レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン

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第三章 魔王の真実

第132話 魔族、再び襲来?

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防衛戦から数日後、冒険者たちが他の国に移動を始めた。

ゴルドもアラートフへ戻っていったのだが、あれだけエネルギーの塊だった男が、すっかり気落ちして口数も少なくなっていた。

「…頼んだぞ…。」

最後にそう一言だけ呟いて、馬車に乗り込んでいった。

その一言には、怒り…、悲しみ…、心配…、諦め…、わずかな期待…、たくさんの想いが込められていたように感じた。

一緒に戦った冒険者たちも次々と旅立っていく。

その誰もが、ロックたちを見かけると感謝の言葉をかけていった。

接点が多かったS級冒険者たちとは、固い握手とともに別れの言葉を交わした。

「お前らのおかげで助かったぜ。
 この世界をどうにかする、って言葉、俺も引っかかっててな。
 自分なりに考えてみるわ。」
 
「…また会おう。」

グリゴリーとアッサールはゴルドと同じ馬車でアルカトルを出発した。

セアラはたまに他の国へ行くこともあるが、基本的にアルカトルにいる。

リッチェルはもうしばらくしてから出発するようだ。

やけにティナとミラに絡んでくるのだが、死闘をともにしたにもかかわらず、ぞんざいな扱いを受けている。


この移動期間中、各国は防衛のための戦力が大きく落ちる。

しかし、その間に襲われたことは今まで一度もない。

とはいえ、侵攻頻度が高いアルカトルやフォーレンなどは常に一定の戦力を保持するように調整されている。

魔族側としても、モンスターの数も無限ではなく、目的が国を滅ぼすことではないようなので、あえて防衛しやすいように一定の間隔で攻めてきている節もある。

ただ、明らかにロックを狙ってきており、立て続けにイレギュラーな侵攻が起きているので油断はできない。

入れ替わりのS級冒険者もすぐに到着する予定のようだ。


その時、遠くから飛龍が飛んできた。

「ロック!
 あれ見て!!」

「え!?
 まさか、もう攻めてきた!?」

【気配察知】の範囲を広げるミラ。

「…あの飛龍、ものすごく強いよ!?
 乗ってるのは、…Bランクが1人!?」

混乱するロックたち。

それを見たギルマスが声を掛ける。

「落ち着いてくれ。
 あれはな、味方だ。」

「「「え!?」」」

わけがわからず混乱するロックたちの上空を飛龍がものすごいスピードで通りすぎていった。

そしてスピードを落とし、旋回して広場へ降り立った。

飛龍の姿が隠れるほどの砂煙が舞い上がる。


ギルマスに連れられたロックたちが広場に到着した時、ちょうど砂煙が収まってきた。

目の前に現れたのは飛龍でなく、1人の男性、そして、1人の女性だった。

その女性は、ロックとティナも知る人物だった。


「イーザさん!!!」

ロックとティナがフォーレンまで旅する途中で一緒になった冒険者だ。

トラブルで旅費が足りなくなったところを2人が助け、仲良くなった。

「ロック!ティナ!!
 久しぶりだね~!
 ここで会えるとは思ってなかったよ!」

S級冒険者の彼氏に会うためにフォーレンへ向かっていると言っていたことをロックたちは思い出した。

「ということは、隣の方は…?」

「そうだよ!
 あの時会いにいった相方さ!」

「…なんだ?
 こいつらは?」

(最初に会った時のグリゴリーさんと同じ匂いを感じるな…。)

初対面にも関わらずツンツンとした態度に、ロックたちは同じような感想を抱く。


「こいつらって言い方、失礼だろ!
 前に話したろ?
 フォーレンに行く途中で騙されて困ってた私を助けてくれた2人だよ!」

男性の肩をどつくイーザ。

すると、態度が豹変した男性。

「ああ、あの時の!
 こいつが迷惑かけたな…。
 本当に助かったよ、ありがとう。
 何度もくるなって言ったのに…。」

「ファルクは心配性すぎるんだよ!
 いつもはぶっきらぼうなくせに…。」

「うふふ。
 でも、そのファルクさんに会いたくてイーザさんははるばる旅したんですよね。」

ティナが意地悪な笑みを浮かべてイーザをからかう。

「そ、それは、心配だったからで…!」

「似たもの同士だね!」

ミラが悪気のない満面の笑みでつっこんだ。

「「誰がこいつと!」」

ミラのつっこみにファルクとイーザが見事にハモった。
 
緊迫した登場だったが、すっかり場が和んだのであった。
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