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第三章 魔王の真実
第109話 アルカトルに到着
しおりを挟むダートを出発したのは、それから2日後。
アメリアはダートに戻ってくるため寝ずに移動していたらしく、宴の途中で限界を迎えて爆睡していた。
アルカトル行きは延期したらしい。
万が一また襲ってきたら、と考えてしばらくはダートに残るそうだ。
「近いうちに私も出発するから、また会いましょ!」
出発の時にアメリアはロックたちにそう声をかけた。
たくさんの人たちに見送られて、ロックたちはアルカトルへ出発した。
「おめえだぢの旅立ちはいづも豪勢な見送りだな!」
ゴルドが笑顔でそう言った。
「ゴルドさんだって、見送りの人たちいっぱいきてたじゃないですか。」
「そんなこどねえよ~。」
「またダートに寄ろうね!」
「そうだね!」
「またしばらくは馬車の旅だね~。」
「そうだべな~。
またロッグがいやらしい顔になるな~。」
「もう!
ゴルドさんそればっかり言うんだから!」
「だって…、なあ?」
「です、ねえ?」
「そうそう。」
孤立無援のロックを乗せて、馬車は行く…。
およそ70日後。
一行はアルカトルに到着した。
馬車がアルカトルに近づいてきて、1番最初に目に入るのは防御要塞。
見るからに堅固で壮大な要塞は、近くで見ると激しい戦いの痕が至る所に刻まれている。
要塞に設置された門を通過して内側に入ると、まるでキャンプ場のような空間が広がる。
軍事用と見られる施設も随所に見かけた。
しばらく行くと防壁に囲まれた街が見えてきた。
さすがは魔族との戦いが世界で一番頻繁に起こるアルカトルである。
要塞とはうってかわって、アルカトルの街は活気があった。
世界中から冒険者が集まるため、武器屋や防具屋、酒場などを中心に多種多様な店が賑わっているのだ。
「魔族が1番攻めてくる国の首都だから、もっと殺風景かと思ってたわ。」
「わたしもー!」
「魔族はともかく、モンスターは恩恵ももたらすってわけだね。」
「とりあえず、ギルドに行ぐべ。」
4人はギルドへ向かった。
ギルドは街中ほどの活気はない。
受付へ向かい、バルキアから出兵してきたことを伝える。
「ようこそおいでくださいました。
えーと…。
え!?
ガウス将軍直々に要請された冒険者さんですか!?」
バルキアのギルドの情報を確認したらしい。
(どういった仕組みで情報やり取りしてるんだろう?
というか、将軍の名前ガウスっていうんだ。)
「ええ、一応そうです。」
「B級で直々に将軍から…。
しかも、皆さん全員A級になってるじゃないですか…。
色々と規格外でいらっしゃるようですね…。」
「まあそのぐれえにしで、手続き進めでぐれるか?」
ゴルドが助け舟を出してくれる。
「あ、失礼しました!
少々お待ちください…。」
その後受付嬢から滞在中の説明を受けた。
要約するとこのような内容だ。
・往復の旅費や滞在中の宿泊費は支給される。
・どこに泊まっているかは報告をする必要がある。
・滞在期間は基本的に半年更新。
・滞在中モンスター生息エリアには行かない。
・報奨金はモンスターの素材の売却額に対してランクごとに決められた一定の割合で支払われる。
「魔族が来ないときは、冒険者の皆さんは何してるんですかね?」
「ん~。
真面目な方は修練されてたりしますが、昼間っから飲んだくれてる人もいますね。
そのためにアルカトルには娯楽も多いですよ。」
「モンスターによる街の被害はないのですか?」
「アルカトルはほぼないですね。
最初のうちはかなりあったと聞いていますが、今は要塞があり、要塞を抜けられた場合の対策もとられているので、ここ数年はありません。
ただ、冒険者の犠牲者は少なくないです。」
「どのくらいの頻度で魔族はやってくるんでしょうか。」
「大体月に1度くらいですね。
この国が世界で1番多いです。
次がサンジャータ、その次がフォーレンですね。
この三国は頻度もですが、やってくる魔族がA級です。
あとの国はB級の魔族が2~3ヶ月に1度くらいと聞いています。」
「他の国も街の被害は少ないんですか?」
「…他の国は少なからず街に被害が出ていますね。
この国は戦いの頻度が多く戦力が集まっていること、半島になっていて攻めてくるルートが狭まっていることから守りやすく、施設も整っているので被害を抑えられているのです。」
(ダートもいつもは犠牲者や街への被害が出るって言ってたもんな…。)
「魔族が攻めてくる目的は、冒険者を攫うことだと言われています。
有力な冒険者を連れ帰れるくらい弱らせることを狙っているようなので、街を襲うメリットがそこまでないのかもしれないですね。」
「それなら冒険者がいない町や村は襲われないんでしょうか?」
「基本的に襲われるのはモンスター生息域から近い場所です。
そこからモンスターを引き連れてきますから。
現在世界中に生息域は20ヶ所あり、国の首都はそのうちの11ヶ所の近くにあります。
残り9ヶ所が首都以外の町ということになります。
モンスターがもたらす資源は非常に重要で、昔は生息域を取り合って人同士の戦争も起こっていました。
なので、生息域の近くで冒険者がいない、ということはあり得ないですね。」
「なるほど…。
基本的にということは、それ以外も襲われることがあるんですか?」
「ごく稀にあります。
モンスターを引き連れずに魔族だけで攻めてくるということが…。
その場合、迎撃する冒険者が不十分で、町や村が壊滅することもあります。
15年以上前には国が滅びたことも…。」
(…僕の…、いた国…。)
ロックの顔がこわばる。
ミラがロックの腕に抱きつく。
「わたしのいた村も、そうだったわ…。」
「ミラ…。」
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