死んだことにした悪役令嬢、 辺境で騎士団長に溺愛されつつ帝国を建て直します

桃我タロー

文字の大きさ
2 / 70
第一章 ヴァルム試験国家編

第二話 作為的計画

しおりを挟む
 翌日、正午より少し前だった。

 王都アークライトの北門近くで、クライフェルト侯爵家の紋章を掲げた馬車列が、城壁の影に沈むように並んでいた。白い石畳をかすめる車輪の音が、一定の間隔で続いている。誰かが机の端を指の関節で、とりあえず叩き続けているときの、あの虚しいリズムに似ていた。意味はないのに、止まるとかえって落ち着かない類の音だ。

 エリアーナは、そのリズムの内側、黒いカーテンに仕切られた馬車の中で、膝の上の封筒の縁を指先でなぞっていた。羊皮紙の表面は思っていたよりも荒く、削り残された繊維が小さな棘のように立っている。同じ場所を何度もなぞるうちに、そこだけ皮膚が薄く削られていく感覚があった。少し痛いのに、手を止めると余計に気が散る。

 濃い紅の封蝋には、クライフェルト家の紋章が押されている。蝋の表面には、父の執務机の傷が細い筋となって逆写しになっていた。宛名欄だけは、白紙のままぽつんと残されている。

 ――死亡届。

 帝国の帳簿から「エリアーナ・クライフェルト」という一行を消すための紙だ。昨夜、父が机の引き出しから出してきたとき、指先にわずかに震えがあった。その震えが封蝋に移ったのか、紋章の輪郭の一部がほんの少しだけ滲んでいる。

(この封が切られて、所定の台帳に転記された時点で――エリアーナ・クライフェルトは死亡。資産と負債はクライフェルト家に戻入。……手続きとしては、簡潔です)

 封筒の上に片手を乗せたまま、もう片方の手で胸元を探る。ドレス越しに、細長いガラス瓶の固さが押し返してきた。布と骨のあいだを、小指ほどの細さの硝子が、不自然な異物として挟まっている。

 父と二人で昨夜まで調整していた揮発性の強い発火剤だ。本来は崖下で燃え上がる馬車を、遠くからでも分かりやすく見せるための「演出用」だった。父は「帝都は、物語より絵を好む」と言っていた。帳簿でどれだけ説明しても動かない予算が、火と煙の一枚絵にはあっさり付く、と。

 車輪の音が、ふっと一段高くなる。止まっていた指が、急に机を叩き始めたような変化だ。馬車がゆっくりと動き出し、北門のアーチの下に入る。石の天井の下をくぐる瞬間、外気が一度冷えた。鼻腔の奥で、冬の鉄の匂いが細く光る。

 石畳が途切れ、土の道に変わる。車輪が土を噛む鈍い音が、蹄の音と混ざって低く響いた。王都の喧噪は、あっけないほど短い距離で背後へ遠ざかっていく。人の声の代わりに、風が馬具の金具を揺らすかすかな音が耳に残った。

 エリアーナはカーテンの縁を指幅ほど持ち上げた。外の光は、城内よりもいくぶん白い。冬枯れの畑が続いている。麦の切り株が並ぶはずの地面にはところどころ窪みが残り、土が抉られたまま固まっていた。十年前の洪水でえぐられた箇所だ。予算案の表で何度も見た地名が、泥の色と奇妙に重なって見える。

 畑の端で、農夫が鍬を振るっていた。背筋は伸びきらず、振り下ろす軌道も浅い。鍬が土に入るたび、乾いた音だけが響く。土が返ってこない。そこだけ映像が早送りされているようで、視線を外しそびれた。

(洪水からの復旧予算を削った結果のひとつ。……教材より分かりやすい現物ですね)

 カーテンをそっと下ろす。視界を閉じると、そのぶん音が濃くなった。軋む車軸、革の擦れる音、馬の鼻息。耳の裏側で、勝手に数字の列が組み上がっていく。災害対策費、復旧費、年ごとの減額幅。

 封筒は膝の上。胸元にはガラス瓶。対面の座席には、誰も座っていない。父は別の馬車だ。侯爵家の家長には、もう少し「それらしい」箱が用意されている。形式の問題だと分かっていても、その形式が今日限りで役割を終えるという事実の方が、今はよほど形式ばっている。

