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第五章 最後の決戦
第272話 皇帝の告白②
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【パンドラ】を受け取った俺に、スキルの知識が流れ込んできた。
そして、レベルアップの時のような声が頭に響いた。
『条件を満たしました。
特殊個体を2体、生成可能です。』
「は?」
その後、特殊個体についての説明が浮かんできた。
【パンドラ】で生み出すボスモンスターは、もともとこの世界にいる何らかの生物がベースになっている。
特殊個体のうち1体は、【パンドラ】保持者が望むことを実現できる能力を持つモンスター。
ただし、戦闘能力を持たせることはできない。
俺は後にこの能力で、相棒となるスライムを生み出した。
そしてもう1体は、人間をベースとしたボスモンスターを生み出すことができるものだった。
それが魔王、真の厄災だ。
魔王はある意味同族である人間を元に魔族を生み出すことができる能力を持つ、特別なボスモンスターだった。
この特殊個体を生み出すための条件とは…、自分の両親を殺すこと。
15歳を前にして、俺は両親に殺されかけた。
正確にいうと、殺す計画を聞いてしまった。
15歳になり、万が一俺がスキルを手にしてしまったら、今までの恨みで自分たちが殺されてしまうかもしれない。
その前に殺してしまおう。
そう話していたのだ。
幸運にもその計画を事前に知ることができた俺は、その晩両親の寝込みを襲った。
栄養失調でふらついている俺に、真っ向から殺す力はなかったからな。
それが、【パンドラ】の条件を満たした。
だが、すぐにその力を使えたわけではない。
モンスターを生み出せるのは1年に1体のみだったのだ。
すでに世界中にいたボスモンスターを自分の支配下に置くのも、生み出すのと同じ能力を発動する必要があった。
そのため、【パンドラ】の恩恵を受けるまでにはかなりの時間がかかった。
【パンドラ】を受け取った後、俺はバルキアの軍に入った。
スキルを申告する必要があったため、一悶着あったが、何とか入隊できた。
【パンドラ】を知る者はいなかったため、ユニークだが使えないスキルと認識された。
だが、スキルが覚醒するのは1000人に1人。
ダメなスキルでも、覚醒すれば入隊は可能だった。
ステータスが常人とは比べ物にならないからだ。
社会の輪から外れた貧民から、軍人というステータスを得られた時は嬉しかった…。
しかしその軍でも、俺は虐げられた。
「貧民出の使えねえスキル持ったクズ。」
そう罵られたのだ。
それは出世してからも変わらなかった。
【パンドラ】が徐々にその力を発揮し、俺は結果を出せるようになった。
ただ、出身は変えられない。
「貧民のくせに。」
自分より下だと思っていた人間に追い抜かれていくグズどもが、嫉妬して嫌がらせをしてきたよ。
俺はその数年の間に、特殊個体である魔王やスライムを生み出し、ボスモンスターを支配下に置き続けた。
魔王には敵国の兵士を裏で仕留めさせ、魔族を増やすよう指示した。
大陸間の戦争を止めるために、海のボスモンスター『リヴァイアサン』には配下のモンスターの活動を活性化させ、交通を止めるように指示した。
魔王が力をつけ、大陸間の行き来ができなくなったタイミングで、ある国を襲った。
スキルを5つ所持する者の誕生を感知したからだ。
過剰な力を持つものは管理下に置かなければいけない。
その国を滅ぼすことで魔王の存在を知らしめ、居場所を確保することもできた。
それが今の魔王城。
それからしばらくして、魔王にバルキアを攻めさせた。
戦争を仕掛けて贅を尽くす当時の皇帝を殺すために。
魔王の仕業に見せかけ、前皇帝は俺が殺し、後々利用するためスライムに取り込ませた。
計算外だったのは、フィデルアの存在だった。
奴の強さは飛び抜けていて、本当に魔王を倒しかねなかった。
人望もありすぎたフィデルアは邪魔だった。
だから、前皇帝を殺したあと魔王に退いたふりをさせた。
その後にフィデルアの油断を突き2人がかりで殺したのだ。
そしてスライムにフィデルアも取り込ませた。
魔王との戦いの後、前皇帝が俺を次期皇帝に指名した。
…正確には前皇帝の姿をしたスライムに…な。
指名した後、前皇帝は魔王との戦いで負った療養のために、療養地へ行き、そこで命を落としたことにした。
前皇帝とフィデルア、スライム1体では2人を演じることはできないからな。
前皇帝の指名に周りの人間は反対しフィデルアを推したが、「柄ではない」と辞退させ、俺を推薦させた。
魔王を退けた功績と、英雄であるフィデルアの推薦もあって俺は皇帝になった。
反対意見を言う奴らも、主要人物をスライムで取り込めばどうとでもなった。
殺す必要があったから、その調整は必要だったがな。
あとは念のために「魔王を殺せばモンスターが消滅する」という話を周知した。
それから、安心して住める世界にするために必死で動いた。
人間とは愚かな生き物だ。
目の前に命を脅かすような危険が迫らなければ危機感を持たないし、変われない。
だから魔王や魔族という共通の敵を作ってやった。
そして、ギルドを作ってその敵に立ち向かうための体制を整えてやったのだ。
ここまでお膳立てしてやっと人間同士の争いがなくなってきた。
無能な貴族や民衆もようやく俺のありがたさに気付き、『英雄』と褒め称え始めた。
