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後
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お兄様のエスコートでパーティ会場に入る。
婚約者の交代が事前に伝えられているというのは確かなようで、入るなり好奇の視線が突き刺さる。
ホスト役の王女と彼に挨拶をしなければならないのは気が重いけれど、根性で笑顔を浮かべ、寿ぎの言葉を述べる。
悔しいのでしっかりと目を合わせたが、二人ともまるで意に介する様子はなく、笑顔で挨拶を返される。
組んでいた兄の腕にぐっと力が入る。
そのままエスコートされた先には、私と兄の友人たちが心配と怒りをない交ぜにしたような微妙な顔をして待ってくれていた。
兄の手が離れると、友人たちが私を取り囲み、手をぎゅっと握ってくれる。
(大丈夫よ)(元気を出して)と伝わってくるようなその温かさに、先ほどの挨拶で胸に刺さったとげがするりと抜けていく。
兄の友人たちが周りからの視線の盾になってくれていると、ふいに音楽が止まり人々も口をつぐんだ。
入り口で重々しい口調で入場を告げられた人物達が、ゆっくりと、中に入ってくる。
スラッとした長身の美丈夫にエスコートされて入場した小柄な少女。
光の当たる角度によっては青に見える、プラチナブルーの髪。
サファイアをはめ込んだかのような美しい瞳。
妖精と言われたほうが納得してしまうその美貌が、ゆっくりと中央を歩く。
そのまま主賓の二人に向かうかと思っていたら、少し身を乗り出して見ていた私と目が合い、そのままこちらに向かってやってくる。
マリアクレイズ=エスカルト。彼女は隣国の王女であり、この国の王太子アレックス様の婚約者でもあり――
「シェリー」
――私の大親友でもある。
主賓に挨拶もせず、ワケアリの私のほうに来たマリアに周りはざわつき始める。
そこに慌てたようにやってきたのが、アレックス様でした。
マリアとエスコートしていた人物、兄君のカイン様に挨拶をすると、
「どうされたのですか?妹たちは中央におりますが……」
と、暗に「なぜ主賓に挨拶もしないのだ」と言いたげな目でマリアに聞く。
「フィーネ様?おかしいですわね、私はシェリーとアドルフィード侯爵令息の婚約発表だと聞いて参ったのですが」
その言葉に、アレックス様が少々ばつの悪そうな小声で答える。
「手紙は出したのだけれど、行き違いになったのだと思う。すまない。実はコルベイン伯爵令嬢との婚約は解消され、妹のフィーネと婚約することになったんだ。君にとっては未来の義妹になるわけだから、ぜひとも祝ってあげて欲し」
「無理ですわね」
みなまで言わせず、はっきりと断る。
その言葉の強さに、周りの人々が息をのみ静まり返る。
「本来であればこのような場所でお話しすることではありませんが。帝国から縁談の打診がありましたの。そちらのほうをお受けしようというのが我が国の意向ですので、アレックス様との婚約を解消したく思います。情勢上、帝国からの申し入れは断れません。残念ですわ、フィーネ様と義理姉妹になれなくて」
全然残念そうではない口調でマリアが言うと、ぽかんとしていたアレックス様が我にかえり一気にまくしたてる。
「そ、そんな!長年の婚約を簡単に……身勝手だとは思わないのか!?帝国も帝国だ、人の婚約者に打診をするなど失礼な話だ!」
「同じ理由でアドルフィード侯爵令息はシェリーとの婚約を解消されましたよ?あなたの妹君……だけでは実現するわけがありませんね。王家の横やりもあって堂々とね。他人にするのはよくて、自分たちは駄目だなんて……それこそ身勝手、ではなくて?」
笑顔なのに視線は絶対零度。
「もちろん違約金等についてはおいおいご連絡いたします。ただ、こちらの援助で貿易港の整備なども行いましたから、その辺りは折衷してまいりましょう。まぁ、アドルフィード侯爵令息の言葉を借りるならば。私と過ごせた時間こそが慰謝料がわり、になるでしょうか?」
昨日とものすごく似たやり取りが目の前に広がる。
婚約者交代は知らされても、詳しい内容を知らなかった参加者もこれでおおよそのいきさつは分かっただろう。
……これは、私の婚約解消についてバッチリ知っているようです。
なぜ知っているのでしょうと視線をめぐらすと、お父様がイイ笑顔で笑っていらした。
顔が赤くなったり青くなったりしているアレックス様の後ろでは、すさまじい形相で私を見ているジェス様と王女様。
その焦りが浮かぶ顔に、すっと溜飲が下がる。
アレックス様には申し訳ない気もしますが、お兄様が「まぁ、ジェスを姫様に会わせたり煽ったりしていたのはアレックス様らしいしな」と囁いてきたので、同情心もかき消えました。
でもなぜお兄様もそんな情報握っているんですか?「いや昨日必死であいつの有責調べていたら出てきた」なるほどわかりましたが妹の思考を読まないでくださいお兄様でもありがとう。