 エリアーナの乗る馬車は列の中ほどにいた。先頭には護衛騎士と、荷物を積んだ簡素な荷車。最後尾には、紋章を大きく掲げた飾り馬車が続いている。窓の外から、馬具の金具が一度だけ高く鳴った。合図の音だ。

 街道はやがて、ゆるやかな上りに変わる。北門から北西へ半日ほど行った先で、山を縫うように曲がり始める細い道に入る。表向きには「静養のための山間の別邸」へ向かう行程。地図の上ではそう書かれていた。

 道の脇に、樽が見えた。油樽だ。木板を締める鉄輪には、まだ新しい錆が薄く浮いている。エリアーナはカーテンを指幅だけ持ち上げたまま、一本ずつ目で追った。

(……十五)

 昨日、倉庫で確認した帳簿上の申請数は「十」。差分五。油樽五本分の予算と、その裏付けになる署名の数。指先が無意識に、膝の上で五まで数えていた。

 護衛の顔ぶれも少し変わっていた。見慣れた団の紋章がないマントが混じっている。新調したばかりの革靴。王都の泥がほとんど付いていない。鎧の肩を動かすたび、金属が身体の上でぎこちなく鳴った。借り物の鎧、借り物の身分。

 風が、一度ぴたりと止む。鳥の声も、同じ瞬間に途切れた。音の層が一枚剝がれたみたいに、世界が薄くなる。逆に、自分の呼吸の音がうるさく感じられた。

 前方で、短い舌打ちの気配がした。

 次の瞬間。

「――止まれ!」

 怒鳴り声と同時に、馬車が大きく跳ね上がる。片輪が何かを乗り越え、車軸が悲鳴を上げた。座面が斜めに傾き、身体が横へ滑る。頬が窓枠にぶつかり、歯の根がかちりと鳴った。膝の上から封筒が浮きかけ、慌てて手のひらで押さえ込む。

 外から、馬の嘶きと兵の叫びが重なって押し寄せてきた。車輪の下で木が折れる音。板が割れる音。金属が石にぶつかって跳ね返る高い音。いちいち区別している余裕はないのに、音だけは妙にくっきりと耳に残る。

 衝撃が一度収まり、それとは違う振動が始まった。矢羽が擦れる音。空気を裂く高い音。続いて、木板に何かが突き立つ鈍い音。

 馬車の側板に矢が刺さった。内側に木片が飛び散り、頬に冷たい破片が当たる。すぐ後ろの箱から、甲高い悲鳴が一つ上がった。声の主を特定しようとする前に、別の叫びがそれをかき消す。

「火矢だ、離れろ!」

 誰かが叫ぶ。その叫びを合図にしたみたいに、視界の片隅が赤く染まり始めた。馬車の幌に火が移っている。布が焼ける匂いが、煙と一緒に狭い空間へ流れ込んできた。

 喉の奥がきゅっと縮む。肺が急に重くなる。それでも、手は勝手に動いていた。

 膝の上の封筒を胸の内側のポケットに押し込み、ドレスの縫い目をなぞってガラス瓶に指をかける。瓶を引き抜き、細い首の部分を布越しに折った。乾いた音とともに硝子が砕け、揮発性の液体がじわりと指先を濡らす。

 匂いが一気に広がった。鼻の粘膜を焼くような鋭い匂い。喉の奥で咳が跳ねかけるのを、舌で押し戻す。

 ドレスの裾の一部を掴み、思い切り引き裂いた。高価な布地が嫌な音を立てて裂ける。裂け目から冷気が入り、素肌を撫でた。鳥肌がざっと立つ。

 裂いた布片に、液体をざっと振りかける。布が一瞬で重くなり、黒い染みが広がっていく。布片を、燃え始めた幌とは反対側の車内の隅に放り投げた。

 数拍のあいだ、心臓の音だけが耳の中で数を刻む。

 ぱん、と小さな破裂音。次いで、濃い煙が布片から噴き出すように膨らんだ。灰色と黒の煙が狭い空間を満たし、炎の赤をたちまち呑み込んでいく。視界が真っ黒な壁で塗りつぶされ、喉の奥に鋭い刺激が走った。

(これで、敵も味方も例外なく視界を失います。……公平な処理です)

