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第一話 第一王子は語り始めた
しおりを挟む初めまして。僕は、アルベルト・レオンハーツという、レオンハーツ王家の第一王子だった。そう、その事実は過去形で今は、ブランカ男爵家に婿入りとなったから、アルベルト・ブランカになるね。
第一王子だったのに、何故男爵家に婿入りしたのかって? それは簡単な話。僕は身分差を超えた真実の愛に目覚めて、王位継承権を捨て去ってブランカ男爵家の一人娘であるモニカと結婚したからさ。夕日のような朱色の髪と優しい大地のような茶色の瞳を持つ笑顔が素敵で可憐なモニカとは十六歳の春、入学を果たした王立学園の美しい中庭で運命の出会いを……あぁ、そう。その辺りは国中で話題になったから知っていて当然か。王家主導で演劇にも恋愛小説にもされたからね。…当時は嬉しかったよ、両親も国も僕の真実の愛を認めてくれているんだって思ってたから。今はもう、第一王子であった僕の『不貞行為』と言う醜聞を晒し、礼儀知らずの不誠実者として見せしめにするためであったことは理解しているけど。真実の愛のストーリーのその裏に、気が付く人はすぐ気が付いただろうね。
…うん、モニカとの逢瀬は多くの人に『不貞行為』と見られてしまったんだ。僕には当時、モニカとは異なる婚約者がいたからね。ウルファング侯爵家の長女で僕と同い年のスノーベル。おっと、今は結婚してタイガークロー公爵夫人となったらしいから名前で呼んじゃいけないか。とにかく、彼女と僕は幼少の頃から決められていた婚約者だったけど、僕は王立学園でモニカと出会ってしまったからね。その瞬間からずっと婚約者であった彼女より、モニカの方が僕にとって大事な存在になったんだ。元々婚約者であった彼女とはお互いに恋愛感情は持っていなかったし、政略的に必要な事だから交流の頻度は高く優先度も高かったけど、身近な友人としか感じていなかったしね。一時期は僕が彼女を嫌っている、なんて噂が流れていたらしいけど、好きか嫌いか問われれば、友人として好きと答えただろうさ。…まぁ、今考えてみれば友人としか思えなかったからこそ、当時の僕は彼女の『婚約者』という立場を軽んじてしまったんだろうね。第一王子であるが故に王太子候補であった僕の『婚約者』という立場が軽いはずなんてなかったのに…。真実の愛を見つけて浮かれていたとは言え、婚約者以外の他の女性を優先し優遇し、密な仲になるなんて、とんでもない裏切り行為だと言われても仕方がないこと。当時はそこまで大げさに騒ぐことかと疑問にさえ思っていたけれど、今の僕なら、とても良く分かるよ。
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