恋愛騎士物語1~孤独な騎士の婚活日誌~

凪瀬夜霧

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序章:新たなる日々

6話:テラスにて

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 広い三階部分は団長の部屋だけ。一室は大の男が五~六人ゆったり寛げるだけの広さがある。
 シウスの部屋は特に物がないのか、大きなテーブルとベッド、机と書棚とサイドボード、それにソファーセットくらいだ。
 二人が部屋に入ると、既にそこは色々なものがセッティングされていた。テーブルには軽食とワイン。室内は薄明るい程度だが不便はない。
 そして既に、シウスとオスカルは飲んでいた。

「二人とも遅いよ! もう始めちゃってるから適当にくつろいで」
「適当にって……」

 どう寛げと言うのか、ランバートはむしろそれを聞きたかった。
 ラウルは慣れたように三人掛けソファーにゆったり腰を下ろしているシウスの傍に行ってしまう。とても自然に。ラウルはどこか色香を含む瞳でシウスを見て、幸せそうにしている。その様子を見て、全ての疑問が解けた。

 なるほど、そういうことか……。

 だがそうなると困ったのはランバートだ。絡み好きのオスカルの傍は出来れば遠慮したい。だが、他にこの場にいられる場所が見当たらない。
 気後れしてしまうランバートの肩を、不意に叩く人がいた。振り向くと、夜を纏うようにファウストがそこに私服姿で立っていて、「こい」と仕草で合図された。

「あー、早速ファウストが部下いびりするんだ」
「お前は少し酒を控えろ、オスカル。普段から酔っ払いみたいな奴にこれ以上酒などいらないだろ」
「そうさの、お前は酒が入ると悪乗りが過ぎるからの」

 楽しげにシウスが揶揄うのに、オスカルは明らかに拗ねた顔をする。
 それにも構わず、ファウストはランバートを連れて外へ。そこはテラスになっていて、白い二人掛けのテーブルセットが置かれていた。
 ファウストはそこにグラスを二つとワインを一本、そして軽食を置いて座る。ランバートも腰を下ろすと、何も言わずにファウストはグラスにワインを注ぎ、これといって言葉もなく、分かっているかのようにグラスを鳴らした。

「悪いな、落ち着かなくて。あいつらも悪い奴らではないんだが、どうにもお前みたいな奴を見ると弄りたくてしかたがないらしい」
「分かる気がするので嫌ではありません。ファウスト様は、俺がきたら庇うつもりでいたのですか?」

 それぞれグラスに口をつけ、一口飲むと会話が始まる。
 ファウストの溜息まじりの言葉にも、ランバートは笑って応じる。ファウストは苦労の多そうな顔をして、それでも嫌じゃないのか笑ってみせた。

「あいつらに任せたら玩具だからな。お前もそれに悪乗りして大変なことになりそうだ。どうにも、あいつらもお前も気が強くて自信家なようだからな」
「早々に察してくださり助かります、団長」

 女性十人を一撃死できそうな素敵な笑顔を浮かべたランバートに、ファウストは面食らったようだった。だがすぐに、その綺麗に整った顔に笑みを浮かべる。

「正直、お前はどうして騎兵府を希望したんだ。宰相府あたりはお前の試験結果を見て喉から手が出るほど欲しがったぞ」

 正直な疑問を向けられ、ランバートは困った顔をした。理由を聞いたら、目の前の麗人は渋面を作るような気がしたのだ。
 スリルが欲しくてなんて、言ったら怒るだろうか。

「お前の試験結果は、どこでも欲しがるものだった。まぁ、暗府だけは例外だな。お前のように目立つ人間は使いづらいと言っていた」
「それは残念です。俺はけっこう潜入とか好きなんですけれど」
「そっちにまで精通しているのか?」

 なんて、驚いた顔で言われるのが楽しくて、嬉しくて笑みがこぼれる。ランバートはどうやら、ファウストが意外にも気に入ったようだった。色々な表情をもっと見てみたいと思える。

「裏でこそこそするのはけっこう得意です」
「頼むからお前まであの二人のようになるなよ。それでなくてもフォローが大変なんだ。それに、お前は俺の部下なんだ、忘れるなよ」
「この場でもですか?」
「私服の時点でそんな野暮は言わないさ」