くるりと私に向き直り、ぱちんとウインクを飛ばしてくるマリア。
カイン様も苦笑しているものの、マリアを止めないところから話を聞いてはいるのでしょう。
すると、高いヒールの音を響かせて、フィーネ様がやってきました。
フィーネ様は彫りの深い顔立ちのゴージャスな美女なので、睨まれると目力に圧倒されてしまいます。
スッとマリアが私の前に立ったことで、フィーネ様は怒りの矛先をマリアに向けた。
「かわいそうなオトモダチに代わって仕返ししました、っていうこと?言いたいことがあるなら私たちに言えばいいじゃない。お兄様を巻き込むなんて陰険だわ」
「ふふ。横恋慕して婚約披露前日に解消をするような陰険さには及ばないと思いますが。
――本当、どの口が言うんだか」
フィーネ様の目が怒りに見開かれ、大きく手を振りかざす。
それを遅れてやってきたジェス様とアレックス様が必死で止める。
同じ王女という立場でも、国力の差は歴然。
国際問題になったとき痛い目を見るのは確実にわが国になるので、止めるお二人の顔は真っ青。
いつも蝶よ花よと甘やかされているフィーネ様はこういう風に上から目線の物言いに慣れていないのだろう、怒り冷めやらぬ様子で止めるお二人を振りほどこうともがいている。
「事実を言われて激昂し、相手に暴力をふるおうとする、か。我が家もなめられたものだな」
言いながら、お父様が近づいてくる
「この件は正式に抗議させていただく。また、これ以上騒ぎを大きくするのも本意ではない。私たちは失礼させていただくとしよう」
もう限界まで大きくなってしまった気もしますが……。
でも、この場から離れられるのはとても嬉しい。
退出直前、お父様がホール全体を見渡し、笑顔で言い放つ。
「それにしても、今回は良かった。皆様がいらっしゃるおかげで、変な根回しはされずに済みそうです」
「今回はうやむやにさせないぞ」という副音声が聞こえてきます、お父様……。
ちゃっかり一緒に出てきたマリアと共に家に戻る。
「あとのことはお兄さまに任せておきましょう。その為に連れてきたので」
とのことらしい。
申し訳ありません、カイン様、お父様。あとは全部よろしくお願いいたします……。
この後。
お父様がかなりの額の慰謝料を王家と侯爵家から頂くことに合意させ、ほとぼりがさめるまで帝国に行くこととなった。
マリアの話し相手ということで、王宮に滞在させてもらうことになり。
マリアの猛プッシュでカイン様との距離が詰まってきた。
「シェリーと姉妹になれたら素敵!」というマリアの言葉も、もうすぐ実現しそうな予感がする。
今度こそ、うまくいきますように!
婚約者の交代が事前に伝えられているというのは確かなようで、入るなり好奇の視線が突き刺さる。
ホスト役の王女と彼に挨拶をしなければならないのは気が重いけれど、根性で笑顔を浮かべ、寿ぎの言葉を述べる。
悔しいのでしっかりと目を合わせたが、二人ともまるで意に介する様子はなく、笑顔で挨拶を返される。
組んでいた兄の腕にぐっと力が入る。
そのままエスコートされた先には、私と兄の友人たちが心配と怒りをない交ぜにしたような微妙な顔をして待ってくれていた。
兄の手が離れると、友人たちが私を取り囲み、手をぎゅっと握ってくれる。
(大丈夫よ)(元気を出して)と伝わってくるようなその温かさに、先ほどの挨拶で胸に刺さったとげがするりと抜けていく。
兄の友人たちが周りからの視線の盾になってくれていると、ふいに音楽が止まり人々も口をつぐんだ。
入り口で重々しい口調で入場を告げられた人物達が、ゆっくりと、中に入ってくる。
スラッとした長身の美丈夫にエスコートされて入場した小柄な少女。
光の当たる角度によっては青に見える、プラチナブルーの髪。
サファイアをはめ込んだかのような美しい瞳。
妖精と言われたほうが納得してしまうその美貌が、ゆっくりと中央を歩く。
そのまま主賓の二人に向かうかと思っていたら、少し身を乗り出して見ていた私と目が合い、そのままこちらに向かってやってくる。
マリアクレイズ=エスカルト。彼女は隣国の王女であり、この国の王太子アレックス様の婚約者でもあり――
「シェリー」
――私の大親友でもある。
主賓に挨拶もせず、ワケアリの私のほうに来たマリアに周りはざわつき始める。
そこに慌てたようにやってきたのが、アレックス様でした。
マリアとエスコートしていた人物、兄君のカイン様に挨拶をすると、
「どうされたのですか?妹たちは中央におりますが……」
と、暗に「なぜ主賓に挨拶もしないのだ」と言いたげな目でマリアに聞く。
「フィーネ様?おかしいですわね、私はシェリーとアドルフィード侯爵令息の婚約発表だと聞いて参ったのですが」
その言葉に、アレックス様が少々ばつの悪そうな小声で答える。
「手紙は出したのだけれど、行き違いになったのだと思う。すまない。実はコルベイン伯爵令嬢との婚約は解消され、妹のフィーネと婚約することになったんだ。君にとっては未来の義妹になるわけだから、ぜひとも祝ってあげて欲し」
