11 / 47
11 誘い
しおりを挟む
「植物の世話をされていらっしゃるのだったかしら?」
「薬学研究です」
「エヴァンが植物と言っていたのだけれど、薬学でしたのね。庭師でも目指していらっしゃるのかと思っていたわ」
話し方は不機嫌ではなく、コロコロと笑うような明るい声を出してくる。しかし、内容は、どう考えても嫌味に聞こえた。王女の侍女という立場から見た、身分が低い者への仕事を見下すような笑い。そこには蔑みすら感じる。
仕事が庭師でも、植物に関われれば構わないが、カロリーナがオレリアをよく思っていないことは、よくわかった。
やはり、エヴァンと食事に行ったのは、失敗だった。侍女たちの態度も含め、カロリーナは思うところがあるのだろう。
(それはそうよね。恋人がいるのに、幼馴染とはいえ、女性と食事だなんて)
オレリアが同じことをされたら、何を思うだろう。先に食事について教えられていても、心の中では、焦りややっかみの感情が膨らむに違いない。婚約でもしていたら、なおさらだ。
だから仕方がない。彼女がオレリアを敵対視することは。
「では、私はこれで」
関わらない方がいいだろう。そして、エヴァンからまた誘いが来るようならば、断ればいい。
なのに、他の侍女たちが、前を遮るように立ちはだかった。そんなに箱でぶつかってほしいのか。
「ねえ、オレリアさん。植物園にもいらっしゃるの? 今度、お邪魔させていただけないかしら?」
「王宮に入れる人であれば、植物園は入れますよ。研究員専用の植物園は入れませんが」
「まあ、そうなのね。研究員専用、はどこにあるのか存じませんけれど。でしたら、私たちが入れる植物園を、案内していただけない?」
「私は案内できるほど詳しくないので、他の方に頼まれた方がいいと思います」
カロリーナは問うてくるが、植物園は誰でも入れるのだから、好きに入ればいいだろう。案内はむしろオレリアがしてほしいほどだ。一度一周しただけで、今は研究員専用の薬学植物園しか行っていない。残念ながら、ゆっくり観察を楽しめるほど、余裕がなかった。
「お相手が、カロリーナ様だから、嫌がっているんじゃありません?」
「どういう意味ですか?」
「どういう意味って、そのままの意味ですわよ」
突っかかられて面倒だと思うのは、無関係の人間が関わってくることだ。お前に何か関係があるのか? と口が先に出そうになるのを、なんとか我慢する。こういう手合いを相手にするには、隙を見せる真似はしない方がいい。あとで、悪意を混ぜて吹聴してくるからだ。
「オレリアさんは真面目な方なだけですわ。女性の好まぬ研究員になるなど、とても奇異な考え方をされる方ですもの」
今、全世界の研究員の女性を敵に回したのだが、わかっているだろうか。その女性たちが努力した結果、薬ができたことについて、馬鹿にしていることがわかっているのだろうか。
さすがにオレリアもムッとする。エヴァンはこの人のどこが良いのかと、頭によぎってきた。
自分の方がまだ性格は良さそうな気がするが、負け犬の遠吠えすぎて虚しくなってくるので、その考えはすぐに捨てた。オレリアを敵対視しているので、性格も悪くなってしまうのだろう。多分。
オレリアだったら、もっと性格の悪いことを口走ってしまうかもしれないのだから、こんなものだろう。
