レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン

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第四章 世界中が敵

第229話 次の標的

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「ここまで強くなるとは…。」

ロックたちと出会う前と比べて、スキル・レベル共にあり得ないほど上がったロヴェルが思わずそう言葉を漏らす。


これでエスとサンジャータ両国のある大陸からはボスモンスターがいなくなった。

モンスターが消滅するわけではないが、増えることはなくなる。

ボスモンスターは倒しても復活する、というのがこの世界の常識。

その常識が虚無だと知らない冒険者たちがモンスターを狩り続ければ、近い将来大陸からその姿を消すだろう。

黒幕の男を倒せば、その常識はどうなるかわからない。

おそらく、復活しなくなるだろう。

そうなった時、冒険者たちはどうやって稼ぐのか。

頼っていた資源はどうなるのか…。


国王という指導者が不在となったサンジャータを率いることになるロヴェル、そしてデイジーの胸には拭いきれない不安があった。

それでも、心から信頼できると思えた新しい仲間と前に進む覚悟は揺るがなかった。


「…これから、どうしますか?」

デイジーが不安を超える覚悟を込めて、そう尋ねる。

「魔王たちを倒すために、強い武器や防具の製造を頼んでいるんですが、今回倒した敵をその鍛冶師さんに渡しに行きます。
 それから、別のボスモンスターを倒します。
 国王の処置や魔族になってしまった冒険者の埋葬などやることがたくさんあると思うのですが、…終わったら協力してもらえますか?」

「もちろんだ。
 国王の対応は部隊長に任せる。
 スキルがなくなった今、A級の部隊長に任せておけば大丈夫だろう。
 魔族についてはエスとサンジャータ両方の冒険者がいるはずだ。
 一度サンジャータのギルドで判別してもらい、エスの冒険者については合流時に引き渡し、エスで埋葬してもらおう。」

「そうしましょう。
 ではハンナさんを一度エスに送って、僕たちはモンスターを鍛冶師さんに渡してきます。
 その後エスで合流でいいですか?」

「いいよ。
 私も大陸を離れて協力できるように話をつけておくよ。
 アッサールはどうする?」

「…エスで待っている。」

「わかりました!」


サンジャータ軍には【アイテムボックス】スキルを持った者がいたので、魔族の遺体を引き渡した。

ロヴェルはウィザードドラゴンに変身し、その背中にデイジー・部隊長・ハキム・【アイテムボックス】使いを乗せてサンジャータ城へ向かった。

ロック・ティナ・ミラ・ハンナ・アッサールはフォースドラゴンとなったファルクに乗り、エスへ。


エスへ到着したロックたちはハンナとアッサールを降ろし、イシュメルの元へと進路をとった。



「うおおお!!
 これはまさか、ヴァンパイアロード!?
 タナトスにデュラハン、リッチも…!」

倒したモンスターを渡すと、イシュメルは狂喜乱舞。

「これでボスモンスター3体目か!
 ヴァンパイアロードまで倒すなんてすげえな!?」

ヴァンパイアロードはアンデッドが蔓延る地下の奥地まで行かないといけないため、そもそも挑戦者が少なかったらしい。

手強さもボスモンスターの中で上位らしい。

他のS級モンスターも強い個体ばかりで、その分素材として魅力的なようだ。


「武器や防具を作るのに、素材は足りそうでしょうか?」

「うーん。
 この素材を見ながらミルドと話してみるから、明日まで待ってくれるか?」

「わかりました!」

「欲しい武器は変わらないのか?」

「あ、変えて欲しい!」

「私も。」

ティナとミラは戦闘スタイルを変えたので、それに合わせて希望を伝えた。

ロックが一緒に戦うハンナたちの分も製造をお願いしたところ、了承してくれた。

ベースとなるオリハルコンだが、他のゴーレムがインゴットとして手に入るのに比べ、オリハルコンゴーレムだけはそのままの姿で体全体を素材として使うことができた。

なので、人数が増えてもまだ余裕があるそうだ。

感謝するロックだが、実際はイシュメルの製作欲を満たすためらしい。

扱ったことのない素材とミルドと話して浮かんできたアイデアを試したくてウズウズしているらしく、ロックたちの分だけじゃ物足りなくなりそうなんだとか。

ただ、ロックたちが信頼できる冒険者だけに作るようだ。



翌日、またも徹夜で語り明かしたイシュメルとミルドがロックたちのところへやってきた。

「全員の装備の構想ができた。」

「本当ですか!?
 素材は足りそうですか?」

「いや、最低でもあと2体のボスモンスターが素材として必要だ。」

「どのボスモンスターでもいいの?」

イシュメルが首を横に振る。

「特定のボスモンスターが2体だ。
 1体は、ドラゴンのボス、バハムート。」

「ドラゴン、か…。」

ファルクが顔をしかめる。

「ドラゴンと戦ったことあるの?」

「あるぞ。」

「今のファルクがそんな表情をするくらい手強いのかしら?」

「ああ、なんたってあそこにはS級モンスターしかいねえからな。」
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