2 / 103
2 ーフィオナー
しおりを挟む
「私の名前は、フィオナ・ブルイエと言います。十七歳で、イリノエア地方に住んでいて」
言いながら、自分のことを思い出す。
フィオナは生まれた時から体が弱く、ほとんど家の中で過ごしていた。たまに外に出るのは、近くの森へ散歩か、ブルイエ家が支援している孤児院の子供たちに会いに行くくらい。
ごくたまに招待されたパーティへ参加することもあったが、稀と言っていいほどの回数だ。
「体が弱くて、疲れていたから、早くベッドに入って……」
そんなことを説明しながら、フィオナは自分の手のひらをずっとつねっていた。
(ゆめ。夢だわ。夢でしょ!? 何で私は知らない人になってるの??)
どうして、こんなことが起きているのか分からない。
それに、さっきまでのことを思い出すと、ズキリと頭が痛んだ。
(外は風が強くてうるさかったけど、そのまま寝ちゃったのよね……?)
家族が領主のパーティに出掛けている間、体調が悪くなって早めにベッドに入って就寝したのだ。そのまま寝入ってしまったか、その後の記憶がない。
フィオナはセレスティーヌなど知らないことと、自分が別人であることを女性に伝えた。
女性はにわかには信じられないと唖然としている。
フィオナもきっと同じ顔をしているだろう。別の人の体になったなど、フィオナだって信じられない。
「お、奥様、頭でも打ったのでは……?」
「打ってないです。いえ、この人は打ったかもしれませんけれど。私は、ブルイエ家の長女で、貴族と言っても名ばかりの家で、こんな豪華なお部屋ではなくて、自分の部屋で眠っていて……」
女性はフィオナがぶるぶる顔を振って説明するのを見て、みるみるうちに顔色を青ざめさせた。
「このお部屋が、豪華とおっしゃるのですか??」
「え、こんなに豪華ですけれど。違うんですか??」
今座っているソファーは薄い青緑色で、座り心地はふんわり、触り心地はすべすべ。肘置きは細かな彫刻がなされている上に、銀を差し色として飾られている。
部屋の中は銀の縁と薄い青緑で統一されており、壁は薄いベージュを使用していたが、調度品も全てその色で統一されているので、それだけでもお金を掛けているのが分かる。
(まるで、さっきの旦那さんみたいな色を使ってるわよね……)
「すごく、綺麗な色で統一されてますし、すごくお金が掛かったのでは?」
「豪華ではありますが、これは奥様が注文なされて……。でも、まだ物足りないと……。な、なにか、別人になるきっかけなどあったのでしょうか? 思い付くことは何もないのでしょうか!?」
豪華と聞いて、なぜか女性は信じたようだ。食いつくようにフィオナの前でひざまずき、太ももにすがりつく。
「お、落ち着いてください。私も分かりません。私は体調を悪くして、早めに眠っただけなので。こちらの奥様には、何もなかったんですか?」
フィオナが問うと、女性はびくりと体を震わせて黙ってみせる。何かあったと言わんばかりの表情をして沈黙したまま、ポケットからそろりと小さな瓶を取り出した。
「奥様は、この瓶に入っていた薬を飲んだと思われます……」
そう言って深く息を吐くと、ポツポツと話し始めた。
「奥様のお名前は、セレスティーヌ様。旦那様のお名前はクラウディオ様です。シューラヌ国バラチア地方を領土とした公爵でいらっしゃいます。私はメイドのリディと申します」
フィオナは耳にしたことのない場所だ。フィオナの国に公爵の身分はない。遠い国の話なのかと、黙ってリディの話に耳を傾けた。
セレスティーヌは夫、先ほど部屋にいた偉そうな銀髪の男クラウディオに一目惚れをし、父親に頼み結婚へと漕ぎ着けた。
クラウディオは、王国の都近くの土地を領地としている公爵なる身分を持っている。父親が存命の頃、その公爵領で大きな災害が起き、病が流行ったため、経済共に大打撃を受けたそうだ。そして、その際に大きな借金を抱え込んだ。
その上父親が倒れ、クラウディオは借金返済に奔走した。
それを助けたのがセレスティーヌの父親で、その借金の恩でセレスティーヌはクラウディオと結婚したのだ。
「それで、セレスティーヌさんは旦那さんと仲が良くないんですか?」
「そ、そう、ですね……。その、夫婦として寝所を共にされたこともありませんし、お食事は朝食のみご一緒される約束なのですが、お話しすることはありませんし、他にも……」
