レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン

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第二章 美少女とはじめる、むっつりスケベの冒険

第58話 魔武器を求めて⑥

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「チッ。」



奥から舌打ちがかすかに、しかし確実に聞こえた。

「突然お邪魔して本当にすみません。
 少しだけお話を聞いてもらえませんか?」

ティナも姿の見えない鍛治師に声をかける。


すると、奥の方から1人の男性がスッと姿を現した。

「こんにちは!
 勝手に入ってしまってすみません!
 あの…」

ロックが話しかけている途中で、男が怒鳴る。


「帰れ!!」


「えっ…。

 あの…、鍛治師さんですよね?
 武器を作ってもらいたいんです。」

「武器はもう作ってない!
 だから帰れ!!」

「作ってない?
 どうしてですか?」

「なんでお前らにそんなこと話さなきゃいけない!?
 あの案内屋の野郎、もう人を連れてくるなって言ったのに…!」

「僕たち、あなたに会いたくてバルキア帝国からやってきたんです。
 少しだけでいいので、お話を聞いてもらえませんか!?」

「バルキアから?
 ご苦労なこったな。
 だが、俺には関係ねえことだ。

 …それに、お前らCランクだろ?
 Cランクごときに俺の武器は使えねえよ。」

「どのランクの冒険者でも使える魔武器があると聞きました!
 足手まといにならないで、ちゃんと戦えるようになりたいんです!
 お願いします!」

「…それでもCランクじゃ無理なんだよ!
 作れるなら俺も魔源武器作りてえよ!」

「魔源武器?」

「なんだ、そんなことも知らねえのか?
 魔武器の中でも魔力を源として力を発揮する武器をそう呼ぶんだ。

 …まあ、知ってるやつの方が少ないがな。」

「作れるなら、ってことは何か足りないものがあるんですか?
 素材とか?」

「だから、それをお前らに言ってどうなるんだ!?
 そんなDランクレベルの装備使ってるような奴らに!

 …ん?」

鍛治師はロックとティナの装備をじっと見つめだした。

「…なんか変わった武器と防具使ってんな?

 ちょっと見せてみろ。」

「あ…、はい…。」

ロックの剣を手渡す。

舐めるように剣を調べる鍛治師。

「…お前ら。
 これどこで手に入れたんだ?」

「これは知り合いの鍛治師さんが作ってくれました。」

「ほう。どこの鍛治師だ?」

「詳しい場所は言えませんが、バルキア帝国首都の近くです。」

人里離れて暮らしているヨムじいさんたちの住む場所を言いふらす訳にはいかない。

「…これは面白えな。
 使う冒険者の成長に合わせて強くなるようになってるな?」

「そうです!
 見ただけでわかるんですか!?」

「当たり前だ。
 俺は【神業師】だぞ?」

「「【神業師】?」」

「★5のユニークスキルだ。
 鍛治師の頂点だな。」

「すごい…。」

「もしかして、この剣を作った人なら魔源武器も作れるでしょうか?」

「無理だ。」

鍛治師改め神業師は即答した。

「なぜですか?」

「まず1つ。
 魔源武器の作成は【神業師】だけの能力だからだ。
 この武器を作ったやつは確かにすごいが、いくら能力を工夫して使ってもその壁は超えられん。」

「そうですか…。」

「2つ目。
 さっきも言った通り、素材がない。
 ここ十数年出回っていないんだ。」

「そんなに!?」

「普通の魔武器の素材なら出回るがな。
 魔源武器は特別なんだ。」

「もし…、もしその素材を持ってきたら作ってもらえますか?!」

「ふん…。
 
 お前、なんでそんなに強くなりたいんだ?
 C級冒険者なら、十分裕福に暮らしていけるだろ?」

「私は、…私たちは魔王をなんとかしたいんです。」

「魔王を!?
 魔王は放っておくってのが常識だろうが。」

「ええ。
 魔王は倒してはならない存在だ、そう教えてもらいました。

 でも、魔王の存在が人々を不幸にしていることは間違いありません。
 倒せないにしろ、大事な人たちやみんなが幸せに暮らせるために、どうにかしたいんです。」

「いや、無理だろ。」

「倒しちゃダメ、無理、そんな常識に縛られて、大事なことはなにか考えることを放棄したくないんです。
 やる前から諦めたくない。」

「…。」

黙り込む神業師。

沈黙がしばらく続いた…。


…ふと、神業師がつぶやいた。

「魔王の素材が手に入ったら…、面白いな…。」
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