転生した愛し子は幸せを知る

ひつ

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本編

カッターマンティス

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「えっと、パッチーナ東港にて逃走計画。その際カッターマンティスを…はぁああ!?100匹放逐!?騒ぎに乗じて船で脱出予定だと!?パッチーナを崩壊させる気かよ!?」


 思わない内容にあんぐりするエリック隊長。


「カッターマンティスを100匹ですか。厄介ですね。鋭い鎌は攻撃力も高く、奴らは俊敏で頭もいい。そんなカッターマンティスを一体どこから連れてきたのでしょうね?奴らは森に生息しているはず。港に生息しているはずはないですし、そのような数を1日2日で集めることも不可能でしょう。既にカッターマンティスが100匹このパッチーナに存在していると仮定してよさそうですね。」


「おいおい、それヤバいじゃないか。どっかにもうカッターマンティスを閉じ込めていて、あとは一斉に放つだけって状況なんだろう?」


「最低でも噴水広場と逃走予定の東港には、上級冒険者の人員を割く必要が出てきたな。出来れば攻撃隊の人員は減らしたくなかったんだが、防衛隊のみでのカッターマンティスの相手は無理だろう。Cランクでも手こずる相手を任せるのは厳しい。となると当初攻撃隊に予定していたBランク冒険者も防衛隊に一部回すしかないな。」


 テルボーは頭を抱える。


「あとはアジトに関してですね。敵のアジトの見取り図によると人質は2箇所に分けられているようですね。」


「地下の部屋には近づくことも出来ませんでしたが、もう一つの方は中を確認しました。そこにはパッチーナを含め、攫われてきた人たちがほとんど集まっていました。どうやら何か条件に合う者たちだけが地下に連れて行かれているようでした。共通点は見つけられませんでした。もしシノさんがいるとしたら地下の方かと…」


 ビスを含め、敵に捕まったシノが生きているとは限らないことを理解している。生きていてくれればと僅かな望みにかけるのだった。


「地下の方は未知というわけか。そちらにはデュースとシャーグさんを筆頭にして救出を行ってもらうとしよう。」


「それじゃあ俺は上に行って伝令を伝えてくる。今から冒険者たちを集めるように指示する。上級冒険者たちにも事前の合図を出し、速やかに協力するよう求めてくる。」


「では私は商業ギルドの方にお伝えして来ましょう。エリックさん、あなたは領主の方に行って下さい。」
 

 テルボーさんは冒険者ギルドを、ニールさんが商業ギルドに、エリック隊長が領主様の所に行くらしい。


「ティアは此処で皆んなと少し待っていてくれ。俺らと一緒に外に出て行動するよりギルドにいた方が安全だ。ビスさんや青薔薇がいるしな。アルベルタは頼りには……なれそうか?」


「おい!?」


「まぁまぁ、アルベルタ様。落ち着いてくださいよ。頼りにならないと断言されなかったんですから良かったじゃないですか。」


 納得いかないとエリックとビスに鋭い視線を向けるアルベルタ。


「アルベルタよりスノウの方が安心できるしな。」


「なっ!そんなウルフにも劣るだと!?」


〈ふん!僕はお前なんかよりずっとずーっと強いんだから!〉


 アルベルタにフフンと鼻を鳴らしドヤ顔をキメるスノウ。


「じゃあ少し出かけてくる。ティア、お利口にしとくんだぞ。分かったな?」


「はぁーい」


「モッサはまだ寝とけ。話を聞かせてくれて助かったよ相棒!」


「ギルマス…」


 曖昧に笑みを見せたモッサ。彼の目が揺れ、後悔の色を浮かべた事にテルボーは気付かなかった。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
カッターマンティス
 カマキリの魔物。大きな鎌で攻撃してくるよ!

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