出てしまった」
「江戸にいるのですか」
再び佳穂は恐怖を覚えた。
「お佳穂、そなたには許せぬかもしれぬが、長岡とて人。家族を思う情は余と同じなのだ」
「ですが、処刑された下人はどうなるのですか。下人にも家族があったはず」
それを言われれば、慶温も言い返せない。だが、彼にはどうしても譲れないことがある。
「確かにそうだ。長岡のしたことは罪深きことだ。なれど、家族はどうだ。妻も子も何も悪事はしておらぬ」
「それはそうですが、なぜ、わらわが助けねばならぬのでしょうか」
「奥が一番安全だからだ。ここは余の他は女子しか入れぬ。実は長岡の支援をしている者は他にもいてな、そちらから頼まれたのだ。そろそろ今の隠れ家も町奉行所に見つかりそうだと。そうなると長岡は捕縛され、家族とは引き離される。恐らく妻女の兄が御家人ということでそちらに引き取られよう。だが、その兄の素行が好ましくない。ゆえに町奉行所の手の届かぬところに家族だけでもと」
「長岡という人はどうなるのですか」
「一人ならなんとか逃げられよう。もし捕えられても、死罪にならぬよう、余も手立てを尽くすつもりだ」
そんなに簡単にことがうまくいくのだろうかと佳穂は思う。もしそれほどの人ならば、もっと早く罪を減じられ牢を出られたのではないか。
「家族の方だけなのですね」
「ああ。奥には子ども以外の男は入れぬであろう」
「畏まりました」
恐らく慶温は佳穂が嫌だと言っても連れて来てしまうだろう。
何より、広い江戸にはいくらでも逃げ場所があるであろうに、この屋敷の奥に隠すということは、追手が迫っているということではないのか。それを受け入れぬという非人情なことは佳穂にはできなかった。慶温はそんな佳穂の性格を分かった上で言っているのだと、佳穂自身分かり過ぎるほど分かっている。危険なことを考える夫とわかっていたものの、こういうことがこの先またあるかもしれぬと思うと不安がよぎる。
だが、受け入れると決めたなら、迷うわけにはいかなかった。人の命を預かるのだから。
妻子だけならなんとかなろう。御末の長屋の一部屋に入れて奉公人の扱いをすればわかるまい。そう決めて、佳穂は尋ねた。
「御子はいくつですか」
「一番上の娘が十歳、下の男子が千代と同じ五つだ」
ならば娘は部屋子に紛れさせればよい。男子は女子のなりをさせて千代の遊び相手を装えばよいかもしれぬ。
「いつまでここに置くのでしょうか」
「それほど長いことではない。長岡が放免されればまた親子で暮らせる日が来るはず」
そううまくいくものであろうか。佳穂は漠然とした不安を感じていた。
話はそれだけで、慶温はすぐに表御殿に戻ってしまった。
ややあって側用人からの連絡が伝えられた。三人は夕刻新しい奉公人として来るということだった。
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今にも雨が落ちてきそうな黒い雲の下、三人は跪いた。
新しい奉公人だという女はお駒という三十過ぎの女で十歳の加奈と五歳になる男子英之助を連れていた。三人ともこざっぱりした服装であった。が、この時期の寒さをしのぐには少々厳しく思われた。三人には後で袷や綿入れを着せてやらねばなるまい。
「こたびはまことにかたじけなく」
お駒の挨拶を縁側に立つ佳穂は制した。
「よい。そなたらは奉公人。今日はゆっくり休んで明日から励んでおくれ」
お駒は深々と頭を下げた。子ども二人もそれにならい、頭を下げた。
佳穂は年寄の鳴滝を呼び、御末のお駒と子どもの処遇について事細かに命じた。鳴滝は何やら訳ありの者らしいと思ったが、細かいことは聞かずに仰せの通りにと従った。
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無事ということらしい。
ふと耳を澄ませると雨戸を打つ雨音が聞こえた。
「今宵は荒れそうだな」
よもやこのような夜に奉行所が動くとは思えなかった。
寅左衛門が部屋を出た後、書見をしていると、不意にシロの吠える声が聞こえた。無駄吠えをしないのに珍しいと思った。そのどこか物悲しい響きに、慶温は不安を覚えた。
その夜、遠山左衛門少尉景元の命を受けた南町奉行所の定廻り、臨時廻り、隠密廻り同心らは捕り方らを従えて青山へ向かっていた。
翌朝、慶温は益永寅左衛門から長岡英仙死亡の知らせを受けることとなる。
自害したとも、捕り方らに十手で打たれて人事不省となり護送中の駕篭の中で死亡したとも言われている。
平岡の遺体は裁きが出るまで、塩漬けにされて保存された。
南町奉行遠山左衛門少尉景元は長岡の逃亡に関わった人々や借家の家主らを探索し取り調べた。その中には蘭学者の中田らもいた。
奉行所の役人らは共に暮らしていた家族の行方も追ったが、ついに見つかることはなかった。
また、慶温ら陰ながら関わっていた大名・旗本の名は取り調べでは出ず、追及されることはなかった。
十二月、遠山は逃亡に関わった人々の遠島・追放等の処罰を決定、長岡は生きていれば死罪と決まった。
本来なら下人に放火をさせている長岡は下人同様火あぶりになるのだが、幕閣の中には鳥居耀蔵によって陥れられた長岡への同情が強く、またその著書への評価の高さもあり、遠山は刑を減じて死罪としたのである。
長岡はすでに死亡しているため、その遺体は「取り捨て」となった。
彼の遺体は千住小塚原の刑場に運ばれ斬首された後、塩漬けになっていたため試し切りされることなく回向院の墓地に埋葬された。
長岡英仙の亡くなった十月の末以降、月野慶温は野菜の塩漬けや塩辛等を一切己の食膳に載せぬように命じた。それは彼が亡くなるまで続いた。
一方、佳穂は慶温が以前のように無邪気に床で英吉利の話をしなくなったことに気付いた。だが、興味が薄れたわけではないようだった。むしろ、何か重い物を心の奥底に押し隠しているように見えた。まるで慶温の中に長岡英仙が住み着いてしまったかのように思われた。
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