とんでもない侯爵に嫁がされた女流作家の伯爵令嬢

ヴァンドール

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45話

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 就任式から四日後、陛下は公爵邸へと来られた。
 そして、ロザリーさんに言いつけた。

「すぐ彼女を呼ぶように」

 陛下は怒っているご様子だったので、ロザリーさんが心配そうに声をかけてくれた。

「大丈夫ですか?  何かあったのですね。すぐ下へ降りた方がよろしいですよ」

 心配そうに言ってくれた。 
 ロザリーさんと一緒に客間へと入ると、陛下はいきなり尋ねてきた。

「何故、奴がエスコートをしていたのだ! 先日の従妹とはどういうことだ?」

 私はそんなに怒られるようなことをしたかしらと思いながらも『こんなにいきなり聞いてくるなんて、この四日間、よほどお忙しかったのだわ』と思った。だって陛下の性格だったら、次の日にでも確かめないと気が済まない方なのだから。
 そして私は陛下に、先日エマ先生にご一緒してもらい、ラナウド伯爵邸で起こった一連のことを事細かに説明した。

 エマ先生の名誉もあるので全てを話すのは憚られたが下手に隠し事をして誤解をされては、かえって面倒なことになると思い、エマ先生には申し訳ないが許可も取らずに全てを話した。

 すると陛下は、少しの間、沈黙していた。

「そうか、そんなことがあったのか。まさかあの小説の作者が君の父上だったとは。やはり君とは不思議な縁を感じるな」

 そう言いながら続けた。
 
「しかし、あの男と従兄ということは、確かに血は近いが婚姻対象にはなるのだな」

 訳の分からないことをおっしゃった。

「その件は前にも申し上げた通り、お断りしていますから」
 
「いや、奴は絶対、まだ諦めてはいないはずだ」

 私は少し呆れ気味に返した。
 
「はいはい、そうなのですね。陛下の中では」
 
「それで、やはりエマ殿は君のお母上だったか」
 
「え?   殿下は、ではなくて陛下は知っていらしたのですか?」
 
「いや、確信はなかったが、ずっとそんな気がしていた」

 私は、本人よりずっと鋭い感性の持ち主だと感心してしまった。
 
「殿下だの陛下だのと間違えて呼ぶくらいなら、いっそ名前で呼んでくれればいい。ルイスと」
 
「そんな畏れ多いこと言えません」
 
「その都度、間違えるよりずっといいと思うがな」
 
「ではルイス様ではいかがですか?」
 
「まあ、様は余計だが、今はそれでも構わない。それよりも是非、君に生き写しだという肖像画を私も見たいものだな」

 少し考えてから
 
「だが奴に頼むのは嫌だな」

 思わず『子供みたいなところもあるのね』と心の中で笑ってしまった。

 そして、余程お忙しい中、来られたようで

「残念だが、今日のところはこれで失礼するよ。またすぐに会いに来る」

 そう仰ってから去って行かれた。
 私は失礼だけど、なんとなくそんなお姿が可愛いく思えてしまった。
 そしてお忙しい中、たとえ僅かな時間でも私のことを気にして会いに来てくれたことが嬉しく思えた。
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