 処理、という言葉が自分の頭の中で浮かんだ瞬間、胃のあたりがわずかに冷えた。この場面にふさわしくない単語だと分かっているのに、他に適切な言葉が見つからない。

 反対側の扉の取っ手を探り当てる。熱で膨張した金具が、指先の皮膚をじりじりと焦がした。握力でそれを押し切り、力任せに引き開ける。

 開いた先は、崖側だった。

 真下には、岩と木々が混じり合った斜面が広がっている。高さを測る暇はない。落ちれば骨折で済むかどうかも分からない。ただ一つ、ここに留まれば焼けるということだけははっきりしている。

 馬車はまだ完全には横転していない。
 片輪が崖の縁に引っかかったまま、ぎりぎりのところで均衡を保っている。
 均衡が崩れる前に外に出る、それだけが猶予だ。

 胸元の封筒が、心臓の鼓動に合わせてかすかに動く。紙同士が擦れる、小さな音がした気がした。

 エリアーナは一度だけ息を吸い込み、躊躇なく外へ身を投げた。

 風が顔を打つ。焼ける布の匂いが一瞬だけ薄れ、冷たい空気が肺に刺さる。視界の端を、燃え上がる馬車の赤が横切っていった。木の枝が折れる音と一緒に、ドレスのあちこちが裂ける感触があった。

 斜面の途中で、硬い何かが身体を受け止める。木の根と石が混ざった出っ張りだ。衝撃で肺の空気が全部押し出される。世界の音が一瞬遠ざかり、耳鳴りだけが残った。

 転がり落ちる動きが、やがて土と枯葉の摩擦で止まった。背中に冷たい土の感触が広がる。泥と腐葉土と、古い煙の匂い。顔の横で小さな石が転がり、頬に当たった。

(……骨折は、ありませんね)

 遅れて、膝の辺りから鈍い痛みがじわじわと湧き上がってきた。足先を動かす。一本ずつ、指の関節を曲げていく。痛い。けれど、「折れている痛み」ではない。昔、庭で木から落ちたときに味わった痛みと、同じ系統だ。

 肘を支点に身体を横向きに起こし、周囲を見渡した。崖下は、岩と低木が入り混じった窪地になっている。折れた枝や、落ちてきた木片が散らばっていた。その中に、不自然な形の塊がひとつ。

 クライフェルト侯爵が、岩にもたれかかるように倒れていた。

 外套の裾には土と血が乾いてこびりつき、布の色がところどころ固まって変色している。胸のあたりには破れた跡があり、その下から覗くシャツの布が赤黒く染まっていた。そこだけ時間が止まったみたいに、色が動かない。

 エリアーナは膝をつき、父の口元に耳を近づけた。頬にかすかな呼気が触れる。間隔は長く、不規則だ。数えようとしたわけではないのに、「一、二、三」と呼気のあいだを測っている自分に気づく。

 父の目はひらいていた。ただ、光を捉えてはいない。
 微かに生体反応が見られるものの、そのめいが長くないことは明らかだ。
 見たくなかった。

 それでも、瞳の色が伽藍洞へ変わっていく過程が、焼き付いてしまう。
 目を離したいと思えてしまうのに、決して目を離せない。
 自分自身がなんで目を背けないのかが、不思議でしょうがない。

 それを理解しようと分析しようとする自分が、どうしても嫌いになる。

 冷静さを取り繕うとして、無駄な情報ばかりに目が行ってしまうのだ。
 なぜ、声をかけない。自分を育ててくれた恩に報いようとしない。
 なぜ、小鹿のように体を震わせるのだ。立ち上がれ、立ち上がれ。

