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4、相談の結果 ~妻の場合~
しおりを挟む「離縁、出来たわ!」
あれから我が伯爵家の別荘で暮らしている親友の元を訪ねると、開口一番嬉しそうに報告してくれた姿を目にして、当然よね、と思った。
「離縁、おめでとう! 意外と相手側がしつこくて心配だったけど、手回しした甲斐があったようで良かったわ。他に何か暮らしで困ってることはあるかしら?」
「ありがとう、ふふふ。大丈夫、貴方のおかげで快適よ」
さすがに玄関で話し続ける訳にはいかないからと、いつもお茶会している中庭に向かう。用意された紅茶と、手土産に持ってきた流行りのプチケーキをつつきながら、あれこれ話して。
「これからどうするつもりなの?」
「そうね…兄は実家で暮らせばいいって言ってくれているけど…白い結婚だったとはいえ、出戻りがいると家の評価に関わるから、どこかで働けないか考えているわ」
誰かと再婚するにしても、法律上一年は空けないといけない。家に居るよりどこかで働くのはいいことよね。偶然ではあるけれど、今日は親友にある職を勧めてみようかと思っていたので、丁度良かった。
「なら、第二王女殿下付きの従者になってみない?」
「え?」
「まずは私の家で私付きになってもらって経験積んでからになるけれど」
経験だけでなく覚える事も山ほどあるけど、頭のいいアリーナなら数か月で覚えてくれるだろうし、何よりこの職はきっとアリーナも嬉しいものだと思う。
「実はね、今年十三歳になる第二王女殿下が、東にあるヨザクラ国という島国に留学を希望しているそうなのよ。貴方、語学が得意だったし、女学校の卒業論文もその島国関係だったでしょう?」
ニゲヨウ子爵家の領地がワインの名産地だからか、ヨザクラ国産の『セイシュ』とかいうお酒に関しての論文だったのよね。資料集めに苦労していたのを私も手伝ったりしたからよく覚えてるわ。
「王家の従者になる事自体は栄誉ある事なんだけど、留学先が遠い島国だから付いてきてくれる従者の人選に苦労してるみたいなの。伯爵家の私にまで、いい人がいたら紹介して欲しいと頼まれるくらい、ね」
貴方が今回の話に興味、無い訳ないでしょう?
「その話、く、わ、し、く!!」
「でしょうね! 任せて、しっかり雇用条件とかも聞き込んで来たから!」
「最高ね、親友!」
「あ、ただし、貴方の兄に対しての説得は自分でしてね」
「……頑張るわ」
力なく笑むアリーナだけど、私知ってるわ。目的をやり遂げる為なら、決して諦めない貴方の強さを。そういう所、兄妹、そっくりなんだもの。
四年後。第二王女殿下付きとなった親友が、無事に帰って来た。どんなに時間がかかっても、手紙のやり取りは続けていたけれど、帰国する際にヨザクラ国出身の婚約者と帰って来るなんて、ちっとも聞いてなかったわ。やるわね!
なんでも結婚式をこっちで挙げてから、ヨザクラ国でも挙げるんですって。子供が出来たから遠いヨザクラ国までは行けない――ダーリンが心配して許してくれないの――私としては嬉しい限りよ! 念願の親友の結婚式に参加出来るのだもの!! 肝心の婚約者はこの国とヨザクラ国を繋ぐ外交官だから、基本的にはこの国に住む事になるそう。つまり、アリーナとはまた会えるようになるって訳ね。
私とダーリンの子供の顔を見て欲しいし、手紙では書ききれなかった事もあるから、たくさんたくさん、話したい。アリーナの婚約者についての話ももっと聞きたいし、お茶会なんかじゃ時間が足りないでしょうから、またお泊り会をしなきゃいけないわね!
――これからもよろしくね、私の親友!
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