「無理ですわね」
みなまで言わせず、はっきりと断る。
その言葉の強さに、周りの人々が息をのみ静まり返る。
「本来であればこのような場所でお話しすることではありませんが。帝国から縁談の打診がありましたの。そちらのほうをお受けしようというのが我が国の意向ですので、アレックス様との婚約を解消したく思います。情勢上、帝国からの申し入れは断れません。残念ですわ、フィーネ様と義理姉妹になれなくて」
全然残念そうではない口調でマリアが言うと、ぽかんとしていたアレックス様が我にかえり一気にまくしたてる。
「そ、そんな!長年の婚約を簡単に……身勝手だとは思わないのか!?帝国も帝国だ、人の婚約者に打診をするなど失礼な話だ!」
「同じ理由でアドルフィード侯爵令息はシェリーとの婚約を解消されましたよ?あなたの妹君……だけでは実現するわけがありませんね。王家の横やりもあって堂々とね。他人にするのはよくて、自分たちは駄目だなんて……それこそ身勝手、ではなくて?」
笑顔なのに視線は絶対零度。
「もちろん違約金等についてはおいおいご連絡いたします。ただ、こちらの援助で貿易港の整備なども行いましたから、その辺りは折衷してまいりましょう。まぁ、アドルフィード侯爵令息の言葉を借りるならば。私と過ごせた時間こそが慰謝料がわり、になるでしょうか?」
昨日とものすごく似たやり取りが目の前に広がる。
婚約者交代は知らされても、詳しい内容を知らなかった参加者もこれでおおよそのいきさつは分かっただろう。
……これは、私の婚約解消についてバッチリ知っているようです。
なぜ知っているのでしょうと視線をめぐらすと、お父様がイイ笑顔で笑っていらした。
顔が赤くなったり青くなったりしているアレックス様の後ろでは、すさまじい形相で私を見ているジェス様と王女様。
その焦りが浮かぶ顔に、すっと溜飲が下がる。
アレックス様には申し訳ない気もしますが、お兄様が「まぁ、ジェスを姫様に会わせたり煽ったりしていたのはアレックス様らしいしな」と囁いてきたので、同情心もかき消えました。
でもなぜお兄様もそんな情報握っているんですか?「いや昨日必死であいつの有責調べていたら出てきた」なるほどわかりましたが妹の思考を読まないでくださいお兄様でもありがとう。
くるりと私に向き直り、ぱちんとウインクを飛ばしてくるマリア。
カイン様も苦笑しているものの、マリアを止めないところから話を聞いてはいるのでしょう。
すると、高いヒールの音を響かせて、フィーネ様がやってきました。
フィーネ様は彫りの深い顔立ちのゴージャスな美女なので、睨まれると目力に圧倒されてしまいます。
スッとマリアが私の前に立ったことで、フィーネ様は怒りの矛先をマリアに向けた。
「かわいそうなオトモダチに代わって仕返ししました、っていうこと?言いたいことがあるなら私たちに言えばいいじゃない。お兄様を巻き込むなんて陰険だわ」
「ふふ。横恋慕して婚約披露前日に解消をするような陰険さには及ばないと思いますが。
――本当、どの口が言うんだか」
フィーネ様の目が怒りに見開かれ、大きく手を振りかざす。
それを遅れてやってきたジェス様とアレックス様が必死で止める。
同じ王女という立場でも、国力の差は歴然。
国際問題になったとき痛い目を見るのは確実にわが国になるので、止めるお二人の顔は真っ青。
いつも蝶よ花よと甘やかされているフィーネ様はこういう風に上から目線の物言いに慣れていないのだろう、怒り冷めやらぬ様子で止めるお二人を振りほどこうともがいている。
「事実を言われて激昂し、相手に暴力をふるおうとする、か。我が家もなめられたものだな」
言いながら、お父様が近づいてくる
「この件は正式に抗議させていただく。また、これ以上騒ぎを大きくするのも本意ではない。私たちは失礼させていただくとしよう」
もう限界まで大きくなってしまった気もしますが……。
でも、この場から離れられるのはとても嬉しい。
退出直前、お父様がホール全体を見渡し、笑顔で言い放つ。
「それにしても、今回は良かった。皆様がいらっしゃるおかげで、変な根回しはされずに済みそうです」
「今回はうやむやにさせないぞ」という副音声が聞こえてきます、お父様……。
ちゃっかり一緒に出てきたマリアと共に家に戻る。
「あとのことはお兄さまに任せておきましょう。その為に連れてきたので」
とのことらしい。
申し訳ありません、カイン様、お父様。あとは全部よろしくお願いいたします……。
この後。
お父様がかなりの額の慰謝料を王家と侯爵家から頂くことに合意させ、ほとぼりがさめるまで帝国に行くこととなった。
マリアの話し相手ということで、王宮に滞在させてもらうことになり。
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