 そう言い聞かせようとしても、彼女の体は動かない。

「ぅ……ぁっ……」

 焦る彼女の鼓膜を父の声がゆらす。
 次に彼女の目がとらえたのは、ゆっくりと動いた彼の手であった。
 掴んでいた何かを、エリアーナの方へ押し出してくる。

 革張りの厚い帳簿だった。角が擦り減り、背表紙の布がところどころ剝がれている。表紙には、見慣れた手書きの題名。

『帝国破産帳簿』

 父が長年かけて書き続けてきた、帝国の収支とほころびの記録。書き損じの紙束を、子どもの頃に勝手にぱらぱらとめくって叱られた記憶が、今さら首をもたげる。

 エリアーナは帳簿を両手で受け取った。
 革表紙の冷たさと、内側に詰まった紙の重みが、手のひらに沈む。

「……持っていけ」

 喉の奥で擦れるような低さだった。
 言葉と言葉のあいだに、細い空白が挟まる。

「私は……もう…もたん。お前に、託す……」
「……私に、できるのでしょうか?」
「…できるさ」

 父はそういって、口を閉ざした。

 託された分厚い本を胸元に置きながら、数刻だけ父を見つめる。
 すくっと立ち上がると、踵を返していく。

 空を見る。空は少しばかりの雲が広がっており、陽も沈みかけている。
 じき、夜が来る。夜目の効く人間がいたら自分の命が危ないだろう、そのように彼女は判断した。

 ドレスの裾があちこち裂け、泥と血で重くなっている。布が肌に貼りつき、動くたびに冷たい感触を残した。膝と脇腹の打撲から伝わる鈍い痛みが、逆に自分がまだ生きていることを知らせてくる。

「…? これは」
 
 何かが帳簿から落ちる。それは父が愛用していた財布だった。
 中には金貨が数枚鈍く輝いているのが見える。

 彼女は口をくっとしめてから、裏地を折り畳み自分の荷に加えた。

「……お疲れさまでした」

 言い直した声は小さく、窪地の空気にすぐ吸い込まれていった。耳の外では音にならなかったかもしれない。自分の喉の震えだけが、内側で確かに響いた。

 崖の上から流れてくる煙は、風に押されて谷の側面に細い層をつくっている。陽光は灰に遮られ、空の色はくすんで見えた。さっきまで自分が乗っていた馬車の位置あたりから、黒い煙がとくに濃く立ちのぼっている。

(あれで、侯爵家一同分の葬送の絵にはなるはずだ。自分が生きているとは、決して悟られないだろう)

 帝都の劇場で見た悲劇のラストシーンを思い出す。舞台の奥で燃え上がる城と、その手前で跪く役者たち。安物の煙の匂いと、客席のため息。あれに比べれば、今の方が費用対効果はずっと高い。そう考える自分に、少しうんざりする。

 エリアーナは一度だけ崖の上を見上げ、それから斜面を横へ移動し始めた。上へ戻る方向ではない。岩を踏み、木の根を掴み、斜面に残っている踏み跡をなぞる。かつて鉱山へ続いていた旧道が、このあたりから谷を巻くように伸びているはずだ。

 少し進んだ先で、崩れた石積みと半ば埋もれた道形が見つかった。雑草が繁っているが、人ひとりが通れる隙間は残っている。

 腕の中の帝国破産帳簿を再度、力強く抱え直す。
 革表紙が肋骨に当たり、硬さが身体の中心をもう一度縦に通り抜ける。
 胸元の封筒が、帳簿と自分のあいだで薄くきしむ。

 斜面の上方から、風に乗った声が届いた。

「……こりゃ助かっちゃいねえな。樽の火が移って、馬車ごと真っ黒だ」
「侯爵の娘は? 顔が分かるか」
「燃え方を見ろ。女物の靴と髪飾りはあった。十分だろ」

「そうか。じゃあ、これで完了だな」
「あぁ、それでいいだろ――」

 言葉の残りは、煙と木々のざわめきに紛れて聞き取れなかった。上の世界は、もう「事故」として話をまとめ始めている。話し合いの速さに妙な感心すら覚える。

 同時に、感謝した。
 帝国の結論しか見ない主義は、結果的に杜撰さを生み出すのだから。

(エリアーナ・クライフェルト、死亡。原因:山道での事故…行方不明の理由は、森に落下したって処理でもされるのでしょうか)

 少しばかり考察しながら、彼女は獣道ですらない道を駆ける。
 岩場を抜けると、傾斜が緩やかになった。獣道に近い細い道が、谷を巻くように続いている。そこから先は、帝都の税区の線がまだ引かれていない領域だ。