カロリーナたちは、そこを退く気はないと、しつこく言ってくる。嫌がらせをしたいのか、嫌味が言いたいのかはわからないが、これ以上断らない方が良さそうだ。廊下を通る人たちがじろじろ見ていくので、気分は良くない。明日あたり、新しい噂が王宮内を巡っていそうなので、この場をさっさと去りたかった。
「植物園は管轄外ですが、それでもよければ、ご一緒します」
「まあ、ありがとう。では、お約束のお手紙をお送りするわ。研究所でよろしくて?」
「はあ、まあ」
研究所に住んでいると思っているのだろうか。学院の寮だと訂正するのも面倒なので、そうしてもらう。
やっと自由になって、オレリアは研究所に戻ることができた。なんだかどっと疲れた気がする。
「関連の本はそんなに多かったのか。悪かったな。少し休んだらどうだ。自分の研究もしているのだろう?」
セドリックが飲み物を持ってきてくれる。荷物を頼んだ手前、わざわざ紅茶を淹れてくれたようだ。
普段はコーヒーで眠気を覚ましていると聞いた。紅茶はオレリアのために用意してくれる。
魔法で水を注いで、一瞬で沸騰させ、最適な温度に下げるのは、この研究所の人たちならではの技だろう。オレリアはあんな器用な真似をしたことがない。沸騰くらいならともかく、水を一定温度にすることは、高度な魔法だ。魔力の放出量を繊細に操るのに、ちょうど良い練習になると、リビーも笑って言っていた。
セドリックはそれを当たり前に行って、オレリアにはお菓子も出してくれた。
(優しいのよね。とても。疲れたから、甘いお菓子はありがたいわ)
「おいしいです。すごく」
温かな紅茶が、胃に染みる。先ほどまでのイライラが流れていくようだ。
「なにかあったのか?」
「いえ、ちょっと」
どうして気づかれるのだろう。顔に出てしまっているだろうか。
大したことはないと言いながら、セドリックが目の前のソファーに座るので、お茶の肴に先ほどの話をすることにした。
「断るのも失礼かと思いましたけれど、断ったら断ったで面倒そうなので、仕方なく」
「ふむ。アデラに注意しておくか?」
「とんでもないです。わたくしごとですから。それに、彼女の気持ちもわかるので。もしかしたら、植物園でゆっくり、私と何かを話したいのかもしれないですし」
「そうか? あまり良い雰囲気を感じなかったけれどな」
「そう思いますか?」
「そう思うだろう。ああいう女の視線を見る限り、面倒になることが多いからな」
その中枢にいるセドリックは、周囲で起きる女性たちの戦いに辟易しているのだろう。関わらずに済むのならば、放っておきたいはずだ。
裏で何をしているのか知らずにいれば、楽なのかもしれない。
この男のように。
「どうして、エヴァンまでいるの?」
「オレリアが、植物園を案内してくれるって聞いたんだ」
「私はこの植物園について、詳しいわけじゃないわ」
「そうなの? わざわざ買って出てくれたって、聞いたけれど」
「どうして、そうなるの。暇なんてないのに」
「エヴァン。楽しみだわ。私、この植物園に一度来たかったの」
二人で話していると、カロリーナが割って入ってきた。エヴァンの腕を取ると、嬉しそうにその顔を見つめる。
カロリーナの他には、侍女二人。紹介してこないので、名前も知らない。エヴァンとカロリーナが二人で歩き始めるのを見て、鼻で笑うようにしてオレリアの前を通り過ぎていく。
案内をしてほしかったのではなかったのか?
