あの日、北京の街角で

ゆまは なお

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第30章-2

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 孝弘が自分に欲情することはわかっていたが、ここまで明るい場所で体を見せ合うのは初めてだ。
 泡だらけの手で握ったら、促すように孝弘の腰が揺れる。
「ヤバい、すげー気持ちいい」
 孝弘の素直な声に、ふっと緊張がほぐれた。
 心配なんかしなくていいのだ。
「一緒にしよっか」
 孝弘の手が伸びて来て、互いの手で愛撫しあう。
 タイミングや力加減が自分でするのとはすこし違って、それがもどかしさを呼ぶ。

 祐樹が我慢しきれずに言葉でねだるまで、孝弘は容赦なく祐樹を追いつめた。
「ああっ、もういや、あ…っ。やっ、あ、あーっ」
 びくびくと腰を揺らして孝弘の腕のなかで祐樹が達した。孝弘は脱力した体をきゅうっと抱きしめてバスチェアに座らせた。
「すげーかわいい。大好き」
 短く息をつきながら、祐樹は目元を染めて孝弘をにらむ。
 すこし涙目になっているのは、さんざんじらされたせいだ。こんなふうにされたのは初めてだ。

「……なんか、意地悪だった」
「ごめん、あんまりかわいくて」
 なだめるように髪に何度もキスされて、孝弘に髪を洗ってもらって、ぬるめのシャワーで全部きれいに流された。
「おれもしたい」
「じゃあ、シャワー上がってからしてよ。もうのぼせそう」
 浴室を出て、とりあえず冷蔵庫から缶ビールを2本取り出し、裸にタオルを巻いただけで、ふたりでごくごくビールを飲みながら休憩する。冷たいビールが喉を滑り落ちて、ふうっとため息をついた。

 孝弘は欲のこもった目で祐樹の体を眺めている。今さら体を見られるくらいなんてことないと思うのに、射貫くような強い視線に羞恥を感じた。孝弘はまだ昂ったままだ。
「続きしてもいい?」
 孝弘の誘いに、祐樹は触れるだけのキスを返した。
 手早く敷いた布団のうえで、祐樹は孝弘をおさえて上になった。
 孝弘は楽し気に祐樹を見上げてリラックスしている。

 それを感じ取って、祐樹は孝弘の体に次々に唇を落とした。じょじょに下に降りていき、昂ぶったものに口づけて唇に含むと孝弘の手が髪を撫でてくる。
 視線を上げたら孝弘は眉間にしわを寄せて、色っぽい吐息をついた。
「祐樹、エロ過ぎ」
 悔しげな響きに微笑んで、祐樹は熱心に孝弘を舌で愛撫した。
 孝弘が喘ぐ息づかいや時々漏れてくる声にも煽られる。自分が相手に快感を与えているのがうれしい。

「よすぎて、もたないんだけど」
「いいよ」
 ちゅっと滑らかに張り出した先端に口づける。素直に反応してくれるのが嬉しくて、ますます熱心に舌を絡ませた。
「このまま出していい?」
 堪えきれなくなったのか、孝弘が腰を揺らして祐樹の喉を突いてくる。
 いいよと言う代わりにつないだ手に力を込めると、何度か奥を突かれた後、動きが止まった。どくどくとあふれてくるものを祐樹が飲み下すと、「出していいのに」とすこし慌てたように言う。

「べつに平気だよ?」
 祐樹が微笑むと「なんかすげー照れるわ」と孝弘が口元を手で覆ったのがやたらかわいかった。
 自分から仕掛けるのは平然としているのに、祐樹からされると照れるようだ。
「ありがと、祐樹。気持ちよかった。次は俺が好きにしていい?」

