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18① ーパーティー
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それから程なくして、予定通り王族のパーティに参加することになった。
ドレスやアクセサリーは新しく用意せず、あるものをリディに準備してもらったのだが、なぜか目の前に座るクラウディオと似たような色の衣装だった。
モーリスとリディで示し合わせたのか、クラウディオは瞳の色であるターコイズブルーを基調とし、薄めの金刺繍でアクセントを出した衣装をまとっていた。クラウディオに似合った衣装だ。
むしろ似合いすぎて、目立つためにこの衣装を着せたとしか思えない。ただでさえ規格外の顔をしているのに、衣装も相まって人の目を釘付けにするのが想像できた。女性だけでなく男性もあっと言わしめる着こなしである。
しかし、フィオナの衣装も色が同じだ。セレスティーヌの瞳の色も髪の色もドレスに入っておらず、クラウディオと同じ配色である。
セレスティーヌも元が良いのでどんなドレスも着こなせるのか、不似合いなわけではないのだが、真っ白なレースを何枚も重ねたスカートの上に、斜めにカットしたターコイズブルーの生地を合わせているので、クラウディオをまとっているように見えた。
言葉通り、クラウディオがセレスティーヌに巻き付いていると言っても過言ではない配色なのである。
(この衣装、誰が作ったの……)
いたたまれない。クラウディオは文句を言わなかったのか、それとも知らなかったのか。
目の前の男をちらりと見遣ると、さっと視線を避けて外に顔を向ける。
(分かりやすく避けてくるなあ)
ダンスの練習には何度も付き合ってくれたし、絵本についても調べてくれたのだが、さすがに二人きりで馬車に乗っている間はクラウディオも気まずいのだろう。
ただ、初めて顔を見た時より、やけに落ち着きないように思える。フィオナがセレスティーヌになってから、さらに同じ空間にいるのが嫌になったのかもしれない。
なんと言っても、セレスティーヌに比べてフィオナは思ったことをはっきり口にしてしまうので、クラウディオは唖然としてばかりだ。
仕方ないと、フィオナも外を見遣った。
王宮までの馬車の中、無言を続けてやっと辿り着いた王宮は、公爵家以上に豪華な建物だった。
(ものすっごく、きょろきょろしたいわ!)
初めて入る王宮にフィオナでも興奮しそうになる。クラウディオに嫌がられないように、できるだけ落ち着きを持って行動するつもりだが、廊下を歩いているだけであちこち見回したい気持ちになった。
田舎者丸出しになってしまうので、とにかく我慢である。
それに、今フィオナはそんな浮かれた心で臨む余裕はなかった。
これから入る場所には、セレスティーヌの両親やセレスティーヌに毒を渡したかもしれない、エルネストがいるかもしれないのだ。
人々の集まる広間に呼ばれて入れば、一斉に人々の好奇の視線が集まった。
「衣装を合わせていらっしゃるわ」
「どうせ無理に頼んだのではないの?」
「狩猟大会でも喧嘩をされていたようよ。デュパール公爵夫人とご一緒されていたとか」
「あらでも、あとでバラチア公爵ともご一緒されていたのだから、いつもと同じではないの?」
話は丸聞こえだ。わざと聞かせたいのか、くすくすと嘲笑しているのが分かる。
フィオナは特に気にならないので構わないのだが、クラウディオは気分が悪いだろう。ちらりと見上げた先、案の定クラウディオは話をしていた人たちに冷眼を向けた。冷めた視線が届いた途端、言葉が聞こえなくなる。
なまじ美人なので、睨まれたら足元まで冷えそうだ。その視線に睨まれないように、フィオナも静かにしておく。
すると、コホン、と上から咳払いが聞こえた。
「あのような言葉は、聞く必要はありません」
「え、はあ。そうですね」
それは同感だが、クラウディオがそんなことを言うとは思わなかった。
ぽかんとフィオナが見ていると、クラウディオはさっと視線を逸らす。デュパール公爵夫人と浮気などしていないと言う意味だろうか。きっとそうに違いない。
言い訳をしておかねば、セレスティーヌが喚くと思っていそうだ。ここは、いきなり泣き喚いたりしないことを伝えておいた方が良いだろう。
「私はまったく、何も気にしておりませんので、旦那様もお気になさらないでください!」
変に目立って話し掛けられたくないし、この間の狩猟大会のように、いちいち相手をしたくない。なので、気にするつもりもない。
そう思ったのだが、なぜかクラウディオは眉を顰めた。それがやけに物悲しそうに見えたので、こっちが眉を顰めたくなる。
(なにか答え方間違えた??)
もしかして、いつもと違っているため、おかしいと思ったのだろうか。
フィオナは急いでかぶりを振る。
「いえ、気にしてましたけど、気にしないように気を付けたいと思います。騒がず静かにしております!」
力説すると、クラウディオがホッと安堵したような顔をした。
やはり、セレスティーヌと違うのではと疑っているのだ。これは気を付けた方が良さそうだ。疑いを持たれないように、適度にセレスティーヌっぽさを出した方がいいだろう。
フィオナは心の中でうんうん頷く。最近クラウディオと一緒にいることが増えたので、クラウディオもおかしいと思い始めているのだ。注意が必要である。
広間に目を向けて、フィオナはエルネストがいないか確認する。
見付けたらなんとか隙を見て話をしたい。しかしまだ到着していないのか、参加しないのか、姿は見えなかった。
かわりにデュパール公爵夫人の姿が見えた。彼女もフィオナに気付き、隣にいた男性に声を掛けてこちらに近付いてきた。
ドレスやアクセサリーは新しく用意せず、あるものをリディに準備してもらったのだが、なぜか目の前に座るクラウディオと似たような色の衣装だった。
モーリスとリディで示し合わせたのか、クラウディオは瞳の色であるターコイズブルーを基調とし、薄めの金刺繍でアクセントを出した衣装をまとっていた。クラウディオに似合った衣装だ。
むしろ似合いすぎて、目立つためにこの衣装を着せたとしか思えない。ただでさえ規格外の顔をしているのに、衣装も相まって人の目を釘付けにするのが想像できた。女性だけでなく男性もあっと言わしめる着こなしである。
しかし、フィオナの衣装も色が同じだ。セレスティーヌの瞳の色も髪の色もドレスに入っておらず、クラウディオと同じ配色である。
セレスティーヌも元が良いのでどんなドレスも着こなせるのか、不似合いなわけではないのだが、真っ白なレースを何枚も重ねたスカートの上に、斜めにカットしたターコイズブルーの生地を合わせているので、クラウディオをまとっているように見えた。
言葉通り、クラウディオがセレスティーヌに巻き付いていると言っても過言ではない配色なのである。
(この衣装、誰が作ったの……)
いたたまれない。クラウディオは文句を言わなかったのか、それとも知らなかったのか。
目の前の男をちらりと見遣ると、さっと視線を避けて外に顔を向ける。
(分かりやすく避けてくるなあ)
ダンスの練習には何度も付き合ってくれたし、絵本についても調べてくれたのだが、さすがに二人きりで馬車に乗っている間はクラウディオも気まずいのだろう。
ただ、初めて顔を見た時より、やけに落ち着きないように思える。フィオナがセレスティーヌになってから、さらに同じ空間にいるのが嫌になったのかもしれない。
なんと言っても、セレスティーヌに比べてフィオナは思ったことをはっきり口にしてしまうので、クラウディオは唖然としてばかりだ。
仕方ないと、フィオナも外を見遣った。
王宮までの馬車の中、無言を続けてやっと辿り着いた王宮は、公爵家以上に豪華な建物だった。
(ものすっごく、きょろきょろしたいわ!)
初めて入る王宮にフィオナでも興奮しそうになる。クラウディオに嫌がられないように、できるだけ落ち着きを持って行動するつもりだが、廊下を歩いているだけであちこち見回したい気持ちになった。
田舎者丸出しになってしまうので、とにかく我慢である。
それに、今フィオナはそんな浮かれた心で臨む余裕はなかった。
これから入る場所には、セレスティーヌの両親やセレスティーヌに毒を渡したかもしれない、エルネストがいるかもしれないのだ。
人々の集まる広間に呼ばれて入れば、一斉に人々の好奇の視線が集まった。
「衣装を合わせていらっしゃるわ」
「どうせ無理に頼んだのではないの?」
「狩猟大会でも喧嘩をされていたようよ。デュパール公爵夫人とご一緒されていたとか」
「あらでも、あとでバラチア公爵ともご一緒されていたのだから、いつもと同じではないの?」
話は丸聞こえだ。わざと聞かせたいのか、くすくすと嘲笑しているのが分かる。
フィオナは特に気にならないので構わないのだが、クラウディオは気分が悪いだろう。ちらりと見上げた先、案の定クラウディオは話をしていた人たちに冷眼を向けた。冷めた視線が届いた途端、言葉が聞こえなくなる。
なまじ美人なので、睨まれたら足元まで冷えそうだ。その視線に睨まれないように、フィオナも静かにしておく。
すると、コホン、と上から咳払いが聞こえた。
「あのような言葉は、聞く必要はありません」
「え、はあ。そうですね」
それは同感だが、クラウディオがそんなことを言うとは思わなかった。
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言い訳をしておかねば、セレスティーヌが喚くと思っていそうだ。ここは、いきなり泣き喚いたりしないことを伝えておいた方が良いだろう。
「私はまったく、何も気にしておりませんので、旦那様もお気になさらないでください!」
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そう思ったのだが、なぜかクラウディオは眉を顰めた。それがやけに物悲しそうに見えたので、こっちが眉を顰めたくなる。
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