「薬学研究です」
「エヴァンが植物と言っていたのだけれど、薬学でしたのね。庭師でも目指していらっしゃるのかと思っていたわ」
話し方は不機嫌ではなく、コロコロと笑うような明るい声を出してくる。しかし、内容は、どう考えても嫌味に聞こえた。王女の侍女という立場から見た、身分が低い者への仕事を見下すような笑い。そこには蔑みすら感じる。
仕事が庭師でも、植物に関われれば構わないが、カロリーナがオレリアをよく思っていないことは、よくわかった。
やはり、エヴァンと食事に行ったのは、失敗だった。侍女たちの態度も含め、カロリーナは思うところがあるのだろう。
(それはそうよね。恋人がいるのに、幼馴染とはいえ、女性と食事だなんて)
オレリアが同じことをされたら、何を思うだろう。先に食事について教えられていても、心の中では、焦りややっかみの感情が膨らむに違いない。婚約でもしていたら、なおさらだ。
だから仕方がない。彼女がオレリアを敵対視することは。
「では、私はこれで」
関わらない方がいいだろう。そして、エヴァンからまた誘いが来るようならば、断ればいい。
なのに、他の侍女たちが、前を遮るように立ちはだかった。そんなに箱でぶつかってほしいのか。
「ねえ、オレリアさん。植物園にもいらっしゃるの? 今度、お邪魔させていただけないかしら?」
「王宮に入れる人であれば、植物園は入れますよ。研究員専用の植物園は入れませんが」
「まあ、そうなのね。研究員専用、はどこにあるのか存じませんけれど。でしたら、私たちが入れる植物園を、案内していただけない?」
「私は案内できるほど詳しくないので、他の方に頼まれた方がいいと思います」
カロリーナは問うてくるが、植物園は誰でも入れるのだから、好きに入ればいいだろう。案内はむしろオレリアがしてほしいほどだ。一度一周しただけで、今は研究員専用の薬学植物園しか行っていない。残念ながら、ゆっくり観察を楽しめるほど、余裕がなかった。
「お相手が、カロリーナ様だから、嫌がっているんじゃありません?」
「どういう意味ですか?」
「どういう意味って、そのままの意味ですわよ」
突っかかられて面倒だと思うのは、無関係の人間が関わってくることだ。お前に何か関係があるのか? と口が先に出そうになるのを、なんとか我慢する。こういう手合いを相手にするには、隙を見せる真似はしない方がいい。あとで、悪意を混ぜて吹聴してくるからだ。
「オレリアさんは真面目な方なだけですわ。女性の好まぬ研究員になるなど、とても奇異な考え方をされる方ですもの」
今、全世界の研究員の女性を敵に回したのだが、わかっているだろうか。その女性たちが努力した結果、薬ができたことについて、馬鹿にしていることがわかっているのだろうか。
さすがにオレリアもムッとする。エヴァンはこの人のどこが良いのかと、頭によぎってきた。
自分の方がまだ性格は良さそうな気がするが、負け犬の遠吠えすぎて虚しくなってくるので、その考えはすぐに捨てた。オレリアを敵対視しているので、性格も悪くなってしまうのだろう。多分。
オレリアだったら、もっと性格の悪いことを口走ってしまうかもしれないのだから、こんなものだろう。
カロリーナたちは、そこを退く気はないと、しつこく言ってくる。嫌がらせをしたいのか、嫌味が言いたいのかはわからないが、これ以上断らない方が良さそうだ。廊下を通る人たちがじろじろ見ていくので、気分は良くない。明日あたり、新しい噂が王宮内を巡っていそうなので、この場をさっさと去りたかった。
「植物園は管轄外ですが、それでもよければ、ご一緒します」
「まあ、ありがとう。では、お約束のお手紙をお送りするわ。研究所でよろしくて?」
「はあ、まあ」
研究所に住んでいると思っているのだろうか。学院の寮だと訂正するのも面倒なので、そうしてもらう。
やっと自由になって、オレリアは研究所に戻ることができた。なんだかどっと疲れた気がする。
「関連の本はそんなに多かったのか。悪かったな。少し休んだらどうだ。自分の研究もしているのだろう?」
セドリックが飲み物を持ってきてくれる。荷物を頼んだ手前、わざわざ紅茶を淹れてくれたようだ。
普段はコーヒーで眠気を覚ましていると聞いた。紅茶はオレリアのために用意してくれる。
魔法で水を注いで、一瞬で沸騰させ、最適な温度に下げるのは、この研究所の人たちならではの技だろう。オレリアはあんな器用な真似をしたことがない。沸騰くらいならともかく、水を一定温度にすることは、高度な魔法だ。魔力の放出量を繊細に操るのに、ちょうど良い練習になると、リビーも笑って言っていた。
セドリックはそれを当たり前に行って、オレリアにはお菓子も出してくれた。
(優しいのよね。とても。疲れたから、甘いお菓子はありがたいわ)
