❲完結❳乙女ゲームの世界に憑依しました! ~死ぬ運命の悪女はゲーム開始前から逆ハールートに突入しました~

四つ葉菫

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95.サイドストーリー

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小さな画面にエンドロールが流れている。

「かれーん!!」

名前を呼ばれて顔を上げると、親友の恵美が走ってくるところだった。

「ごめ~ん!! 待った?!」

「大丈夫。待ったけど、退屈しなかったから」

恵美がその言葉を受けて、私の手元を覗き込む。私の手元にある小さなゲーム機。

「あ、それ『きらレイ』?! 懐かしい! 高校の時、流行ったよね。まだやってたの?」

「なんか突然、懐かしくなっちゃって。久しぶりにやりたくなったのよ」

恵美が私の隣に腰を下ろす。

「このエンドロール、もしかしてハーレムルート? あんまり人気だから、あとからゲーム会社がハーレムルート追加したんだよね。そういえば、花蓮、イリアスのこと好きだったよね。好きなあまり、『様』まで付けちゃってたよね」

「……そうね。あのときは『恋』だと思ってたけど、『恋』じゃなかった……。完璧な彼を手に入れれば、私の心も満たされるんじゃないかって勘違いしてたみたい――」

「なんだがよくわからないけど。今は現実とゲームの世界の区別がちゃんとできてるみたいで良かった。あのときは本当に心配したんだからね! 事故にあったのもそうだけど、性格急に変わっちゃって。マジで縁切ろうかと真剣に考えたんだから!」

「ごめん、恵美」

私が困り顔で笑うと、恵美が「全くもう」と嘆息する。

「でも、あのときは色々大変だったんだよね。おばさんが過労で倒れちゃうし。花蓮なりに色々悩み抱えてたんだよね」

「ううん。あのときは私がただどうしようもない我がまま娘だっただけ。お母さんを振り回して、あれがほしい、これは嫌だ、こんなのやりたくないって我がままばっか言ったのよ。そしたら、私の我がままを全部叶えようとして無理させちゃったのよ」

「そうなの!? 『悪い娘ね』」

恵美が母親面して、私を叩く真似をする。

「でも、倒れたあとも、寝てなくちゃいけないのに、私のお弁当作ろうとして――」

私の目の裏にあの日の光景が蘇る。

「私のことなんて、何一つ責めないで、『待ってて。今作るから』なんて言うの」

力のはいらない体で無理して笑い、台所に立つ背中。

「それを見て、『ああ、お母さんってこういうものなんだ』って初めて知ったのよ」

「何言ってんの。おばさんはずっと花蓮のお母さんだったじゃない」

呆れたようにいう恵美に、私は微笑んだ。

「そうね」

「まあ、要するに、反抗期だったわけでしょ。もう二度とおばさんを困らせないこと。わかった?」

まるでお姉さんのような口調の恵美に、私はおどけて返事する。

「は~い」

「まあ、今の花蓮だったら、そんな心配もいらないと思うけどね。あれから人が変わったように勉強して奨学金も手に入れて、今じゃ頭の良い大学の学生だもんね」

「ふふ。努力の成果よ」

「おばさんの負担になりたくないからって、バイトまで頑張ったよね」

「あれ以来もう二度とお母さんを悲しませないって決めたの。だから自分が欲しいものは自分で稼いで手に入れることにしたのよ。周りの子が可愛い物持ってるのに、自分が持ってないなんて、我慢ならないもの」

「出た。この負けず嫌い。私の知ってる花蓮って、こんな負けず嫌いじゃなかったはずなんだけどな」

「人は変わるの。私も自分がこんなに変わるなんて、思っていなかったわ。まあ、でも、今も昔も自分が一番じゃないと嫌なところは変わってないかな」

「そこが一番変わったと思うけど……自覚ないの?」

恵美が胡乱げな目線を寄こしてくる。
そのとき、私の手の中の小さな画面に虹が浮かび上がってきた。そのルートに相応しい最後のスチル。

「あ、この虹、いいよね。攻略対象者全員の色が集まってるの」

恵美が立ち上がった。

「お腹、空いちゃった。お昼、食べいこ。近くに良い店あるかなー」

恵美が歩き出す。私も立ち上がろうとしたとき、ゲーム画面の真ん中にあった『fin』の文字が掠れて消えていく。
思わず注視していると、ゲーム画面に女の子の走っていく足が現れた。続いて、男性と思われる七人の足があとをおいかけるように走っていく。
虹に向かっていく八人の後ろ姿。その真ん中にいる長い黒髪の女の子。
飛び跳ねるように駆けていく。
私の口元から、フッと笑みがもれた。

