【完結】温かい食事

ここ

文字の大きさ
1 / 2

第一話

しおりを挟む
「お兄ちゃん、僕お腹空いたよ」
「僕も」
「わたちも」
ミリュオにはかわいい弟妹が3人いる。
両親はいない。いつのまにか消えていた。1番下の妹が生まれて1年ほどしたら、いなくなっていた。
家にはお金も換金できそうなものも一つも残ってなかった。
家は小さいが、借家ではなかったのが、まだよかった。
4人でその小さな家で、暮らしてきた。
食事は庭の農園でなんとか賄ってきた。
ミュリオは畑仕事は初めてだったが、3人が手伝えない小さな頃は1人で頑張ってきた。
だが、今年は不作だった。作ったものが全部、病気にかかってダメになってしまったのだ。
助けてくれる親戚がいるのかどうかすらわからない。
8歳のミリュオにはわからないことが多すぎて、大事な弟妹をどうしたら守れるのかわからなかった。

「お兄ちゃん、疲れたよ」
泣きそうな弟妹をなんとかなだめて、ミュリオはある場所へ向かってた。
不作の年は炊き出しが行われることが多い。ミュリオもその話を聞いて少し遠いが、4人で歩いてきた。
無事に着いてホッとしたが、炊き出しの列は長かった。今日何も食べてない弟妹が、お腹が空いているのも当然だった。
「もうすぐだから、我慢だよ。約束したろ」兄らしく声をかけたが、ミュリオもお腹が空いていた。
甘えられる弟妹が時々うらやましい。

順番が回ってきて、もらったジャガイモのスープはとても美味しかった。
生き返る思いがした。
自分のを一口食べたあと、小さな妹がちゃんと食べられているか確認する。
大丈夫だとわかるとホッとして、自分のをしっかり食べた。次はいつ、食事できるかわからない。

ミリュオは何度か考えた。町の教会で相談すれば、子どもだけの無理な暮らしをやめられるのではないか。三食とはいかなくても、暖かい部屋で、温かい食事がもらえるようになるのではないか。
でも、おそらく4人一緒はありえない。
別々の教会に引き取られることになるだろう。ミリュオが躊躇うのはそこだった。

だが、今の状況では、弟妹の命を守る自信がなかった。ミリュオ自身が8歳で、働ける場所がないのだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

虐げられた令嬢、ペネロペの場合

キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。 幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。 父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。 まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。 可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。 1話完結のショートショートです。 虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい…… という願望から生まれたお話です。 ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。 R15は念のため。

【完結短編】ある公爵令嬢の結婚前日

のま
ファンタジー
クラリスはもうすぐ結婚式を控えた公爵令嬢。 ある日から人生が変わっていったことを思い出しながら自宅での最後のお茶会を楽しむ。

物語は始まりませんでした

王水
ファンタジー
カタカナ名を覚えるのが苦手な女性が異世界転生したら……

ラウリーは夢を見ない

ひづき
ファンタジー
公爵家に生まれたラウリーは失敗作だと両親に評価された。 ラウリーの婚約者は男爵家の跡取り息子で、不良物件を押し付けられたとご立腹。お前に使わせる金は一切ないと言う。 父である公爵は、ラウリーの婚約者の言い分を汲んで清貧を覚えさせるためにラウリーへの予算を半分に削れと言い出した。 「───お嬢様を餓死でもさせるおつもりですか?」 ないものを削れだなんて無理難題、大変ね。と、ラウリーは他人事である。

悲恋小説のヒロインに転生した。やってらんない!

よもぎ
ファンタジー
悲恋ものネット小説のヒロインに転生したフランシーヌはやってらんねー!と原作を破壊することにした。

愛しているから

七辻ゆゆ
ファンタジー
あなたのために頑張って、処刑した。

宝箱の中のキラキラ ~悪役令嬢に仕立て上げられそうだけど回避します~

よーこ
ファンタジー
婚約者が男爵家の庶子に篭絡されていることには、前々から気付いていた伯爵令嬢マリアーナ。 しかもなぜか、やってもいない「マリアーナが嫉妬で男爵令嬢をイジメている」との噂が学園中に広まっている。 なんとかしなければならない、婚約者との関係も見直すべきかも、とマリアーナは思っていた。 そしたら婚約者がタイミングよく”あること”をやらかしてくれた。 この機会を逃す手はない! ということで、マリアーナが友人たちの力を借りて婚約者と男爵令嬢にやり返し、幸せを手に入れるお話。 よくある断罪劇からの反撃です。

透明な貴方

ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
 政略結婚の両親は、私が生まれてから離縁した。  私の名は、マーシャ・フャルム・ククルス。  ククルス公爵家の一人娘。  父ククルス公爵は仕事人間で、殆ど家には帰って来ない。母は既に年下の伯爵と再婚し、伯爵夫人として暮らしているらしい。  複雑な環境で育つマーシャの家庭には、秘密があった。 (カクヨムさん、小説家になろうさんにも載せています)

処理中です...