「おいしいです。すごく」
温かな紅茶が、胃に染みる。先ほどまでのイライラが流れていくようだ。
「なにかあったのか?」
「いえ、ちょっと」
どうして気づかれるのだろう。顔に出てしまっているだろうか。
大したことはないと言いながら、セドリックが目の前のソファーに座るので、お茶の肴に先ほどの話をすることにした。
「断るのも失礼かと思いましたけれど、断ったら断ったで面倒そうなので、仕方なく」
「ふむ。アデラに注意しておくか?」
「とんでもないです。わたくしごとですから。それに、彼女の気持ちもわかるので。もしかしたら、植物園でゆっくり、私と何かを話したいのかもしれないですし」
「そうか? あまり良い雰囲気を感じなかったけれどな」
「そう思いますか?」
「そう思うだろう。ああいう女の視線を見る限り、面倒になることが多いからな」
その中枢にいるセドリックは、周囲で起きる女性たちの戦いに辟易しているのだろう。関わらずに済むのならば、放っておきたいはずだ。
裏で何をしているのか知らずにいれば、楽なのかもしれない。
この男のように。
「どうして、エヴァンまでいるの?」
「オレリアが、植物園を案内してくれるって聞いたんだ」
「私はこの植物園について、詳しいわけじゃないわ」
「そうなの? わざわざ買って出てくれたって、聞いたけれど」
「どうして、そうなるの。暇なんてないのに」
「エヴァン。楽しみだわ。私、この植物園に一度来たかったの」
二人で話していると、カロリーナが割って入ってきた。エヴァンの腕を取ると、嬉しそうにその顔を見つめる。
カロリーナの他には、侍女二人。紹介してこないので、名前も知らない。エヴァンとカロリーナが二人で歩き始めるのを見て、鼻で笑うようにしてオレリアの前を通り過ぎていく。
案内をしてほしかったのではなかったのか?
1,804
あなたにおすすめの小説
【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った
五色ひわ
恋愛
辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。アメリアは真実を確かめるため、3年ぶりに王都へと旅立った。
※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話
婚約者の幼馴染に殺されそうになりました。私は彼女の秘密を知ってしまったようです【完結】
小平ニコ
恋愛
選ばれた貴族の令嬢・令息のみが通うことを許される王立高等貴族院で、私は婚約者のチェスタスと共に楽しい学園生活を謳歌していた。
しかし、ある日突然転入してきたチェスタスの幼馴染――エミリーナによって、私の生活は一変してしまう。それまで、どんな時も私を第一に考えてくれていたチェスタスが、目に見えてエミリーナを優先するようになったのだ。
チェスタスが言うには、『まだ王立高等貴族院の生活に慣れてないエミリーナを気遣ってやりたい』とのことだったが、彼のエミリーナに対する特別扱いは、一週間経っても、二週間経っても続き、私はどこか釈然としない気持ちで日々を過ごすしかなかった。
そんなある日、エミリーナの転入が、不正な方法を使った裏口入学であることを私は知ってしまう。私は間違いを正すため、王立高等貴族院で最も信頼できる若い教師――メイナード先生に、不正の報告をしようとした。
しかし、その行動に気がついたエミリーナは、私を屋上に連れて行き、口封じのために、地面に向かって突き落としたのだった……
何年も相手にしてくれなかったのに…今更迫られても困ります
Karamimi
恋愛
侯爵令嬢のアンジュは、子供の頃から大好きだった幼馴染のデイビッドに5度目の婚約を申し込むものの、断られてしまう。さすがに5度目という事もあり、父親からも諦める様言われてしまった。
自分でも分かっている、もう潮時なのだと。そんな中父親から、留学の話を持ち掛けられた。環境を変えれば、気持ちも落ち着くのではないかと。
彼のいない場所に行けば、彼を忘れられるかもしれない。でも、王都から出た事のない自分が、誰も知らない異国でうまくやっていけるのか…そんな不安から、返事をする事が出来なかった。
そんな中、侯爵令嬢のラミネスから、自分とデイビッドは愛し合っている。彼が騎士団長になる事が決まった暁には、自分と婚約をする事が決まっていると聞かされたのだ。
大きなショックを受けたアンジュは、ついに留学をする事を決意。専属メイドのカリアを連れ、1人留学の先のミラージュ王国に向かったのだが…
【完結】婚約者も両親も家も全部妹に取られましたが、庭師がざまぁ致します。私はどうやら帝国の王妃になるようです?