「そうね。ゲームは終わってもの物語はまだまだこれからよね」

「かれーん! 何してるの! 早くー!」

恵美が私を呼んでいる。

「待って! 今行くわ!」

私は軽快に立ち上がると、彼らに負けないくらいの軽やかな足取りで駆けていった。




      ―――fin―――










##################################



花蓮(元カレン)の負けず嫌いの性格がこちらでは功を奏して、学業においても、女磨きにおいても、努力を怠りませんでした。裕福でもないので、周りから馬鹿にされないために(この辺はプライドによる被害妄想)オシャレな持ち物を持ちたいためにバイトにも精を出しています(傍目から見ると、勉強も頑張ってるので、苦学生です)常に上であり続けたいという思いがあるため、花蓮に憑依してからずっと周りを見る余裕なんてありません。そのため、恋愛経験ゼロです。(中身の年齢差も原因のひとつではありますが)
当時、花蓮の母が倒れたことに関しては、花蓮の性格が変わったのは事故のショック&頭を打ったことの後遺症&今まで我がままひとつ言わなかったこと、というかずっと我慢していたのを知っていたので、それらが色々起因したと考え、そのことで親として不甲斐なさを感じ、花蓮の母が花蓮の我がままを全部叶えてあげようとした結果です。

この後の花蓮は大学での頑張りもあり見事、優良企業の就職を勝ち取ります。
そこできっと素敵な出会いがあることと思います。相手は会社の御曹司か、それとも出世株のイケメン部長か、はたまた若手ホープの同僚かはわかりませんが、オンナ度も上がり、努力を怠らない花蓮を見て見初めてくれると思います。性格は大分丸くなりましたが、まだ本来のツンツンしたところが若干残ってますが、惚れてしまえば、そんなところもきっと可愛く映ることでしょう(むしろデレとの差が激しくて萌えると思います。ちなみにイリアスと同じツンデレ気質なので、ふたりは最初っから合わなかったと思います)。ふたりは見事ゴールインし、その後は二世帯住宅で暮らすのではないでしょうか(もちろん花蓮の母と)。



最後までお付き合い下さり、本当にありがとうございました。こうして終えることができたのも、ひとえに皆様がお読みくださったおかげです。本当にありがとうございましたm(_ _)m

後書き長いですが、お読み頂けたら有り難いです。m(_ _)m

この話は最初から特定の誰かと結ばせるつもりで書いてはいませんでした。なので、誰かひとりを優遇するつもりはなく、あくまでみんな平等に書いていました。

その理由はちゃんとあるのですが、まずはこの話を書くきっかけを書かせて下さい。

きっかけは3つあります。
まず1つ目は世間で流行ってる悪役令嬢ものを一回くらいは書いてみても悪くないかなと思う気持ちがあったことです。

2つ目は前作が三人称だったので、次作は一人称に挑戦したいと思ったことです。どうせ書くなら一人称に合う作品で書きたいと思い、それなら悪役令嬢ものがちょうどいいんじゃないかと思いました。

3つ目は(これが一番大きいきっかけです)私、度々当て馬という存在を応援することがありまして。その当て馬がひたすら一途にヒロインを想うほど、「なんでヒロインと当て馬は絶対くっつかないんだろう!」というジレンマを持っていました(多分「一途で報われない恋」が嫌いなんだと思います)。で、ある日「そういう作品がなければ自分で書けばいいのでは?」とふと思ったのがきっかけです。
「よし! 当て馬と主人公を結ばせるぞ!」と思ったはいいものの、「待てよ、当て馬と結ばせたら、今度はヒーローか当て馬になるぞ? それは趣旨に反する。ならヒーロー(当て馬)とも結ばせよう! でも、ヒーローと当て馬、ライバル同士がふたりともヒロインと結ばれると話に矛盾が生じる。なら当て馬増やして、ハーレムにすればいいのでは? でもハーレムでも許されるストーリーにしないと、ヒロインがただの尻軽女になるな…。どうしたらいいんだろう?」そこでふと閃いたのが乙女ゲームの舞台でした。それなら、当て馬が何人いてもおかしくないし、ちょうど1つ目と2つ目とも合致するということで、とても都合が良かったのです。

