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おまけ(とある十番目の王女の独り言)
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私、ドナイナッテ王国の王女、十番目の子、サラ。第三側妃が産んだ娘で、同母の兄が一人おります……いえ、もう過去の話ですわね、兄が一人おりました。
はっきり申しまして、兄はいつかやらかすと思っておりました。
だって、王族としての立場でありながら、あり得ない程、バカでしたから。頭のよさとかではなく、もう思い込んだら一直線のイノシシと申しましょうか。物覚えが悪い訳ではないのに、覚えたいことしか覚えない。知りたいことしか学ばない。自分勝手なバカ。
何故か昔から王妃様を敵視しておりました。母上は騙されてるとかって。本当にあり得ない。確かに立場上、王妃様は王の血を引く私達に厳しく接することもあるでしょう。ですが、それは国を治める者として当然のことですし、元々内政に強い関心を持つ母上が、王妃様に賛同しても可笑しくないでしょうに。巻き込まれた教育係の方々が可哀想です…。しっかり、兄に教えてらしたでしょうにね。バカが聞いているフリして覚えないから。聞いているフリとその場だけでの返事は完璧だったのでしょうね。
学校では私と出会うと5回に一回くらいは、血の繋がった兄妹だからと学校内のカフェの個室でお茶をしておりました。話の内容は大体、王妃様に気をつけろとか、婚約者の愚痴とか、サリー様とやらの惚気?とか。全部自分のことばかり。私の婚約のことも、一言おめでとう、だけでした。相手のことさえ聞いてもこず、続いた言葉が、それより婚約者がサリー様を虐めているとか何とか。王宮を出ている今の私について、興味ないんですね? ただ愚痴を言っても問題ないだろうからとその捌け口として私を使ってるだけですよね? 知ってました。
私、そのサリー様と同室なのですが? 私が学校の寮で暮らしてる事、学校で始めて会って話した時、伝えておりましたよね? 同室者の話も、男爵家と子爵家の娘だと伝えましたよね? そりゃ、下位貴族は人数が多いですから考えにくいかもしれませんが、もしかしたらそのサリー様じゃないかとかちょっとは思わないんでしょうか? 思わないんですね? どうせサリー様であると教えても同名の別人とか思うんでしょうね。バカですね、本当に。まぁ、わざわざこちらから話したくもないので、言いませんけど。
でもその兄が語るサリー様とやら。私の知る同室者とは似ても似つかないのは何故ですかね? とても男爵家の娘とは思えない言動をしてらっしゃるんですが。一応王女であると伝えても、何故か上から目線で話し掛けてきますし、何なら私が使っていたレターセット等を勝手に使ってたりするんですが。共同スペースに何かしら物を置くと大抵消えます。何故かサリー様の物になってます。返却もしてもらえませんので、共同スペースには一切物を置かない様にしてますし、個別の寝室には鍵を常に掛けるようにしてます。サリー様に盗まれますからね。
物を盗まれる事をさり気なく伝えても、学校で物を盗むとは手グセの悪い生徒がいるのだな、サリー様は大丈夫だろうか、等と言ってのける兄。学校内ではなく寮の部屋ですよ、そしてそのサリー様が犯人なのですが? どうせ信じないでしょうけど、サリー様にすっかり騙されてますよね? どうしようもなく、バカですね。
正直、あの兄より腹違いのお姉様達の方が私と仲良しです。お姉様達とは今でも手紙や贈り物も頻繁に交わしてますし、夜会で会えば時間が許す限りしゃべくり倒します。兄とは血が繋がっていても他人のような気がしていました。あんな結果になっても、自業自得、としか思えません。
――ただ。
裏工作に使われた女に良い様に利用されて、全てを失うことになった、バカ。
王位継承権が低いからと意地悪な男子共に虐められた時、身近で唯一庇ってくれた、人。
――私の兄でした。
昨日、私も王位継承権を返上しました。
今日、嫁入りの為の準備をしている時に、兄のことは忘れなさいと母上に言われました。
でも、そんな母上の胸には小さな宝石の付いたブローチがありました。兄が母上の誕生日に贈ったブローチ。こっそり王宮を抜け出した兄が、王都で自分で選んで買ってきた物だと私は知ってます。幼い私には甘い蜜がたっぷりかかった焼き菓子を買ってきてくれましたから、良く覚えているのですよ。
きっと、ブローチはこの日を最後に仕舞われるのでしょう。
