転生した愛し子は幸せを知る

ひつ

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本編

司祭まで出てきたよ

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『落ち着いた?』


「ん…もぉ大丈夫……」



 あれからしばらく泣き続けた私はようやく落ち着いた。



「ねぇ、私の言葉をお父さんたちに伝える事は出来ないかな…」



『本当に一言程度になるけどいい?』



「うん。十分だよ。」



『ディオレールもいいよね?』


『干渉し過ぎるとに見つかる可能性が高まるんだが…ティアの頼みだ!なんとかしてみせる!!』



 ディオお兄ちゃん無理なお願いしてごめんなさい。でも伝えなきゃいけないんだ。私に縛られているお父さんたちに。そして私が前に進むために。


「ありがとうディオお兄ちゃん。」


『おう!』


















『あれで良かったのか?』


「うん。伝えたい事は伝えたから。」


 私はディオお兄ちゃんを通じて言葉を届けてもらった。私から一方的に伝える形だったから相手が何を言っても私には分からない。けれどいいんだ。それで良かったんだ。きっと彼らは大丈夫。私は晴れ晴れとした気持ちで微笑む。



『すっきりした顔だな。』


「まぁね。なんだか不思議な気分。ふふふ。なんだか可笑しいや。」


 なんとも言えない感じがかえってむず痒い。



『…ティアは幸せだったの?』



「パパ?」



 パパが言いたいことがよく分からない。
けれど……


「それは……私にも分からないや!かと言って不幸だったかって聞かれたら私は間違いなく違うって言うよ。私は決して不幸な子じゃなかった。それだけは確かだよ。」


 私がそう言うとパパは呆気にとられたという表情を浮かべていた。



『ぷはっ(笑)!だってよアティス。勝手に華の人生を不幸だったって決めつけるのはよせよ。それは華が決めることってことだぜ。少なくともティアとして幸せを感じてくれてる。そうだろ?』



「うん!!パパが言ったんだよ?私に生きる幸せを、愛される幸せを知って欲しいって。大事なのは今だよ。過去は今の私を形づくるものでしかないの。」



『そっか。うん、そうだね。』



 パパは私の頭をひと撫ですると言った。



『さぁそろそろあちら教会に戻ろうか。』



「うん!」



『また来いよな!待ってるぜ』



『ディオレール、また次も来る気か?別にお前はお呼びじゃないんだ。そもそもアースでの仕事があるだろう。どうせ今日も天使と眷属に任せてきたんだろ。』


 ディオお兄ちゃんったらパパに怒られてるよ笑笑。


「ディオお兄ちゃん自分の仕事はしっかりしないとダメだよ~!」


『うぅ……次はちゃんと片付けてから来るからいいだろう?』


「それならいいんじゃないかな。いいよね、パパ?」


『私とティアの2人だけの時間が……あーもう分かったよ。』


 パパの言葉を聞いて今日イチの笑顔を見せるディオお兄ちゃん。


『それじゃああの魔法陣に入ってね。』


 ふむ。どうやら戻る時は魔法陣を使うらしい。


「近々また会いに行くね!バイバーイ!」


 私が魔法陣に入ると魔法陣が光り出した。






♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢
ディオレールside


 ティアが消え、俺とアティスだけになった。ティアが地球の彼らに残したメッセージを無事に届け、改めて思う。


『華の父親も被害者なんだよな…』


 俺の呟きに答えるのは勿論アティスだ。

『彼は確かに華を愛していた。によって思考操作や行動操作をされていたからね…華が幸せにならないように義理の母達のような悪意の塊ばかりの環境を作り出し、本当に華を大切にしていた者達には華から遠ざけていた。父親に関して言えば、華を愛さないようにまず本当の親子であるかを疑わせるように仕向けていたし。それから義理母達の行動にも違和感を抱かせてもそこでとどまらせるようにしていた。ふざけてるよ全く。華が死んで彼らはからの影響を受けなくなった。だからこそ辛いだろうね。あの時、何故何も出来なかったのかと思い悩むのだから。』


『辛いだろうな。何故何も出来なかったのかと悔やんでも、それは操作されていたからなんて彼らは知らない事だし。』


 そう。彼らもまたの被害者なのだ。だから俺たちも彼らを責める事は出来ない。そして……俺はアティスに聞こえないように呟く。





『気づいてるか?俺たちはいつの間にかに一部記憶を封印されてる事に…』



♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢



 目を開くと教会の礼拝堂に戻ってきていた。


「ずいぶん長く祈っておられましたね。」


「ふぁっ!?」


 びっくりした。ファボ司教か。結構な時間パパたちといたけどこちらではあまり時間は経っていないようだ。


「えっと色々とアティス様に聞いてもらってたんだー」


 嘘じゃないよ?事実、色々聞いてもらっていたし(直接だけどね)。


「そうですか。きっとティアお嬢様のお話に主神様も耳を傾けてくれた事でしょう。」


 あ、はい。すごーく耳を傾けてくれましたね。ここは曖昧に微笑んでおく。


「次は確か鑑定でしたっけ?」


「えぇ。準備は整っていますので案内しましょう。」


「楽しみだわ♩ティアちゃんもドキドキするわよね。」


 はい違う意味でドキドキしてます。一体どんな結果が出るのか心配でならんのです。私自身、自分で鑑定出来るから結果は分かるんだけどそれが他の人が鑑定した場合どんな風になるのか分からないんだよね。隠蔽部分って本当に隠蔽出来てるんだよね!?ハラハラするよぉ。



 私の緊張とは裏腹にジュリアンおばあちゃんのわくわくが痛いほど伝わってくる。そのまま鑑定する部屋へと招き入れられた。





「ファボ司教様、お待ちしておりました。」


 はて?今度は誰だ?部屋で待ち構えていたのは1人の男性だった。


「ラメスすまないね。君も忙しい身であるのに。」


「いえご心配には及びません。鑑定も我々の役目のうち。ただ偶々担当が私に変わっただけの事です。」


 ん?それは本当に偶々なのか?見た感じこのラメスさんはファボ司教と同じで教会の人の中でも上の人なんじゃないかな。所々で見かけた聖職者の人たちと服が少し違うんだよね。


「それでファボ司教様直々に鑑定したいお方というのは……」


「こちらのお嬢様ですよ。」


 ファボ司教に紹介された私は一歩前に出て挨拶をする。


「ティア・ルーゼルトです。」


「私は司祭のラメスと申します。ここの教会の代表になります。」


 やっぱり上の立場の人だよぉ。ファボ司教がラーロルド王国全体の教会トップで、ラメス司祭は王都にある大きな教会を任されてる司祭の1人って事だよね。補足だけど、国には司教が1人、司祭が7人いるらしい。ラーロルド王国各地に散らばっているとか。村なんかにある小さな教会には牧師がいるそうだ。ちゃんと勉強したんだよ。えっへん(*´꒳`*)


 話を戻すと、つまりこの場にラーロルド王国の教会トップの2人がいるわけだよ。そんな中、今から鑑定をするんだよね。願いはただ一つ。





 無事に終わりますように。←切実な願い



 




 




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