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本編
ラムのイヤイヤ
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数分後、テルボーさんはラムを連れて戻ってきた。正確には捕獲してだが。
「いい加減大人しくしろラム!一体どうしたってんだよ。」
ラムはテルボーさんからイヤイヤと暴れて逃げようとする。
「ラム」
モッサの言葉を聞いた瞬間、急に大人しくなったラムにテルボーはやはり飼い主の方の言う事は聞くのか…と落胆する。
「ラム、その筒を皆さんに渡して下さい。」
ラムは背に背負った筒を抱き寄せると、離さないとばかりに「キュッ!!」と鳴いた。
「お、おいラム?どうした?モッサの言うことなら聞くんじゃないのか?お前、俺がその筒を取ろうとした時も拒否したよな。まさかモッサでもダメなのか?」
「ラム…」
「ラムのやつ、だいぶ前にギルドには戻ってきてたらしいがずっとギルド内を隠れ回っていたらしい。ラムを見かけた職員や冒険者が声を掛けると場所を変えるように逃げていたらしい。俺も捕まえるの大変だったぞ…」
通りで戻って来た時、汗かいてたわけか。すばしこっそうなラムを相手に奮闘していたのか。
ラムはテルボーさんの手から逃れると一直線に私に向かってきた。
「へ?ラム?……ふみゃっ!!」
ラムは私に上り始め、顔面に張り付いた。
「ティア!?」
〈ティア!?〉
エリック隊長とスノウが息ぴったりに反応する。
「ブフッ!クククッ…」
おい、誰だ笑った奴は!言わずもがなビスである。
「ラ、ラム。モフ得だけど、息がし難いから少しずれて…」
モフモフに引っ付かれて幸せでしかないがこのままでは窒息してしまう。
ラムはごめんねとでも言うように慌てて顔から離れた。で、どこに移動したかって?顔から頭の上ですが、何か??
「ププッ!」
そこ笑うな!ビスさんを睨む。ついでに横で肩を揺らして笑っているアルも睨んでやる!保護者組(エリック隊長、ニールさん)はほのぼのするなぁあ!!
「お嬢さんはラムに懐かれているようだね。こらラム。その筒をギルマス達に渡しなさい。」
キュッ…キュキュッ?キュキュキュッ!
ふむ。ラムよ、私の頭の上で地団駄を踏むんじゃないよ。でもなんとなく言いたいことは伝わってくる。多分だけど「どうして…本当にいいの?渡したくないよ!」みたいな感じが伝わってくる。それもモッサさんを想っての行動に感じる。
「モッサさん、ラムは渡したくないみたいだけど…」
「……ラム。それを渡すんだ。それにはアジトの見取り図、それから人質の居場所が記されているから重要だと言ったはずだよ。その情報を渡す必要があるんだ。」
キュッ…
いつになく切羽詰まったような言い方にたじろぐラム。
「ごめんなラム。もらうな。」
その隙にすかさずエリック隊長がラムから筒を奪った。
「なになに~ん?これは?」
「それは盗んできた計画書です。まだ見ていませんが奴らの狙いが書かれているはずです。」
ニールはエリックからその計画書を借りるとトラップ魔法が掛けられていないか調べた。
「どうやら特定の言葉がカギのようですね。トラップは…あぁ、間違えて読もうとすると計画書に触れていた手が溶けるような仕組みみたいですよ。」
「平然と言ってるが手が溶けるって…えげつないぞニールさん。」
エリック隊長はさっきまで握っていた計画書をうげっと見つめる。
「まぁ、この手のものは解除し慣れていますので……………はい、解除しました。これで中身が見えるはずです。」
はやっ!流石ニールさん!