 祐樹がうなずくと上下を入れ替わった孝弘がやさしく触れてくる。ローションで濡らした指が差しこまれると、思わず体を絞ってしまう。
 孝弘は壊れ物をあつかう手つきで焦らずに祐樹の体を拓いていく。そっと確かめるように敏感な内壁を探られ、同時に乳首を甘噛みされて、びくっと体が跳ねた。
「あ、あっ、孝弘……それ……っ」
「ああ、ここがいい?」
「ん、気持ち、いい……」
 孝弘のすこし高い体温を感じて祐樹の熱もぐんぐん上がっていく。

「かわいいな、めちゃくちゃ興奮する」
 情欲のにじんだ声で囁かれ、じゅうぶんにほぐされて、ほてった体を持て余す。指だけじゃ物足りない。
 孝弘のほうも限界らしく、膝裏に手をかけられた。
「もう入れたい」
「うん、おれも欲しいよ」
 ぐっと押し入ってくる感覚に祐樹はふっと息を吐く。
 目を細めて笑った孝弘がゆっくり体を繋いできた。

 硬く熱いものに貫かれ、うっとりと孝弘を見上げる。目線を合わせたまま抜き差しされてどうしようもなく感じた。
 やわらかく絡みつく感触に、孝弘が呻くようにこぼす。
「やばい、祐樹の中、よすぎる」
 すこし眉を寄せて、快楽をこらえている表情が不機嫌そうに見える。
 懐かしいと思う。学生時代の孝弘はよくそんな顔をしていた。
 懐かしい表情にうれしくなって笑うと、ますます不機嫌そうになる。

「エロいな、その顔」
 ぐっと押しこみながら腰を回されると強い快感が走り抜けて、祐樹の背がしなった。
「や、あっ…あ、いいっ……」
 孝弘が強弱をつけて突き上げるたびにくちゅくちゅと濡れた音が響く。
「あー、まじでいきそう」
 ため息のような声がして、律動がゆっくりになった。

 スピードを落としてゆったりと奥まで入ってきて、ぎりぎりまで抜いていく。孝弘を離すまいと粘膜が引き止めるように絡みつき、祐樹はそのじれったい快感に身もだえた。
 どこでそんな手管を覚えたんだろう。
「おれも、いきそう」
 震える声で囁くと、孝弘が照れたように笑う。
「いいよ、好きな時にいって」
「嫌だ、もっとじっくりしたいのに」
 そういいながらも、体は快楽を得ようと走り出す。

「俺も。でも祐樹がかわいすぎてダメだ」
 笑ってキスをされた。
 濃厚に口づけながら、つんと尖った乳首をこねられ、その刺激でまたいっそう甘い吐息をつく。
 孝弘の限界も近いようで突き上げる動きが速くなり、何度も奥深くまで入りこまれて、息があがる。

 ぎゅっと抱きつきながら、孝弘が好きだと胸がしぼられるように思う。
 ここにいてくれてよかった。
 こうして抱き合えて本当にうれしい。
 目が覚めて本当によかった。
 会いに来てくれてありがとう。
 うれしかったよ、大好き。

「好き」
 気持ちがこみ上げて思わず口走ると、力強く動いていた孝弘の表情が、苦笑にかわった。
 祐樹からこんなに素直に言ったのは初めてだった。
「ここでそれ言う?」
 大きく嘆息して、低い声で告げられた。
「うれしくて、かわいくて、めちゃくちゃにしたくなる」
 ぐぐっと最奥を穿たれて、祐樹の背中がきれいなカーブを描く。

「あ、あっ、たかひ、ろ…、や、そこ、……いい、あ…っ、あ…」
 抑えきれない高い声があがり、孝弘の力強い律動が続いて打ち付けられた。
 どんどん体内に熱がこもって解放に向かってぎゅっと収縮を繰り返す。
 とろとろに濡れた性器を握って擦られて、一気に限界まで引き上げられた。
「あ、たか、ひろっ…」
「祐樹、好きだよ」
 低い声でささやかれ、ふたりでほぼ同時に熱を放った。

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