で、乙女ゲームの世界が舞台なら、忠実に再現したいと思いました。
まず人数を決めるにあたって、普通は色んなタイプがいますから、自分の力量を超えているとわかりながら、忠実に再現するなら最低7人は譲れないと思いました。(この時点ではまだ全然話の内容は決めていません)(実はこの作品、書き始める前、攻略対象者は9人いました。ゲームのヒロインは二年時から編入するので、先輩後輩キャラがいたのです。(ちなみに先輩キャラは隣国(バルタザールとはまた違う)の第2王子で長髪の中性的な麗人で、後輩はあざとい仔犬系でした。で、全員書き出したノートを見て、攻略対象者が9人とライバル令嬢5人+ミレイアだと……?私の手に確実にあまるなと思い、先輩後輩キャラと隠れキャラを計りにかけた時に、バルタザールの見た目が超好みだったため、圧倒的な差で隠れキャラ組が勝ちました(^_^;))
それでもやっぱり7人は多いなと思い、(でも乙女ゲームを忠実に再現したいという気持ちは譲れなかったのです。)自分の力量を越え書ききれる自信がなかったのと、話の内容をほとんど決めてなかったため、6話書いた時点で、7ヶ月近く放置することになりました。
でも頭の片隅には覚えていたのと、また再び当て馬が登場する作品を見てしまい、やっぱり書こうと決めました。
しかし、やはり無事完結できるか自信がなかったため、完結できる確信を得るまで、半分以上書きためることになりました。
なので、こうして無事、書き終えることができて本当に嬉しいです。

話は戻りますが、再び7ヶ月ぶりに7話から書き始めるにいたって、「乙女ゲームを忠実に再現したい」という気持ちから、「どうせなら読者様が乙女ゲームのなかに入り込んでいるような作品に仕上げたい」と思いました。
ひとの好みはひとそれぞれなので、誰かひとりに限定しない形は3つ目のハーレムとも合致するし、一人称という形はゲームに入り込んだ際はプレイヤー目線のため、とても当てはまると思いました。
読者様が乙女ゲームのなかにいるように感じてもらうため、そのため、この作品はヒーロー目線なしのカレン目線100%の作品になりました。(読者様にはカレンを通して、攻略対象者の気持ちがわかるように書いたつもりでしたが、うまく伝わったでしょうか?)

で、乙女ゲームは色んなひとがプレイするわけですから、タイプは人それぞれ。なので、プレイヤーの分身とも言えるカレンもまた、色んな攻略対象者の間でふらふらする感じになりました。(それ故、カレンがビッチな印象を与えることになってしまったのは想定外でした。気づいたときはちょっとショックでした。しかし、信念を曲げることはできませんでした)
カレンが最後まで色んな攻略対象者にときめいていたのは、このせいです。
読者様にはカレンの目を通して、好みの攻略対象者を見つけて、ドキドキして貰えたでしょうか?
最後の手をとるシーン、好みの攻略対象者の手をとってあげてください。(もちろん全員でもかまいません(笑))
この作品を通して、「私も『きらレイ』やってみたい!」と思って頂けたら、作者冥利に尽きます(^^)