「いやいや解除したならニールさんが最初に見てくれよ!?なんで俺に渡そうとするんだ!?失敗していたら俺の手が溶けるじゃないか!」
「エリックさん、私が失敗したと言うのですか?」
冷え冷えとする笑顔にヒッと情けない声が漏れたエリック隊長。誰が見ても今のニールさんは魔王だ。
「謹んで見させていただきます…」
そう言ってエリック隊長はニールさんに敗北したのであった。
「いい加減大人しくしろラム!一体どうしたってんだよ。」
ラムはテルボーさんからイヤイヤと暴れて逃げようとする。
「ラム」
モッサの言葉を聞いた瞬間、急に大人しくなったラムにテルボーはやはり飼い主の方の言う事は聞くのか…と落胆する。
「ラム、その筒を皆さんに渡して下さい。」
ラムは背に背負った筒を抱き寄せると、離さないとばかりに「キュッ!!」と鳴いた。
「お、おいラム?どうした?モッサの言うことなら聞くんじゃないのか?お前、俺がその筒を取ろうとした時も拒否したよな。まさかモッサでもダメなのか?」
「ラム…」
「ラムのやつ、だいぶ前にギルドには戻ってきてたらしいがずっとギルド内を隠れ回っていたらしい。ラムを見かけた職員や冒険者が声を掛けると場所を変えるように逃げていたらしい。俺も捕まえるの大変だったぞ…」
通りで戻って来た時、汗かいてたわけか。すばしこっそうなラムを相手に奮闘していたのか。
ラムはテルボーさんの手から逃れると一直線に私に向かってきた。
「へ?ラム?……ふみゃっ!!」
ラムは私に上り始め、顔面に張り付いた。
「ティア!?」
〈ティア!?〉
エリック隊長とスノウが息ぴったりに反応する。
「ブフッ!クククッ…」
おい、誰だ笑った奴は!言わずもがなビスである。
「ラ、ラム。モフ得だけど、息がし難いから少しずれて…」
モフモフに引っ付かれて幸せでしかないがこのままでは窒息してしまう。
ラムはごめんねとでも言うように慌てて顔から離れた。で、どこに移動したかって?顔から頭の上ですが、何か??
「ププッ!」
そこ笑うな!ビスさんを睨む。ついでに横で肩を揺らして笑っているアルも睨んでやる!保護者組(エリック隊長、ニールさん)はほのぼのするなぁあ!!
「お嬢さんはラムに懐かれているようだね。こらラム。その筒をギルマス達に渡しなさい。」
キュッ…キュキュッ?キュキュキュッ!
ふむ。ラムよ、私の頭の上で地団駄を踏むんじゃないよ。でもなんとなく言いたいことは伝わってくる。多分だけど「どうして…本当にいいの?渡したくないよ!」みたいな感じが伝わってくる。それもモッサさんを想っての行動に感じる。
「モッサさん、ラムは渡したくないみたいだけど…」
「……ラム。それを渡すんだ。それにはアジトの見取り図、それから人質の居場所が記されているから重要だと言ったはずだよ。その情報を渡す必要があるんだ。」
キュッ…
いつになく切羽詰まったような言い方にたじろぐラム。
「ごめんなラム。もらうな。」
その隙にすかさずエリック隊長がラムから筒を奪った。
「なになに~ん?これは?」
「それは盗んできた計画書です。まだ見ていませんが奴らの狙いが書かれているはずです。」
ニールはエリックからその計画書を借りるとトラップ魔法が掛けられていないか調べた。
「どうやら特定の言葉がカギのようですね。トラップは…あぁ、間違えて読もうとすると計画書に触れていた手が溶けるような仕組みみたいですよ。」
「平然と言ってるが手が溶けるって…えげつないぞニールさん。」
エリック隊長はさっきまで握っていた計画書をうげっと見つめる。
「まぁ、この手のものは解除し慣れていますので……………はい、解除しました。これで中身が見えるはずです。」
はやっ!流石ニールさん!
「いやいや解除したならニールさんが最初に見てくれよ!?なんで俺に渡そうとするんだ!?失敗していたら俺の手が溶けるじゃないか!」
「エリックさん、私が失敗したと言うのですか?」
冷え冷えとする笑顔にヒッと情けない声が漏れたエリック隊長。誰が見ても今のニールさんは魔王だ。
「謹んで見させていただきます…」
そう言ってエリック隊長はニールさんに敗北したのであった。
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