レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン

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第四章 世界中が敵

第196話 突きつけられる刃

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ハンナの背中を、キニアの斧が切り裂いた。


「うあっ……!」


「「「ハンナさん!!!」」」


「動くんじゃないよ!!」


そのままハンナの首に斧をあてるキニア。


「こいつを殺されたくなければ、残りの涅槃珠をこっちに投げな。」

「あんた……、なんてことを……!」

ランとスーの目には涙が溜まっている。

「言っとくけど、回復もするんじゃないよ?
 変な素振り見せたら、首をちょん切るからね?」

「キ…キニ……ア……。
 馬鹿…な……まね…は……や…めな……。」

「うるさいね~。
 いつまで先輩風ふかしてるんだい?」

キニアが斧をハンナの首にグッと押し付ける。

血が滴る。

「やめろ!!
 渡せばいいんだろ?」

ロックが思わず強い口調になる。

涅槃珠を拾う。

「おっと、上に投げてあたいの気をそらそうとかしたら、こいつを殺すからね?
 あと、スキルを奪おうとしても、もちろん殺す。」

「そんなことしないよ。
 渡すから、ハンナさんにそれ以上傷をつけないでくれ。」

「ふん。
 いいから早くこっちに投げな。
 投げたら全員あたいから離れるんだ。
 攻撃されちゃたまんないからね。」

「だ……め……。」

ハンナが声を絞り出す。

「あんたは黙ってな!」

斧を持つ手に力を入れるキニア。

「やめろ!!
 今投げるから。」

そう言ってロックは4つの涅槃珠を投げた。

涅槃珠は倒れているハンナの前に転がった。


「よし!
 みんな離れな!」

全員がキニアから距離を取った。


「キニアさん。」

「なんだい!?」

「そのうち1つはハンナさんが倒した魔族のものです。
 全部自分で使わずに、1つくらいハンナさんが使ってもいいんじゃ?」

「はあ~~~?
 なんでこんなよわっちい女に使わないといけないんだい?
 こいつはスキル3つ!
 あたいは4つ!
 強いあたいが使った方がいいだろうが!」

「ハンナさんが1つくらい使った方がいいと思いますけど。
 1つくらい。」

「しつっこいね!!
 それ以上しつこいと、先にこいつの首を斬るよ!?」

「ロックさん……!」

ランとスーが涙をいっぱい浮かべた不安げな目でロックを見る。

ロックはその2人の方は見ずに、ハンナの目をじっと見ながら、さらに続けた。

「ハンナさん。
 ハンナさんが1つ、使った方がいいと思います。」

ハンナもロックを見る。

「うるさい!!!!
 本当に殺すよ!?」

キニアが頭をかきむしりながら、ロックを睨みつけた。


その時。


ハンナの手から眩い光が溢れ出した。


「な、なんだい!?」


光がハンナの身体に吸い込まれていくのを見て、キニアが気付く。


「ハンナ!!
 お前その珠を……!!!」

ハンナが涅槃珠を使ったことに気付き、完全に逆上したキニア。

素早く斧を振り上げ、そしてハンナの首に躊躇いなく振り下ろした。


ドッ……!


「「キャァーーーーーー!!!!」」


ランとスーが目を両手で覆って叫ぶ。


「ふうっ。」

その後ろに、ハンナが立っていた。


「「は、ハンナさん!?」」

「びっくりしたよ…。
 涅槃珠を使うと体力も魔力も回復するんだね。
 私が気付かなかったら首斬られてたよ?」

冗談っぽくロックに笑いかけるハンナ。

「気付いてくれてよかったです…。
 キニアさんが【全能力50%UP】まで使っているようだったので、いくら速く動いても助けるのは難しそうだと思って…。」

「「え?え?」」

まだ混乱しているランとスー。

そして、キニアも呆然としている。

「涅槃珠で魔力も回復したから、【神速】で移動したんだよ。」

「「あ…。」」

ショックのあまり、まだポカーンとしているランとスー。

ティナたちはほっと胸を撫で下ろしている。

「これ、また1つ使っちまった…。
 本当にすまない……。」

残りの涅槃珠3つをロックに手渡すハンナ。

「いえ。
 無事でよかったです。」


「く……くそーーーーー!!!
 あたいの…、あたいのだったのに!!!!」

我に返ったキニアが発狂する。

そして、斧を構えて[武技]を発動しようとする。


「キニア!
 もうこれ以上バカな真似をするんじゃないよ!!」

「うるさい!!!!」

斧を振り抜くキニア。


しかし、何も起きない。


「あ?」


呆然とするキニア。


「…もう、あなたには、なんの力もないよ。」
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