転生した愛し子は幸せを知る

本編

知られざる世界の秘密 3

｟今はもう失われし、かつての世界。1つだった世界は、崩壊へと向かい、混沌の世界へと変わり果てた。そんな世界の調和を保つために、1つであった世界を２つに分けることにした。1つは、俺様たちの生きる魔法が発展したマースという世界。もう1つは、科学が発展したアースという世界だ。マースはアティス様が、アースはディオレール様が統べることとなった。アティス様とディオレール様は滅亡危機に扮した世界で生き残っていた僅かな生命たちをそれぞれの世界に分け、本来あった世界の記憶を消した。新たな世界の創造によって、完全に混沌の世界を排することはあの方たちには出来なかったのさ。なにせ、正統な神として君臨したわけではないからな。｠


「おいおいおい、なんか色々やばい情報が一気に入ってきてるんだが！？混沌の世界？世界を分けた？正統な神じゃないって！？アババババ…」


　エリックは、壊れたロボットのようになっている。


｟魔物にだって格があるように、神にも格というものがあるんだよ。そして、神とは自分の世界を創ることができる。言っただろ？このマースは世界を２つに分けた半分だと。真の創造神は別なんだ。本来、神は自身の世界を1から創り出し、自身の名を名付けるもんなんだぜ？だが、この世界は神と世界の名が異なっている。この世界への権限・干渉はアティス様にあるって事じゃないんだ。｠


〈ちょっ、喋り過ぎだよ！！僕だって最近、知ったこともあるっていうのに！長生きしすぎだから、知りすぎてるのは分かるけど！〉


｟さり気なく年寄り風に言うなこの駄犬っ！俺様は強いから、かつての世界から生き残ってるんだよ！｠


　ギャーギャー言い出したスノウとグラム。


〈もう知らないんだから！まだ話すには早すぎたのに！！お前がアティス様に怒られるんだからね！僕は頃合いを見て話すつもりだったのに。アティス様は素晴らしい人だけど、ティアのことになると親バカ全開だから勝手な判断したお前のことをどう処理するだろうね？せいぜい言い訳でも考えとくんだね！〉


｟……お前もサラッと秘密をもらしてんぞ｠


〈えっ？〉


　呆れ気味のグラムにスノウはどういうことだとエリックたちを見ると…


「アティス様が親バカ…親…父親！？」
「ティアさんのいう過保護なパパの正体…」
「天使のようだと思ってはいたが…神の子」


〈あ……〉


｟あほ犬｠


　スノウの暴露に驚きの声をあげる一同。


「本当に、ティアがアティス様の子なのか？言われて見ればどことなく……………ん？」


　エリックたちが確認するようにティアをみると、そこにはバンに耳を塞がれた状態で、不貞腐れた顔でムッとエリックたちを睨むティアの姿があった。