この後の展開は読者様が好きに想像してくださって構わないのですが、私の予想では(あくまで私の予想です)混乱に陥ったカレンは一度は全員断りそうですが(イリアスのことはもう好きだと思いますが(自覚なし)どさくさにまぎれて断ってしまいそう。つくづく君には同情を禁じえないよ、イリアス(T_T)。あとの六人はイリアス程ではまだないですが6~8割型好きだと思います)、その後押しに弱いカレンのことですから、一対一で、迫られたり、詰め寄られたり、言い含められたり、説得されたり、涙ぐまれたり、同情をさせわれたりと、なんだかんだ気付けば全員に頷いてそう。結婚するのは学園を卒業してからでしょうが(それまでの間、ユーリウスとフェリクスは手が早そうなので〈バルタザールもやや早いです。経験済みですし、結婚初夜まで『乙女』をとっておくというほど、庶民は貞操観念に厳しくないので〉他の四人〈エーリックも何かの拍子で獣に変わりそうなのでちょっと危険ですが、スイッチがはいらない限り大丈夫でしょう。カレンは間違って押しそうですが(^_^;))ということで四人は結婚するまでの間はふたりに対して共同戦線はりそうです。結婚するまでは(してからも?)カレンの周りははわいわいがやがやと騒がしそうです。想像してみるのも、楽しいかもしれません)初夜七日間は寝かせてもらえないと思います(^_^;)。攻略対象者のことですから、もちろんそっちの方も超優秀。まあ、カレンはまだ若いし、体力もあるし、神様の加護もあるからきっと……大丈夫、なはず……(頑張れ、カレン)
ちなみにその際の画像はばっちり頭のなかにあるのですが(笑)、ベッドの上で一番野獣になるのはユーリウスとフェリクスです。激しめが好きな方にオススメ(笑)ユーリウスは時に甘々、時に激しく。緩急の差に翻弄されます。フェリクスは相手の反応を目で楽しみながら、色んな体位にいくタイプ。激しめが好き。言葉責めならエーリック。自分の言葉に恥じらうカレンを見て「かわいー」と呟いてます。そして、さらに苛めて楽しむタイプ。「お姉さんが色々教えてあげる(はあと)」の方にはレコがオススメ。ただし、あんまりニマニマしてると逆襲されるので注意。優しくとろけたい方はラインハルトがオススメ。その優しい指使いに癒やされることでしょう。愛に言葉は必要ない方はバルタザールがオススメ。無言で愛してくれます。が、その目線と触れ合う躰からちゃんと愛されていることが伝わってきます。イリアスは時に照れながら、時に真剣に言葉を紡ぎ、無心で夢中に愛してくれます。ご参考になったでしょうか(←阿呆)以上を踏まえて、手をとってあげてください。ふう。

ちなみに特に私の好きな攻略対象者はユーリウスとバルタザールでした\(^o^)/ユーリウスは総合的に、バルタザールは見た目が七人の中で一番好みだったためです。(前作読んだ方は気づいたかもしれませんが、そうです、ユーリウスは特徴がアレクシスと同じです。赤い目と赤い髪を持ってる時点でお気に入り確定です(^^))

この話がハーレムなら何故イリアスを婚約者にしたのかと思った方、理由は婚約者でもない限り、イリアスには近づけなかったからです。イリアスには少々申し訳ないことをしたと思っています。七人の中で唯一作者がイリアスには負い目を感じます。 

途中で何度も筆をおきたくなりましたが、最後まで書けたのは皆様が読んでくださったおかげです。ありがとうございました。

後書き長くなって申し訳ない。ここまで読んで頂き、本当にありがとうございました。

次の作品をいつ頃書き始めるかまだわかりませんが、しばらくは好きな読書に励もうと思います(^^)
次作はなんとなく頭にぼんやり浮かんでるんですが、三人称の戦闘シーン全くなしのややシリアスな番ものを書きたいなあと思ってます。内容的には、継母から虐げられてきたヒロイン(王女)が獣人国に嫁ぎにいくものの、獣人は番を大事にする種族なので、結婚相手の王太子からは初対面で冷たく突き放されます。けれど、あとからヒロインが番とわかって、あたふたする王太子のお話です。中身は全く決めていないので、書き始めるのが、半年後になるか一年後になるかはわかりませんが、気長にお待ち頂けたら嬉しく思います。
要望がたくさんあったら、ない頭をしぼって早めに考えるかもしれません。せめて、前作よりは早くあげます!

ちょっと短編も書いてみたい気持ちもあるので、そっちは2、3ヶ月後に(もしかしたら)書くかもしれません。

それでは改めて、この作品を読んでくださった方、お気に入り登録してくださった方、感想を寄せてくださった方(もちろん読後の感想も大歓迎です! 必ず返信させて頂きます。)本当にありがとうございました!!
また会う日まで、ご機嫌よう!!


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