リディはごにょごにょとごまかすように言うが、とにかくクラウディオには相手にされず、しかしクラウディオは領土の困窮を助けてもらった恩があるので離婚もできず、愛されることのないセレスティーヌはクラウディオに好かれようと、日々色々なことをやらかしていたらしい。
「奥様は純粋に旦那様を愛していらっしゃったのですが、それが旦那様には重荷だったと申しますか……」
先程のクラウディオの態度で良く分かる。
セレスティーヌは何とか気を引こうとしていたが、クラウディオにはきかず、何をしても裏目に出てしまっていたようだ。
しかもクラウディオには好きな人がいたようで、そこに割り込まれて結婚させられたのだから、クラウディオがセレスティーヌを嫌がって当然だった。
「泥沼すぎる……」
「奥様は気の弱いところはあるのですが、一度決めると梃子でも動かない頑固さというか、思い詰めることがありまして。時折泣き出したり、ヒステリックに喚いたりすがりついたりすることもあったのです。それに旦那様は辟易していて……」
「それは、なんと言うか……、悪循環ですね」
そうして、セレスティーヌはどこからか手に入れた薬をあおり、今に至る。
「セレスティーヌ様は、変わりたいとずっとおっしゃっていたんです。この薬を飲めば、変われるからと。ですので、自殺ではないと思うのです。……まさか、別人になるとは思いませんでしたが」
リディはセレスティーヌが倒れていた時、側にあった瓶を見て、すぐに倒れた原因がこれだと思ったそうだ。
「どうしてお医者さんにこれを見せなかったんですか?」
医師に見せれば原因が分かったかもしれないのに、リディは見せずにポケットにしまっていた。
「誰にも言うなと口止めされていたからです。それに、倒れられていても、すぐに起き上がるのかと思っていました。その、……そういう薬を飲まれたのかと思って、私は旦那様を呼びに行きました」
つまり、前にもそんなふりをしたことがあるらしい。
仮病を使ったり薬を飲んで倒れたりとするので、リディは今回もそれだと理解してクラウディオを呼びに行ったそうだ。
それなのに、セレスティーヌは倒れたまま。口止めされていたこともあって瓶の話を口にできなかったが、リディも動転していたようだ。
「これをどこで手に入れたのかは存じません。ですが、セレスティーヌ様はこの薬をお守りのように大事にしていました。この瓶を手にして、いつも考え事を」
だが、セレスティーヌはそれを飲んで倒れ、フィオナが彼女の体を乗っ取った。
なぜそんなことが起きたのか分からないが、セレスティーヌの行為が原因の一つなのかもしれない。
「旦那様にこのことを話しても、信じてはくれないでしょう」
「自分の奥さんが倒れたのに心配してなかったですし、演技でもして気を引こうとしていると思われそうですね……」
「あの、フィオナ様、でよろしいですか?」
「私の名前はフィオナ・ブルイエなので、二人でいる時はそちらで呼んでください」
「フィオナ様は、その、病気で亡くなったということではないのでしょうか?」
「……分かりません」
体調が悪かったのは覚えている。パーティに出掛けた家族の帰りを待たず早めにベッドに入り、眠ってしまった。
外は嵐か、風の音がひどくうるさく、気になったことは覚えている。
思い出そうとすると、ズキリと頭が痛む。ベッドに入って寝転んだのは覚えているが、その後のことを覚えていない。
「奥様は亡くなってしまったのでしょうか……」
フィオナも何も分からない。フィオナが口籠もっていると、リディは小さく呟いて、静かに涙を流した。
言いながら、自分のことを思い出す。
フィオナは生まれた時から体が弱く、ほとんど家の中で過ごしていた。たまに外に出るのは、近くの森へ散歩か、ブルイエ家が支援している孤児院の子供たちに会いに行くくらい。
ごくたまに招待されたパーティへ参加することもあったが、稀と言っていいほどの回数だ。
「体が弱くて、疲れていたから、早くベッドに入って……」
そんなことを説明しながら、フィオナは自分の手のひらをずっとつねっていた。
(ゆめ。夢だわ。夢でしょ!? 何で私は知らない人になってるの??)
どうして、こんなことが起きているのか分からない。
それに、さっきまでのことを思い出すと、ズキリと頭が痛んだ。
(外は風が強くてうるさかったけど、そのまま寝ちゃったのよね……?)
