~クラス召喚~ 経験豊富な俺は1人で歩みます

無味無臭

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新たなる道

集落の危機

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 「あれから5分経っててるけど誰も来ねぇな? なぁ? 逃げっちゃんじゃねぇのぉ? アハハハ!!」 
 
 逃げていないのは透視で見て知っているが、コイツの絶望しそうな顔を見たくて言ってみた。しかしそれに対する返事はなにもない。まあ、それは仕方ない。だって“死んでいる”のだから。掴む位置を頭から首に移動させたらいつのまにか死んでいた。まあ、現時点では死んでるけど、あと10分程度経てば復活するだろう。なんせ、魔石を壊していなければ、首を切断した訳でもない。
 
 「……つまんねぇなぁ」
 
 透視で見る限りゴブリンどもは一ヶ所に集まっている。おそらく何か話しているのだろう。
 
 「しょうがねぇ。こっちから行くか」
 
 俺はゴブリンを引きずりながら村の中に入っていった。
 数十メートル歩いた先の角を曲がるとそのきは大量のゴブリン亜種がいた。
 
 「どうも~」
 
 俺は陽気な声で呼び掛ける。その声に次々と顔をこちらに向ける。そして絶望に満ちた顔をする。そんな中、1匹のゴブリンが叫ぶ。
 
 「ヨウ!!」
 
 ヨウ? ああ、このゴブリンの名前か。
 
 「ほら、返してやるよ」
 
 俺はぐったりしているゴブリンをそいつの元へ投げた。そしてそれと同時に首を切断した。アイスソードを作って。
 ゴブリンは黒い靄となって消えた。そしてそこには魔石だけが残った。
 
 「―――」
 
 それを見て首が飛んだゴブリンの名前を呼んだ奴は声にならない叫びを上げる。地面に倒れ、ただずっと拳を握りしめていた。
 
 「……さて、誰が相手をしてくれるんだぁ? 」

 その言葉の直後にその声は姿を表した。
 
 「わしじゃ! 」 
 
 他のゴブリンと違って背中が曲がっていて、声と口調がジジィっぽいのが出てきた。
 
 「よし、じゃあ殺るか」
 
 しかし老骨は手を前に出し待ったと言う。そして続けて言った。
 
 「そなたはどうしてこの村を襲いに来たのだ?」
 
 なんだぁ?  説得でもしようとしてんのかぁ? だとしたら滑稽だなぁ!  
 
 「そんなのは、簡単な事だ。俺が殺りたいから殺りに来たんだ」
 
 俺がそう言うと老骨は村人が持っている槍を奪い取る。
 
 「では死ぬ覚悟は出来てるんじゃろうなぁ!!」
 
 ジジィは怒った様に言う。
 そして真っ直ぐこっちに突っ込んでくる。バカなゴブリンだ。
 
 「皆は逃げるのじゃ!! 早く逃げるの―――」
 
 ザシュ
 
 その効果音の後にもう声は聞こえなくなった。
 
 「バッカじゃねぇのかぁジジィ! 自分から突っ込めば相手は突っ込んで来ないとでも思ってんのかぁ!? だとしたらバカ過ぎるぜジイサン」
 
 このゴブリンが俺の目の前で堂々と隙を見せるものだから、ついこっちから踏み込んでしまった。そして次いでに首を跳ねてしまった。氷の剣がジジィの首を綺麗に跳ねたのだ。そしてジジィもさっきにゴブリンに続くように靄となって消えた。
 
 「アハハハ!!  アハハハ!! アハハハはぁ~…………次はお前らだ」
 
 そのジジィのバカ過ぎる行動を思い出すと笑いが止まらなそうだった。
 
 俺が殺気と一緒に殺害予告をするとゴブリンたちは一斉に逃げ始めた。それはもう他人の事なんか構ってる暇がなく、それぞれが自分だけのために逃げたのだ。その証拠に転んで放置されたゴブリンが1匹、2匹いる。
 
 俺はそいつに一言「ドンマイ」と言い楽にしてあげた。
 
 「さて、鬼ごっこの始まりだな」
     
      落ちている魔石を回収して俺は追いかけ始めた。
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