その後、全てのボスモンスターを支配下に置き、魔族の戦力も充実してきた。
…そうしてようやく、俺は安心して住める世界を実現できたんだ。
そして、レベルアップの時のような声が頭に響いた。
『条件を満たしました。
特殊個体を2体、生成可能です。』
「は?」
その後、特殊個体についての説明が浮かんできた。
【パンドラ】で生み出すボスモンスターは、もともとこの世界にいる何らかの生物がベースになっている。
特殊個体のうち1体は、【パンドラ】保持者が望むことを実現できる能力を持つモンスター。
ただし、戦闘能力を持たせることはできない。
俺は後にこの能力で、相棒となるスライムを生み出した。
そしてもう1体は、人間をベースとしたボスモンスターを生み出すことができるものだった。
それが魔王、真の厄災だ。
魔王はある意味同族である人間を元に魔族を生み出すことができる能力を持つ、特別なボスモンスターだった。
この特殊個体を生み出すための条件とは…、自分の両親を殺すこと。
15歳を前にして、俺は両親に殺されかけた。
正確にいうと、殺す計画を聞いてしまった。
15歳になり、万が一俺がスキルを手にしてしまったら、今までの恨みで自分たちが殺されてしまうかもしれない。
その前に殺してしまおう。
そう話していたのだ。
幸運にもその計画を事前に知ることができた俺は、その晩両親の寝込みを襲った。
栄養失調でふらついている俺に、真っ向から殺す力はなかったからな。
それが、【パンドラ】の条件を満たした。
だが、すぐにその力を使えたわけではない。
モンスターを生み出せるのは1年に1体のみだったのだ。
すでに世界中にいたボスモンスターを自分の支配下に置くのも、生み出すのと同じ能力を発動する必要があった。
そのため、【パンドラ】の恩恵を受けるまでにはかなりの時間がかかった。
【パンドラ】を受け取った後、俺はバルキアの軍に入った。
スキルを申告する必要があったため、一悶着あったが、何とか入隊できた。
【パンドラ】を知る者はいなかったため、ユニークだが使えないスキルと認識された。
だが、スキルが覚醒するのは1000人に1人。
ダメなスキルでも、覚醒すれば入隊は可能だった。
ステータスが常人とは比べ物にならないからだ。
社会の輪から外れた貧民から、軍人というステータスを得られた時は嬉しかった…。
しかしその軍でも、俺は虐げられた。
「貧民出の使えねえスキル持ったクズ。」
そう罵られたのだ。
それは出世してからも変わらなかった。
【パンドラ】が徐々にその力を発揮し、俺は結果を出せるようになった。
ただ、出身は変えられない。
「貧民のくせに。」
自分より下だと思っていた人間に追い抜かれていくグズどもが、嫉妬して嫌がらせをしてきたよ。
俺はその数年の間に、特殊個体である魔王やスライムを生み出し、ボスモンスターを支配下に置き続けた。
魔王には敵国の兵士を裏で仕留めさせ、魔族を増やすよう指示した。
大陸間の戦争を止めるために、海のボスモンスター『リヴァイアサン』には配下のモンスターの活動を活性化させ、交通を止めるように指示した。
魔王が力をつけ、大陸間の行き来ができなくなったタイミングで、ある国を襲った。
スキルを5つ所持する者の誕生を感知したからだ。
過剰な力を持つものは管理下に置かなければいけない。
その国を滅ぼすことで魔王の存在を知らしめ、居場所を確保することもできた。
それが今の魔王城。
それからしばらくして、魔王にバルキアを攻めさせた。
戦争を仕掛けて贅を尽くす当時の皇帝を殺すために。
魔王の仕業に見せかけ、前皇帝は俺が殺し、後々利用するためスライムに取り込ませた。
計算外だったのは、フィデルアの存在だった。
奴の強さは飛び抜けていて、本当に魔王を倒しかねなかった。
人望もありすぎたフィデルアは邪魔だった。
だから、前皇帝を殺したあと魔王に退いたふりをさせた。
その後にフィデルアの油断を突き2人がかりで殺したのだ。
そしてスライムにフィデルアも取り込ませた。
魔王との戦いの後、前皇帝が俺を次期皇帝に指名した。
…正確には前皇帝の姿をしたスライムに…な。
指名した後、前皇帝は魔王との戦いで負った療養のために、療養地へ行き、そこで命を落としたことにした。
前皇帝とフィデルア、スライム1体では2人を演じることはできないからな。
前皇帝の指名に周りの人間は反対しフィデルアを推したが、「柄ではない」と辞退させ、俺を推薦させた。
魔王を退けた功績と、英雄であるフィデルアの推薦もあって俺は皇帝になった。
反対意見を言う奴らも、主要人物をスライムで取り込めばどうとでもなった。
殺す必要があったから、その調整は必要だったがな。
あとは念のために「魔王を殺せばモンスターが消滅する」という話を周知した。
それから、安心して住める世界にするために必死で動いた。
人間とは愚かな生き物だ。
目の前に命を脅かすような危険が迫らなければ危機感を持たないし、変われない。
だから魔王や魔族という共通の敵を作ってやった。
そして、ギルドを作ってその敵に立ち向かうための体制を整えてやったのだ。
ここまでお膳立てしてやっと人間同士の争いがなくなってきた。
無能な貴族や民衆もようやく俺のありがたさに気付き、『英雄』と褒め称え始めた。
その後、全てのボスモンスターを支配下に置き、魔族の戦力も充実してきた。
…そうしてようやく、俺は安心して住める世界を実現できたんだ。
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