鏑木 うりこ
恋愛
父親が一緒だと言う一つ違いの妹は姉の物を何でも欲しがる。とうとう婚約者のアレクシス殿下まで欲しいと言い出た。もうここには居たくない姉のユーティアは指輪を一つだけ持って家を捨てる事を決める。
「なあ、お嬢さん、指輪はあんたを選んだのかい?」
庭師のシューの言葉に頷くと、庭師はにやりと笑ってユーティアの手を取った。
少し前に書いていたものです。ゆるーく見ていただけると助かります(*‘ω‘ *)
HOT&人気入りありがとうございます!(*ノωノ)<ウオオオオオオ嬉しいいいいい!
色々立て込んでいるため、感想への返信が遅くなっております、申し訳ございません。でも全部ありがたく読ませていただいております!元気でます~!('ω')完結まで頑張るぞーおー!
★おかげさまで完結致しました!そしてたくさんいただいた感想にやっとお返事が出来ました!本当に本当にありがとうございます、元気で最後まで書けたのは皆さまのお陰です!嬉し~~~~~!
これからも恋愛ジャンルもポチポチと書いて行きたいと思います。また趣味趣向に合うものがありましたら、お読みいただけるととっても嬉しいです!わーいわーい!
【完結】をつけて、完結表記にさせてもらいました!やり遂げた~(*‘ω‘ *)
これって政略結婚じゃないんですか? ー彼が指輪をしている理由ー
小田恒子
恋愛
この度、幼馴染とお見合いを経て政略結婚する事になりました。
でも、その彼の左手薬指には、指輪が輝いてます。
もしかして、これは本当に形だけの結婚でしょうか……?
表紙はぱくたそ様のフリー素材、フォントは簡単表紙メーカー様のものを使用しております。
全年齢作品です。
ベリーズカフェ公開日 2022/09/21
アルファポリス公開日 2025/06/19
作品の無断転載はご遠慮ください。
なんでも奪っていく妹に、婚約者まで奪われました
ねむ太朗
恋愛
伯爵令嬢のリリアーナは、小さい頃から、妹のエルーシアにネックレスや髪飾りなどのお気に入りの物を奪われてきた。
とうとう、婚約者のルシアンまでも妹に奪われてしまい……
なんでも思い通りにしないと気が済まない妹から逃げ出したい
木崎優
恋愛
「君には大変申し訳なく思っている」
私の婚約者はそう言って、心苦しそうに顔を歪めた。「私が悪いの」と言いながら瞳を潤ませている、私の妹アニエスの肩を抱きながら。
アニエスはいつだって私の前に立ちはだかった。
これまで何ひとつとして、私の思い通りになったことはない。すべてアニエスが決めて、両親はアニエスが言うことならと頷いた。
だからきっと、この婚約者の入れ替えも両親は快諾するのだろう。アニエスが決めたのなら間違いないからと。
もういい加減、妹から離れたい。
そう思った私は、魔術師の弟子ノエルに結婚を前提としたお付き合いを申し込んだ。互いに利のある契約として。
だけど弟子だと思ってたその人は実は魔術師で、しかも私を好きだったらしい。
王命により、婚約破棄されました。
緋田鞠
恋愛
魔王誕生に対抗するため、異界から聖女が召喚された。アストリッドは結婚を翌月に控えていたが、婚約者のオリヴェルが、聖女の指名により独身男性のみが所属する魔王討伐隊の一員に選ばれてしまった。その結果、王命によって二人の婚約が破棄される。運命として受け入れ、世界の安寧を祈るため、修道院に身を寄せて二年。久しぶりに再会したオリヴェルは、以前と変わらず、アストリッドに微笑みかけた。「私は、長年の約束を違えるつもりはないよ」。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる