転生した愛し子は幸せを知る

ひつ

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本編

パッチーナ攻防戦 15

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♢♢♢♢♢♢♢♢♢

~救出隊(キャス隊)~


 デュース率いる地下の人質の救出隊と分かれ、もう一方の人質が閉じ込められいるという場所へと向かったキャスたち。



「情報によれば、、、ここですね。」


 モッサから手に入れていた情報が正しければ地下とは別の人質たちの閉じ込められている場所にやってきた。キャスは魔力を乗せ、杖を床に軽くたたく。反響音から周辺の空間構造や生体反応の探知をした。


「あら?どうやら敵は2人のようだわ?救出対象は複数人に分けて閉じ込められているみたいね。どうやら奥で敵さんは待ってくれているみたい。入ってすぐ戦闘にはならなさそうだわ。それじゃあ、遠慮なく開けましょうか。」



 キャスは目の前の鉄扉に掛けられたトラップ魔法を解除すると扉に手を掛け、扉を引く。


「………」


「ど、どうしました?」


「…あなた、力あるわよね?」


「はい??一般的な力くらいは…あ、なるほど。扉が開けれ、、、」


「錆びてるのよ!だいたい、なんで鉄で作ってるのよ!?扉がかたく重いじゃない!?か弱い乙女に優しくないわ!!」


「「「え、、、か弱い???」」」


「そこっ!何か言ったかしら??」


「「「いいえ!!!」」」


 ここにくるまで圧倒的な魔法の強さで進んできたキャスが、まさかのか弱い乙女発言をし、後ろで待機していた多くの救出隊員が口を揃えて疑いの声を呟いた。


 キャスに指名された冒険者の男はキャスに代わり扉に手を掛ける。そして、首を傾げるとキャスに向き直りった。


「あの~大変言いづらいのですが、、この扉は押すタイプですね。これならキャスさんも開けれるのでは、、、」


「「「おい、馬鹿っ!言ってあげるな」」」


 キャスは青筋を浮かべると、やけくそとばかりに鉄扉を音を立てて思いっきり押し開けた。


 あまりの勢いに、扉の先に並ぶように作られていた鉄格子の檻から悲鳴が聞こえた。


「救出対象たちを怖がらせてどうす…すみません。」


 ギロリと睨まれ口を閉じる冒険者。賢明な判断である。



 中に足を踏み入れると左右に通路を挟んで鉄格子の檻が並んでいた。扉を開けてすぐの鉄格子の檻に入っていた人たちはキャスの登場に怯えを見せている。



「皆さん、ご安心下さい。私たちは味方です。皆さんを助けに来た者たちですわ。少々、荒々しい登場にはなりましたが決して皆さんを傷つける者ではありません。」



 疑いの目、警戒の目で見られるキャス。キャスは居心地悪い。


「え、えっと、信用してませんね!?私はこのラーロルド王国の正式な魔法師です!身元はしっかりしてますよ!第2魔法師団所属のキャスです!皆さんを救出に来ました。すぐにここから出してあげますから、もう暫くお待ち下さいね?私は今からあなた方の先にいる敵さんと対面して、フルボッコにして来てあげますね!!」



「「「フルボッコ…」」」



「ええ!それでは、私は敵さんをフルボッコしに行きますので救出隊の皆さんは救出対象の解放の方を宜しくお願いしますね?複雑な仕掛けもないですから、サクッと先ほど鉄格子ごとに発動していたトラップは解除しときました。あとは鍵開けだけですから、任せますね。」



「キャスさん、まさかお一人で敵と対峙するおつもりですか!?」



「任せて下さい。私、強いですから。相手は2人だけのようですし、、、どうやら敵さんは私をお待ちかねのようですから。下手に周りに人がいると集中できません。」


「……必ず勝ってくださいね。」



「ご心配なく。すぐに終わらせて戻りますので。」



 キャスは余裕の微笑みを浮かべ、1人先へ向かった。












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