転生した愛し子は幸せを知る

ひつ

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本編

パッチーナ攻防戦 14

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「おい、兄ちゃん!デュース魔法師長の旦那を舐めてもらっちゃ困るぜ!俺たちの国の魔法師長はそんな柔じゃないさ。それにな、デュース魔法師長は実は好戦的だって聞いたことあるぜ?もっぱら接近戦のが得意だとか噂があるくらいだ!」


「あぁ!俺は前にデュース魔法師長の戦いをみたことがあるがスゲェぞ。手加減して貰っても俺には勝てねぇレベルだ。」


 周りの冒険者たちは救出した子らを背負いながら言う。


「…好戦的?…そんなつもり…ない。…だけど……近接距離でも…問題ないのは…事実。…むしろ…魔法範囲が狭い方が…威力あがるだけ。」


 だから信じてと言うデュースに、シャーグは獣王国の心強い三獣の姿が重なって見えた。
 

「はい。我々は貴方に従います。」


 助けられた子たちが次々に救出隊の者たちに背負われていく。気を失い動けない子や大人しく背負われる子がいる反面、怯える子、警戒する子、泣き叫ぶ子、攻撃的な子などもいる。その子たちに手を焼く救出隊の者たち。


 だからだろう。助けられた子の中で1人怪しい動きをした者がいた。救出隊の者たちの注意は、大人しく背負われてくれない子たちに集中していた。まして、助けた子どもたちだ。その大人しく待っている子たちの中で1人、不気味に笑う少女がいたことなど目を配る余裕などなかった。


 ただ1人を除いて。

 




「…ん。…それじゃあ……駆け抜けるよ?…遅れず付いてきて。」


「「「はいっ!!」」」


 デュースは準備ができたのを確認して先頭に立つと声をかけた。そして、走り出した。それに続くように遅れず走る救出隊。


 デュースは前方の視界にとらえた敵を瞬時に遠距離魔法を操り攻撃する。運良く逃れ、先頭にいるデュース向かってきた敵は、緻密かつ正確な確実な一手の魔法を使われ倒されるか、武闘家顔負けの身体強化による魔力を込めた拳や蹴りで呆気なく地面に伏す。


 左方右方、後方は正直やることがない。警戒だけは怠らないが、ほとんどはデュースが一撃必殺で対処するか、攻撃隊の者たちが倒してしまっているかですでに無力化された者ばかりだ。


 地下から上へとあがり、アジトから出ようと外へと続く通路を進む。


「……とまる。」


 デュースが足を止めたことで後ろを続く救出隊たちも追いつき次第、歩みへと変わった。


「デュースの旦那~どうしたんだ?」

「外まであと少しだけど??」




「…ん。……集まってる…攻撃隊もキャスも…何かあった…かも?」



 敵も付近にはおらず、ゆっくり歩んで近づいていく。



「あっ!師長!!ご無事でしたか!?」



 デュースたちに気づいたキャスが慌ててこちらへと走り寄ってきた。








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