 エリアーナは、崖の方角へ一度だけ振り返った。
 山の稜線のあたりに、黒い煙が細く伸びている。
 口の中に、煤の味が残っていた。小さく息を吸い、前を向く。

 火の匂いを背に、彼女は歩き出した。

 どこへ行くのかは、まだ決めていない。
 ただ、足が勝手に前へ出る。

 一歩。
 もう一歩。

 靴底と土が触れるたび、心の中で数を打つ。

 一、二、三――と。

 彼女は静かに歩いていく。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

働かないつもりでしたのに、気づけば全部うまくいっていました ――自由に生きる貴族夫人と溺愛旦那様』

鷹 綾
恋愛
前世では、仕事に追われるだけの人生を送り、恋も自由も知らないまま終わった私。 だからこそ転生後に誓った―― 「今度こそ、働かずに優雅に生きる!」 と。 気づけば貴族夫人、しかも結婚相手は冷静沈着な名門貴族リチャード様。 「君は何もしなくていい。自由に過ごしてくれ」 ――理想的すぎる条件に、これは勝ち確人生だと思ったのに。 なぜか気づけば、 ・屋敷の管理を改善して使用人の待遇が激変 ・夫の仕事を手伝ったら経理改革が大成功 ・興味本位で教えた簿記と珠算が商業界に革命を起こす ・商人ギルドの顧問にまで祭り上げられる始末 「あれ? 私、働かない予定でしたよね???」 自分から出世街道を爆走するつもりはなかったはずなのに、 “やりたいことをやっていただけ”で、世界のほうが勝手に変わっていく。 一方、そんな彼女を静かに見守り続けていた夫・リチャードは、 実は昔から彼女を想い続けていた溺愛系旦那様で――。 「君が選ぶなら、私はずっとそばにいる」 働かないつもりだった貴族夫人が、 自由・仕事・愛情のすべてを“自分で選ぶ”人生に辿り着く物語。 これは、 何もしないはずだったのに、幸せだけは全部手に入れてしまった女性の物語。

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

捨てられた地味な王宮修復師(実は有能)、強面辺境伯の栄養管理で溺愛され、辺境を改革する ~王都の貴重な物が失われても知りませんよ?~

水上
恋愛
「カビ臭い地味女」と王太子に婚約破棄された王宮修復師のリディア。 彼女の芸術に関する知識と修復師としての技術は、誰からも必要性を理解されていなかった。 失意の中、嫁がされたのは皆から恐れられる強面辺境伯ジェラルドだった! しかし恐ろしい噂とは裏腹に、彼はリディアの不健康を見逃せない超・過保護で!? 絶品手料理と徹底的な体調管理で、リディアは心身ともに美しく再生していく。 一方、彼女を追放した王都では、貴重な物が失われたり、贋作騒動が起きたりとパニックになり始めて……。

婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。

黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」 豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。 しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。

『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています

六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。 しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。 「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!

乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまった私は、全力で死亡フラグを回避したいのに、なぜか空回りしてしまうんです(涙)

藤原 柚月
恋愛
(週一更新になります。楽しみにしてくださる方々、申し訳ありません。) この物語の主人公、ソフィアは五歳の時にデメトリアス公爵家の養女として迎えられた。 両親の不幸で令嬢になったソフィアは、両親が亡くなった時の記憶と引き替えに前世の記憶を思い出してしまった。 この世界が乙女ゲームの世界だと気付くのに時間がかからなかった。 自分が悪役令嬢と知ったソフィア。 婚約者となるのはアレン・ミットライト王太子殿下。なんとしても婚約破棄、もしくは婚約しないように計画していた矢先、突然の訪問が! 驚いたソフィアは何も考えず、「婚約破棄したい!」と、言ってしまう。 死亡フラグが立ってしまったーー!!?  早速フラグを回収してしまって内心穏やかではいられなかった。 そんなソフィアに殿下から「婚約破棄はしない」と衝撃な言葉が……。 しかも、正式に求婚されてしまう!? これはどういうこと!? ソフィアは混乱しつつもストーリーは進んでいく。 なんとしてても、ゲーム本作の学園入学までには婚約を破棄したい。 攻略対象者ともできるなら関わりたくない。そう思っているのになぜか関わってしまう。 中世ヨーロッパのような世界。だけど、中世ヨーロッパとはわずかに違う。 ファンタジーのふんわりとした世界で、彼女は婚約破棄、そして死亡フラグを回避出来るのか!? ※この作品はフィクションです。 実在の人物、団体などに一切関係ありません。 誤字脱字、感想を受け付けております。 HOT ランキング 4位にランクイン 第1回 一二三書房WEB小説大賞 一次選考通過作品 この作品は、小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。

蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。 これで、貴方も私も自由です。 ……だから、もういいですよね? 私も、自由にして……。 5年後。 私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、 親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、 今日も幸せに子育てをしています。 だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。 私のことは忘れて……。 これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。 はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?

身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜

しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」 魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。 鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。 (な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?) 実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。 レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。 「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」 冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。 一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。 「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」 これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。

処理中です...