家族が領主のパーティに出掛けている間、体調が悪くなって早めにベッドに入って就寝したのだ。そのまま寝入ってしまったか、その後の記憶がない。
フィオナはセレスティーヌなど知らないことと、自分が別人であることを女性に伝えた。
女性はにわかには信じられないと唖然としている。
フィオナもきっと同じ顔をしているだろう。別の人の体になったなど、フィオナだって信じられない。
「お、奥様、頭でも打ったのでは……?」
「打ってないです。いえ、この人は打ったかもしれませんけれど。私は、ブルイエ家の長女で、貴族と言っても名ばかりの家で、こんな豪華なお部屋ではなくて、自分の部屋で眠っていて……」
女性はフィオナがぶるぶる顔を振って説明するのを見て、みるみるうちに顔色を青ざめさせた。
「このお部屋が、豪華とおっしゃるのですか??」
「え、こんなに豪華ですけれど。違うんですか??」
今座っているソファーは薄い青緑色で、座り心地はふんわり、触り心地はすべすべ。肘置きは細かな彫刻がなされている上に、銀を差し色として飾られている。
部屋の中は銀の縁と薄い青緑で統一されており、壁は薄いベージュを使用していたが、調度品も全てその色で統一されているので、それだけでもお金を掛けているのが分かる。
(まるで、さっきの旦那さんみたいな色を使ってるわよね……)
「すごく、綺麗な色で統一されてますし、すごくお金が掛かったのでは?」
「豪華ではありますが、これは奥様が注文なされて……。でも、まだ物足りないと……。な、なにか、別人になるきっかけなどあったのでしょうか? 思い付くことは何もないのでしょうか!?」
豪華と聞いて、なぜか女性は信じたようだ。食いつくようにフィオナの前でひざまずき、太ももにすがりつく。
「お、落ち着いてください。私も分かりません。私は体調を悪くして、早めに眠っただけなので。こちらの奥様には、何もなかったんですか?」
フィオナが問うと、女性はびくりと体を震わせて黙ってみせる。何かあったと言わんばかりの表情をして沈黙したまま、ポケットからそろりと小さな瓶を取り出した。
「奥様は、この瓶に入っていた薬を飲んだと思われます……」
そう言って深く息を吐くと、ポツポツと話し始めた。
「奥様のお名前は、セレスティーヌ様。旦那様のお名前はクラウディオ様です。シューラヌ国バラチア地方を領土とした公爵でいらっしゃいます。私はメイドのリディと申します」
フィオナは耳にしたことのない場所だ。フィオナの国に公爵の身分はない。遠い国の話なのかと、黙ってリディの話に耳を傾けた。
セレスティーヌは夫、先ほど部屋にいた偉そうな銀髪の男クラウディオに一目惚れをし、父親に頼み結婚へと漕ぎ着けた。
クラウディオは、王国の都近くの土地を領地としている公爵なる身分を持っている。父親が存命の頃、その公爵領で大きな災害が起き、病が流行ったため、経済共に大打撃を受けたそうだ。そして、その際に大きな借金を抱え込んだ。
その上父親が倒れ、クラウディオは借金返済に奔走した。
それを助けたのがセレスティーヌの父親で、その借金の恩でセレスティーヌはクラウディオと結婚したのだ。
「それで、セレスティーヌさんは旦那さんと仲が良くないんですか?」
「そ、そう、ですね……。その、夫婦として寝所を共にされたこともありませんし、お食事は朝食のみご一緒される約束なのですが、お話しすることはありませんし、他にも……」
リディはごにょごにょとごまかすように言うが、とにかくクラウディオには相手にされず、しかしクラウディオは領土の困窮を助けてもらった恩があるので離婚もできず、愛されることのないセレスティーヌはクラウディオに好かれようと、日々色々なことをやらかしていたらしい。
「奥様は純粋に旦那様を愛していらっしゃったのですが、それが旦那様には重荷だったと申しますか……」
先程のクラウディオの態度で良く分かる。
セレスティーヌは何とか気を引こうとしていたが、クラウディオにはきかず、何をしても裏目に出てしまっていたようだ。
しかもクラウディオには好きな人がいたようで、そこに割り込まれて結婚させられたのだから、クラウディオがセレスティーヌを嫌がって当然だった。
「泥沼すぎる……」
「奥様は気の弱いところはあるのですが、一度決めると梃子でも動かない頑固さというか、思い詰めることがありまして。時折泣き出したり、ヒステリックに喚いたりすがりついたりすることもあったのです。それに旦那様は辟易していて……」
「それは、なんと言うか……、悪循環ですね」
そうして、セレスティーヌはどこからか手に入れた薬をあおり、今に至る。
「セレスティーヌ様は、変わりたいとずっとおっしゃっていたんです。この薬を飲めば、変われるからと。ですので、自殺ではないと思うのです。……まさか、別人になるとは思いませんでしたが」
リディはセレスティーヌが倒れていた時、側にあった瓶を見て、すぐに倒れた原因がこれだと思ったそうだ。
「どうしてお医者さんにこれを見せなかったんですか?」
