目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです

MIRICO

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24④ ー目覚めー

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「時には後継者を優位に立たせるために、邪魔な子供たちを遠征に送った。なんてこともあったようです」
「ほとんど戦争に行くような感じなんですね」
「何年も都を離れるとなれば、権力争いから抜けることになりますから」

 なるほど。と納得して、はたとフィオナは気付く。

(違うのよ! 歴史を学ぶために見たかったんじゃないの!!)

 クラウディオが真面目でしっかり付き合ってくれるおかげで楽しい授業になってしまったが、目的が違う。フィオナの目的は自分の国がどこにあるのか、それを探すことだ。
 古い時代なので同じ名称ではないだろうし、難しいとは思うが、こちらは藁にもすがる気持ちなのだ。

 クラウディオは時間があるのだろうか。付き合わせておいて、急に不安になる。資料がクラウディオの手書きで珍しい資料なため、フィオナ一人で見せる気はなかったのかもしれない。
 今しかチャンスがないのに、なんとか一人で調べられないだろうか。

 そう思った時、アロイスが乳母に抱っこされてやってきた。

「申し訳ありません。セレスティーヌ様、アロイス坊ちゃんが」

 アロイスはお昼寝だったはずだが、目を真っ赤にして親指をしゃぶっているところを見ると、目覚めて大泣きしたようだ。フィオナを見るとすぐに両手を差し出してくる。

「おばーたま」
「アロイスどうしたのー。お目目が真っ赤ですねー」
「お休みになられていたんですが、怖い夢を見たようで……」

 アロイスはフィオナにくっつくと、ぎゅっと抱きしめてきた。とても怖かったのか、頭をくっつけたきり離れようとしない。

「あらあら、怖い夢を見ちゃったの。なにを見ちゃったのかなー」

 よしよしと背中をなでてやって、フィオナは椅子に座らせてやった。すんすんと鼻を啜るので拭き取ってあげる。

「悪い虫さんが怖い夢を見せたのかなー。悪い虫さんはどこだろう」

 言いながらフィオナはアロイスのお腹を指で押す。

「ここかな。ここかなー」

 何度も押すと、くすぐったいとアロイスが体を捻った。

「ここかな。あれ、ここかなあ。あ、ここだー!」

 フィオナはアロイスのお腹をくすぐった。アロイスがくすぐったさに笑い始める。そうして、お腹から虫をとったように後ろに放り投げた。

「ぽーい。悪い虫さんはいなくなっちゃったかな。まだいるかな。もういないかな」
「きゃっきゃっ。まだいるのー」
「まだいるの? じゃあ、こっちかなあ」

 指で押したりくすぐったりしていくと、アロイスがご機嫌になってくる。もう一度くすぐって悪い虫を後ろに放り投げる仕草をしてやると、楽しそうにして笑顔になった。フィオナはアロイスを抱っこして立ち上がる。

「じゃー、もうちょっとおねむしようか。もう悪い虫さんいないから、怖い夢は見ないかな?」
「みない……」
「見ないかー。そっかー。じゃあ、お部屋戻りましょう。おねむしてももう怖い夢は見ませんからねー」

 照れたように言うアロイスがかわいらしくてたまらない。体をくねらせて笑顔になったので、このまま部屋に連れて行こうと乳母に目配せして、再びはたと気付いた。
 フィオナはアロイスをあやすのに夢中で、クラウディオをすっかり忘れていた。
 しまったと視線を向けると、クラウディオはぽかんとしつつ、なにかを言いたげに口をパクパクした。

「————あの、片付けておきますから。いえ、あとでお部屋に資料をお持ちします」
「借りて良いんですか!?」

 大事な資料だろうに。この部屋から出しても構わないのか、クラウディオはすぐに頷く。

「もちろんです。アロイスを部屋におくってあげてください」
「旦那様、ありがとうございます!」

 なんと優しいのだろう。フィオナは満面の笑顔を向けると、アロイスを連れて部屋を出ていった。
 その後、クラウディオが頬だけでなく顔中紅潮させたのを、フィオナが見ることはなかった。
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