❲完結❳乙女ゲームの世界に憑依しました! ~死ぬ運命の悪女はゲーム開始前から逆ハールートに突入しました~

四つ葉菫

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85.剣術大会②

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「いたいた、カレン」

「エーリック?!」

突然現れたエーリックに目を丸くする。

「こんなところにいたんだ。探したよ。闘技場にいないから、また戻ってきちゃった」

少し額に汗をかいたエーリックが笑いながら言う。

「ごめんなさい。私のせいで、走らせちゃったのね。で、なにか用事?」

私は首を傾げて、エーリックを見上げる。
あ、エーリックの騎士服姿も格好いい。
オレンジ色の頭が騎士服の緑色に映えていて、いつもより眩しく感じる。頭上で輝く太陽もあって、これぞ『The正統派アイドル』って感じ。エーリックが闘技場で手を振ったら、老若男女問わずライトとうちわ持って応援しそう。

「うん。試合が始まる前にカレンに伝えたいことがあって」

「なに?」

「俺、今日のこの日のために、辛い訓練にも耐えてきた。その成果を発揮して、必ず優勝するよ。だから、必ず迎えに行くから、待っててほしいんだ!」

ん? 迎えに行く? どこに? なんだかよくわからないけど、とにかく優勝したいってことだけは伝わったわ。私はにっこり笑う。

「頑張って! エーリックなら必ず優勝できるわよ!」

私は太鼓判を押す。ゲームでどれほど彼が頑張ってきたか、私は知ってる。
報われない努力なんてないはずよ!!

「ありがとう。なんだかカレンに言われたら、本当に優勝できそうな気がしてきた」

「そのいきよ!」

「うん! 頑張るよ!」

「あ、でも張り切り過ぎて、怪我はしないでね。もちろん優勝してほしいけど……」

私は俯いて、ちょっともじもじする。
優勝してほしいと言いながら、勝手なお願いだけど。

「あなたが怪我したら、私、悲しいわ。怪我するところなんて見たくない。だから約束して――ンッ」

再び顔をあげた瞬間、エーリックの秀麗な顔が間近にきたと思った瞬間、唇を奪われていた。
思わず、目が点になる。
エーリックのキラキラした目が私を覗き込んでいた。

「許可なくしちゃった。ごめんね」

謝ってるけど、悪びれる気配は一ミリもない。

「でも、カレンだって悪いんだよ」

いたずらっぽく笑って瞳を煌めかせるエーリック。

「だって、可愛すぎるんだもん」

「なっ――!?」

未だ脳が追いつかない私。
一体、今なにが起こったの?
私は目を見開いて、エーリックを見つめる。
エーリックがそんな私を見てくすりと笑う。その髪も目も今まで見たことがないほど、キラキラしていて、一瞬呆けて見てしまう。

「じゃあ、俺行くよ! 絶対、優勝するから!」

混乱している私をよそに、エーリックが走り去っていった。
目を白黒させて見送っていると――

「あれ、カレンじゃん」

「フェリクス?!」

ちょうどフェリクスが校舎から出てきたところだった。

「まだ行ってなかったの?」

首の後ろに片手を回しながら、こっちにやってくる。
うっ。目の毒ね。フェリクスは騎士服の前をだらりと開け、中のシャツも第三釦まで外して、滑らかなその胸が垣間見えている。
戦いのための訓練服だというのに、パリコレのランウェイを歩いていても、様になりそう。
その着崩し方さえ、一流のモデルのようね。
彼が闘技場に現れたら、マダムたちが一斉に涎を垂らしそう。
フェリクスが眼の前にくると、必然目の高さに胸が来て、見たくもないのに見えてしまう。
私は顔を赤くして、見上げた。

「ちょっと! ちゃんと着なさいよ」

目を潰す気? 睨み上げるも、フェリクスは一向に気にしてない様子。逆に中のシャツをパタパタと扇ぎだした。

「誰だよ。剣術大会、夏にしようって言ったやつ。こっちの身にもなれっつーの」

「もう。みんなきちっと着てるんだから。開会式が終わるまでと、試合中は我慢しなさいよ」

フェリクスが口を曲げた。

「今日まで頑張ってきたっていうのに、こんな拷問があるなら、暑さに対する修行もするんだった。――あ、そうだ、カレン。今日アルが来てるからあとで会いに来てよ」 

「アルが?」

もう何回もお邪魔してるうちに、私も愛称呼びになっている。

「でも、『光の聖人』は昼間――」 

「そのへんは手袋とか帽子とか日傘とかで、なんとか隠すみたい。まあ、俺の両親も両脇でがっちりガードするだろうし」

「そう。なら安心ね」

「我がままあんま言ったことないんだけど、今日はどうしても俺の活躍が見たいんだってさ。今日明日で、アルに本当のお姉さんができるかどうかが決定するから」

「『本当のお姉さん』?」

私は首を傾げる。
疑問符をのせた私の顔を見て、フェリクスがふっと笑った。
 
「相変わらず鈍いな。まあ、あとでわかるよ。――じゃ、もう行くわ。参加者は早めの集合らしいから」

「あ、ちょっと待って」

私はフェリクスを呼び止める。

「その前に釦止めないと。そのまま行ったら、だめよ」

私はフェリクスの前に回ってシャツに手をかける。
全く手がかかる子ね。服装がだらしないのもいけないけど、この色気ダダ漏れをなんとかしなくちゃ。これからフェリクスが行く先々で、女の子が色気にやられて卒倒しちゃうわ。

「…………」

その間、フェリクスが私の顔をじっと見つめている。

「ほらできた――っふ!」

上着の釦まできっちり留め終えて、顔をあげた瞬間、何かが唇に落ちてきた。
啄むようなキスで、一瞬なんだかわからなかった。
フェリクスが私の顔を間近から見つめて、ニヤリと笑った。

「空きあり」

「――――っ!!」

釦を留める手の格好なまま固まってしまう。

「じゃあ俺行くわ」

ひらりと手を降って去っていくフェリクス。
私は手を上げたまま固まること、数十秒。

「カレンさん!」

後ろから声がかかった。







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みんな、もう既にカレンが自分のものになった気でいます(^_^;)

カレンが男を振り回す本物の悪女になりつつありますが、多めにみてくださると嬉しいですm(_ _)m
カレンも無自覚&攻略対象者ががんがんきてる相乗効果です。(^_^;)
これが最後のイチャイチャなので、今書かないと一生お目にかかれないので。(私も最後のハーレムのつもりで書いてます)

エーリックの言う『優勝』はカレンをめぐる戦いに『優勝』するです。
エーリックの中では完全にカレンの『優勝してほしい』イコール『他の攻略対象者を倒して、あなたと結ばれたい』の意味になってますね(^_^;)ふたりが結ばれることよりも、自分の身を案じるカレンがいじらしくなって、思わずってところでしょうか。



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