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レオナンは、勉強もしっかりがんばっているが、学年1位だから生徒会長をやっている。ただ、平均的に得意なものと、ものすごく得意なものとは差がある。
ものすごく得意なものとは、魔法だった。
もともとの魔力量がハンパない上、新しい魔法を生み出す才に恵まれた。
「お願いです」
王宮魔法使いの長に何度も頭を下げて頼まれた。今すぐ魔法使いの長になってくれと。才能が桁ちがいすぎると。
けれど、レオナンがなりたいものは今のところ、王太子妃なのだ。
王家からの仲裁が入って、魔法使いの長は顔を見せなくなった。
レオナンは魔法自体は好きだ。いろんな新しい魔法を考えるのも好きだ。イザーク殿下がいなければ、魔法使いの道も悪くはなかった。いきなり、1番目から始めるのはどうかと思うが。
「まぁ、私は優秀すぎるわね」
剣の授業を見た騎士団長が、恨めしそうな顔をしていたこともあった。これは気のせいかもしれない。いくら得意といっても女性なのだから。
レオナンはわかってなかった。レオナンの剣で、騎士団長が鍛えた騎士候補たちはボロボロに負けていた。レオナンは無意識だが、剣だけでは勝てないから、魔法を自然に使ってその場にいる教師よりも強くなっていたのだ。
その報告を受けた国王は、改めて決意した。
「レオナン・シュタインは王太子の婚約者で、いずれは王妃」
それだけの力があった。悪い噂も実際にレオナンに接したり、聡明さを知ればなくなるだろう。
レオナンの悪女イメージは外見がかなりの部分を占めている。
色合いもはっきりしていて、目付きもいい方ではない。
これがふわふわした外見ならかなりちがっていただろう。
そう、庇護欲をかき立てるヒロインだったら。
「ねぇ、お聞きになりまして?編入生ですって」
「知ってますわ。子爵令嬢に新たになったばかりとか」
「ものすごく可愛い子だとか」
みんなが注目する中、ピンク色のふわふわの髪に水色の瞳をした女の子が新品の制服を着て、新しいクラスで、自己紹介をする。
「みなさま、ご機嫌よう。私、マリア・ヘッジと申します。仲良くしてくださいませ」
休み時間になると、マリアのもとにたくさんのクラスメイトが集まった。
レオナンとはちがうクラスのため、編入生が来たことしか知らなかった。生徒会長として、少し気にした方がいいかなと、マリアの顔を見に行った。
可愛いらしい子だなと思った。クラスにすでに溶け込んでいそうだし、問題なさそう、と判断すると、編入生については忘れてしまった。
ものすごく得意なものとは、魔法だった。
もともとの魔力量がハンパない上、新しい魔法を生み出す才に恵まれた。
「お願いです」
王宮魔法使いの長に何度も頭を下げて頼まれた。今すぐ魔法使いの長になってくれと。才能が桁ちがいすぎると。
けれど、レオナンがなりたいものは今のところ、王太子妃なのだ。
王家からの仲裁が入って、魔法使いの長は顔を見せなくなった。
レオナンは魔法自体は好きだ。いろんな新しい魔法を考えるのも好きだ。イザーク殿下がいなければ、魔法使いの道も悪くはなかった。いきなり、1番目から始めるのはどうかと思うが。
「まぁ、私は優秀すぎるわね」
剣の授業を見た騎士団長が、恨めしそうな顔をしていたこともあった。これは気のせいかもしれない。いくら得意といっても女性なのだから。
レオナンはわかってなかった。レオナンの剣で、騎士団長が鍛えた騎士候補たちはボロボロに負けていた。レオナンは無意識だが、剣だけでは勝てないから、魔法を自然に使ってその場にいる教師よりも強くなっていたのだ。
その報告を受けた国王は、改めて決意した。
「レオナン・シュタインは王太子の婚約者で、いずれは王妃」
それだけの力があった。悪い噂も実際にレオナンに接したり、聡明さを知ればなくなるだろう。
レオナンの悪女イメージは外見がかなりの部分を占めている。
色合いもはっきりしていて、目付きもいい方ではない。
これがふわふわした外見ならかなりちがっていただろう。
そう、庇護欲をかき立てるヒロインだったら。
「ねぇ、お聞きになりまして?編入生ですって」
「知ってますわ。子爵令嬢に新たになったばかりとか」
「ものすごく可愛い子だとか」
みんなが注目する中、ピンク色のふわふわの髪に水色の瞳をした女の子が新品の制服を着て、新しいクラスで、自己紹介をする。
「みなさま、ご機嫌よう。私、マリア・ヘッジと申します。仲良くしてくださいませ」
休み時間になると、マリアのもとにたくさんのクラスメイトが集まった。
レオナンとはちがうクラスのため、編入生が来たことしか知らなかった。生徒会長として、少し気にした方がいいかなと、マリアの顔を見に行った。
可愛いらしい子だなと思った。クラスにすでに溶け込んでいそうだし、問題なさそう、と判断すると、編入生については忘れてしまった。
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