医師に見せれば原因が分かったかもしれないのに、リディは見せずにポケットにしまっていた。
「誰にも言うなと口止めされていたからです。それに、倒れられていても、すぐに起き上がるのかと思っていました。その、……そういう薬を飲まれたのかと思って、私は旦那様を呼びに行きました」
つまり、前にもそんなふりをしたことがあるらしい。
仮病を使ったり薬を飲んで倒れたりとするので、リディは今回もそれだと理解してクラウディオを呼びに行ったそうだ。
それなのに、セレスティーヌは倒れたまま。口止めされていたこともあって瓶の話を口にできなかったが、リディも動転していたようだ。
「これをどこで手に入れたのかは存じません。ですが、セレスティーヌ様はこの薬をお守りのように大事にしていました。この瓶を手にして、いつも考え事を」
だが、セレスティーヌはそれを飲んで倒れ、フィオナが彼女の体を乗っ取った。
なぜそんなことが起きたのか分からないが、セレスティーヌの行為が原因の一つなのかもしれない。
「旦那様にこのことを話しても、信じてはくれないでしょう」
「自分の奥さんが倒れたのに心配してなかったですし、演技でもして気を引こうとしていると思われそうですね……」
「あの、フィオナ様、でよろしいですか?」
「私の名前はフィオナ・ブルイエなので、二人でいる時はそちらで呼んでください」
「フィオナ様は、その、病気で亡くなったということではないのでしょうか?」
「……分かりません」
体調が悪かったのは覚えている。パーティに出掛けた家族の帰りを待たず早めにベッドに入り、眠ってしまった。
外は嵐か、風の音がひどくうるさく、気になったことは覚えている。
思い出そうとすると、ズキリと頭が痛む。ベッドに入って寝転んだのは覚えているが、その後のことを覚えていない。
「奥様は亡くなってしまったのでしょうか……」
フィオナも何も分からない。フィオナが口籠もっていると、リディは小さく呟いて、静かに涙を流した。
464
あなたにおすすめの小説
嫌われ皇后は子供が可愛すぎて皇帝陛下に構っている時間なんてありません。
しあ
恋愛
目が覚めるとお腹が痛い!
声が出せないくらいの激痛。
この痛み、覚えがある…!
「ルビア様、赤ちゃんに酸素を送るためにゆっくり呼吸をしてください!もうすぐですよ!」
やっぱり!
忘れてたけど、お産の痛みだ!
だけどどうして…?
私はもう子供が産めないからだだったのに…。
そんなことより、赤ちゃんを無事に産まないと!
指示に従ってやっと生まれた赤ちゃんはすごく可愛い。だけど、どう見ても日本人じゃない。
どうやら私は、わがままで嫌われ者の皇后に憑依転生したようです。だけど、赤ちゃんをお世話するのに忙しいので、構ってもらわなくて結構です。
なのに、どうして私を嫌ってる皇帝が部屋に訪れてくるんですか!?しかも毎回イラッとするとこを言ってくるし…。
本当になんなの!?あなたに構っている時間なんてないんですけど!
※視点がちょくちょく変わります。
ガバガバ設定、なんちゃって知識で書いてます。
エールを送って下さりありがとうございました!
美人同僚のおまけとして異世界召喚された私、無能扱いされ王城から追い出される。私の才能を見出してくれた辺境伯様と一緒に田舎でのんびりスローライ
さくら
恋愛
美人な同僚の“おまけ”として異世界に召喚された私。けれど、無能だと笑われ王城から追い出されてしまう――。
絶望していた私を拾ってくれたのは、冷徹と噂される辺境伯様でした。
荒れ果てた村で彼の隣に立ちながら、料理を作り、子供たちに針仕事を教え、少しずつ居場所を見つけていく私。
優しい言葉をかけてくれる領民たち、そして、時折見せる辺境伯様の微笑みに、胸がときめいていく……。
華やかな王都で「無能」と追放された女が、辺境で自分の価値を見つけ、誰よりも大切に愛される――。
至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます
下菊みこと
恋愛
至って普通の女子高生でありながら事故に巻き込まれ(というか自分から首を突っ込み)転生した天宮めぐ。転生した先はよく知った大好きな恋愛小説の世界。でも主人公ではなくほぼ登場しない脇役姫に転生してしまった。姉姫は優しくて朗らかで誰からも愛されて、両親である国王、王妃に愛され貴公子達からもモテモテ。一方自分は妾の子で陰鬱で誰からも愛されておらず王位継承権もあってないに等しいお姫様になる予定。こんな待遇満足できるか!羨ましさこそあれど恨みはない姉姫さまを守りつつ、目指せ隣国の王太子ルート!小説家になろう様でも「主人公気質なわけでもなく恋愛フラグもなければ死亡フラグに満ち溢れているわけでもない至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます」というタイトルで掲載しています。
勘違いで嫁ぎましたが、相手が理想の筋肉でした!