 ニッと笑うファウストは、本当に惚れるほどにいい男だ。ランバートもつられて笑う。
 その時不意に扉が開かれ、テラスと室内を隔てるものがなくなる。そして真面目な顔をしたシウスが、二人を見下ろした。

「ファウスト、少しその坊やを私に貸してくれぬか」

 静かな声がそう告げるのは、意外と重いものがあった。重要な話があると察し、ファウストは何も言わずに室内に戻ってしまう。
 ガラス一枚隔てた隔離空間はなんだか重苦しい空気となった。ランバートの正面に座ったシウスは、真面目な顔でランバートを見る。

「ラウルの同室者であるお前に、まず言っておかねばならぬ事がある」
「お二人が恋人だということですか?」

 先手必勝そう告げたランバートに、シウスは目を丸くする。その反応を見ると、ランバートは楽しくてたまらなくなった。まさかばれていないとでも思ったのか。そんなの、ここに入った時のラウルの行動と、この人の視線を見れば容易に分かるのに。

「知っておったかえ?」
「まさか、気づかれないとでも? 食堂では気づきませんでしたが、私室ではそうはいきませんよ。貴方がラウルを見る目は誰に向けるよりも優しく幸せそうですからね」

 そうやんわりと微笑みを浮かべて伝えると、シウスは恥ずかしいのかグラスにワインを注ぎたして、それを一気に飲み干した。そしてグラスを乱暴に戻し、しばし俯いたまま押し黙ったかと思えば、次は下から睨み付けてくる。

「よもやこの私が、他人に感情を読まれるなど。宰相府の長であるこの私が、何たることかえ。まったく情けない」
「貴方は隠しているつもりでも、ラウルにはそんな芸当できませんよ。根が素直なのでしょうね」
「可愛いだろ、その素直さが。私にはあれほどに真っ直ぐな人間など未だ信じられぬ。それゆえに愛しいのだが」
「惚気なら他でお願いします。俺のような独り身には、その毒気は強すぎますので」

 幸せな顔を見せるシウスに溜息をつくランバートは、だがそれだけでないのは分かっていた。この人は釘を刺しに来たのだろう。自分のものに手を出すなと。

「ランバート、お前をラウルの同室にしたのはあの子が疑問を持ち始めたからじゃ。なぜ自分だけ同室者がなかなかこないのかと」
「当然の疑問でしょうね」
「故にお前を選んだ。だが、あれは私のものだ。手出しなどしようものなら私の全てを使ってお前を追い込むぞ」

 真剣な視線を向けられ、その瞳の深さに驚かされる。だが、元々そんな気などない。どれだけ手広いとはいえ、ラウルはさすがに可愛すぎる。あんな純粋なものに触れてしまったら、きっと己の醜さを知らされるだろう。まるで、罪を一つ一つ告げられる気分だ。

「そんな怖い顔をしなくても、他人の物に手を出すほど不粋な人間ではないつもりです。何より後が面倒ですし、相手が貴方となればなおさらです。友人とは思っても、それを超えるわけがありません」
「信じてよいか」
「信じていただかなくては。ついでに、貴方がショタコンだったという真実も墓まで持って行くとしましょう」

 悪戯っぽく付け加えると、シウスはぐうの音も出ない様子で一際怖い顔をする。それも含めて、ランバートは笑って封印する事にした。

「まったく、面白い人間は好きだがあまり褒められた性格ではないの、お前」
「貴方もそうだと思いますけれどね、俺は」
「オスカルもだ。あれも私やお前と同じ穴の貉じゃ。愉快犯という点では、私やお前よりも性質が悪いかもしれぬ」
「あぁ、わかります」

 溜息をつきつつワインを流し込むシウスに同意しながら、ランバートもワインを飲む。その背後に、人の影が差した。

「二人とも酷いな、人の悪口言うなんて」
「!」

 ランバートからは死角になっていて、その存在が分からなかった。突然の声に驚いた顔で振り返ると、その頬に指が食いこんだ。

「あっ、その顔いいね。やっぱりランバートは僕好みの顔してるよ」
「オスカル様、いるなら声をかけてください」

 恨みがましく言うが、返ってくるのは意地悪な笑み。それもかなり満足そうだ。

「言ったら驚いてくれないじゃないか。僕はね、みんなが驚く顔が好きなんだよ」
「ほら、悪趣味じゃろ」

 溜息をつきつつ呆れた顔をしたシウスに、ランバートも頷く。だが当のオスカルは楽しそうに笑うばかりだ。

「まぁ、よく言われるからね。ところでランバート、君はどうして騎士団に入ったんだい?」

 予想外なその問いかけに、ランバートは一瞬押し黙る。そしてオスカルをジッと見つめた。へらへらした口振りだが、確かに彼も団長の一人だ。食えない。

「僕が聞いてるヒッテルスバッハの末っ子ってのはね、多趣味も多趣味、それでもって気まぐれで、自由気侭なきれ者ってことなんだけどさ。そうなると疑問なんだ。どうしてそんな人が、騎士団に入ろうと思ったのかってね」

 軽い口振りからは想像できない程に、問いかけるその視線は深く重く冷たい。嘘などつけば一瞬で見破るだろう。同じように他人を観察することに長けたランバートは、この手の人間には嘘をつかない事にしている。勿論、事実を言うにも言葉は選ぶが。

「ここだけの話って事に、してもらえます?」
「なになに?」
「実は、お婿さん探しにきたんですよ」

 冗談みたいな口調で言うと、オスカルだけじゃなくその場にいたシウスまでもが、飲みかけのワインを噴出しそうになっている。しばしの沈黙がこんなに面白く感じたのは、ランバートにとって初めてのことだった。

「冗談?」
「いえ、本気です。まぁ、俺自身の意志ではなく、母の希望ではありましたが」
「なんと、まぁ。理由は様々あるが、かような理由で騎士団に入った人間がいようとは」
「軽蔑して、ついでに不謹慎だと軍法会議にでもかけますか?」

 無論、そんな事は出来ないと分かって言っている。軍法会議にかけるには、それ相応の罪や違反がなければならない。入団理由がどんなに不埒でも軍法違反ではない。まぁ、軽蔑はされるかもしれないが。
 苦笑交じりのランバートだったが、返ってきたのは楽しげな笑い声だった。

「うん、やっぱり君は面白いね! 気に入ったよ」

 その反応は、正直予想していなかった。いや、予想しなければならなかったか。オスカルという人間ならば、このくらいの返しは当たり前だと。

「お婿さん探しか。うん、いいんじゃない? 人それぞれに理由はあるんだからさ。僕は嫌いじゃないよ。ううん、気に入ったかな」
「まぁ、そういう人間がいたとしても否定はせぬ。むしろ、私は否定できぬからな」

 既に恋人がいるシウスはそれ以上は言わず、代わりに顔を赤くする。彼はどうやら恋愛に関しては純粋なようだ。

「まぁ、勿論それだけではありません。俺個人としても、新しくなった騎士団という存在は気にかかっていました。実力主義の世界だと聞きましたし、人は個性的だとも聞きました。ここなら、俺は飽きることなく過ごせると思ったのです」
「退屈な日常を覆す一歩か。それなら間違いなく、君の選択は正しいね。ついでにお婿探しもおすすめ。ここは個性的な人間が多々いるからね」
「貴方達を筆頭に?」

 含み笑って言うと、同じような表情でオスカルも笑う。どうやらこの人とは悪い友人のような関係が結べそうだ。無言のまま互いに交わした握手を見て、シウスが深い溜息をついた。
 この夜は、本当に飲んで食べてと楽しい時間をおくった。夜も更けて、ラウルが寝てしまった頃にお開きとなり、ランバートはそのままラウルをシウスの部屋においてきた。そうするのが恋人同士にはいいだろうと思ったのだ。
 最初困った顔をしたシウスも、腕の中に落ちてきたラウルを見ると表情を柔らかくし、頭を撫でて寝かせた。その姿や表情に愛情の深さが見える。
 結局この日は自室で一人寝を決め込み、ランバートの激動の一日は終わりを迎えたのだった。
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