来週、私は結婚して伯爵夫人になります。
大好きな甘い蜜がけの焼き菓子を食べるのも、今日で最後にします。今、太ると困りますしね。
はっきり申しまして、兄はいつかやらかすと思っておりました。
だって、王族としての立場でありながら、あり得ない程、バカでしたから。頭のよさとかではなく、もう思い込んだら一直線のイノシシと申しましょうか。物覚えが悪い訳ではないのに、覚えたいことしか覚えない。知りたいことしか学ばない。自分勝手なバカ。
何故か昔から王妃様を敵視しておりました。母上は騙されてるとかって。本当にあり得ない。確かに立場上、王妃様は王の血を引く私達に厳しく接することもあるでしょう。ですが、それは国を治める者として当然のことですし、元々内政に強い関心を持つ母上が、王妃様に賛同しても可笑しくないでしょうに。巻き込まれた教育係の方々が可哀想です…。しっかり、兄に教えてらしたでしょうにね。バカが聞いているフリして覚えないから。聞いているフリとその場だけでの返事は完璧だったのでしょうね。
学校では私と出会うと5回に一回くらいは、血の繋がった兄妹だからと学校内のカフェの個室でお茶をしておりました。話の内容は大体、王妃様に気をつけろとか、婚約者の愚痴とか、サリー様とやらの惚気?とか。全部自分のことばかり。私の婚約のことも、一言おめでとう、だけでした。相手のことさえ聞いてもこず、続いた言葉が、それより婚約者がサリー様を虐めているとか何とか。王宮を出ている今の私について、興味ないんですね? ただ愚痴を言っても問題ないだろうからとその捌け口として私を使ってるだけですよね? 知ってました。
私、そのサリー様と同室なのですが? 私が学校の寮で暮らしてる事、学校で始めて会って話した時、伝えておりましたよね? 同室者の話も、男爵家と子爵家の娘だと伝えましたよね? そりゃ、下位貴族は人数が多いですから考えにくいかもしれませんが、もしかしたらそのサリー様じゃないかとかちょっとは思わないんでしょうか? 思わないんですね? どうせサリー様であると教えても同名の別人とか思うんでしょうね。バカですね、本当に。まぁ、わざわざこちらから話したくもないので、言いませんけど。
でもその兄が語るサリー様とやら。私の知る同室者とは似ても似つかないのは何故ですかね? とても男爵家の娘とは思えない言動をしてらっしゃるんですが。一応王女であると伝えても、何故か上から目線で話し掛けてきますし、何なら私が使っていたレターセット等を勝手に使ってたりするんですが。共同スペースに何かしら物を置くと大抵消えます。何故かサリー様の物になってます。返却もしてもらえませんので、共同スペースには一切物を置かない様にしてますし、個別の寝室には鍵を常に掛けるようにしてます。サリー様に盗まれますからね。
物を盗まれる事をさり気なく伝えても、学校で物を盗むとは手グセの悪い生徒がいるのだな、サリー様は大丈夫だろうか、等と言ってのける兄。学校内ではなく寮の部屋ですよ、そしてそのサリー様が犯人なのですが? どうせ信じないでしょうけど、サリー様にすっかり騙されてますよね? どうしようもなく、バカですね。
正直、あの兄より腹違いのお姉様達の方が私と仲良しです。お姉様達とは今でも手紙や贈り物も頻繁に交わしてますし、夜会で会えば時間が許す限りしゃべくり倒します。兄とは血が繋がっていても他人のような気がしていました。あんな結果になっても、自業自得、としか思えません。
――ただ。
裏工作に使われた女に良い様に利用されて、全てを失うことになった、バカ。
王位継承権が低いからと意地悪な男子共に虐められた時、身近で唯一庇ってくれた、人。
――私の兄でした。
昨日、私も王位継承権を返上しました。
今日、嫁入りの為の準備をしている時に、兄のことは忘れなさいと母上に言われました。
でも、そんな母上の胸には小さな宝石の付いたブローチがありました。兄が母上の誕生日に贈ったブローチ。こっそり王宮を抜け出した兄が、王都で自分で選んで買ってきた物だと私は知ってます。幼い私には甘い蜜がたっぷりかかった焼き菓子を買ってきてくれましたから、良く覚えているのですよ。
きっと、ブローチはこの日を最後に仕舞われるのでしょう。
来週、私は結婚して伯爵夫人になります。
大好きな甘い蜜がけの焼き菓子を食べるのも、今日で最後にします。今、太ると困りますしね。
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