エス
恋愛
「男性の魅力は筋肉ですわっ!!」
華奢な男がもてはやされるこの国で、そう豪語する侯爵令嬢テレーゼ。
縁談はことごとく破談し、兄アルベルトも王太子ユリウスも頭を抱えていた。
そんな折、騎士団長ヴォルフがユリウスの元に「若い女性を紹介してほしい」と相談に現れる。
よく見ればこの男──家柄よし、部下からの信頼厚し、そして何より、圧巻の筋肉!!
「この男しかいない!」とユリウスは即断し、テレーゼとの結婚話を進める。
ところがテレーゼが嫁いだ先で、当のヴォルフは、
「俺は……メイドを紹介してほしかったんだが!?」
と何やら焦っていて。
……まあ細かいことはいいでしょう。
なにせ、その腕、その太もも、その背中。
最高の筋肉ですもの! この結婚、全力で続行させていただきますわ!!
女性不慣れな不器用騎士団長 × 筋肉フェチ令嬢。
誤解から始まる、すれ違いだらけの新婚生活、いざスタート!
※他サイトに投稿したものを、改稿しています。
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
転生先がヒロインに恋する悪役令息のモブ婚約者だったので、推しの為に身を引こうと思います
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
【だって、私はただのモブですから】
10歳になったある日のこと。「婚約者」として現れた少年を見て思い出した。彼はヒロインに恋するも報われない悪役令息で、私の推しだった。そして私は名も無いモブ婚約者。ゲームのストーリー通りに進めば、彼と共に私も破滅まっしぐら。それを防ぐにはヒロインと彼が結ばれるしか無い。そこで私はゲームの知識を利用して、彼とヒロインとの仲を取り持つことにした――
※他サイトでも投稿中
転生したら地味ダサ令嬢でしたが王子様に助けられて何故か執着されました
古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され
恋愛
皆様の応援のおかげでHOT女性向けランキング第7位獲得しました。
前世病弱だったニーナは転生したら周りから地味でダサいとバカにされる令嬢(もっとも平民)になっていた。「王女様とか公爵令嬢に転生したかった」と祖母に愚痴ったら叱られた。そんなニーナが祖母が死んで冒険者崩れに襲われた時に助けてくれたのが、ウィルと呼ばれる貴公子だった。
恋に落ちたニーナだが、平民の自分が二度と会うことはないだろうと思ったのも、束の間。魔法が使えることがバレて、晴れて貴族がいっぱいいる王立学園に入ることに!
しかし、そこにはウィルはいなかったけれど、何故か生徒会長ら高位貴族に絡まれて学園生活を送ることに……
見た目は地味ダサ、でも、行動力はピカ一の地味ダサ令嬢の巻き起こす波乱万丈学園恋愛物語の始まりです!?
小説家になろうでも公開しています。
第9回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作品
【完結】不誠実な旦那様、目が覚めたのでさよならです。
完菜
恋愛
王都の端にある森の中に、ひっそりと誰かから隠れるようにしてログハウスが建っていた。
そこには素朴な雰囲気を持つ女性リリーと、金髪で天使のように愛らしい子供、そして中年の女性の三人が暮らしている。この三人どうやら訳ありだ。
ある日リリーは、ケガをした男性を森で見つける。本当は困るのだが、見捨てることもできずに手当をするために自分の家に連れて行くことに……。
その日を境に、何も変わらない日常に少しの変化が生まれる。その森で暮らしていたリリーには、大好きな人から言われる「愛している」という言葉が全てだった。
しかし、あることがきっかけで一瞬にしてその言葉が恐ろしいものに変わってしまう。人を愛するって何なのか? 愛されるって何なのか? リリーが紆余曲折を経て辿り着く愛の形。(全50話)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる