101 / 167
8章:花の誘惑
5話:触れる香
しおりを挟む
ベッドの端に正座のような格好で座った。そしてその正面から、ファウストが座る。ギシリとベッドが沈み込む。月明かりだけの仄明るい空間で、ランバートは頼りない視線を向けた。
「最初に言っておく。あまり深く考えず、旅のトラブルか、さもなければ犬にでも噛まれたと思え」
「え?」
ぼんやりした頭が通り過ぎる言葉をゆるゆると受け入れる。温かい手が背に触れる。ゾクッと走った痺れに悲鳴が上がり、縋るように目の前の胸に手を置いた。
「これはお前が悪いわけではない。お前の意思に反して起こっている事だから、責があるわけじゃない。それと、どうしても嫌なら拒め」
耳元に注がれる声は低く、ほんのりと熱を感じる。色を感じる。
ローブの紐が解かれて、前があらわになる。ひやりと肌に冷たさを感じたが、直ぐに上回る熱に身を焼かれた。形のいい指が頭をもたげトロトロと蜜を流すものに触れ、一つ緩やかに上下した。
「あぁぁ!」
強すぎる刺激は一気に意識を焼き切るように伝わる。体がどうしようもなくなる。息が出来なくなりそうな切迫したものがあって、苦しくてハクハクと息を吸う。腰に回った腕が強く引き寄せてくる。
「何度か出せば落ち着くか、落ちる」
そんな事を言われたって、これに耐えきれる思いがしない。ファウストの手が緩く上下する度、腰が重く痺れ全身が欲している。声を止められない。背が跳ね上がり、座ったままなのに崩れそうだ。
「最初は辛いが、少し我慢しろ」
背中を撫でる手はまるであやしているようだ。優しい声は、この状況を嫌っていない。それは伝わってくる。優しく上下される手の動きも、気遣われているんだと分かる。
でもその気遣いが余計に恥ずかしくて、情けない。こんな風に大切に扱われるくらいなら、滅茶苦茶に犯されたほうがよほど楽だ。その場の衝動で済ませてしまえる。こんなに優しい抱擁を貰ったら、心が追いつかない。
「はっ、あっ、い、ゃ……」
トロトロに蕩け硬く持ち上がり、濡れて粘る卑猥な音が耳につく。触れているファウストの肌も熱い。ランバートは見られなくて、ファウストの肩の辺りに額をこすりつけた。肌の匂いを感じる。心なしか、前に感じたものよりも甘い。
「あぁぁ! いっ! んぅぅ!」
速度を上げた手が追い詰めるように扱く。暴れ狂うような熱が下肢を犯している。心臓が壊れそうだ。そして指がカリを引っかけ先端に潜り込むように探られた瞬間、目の前がチカチカと点滅した。
トクトクと脈を打つように熱い本流が放たれる。腹に熱いものがかかる。それはファウストのローブや手も汚していく。数度そうして快楽を放ったそれは、だがまだ熱を失っていない。それどころか体の奥にある甘い疼きは更に主張して、達したばかりの鈴口はみっともなくパクパクと口を開けている。
「あっ、なん、でっ」
「薬を盛られると自分の意思ではどうにもならなくなるからな」
低い声はやっぱり熱っぽい。触れている手も、熱く感じる。肌の匂いはより甘く、色香を感じている。
ファウストの手が再びランバートのものを包み込む。今度は最初から少し強く刺激され、達したばかりのドロドロのものは直ぐに熱を持っていく。
「いやぁ、だ……こんな……っ」
顔を見られない。一度出した事で少しだけ頭が回る。体のコントロールは全くきかないし、むしろ体に力が入らないけれど、頭の中だけが少しだけまっとうになってしまう。
急に気恥ずかしさを感じた。自分ばかりが欲情して感じている今が恥ずかしい。これは薬のせいだとファウストは言うが、それにも自信がなくなってしまう。こんなに簡単に反応してしまうのは、この人だからじゃないかと思えてしまう。
背をあやしている手が、頭に触れて優しく撫でる。慰められているようだ。
「恥ずかしいなら、肩に顔をつけて目をつぶっておけばいい。そう長く続くわけじゃない」
軽く引き寄せられて、肩に額をつけたまま目をつぶる。下肢にかかる指の動きがよりリアルに感じられる。油断すれば腰を振りそうなほど感じている。この人は一切乱れていないのに、自分ばかりがこんなにも淫らになっていく。浅ましくて、辛い。
何が辛いのか、ぐちゃぐちゃで分からない。止まらない欲情と刺激が辛いのか。こんなにも乱れているのに目の前の人は一切それを見せない事が辛いのか。どこかで求めるような感情があるのが辛いのか。
「んぅ!」
二度目もあっという間に上り詰めていく。鼻先を胸にこすりつけ、瞳を閉じてしがみつく。トトトトトッという心臓の音。けれどしがみついた手に感じたのは、自分の心臓の音ばかりではない。熱い肌に浮かぶ汗と、甘い香り、感じる心音は少し早い。
「っ」
僅かに低く、息をつめるような感じがある。放たれた熱はさっきよりも少ない。けれどまだファウストの手の中で、それは熱があり芯がある。でもまた少し、頭の中はクリアになった。
恐る恐る顔を上げてみる。見下ろすような黒い瞳はやはり濡れていた。端正な顔に浮かぶのは欲情だと思いたい。
ほとんど無意識に手を伸ばし、頬に触れて伸び上がる。触れるように唇を重ねた。驚いたように僅かに開いた黒い瞳は、だがゆっくりと切なげにすがめられた。
「はぁ」
キスを拒まれなかった事に、ほんの少し胸が甘く熱くなる。明らかな安堵だ。自然と口元に笑みが浮かんだ。
「お前な……」
クシャリと困ったように髪をかき上げる人はいつもよりずっと色っぽくて雄々しくて、そして飢えて見える。強い力が体を抱く。肩口に触れた吐息は、熱い。
抱きすくめられる中で、ファウストの体も見えた。ローブの合わせが乱れて、そこから彼の雄々しいものも見えた。頭をもたげ、熱を持っているようなものが。
自然と手が伸びて、先端に触れる。息をつめたのが如実に分かった。もう一度、今度はもう少し確かに触れる。それはトロリと蜜をこぼして、ランバートの手を汚した。
「やめろ」
「なぜです?」
「理性が切れる」
隠しもせず言われた憎らしいと言わんばかりの声に、ランバートは笑った。同時に、羞恥も消えた。同じだと分かれば何も怖くはなかった。
「後ろ、使いますか?」
悪戯っぽく問いかける。睨むような黒い瞳は、だがそれは拒んだ。
「使わない」
「ローションなら、ありましたよ」
「そういう問題じゃない」
憎たらしいと隠しもしない態度が笑える。熱は相変わらず嵐のように体の中を荒れているのに、二度目を放ってもそこはまだ立ち上がって蜜を流しているのに、普通に会話ができている。おかしな感じだ。
「言っただろ、俺は部下と寝ない」
「……そう、ですね」
切ないというのは、こういう感情だ。胸が締め付けられて苦しくなる。でもそれは分かっている事だ。ランバートだって、この人とどうこうとは考えていない。むしろ今だって、本当に事故としか言いようのない状態だ。
「だが」
不意にファウストが笑った。男の色香を含む瞳だ。
「少しだけ、体を借りる。流石に俺もこれでは眠れる気がしない」
そう告げた人の瞳が危険な色を持つのを見て、ランバートは受け入れた。とても素直に全てを預けられた。
ローブの紐を解き、はだけた肌に触れる。薄らと汗を浮かべる逞しい体に手を置いて、距離をつめた。
「んぅ……」
上向いた唇に重なった唇から、舌が深く入り込む。受け入れたそれは熱を持ち、絡みつく。吸われて甘く声が漏れる。その間にも、下肢に触れる手は上下に揺れる。
ただ、さっきとは少し違う。手はランバートのものだけを握っているのではない。ファウスト自身のものも一緒に握り込み、扱かれている。
「くっ」
甘い熱を持つ吐息に声が混じる。肩に触れるようなそれはランバートを安堵させ、同時に追い詰めた。
自分のものとは違う熱い存在。先端をこすり合わせるように扱かれる。ひりつくような激情が少し薄れたから、どうにか体を動かせる。自ら腰を振って、先端を強くこすり合わせるようにしてみた。
「あぅ、んぅっ」
ビリッと駆け上がる刺激は思いのほか強い。けれど癖になる。
「お前な……」
そう言いながらも気持ちいいのか、ファウストが深く息を吐き辛そうに眉根を寄せている。明らかに感じている、そう分かる仕草だ。
ランバートは止められなくて何度も腰を揺り動かした。たまらなく気持ちがよくて、でもなかなか上り詰めない。流石に三度目だ、簡単じゃないのかもしれない。
そしてファウストも静かに息を早める。耐えるような表情だが、上下する手の動きは欲望のままに速くなっている。こすりあわせ、濡れた音がより卑猥に広がり、熱く浮き立つ筋の感じやカリに触れてビクンと浮く。
「もっ、いっ……」
腰が重く息が乱れて周囲が見えなくなっていく。見上げると、ファウストも同じように乱れた表情をする。扇情的なその瞳がゆっくりと近づいて、深く再びキスをする。絡ませて、吸い上げて、飲み下せない唾液が口の端を伝い落ちていく。
「んぅ! ふっ、ふぅぅ!」
先に上り詰めたのはランバートだった。流石にもう出る物が少なくて、焼き付くような感覚とほんの僅かな残りがトロトロと溢れ出る。
「んっ」
綺麗な眉根が寄って、ほんの短く息を詰めたファウストもまた、温かなものを放つ。こんなにも熱いものだろうか。朦朧とした意識が肌で感じる情報を伝えてくる。もう体はドロドロだ。
近づいていた体が離れて、寝かされる。柔らかな布団は包むように気持ちいいけれど、触れていた熱が消えてしまうのは少し寂しい。
出ていったファウストが湯に濡らしたタオルを持ってきて、丁寧に体を拭いてくれる。それは少しくすぐったくて、思わずくすくすと笑った。
「寝れるか?」
静かに問われた言葉に、まどろみながら頷く。まだどこかで燻っている気はする。けれどそれはこれまでの切迫感なんてなくて、体の疲れに勝るものじゃなかった。
「では、ゆっくりと寝ろよ」
体が少し浮いて、しばらくしてまた布団の上に下ろされる。事態をあまり正しく認識しないまま、ランバートは引きずられるように眠った。
「最初に言っておく。あまり深く考えず、旅のトラブルか、さもなければ犬にでも噛まれたと思え」
「え?」
ぼんやりした頭が通り過ぎる言葉をゆるゆると受け入れる。温かい手が背に触れる。ゾクッと走った痺れに悲鳴が上がり、縋るように目の前の胸に手を置いた。
「これはお前が悪いわけではない。お前の意思に反して起こっている事だから、責があるわけじゃない。それと、どうしても嫌なら拒め」
耳元に注がれる声は低く、ほんのりと熱を感じる。色を感じる。
ローブの紐が解かれて、前があらわになる。ひやりと肌に冷たさを感じたが、直ぐに上回る熱に身を焼かれた。形のいい指が頭をもたげトロトロと蜜を流すものに触れ、一つ緩やかに上下した。
「あぁぁ!」
強すぎる刺激は一気に意識を焼き切るように伝わる。体がどうしようもなくなる。息が出来なくなりそうな切迫したものがあって、苦しくてハクハクと息を吸う。腰に回った腕が強く引き寄せてくる。
「何度か出せば落ち着くか、落ちる」
そんな事を言われたって、これに耐えきれる思いがしない。ファウストの手が緩く上下する度、腰が重く痺れ全身が欲している。声を止められない。背が跳ね上がり、座ったままなのに崩れそうだ。
「最初は辛いが、少し我慢しろ」
背中を撫でる手はまるであやしているようだ。優しい声は、この状況を嫌っていない。それは伝わってくる。優しく上下される手の動きも、気遣われているんだと分かる。
でもその気遣いが余計に恥ずかしくて、情けない。こんな風に大切に扱われるくらいなら、滅茶苦茶に犯されたほうがよほど楽だ。その場の衝動で済ませてしまえる。こんなに優しい抱擁を貰ったら、心が追いつかない。
「はっ、あっ、い、ゃ……」
トロトロに蕩け硬く持ち上がり、濡れて粘る卑猥な音が耳につく。触れているファウストの肌も熱い。ランバートは見られなくて、ファウストの肩の辺りに額をこすりつけた。肌の匂いを感じる。心なしか、前に感じたものよりも甘い。
「あぁぁ! いっ! んぅぅ!」
速度を上げた手が追い詰めるように扱く。暴れ狂うような熱が下肢を犯している。心臓が壊れそうだ。そして指がカリを引っかけ先端に潜り込むように探られた瞬間、目の前がチカチカと点滅した。
トクトクと脈を打つように熱い本流が放たれる。腹に熱いものがかかる。それはファウストのローブや手も汚していく。数度そうして快楽を放ったそれは、だがまだ熱を失っていない。それどころか体の奥にある甘い疼きは更に主張して、達したばかりの鈴口はみっともなくパクパクと口を開けている。
「あっ、なん、でっ」
「薬を盛られると自分の意思ではどうにもならなくなるからな」
低い声はやっぱり熱っぽい。触れている手も、熱く感じる。肌の匂いはより甘く、色香を感じている。
ファウストの手が再びランバートのものを包み込む。今度は最初から少し強く刺激され、達したばかりのドロドロのものは直ぐに熱を持っていく。
「いやぁ、だ……こんな……っ」
顔を見られない。一度出した事で少しだけ頭が回る。体のコントロールは全くきかないし、むしろ体に力が入らないけれど、頭の中だけが少しだけまっとうになってしまう。
急に気恥ずかしさを感じた。自分ばかりが欲情して感じている今が恥ずかしい。これは薬のせいだとファウストは言うが、それにも自信がなくなってしまう。こんなに簡単に反応してしまうのは、この人だからじゃないかと思えてしまう。
背をあやしている手が、頭に触れて優しく撫でる。慰められているようだ。
「恥ずかしいなら、肩に顔をつけて目をつぶっておけばいい。そう長く続くわけじゃない」
軽く引き寄せられて、肩に額をつけたまま目をつぶる。下肢にかかる指の動きがよりリアルに感じられる。油断すれば腰を振りそうなほど感じている。この人は一切乱れていないのに、自分ばかりがこんなにも淫らになっていく。浅ましくて、辛い。
何が辛いのか、ぐちゃぐちゃで分からない。止まらない欲情と刺激が辛いのか。こんなにも乱れているのに目の前の人は一切それを見せない事が辛いのか。どこかで求めるような感情があるのが辛いのか。
「んぅ!」
二度目もあっという間に上り詰めていく。鼻先を胸にこすりつけ、瞳を閉じてしがみつく。トトトトトッという心臓の音。けれどしがみついた手に感じたのは、自分の心臓の音ばかりではない。熱い肌に浮かぶ汗と、甘い香り、感じる心音は少し早い。
「っ」
僅かに低く、息をつめるような感じがある。放たれた熱はさっきよりも少ない。けれどまだファウストの手の中で、それは熱があり芯がある。でもまた少し、頭の中はクリアになった。
恐る恐る顔を上げてみる。見下ろすような黒い瞳はやはり濡れていた。端正な顔に浮かぶのは欲情だと思いたい。
ほとんど無意識に手を伸ばし、頬に触れて伸び上がる。触れるように唇を重ねた。驚いたように僅かに開いた黒い瞳は、だがゆっくりと切なげにすがめられた。
「はぁ」
キスを拒まれなかった事に、ほんの少し胸が甘く熱くなる。明らかな安堵だ。自然と口元に笑みが浮かんだ。
「お前な……」
クシャリと困ったように髪をかき上げる人はいつもよりずっと色っぽくて雄々しくて、そして飢えて見える。強い力が体を抱く。肩口に触れた吐息は、熱い。
抱きすくめられる中で、ファウストの体も見えた。ローブの合わせが乱れて、そこから彼の雄々しいものも見えた。頭をもたげ、熱を持っているようなものが。
自然と手が伸びて、先端に触れる。息をつめたのが如実に分かった。もう一度、今度はもう少し確かに触れる。それはトロリと蜜をこぼして、ランバートの手を汚した。
「やめろ」
「なぜです?」
「理性が切れる」
隠しもせず言われた憎らしいと言わんばかりの声に、ランバートは笑った。同時に、羞恥も消えた。同じだと分かれば何も怖くはなかった。
「後ろ、使いますか?」
悪戯っぽく問いかける。睨むような黒い瞳は、だがそれは拒んだ。
「使わない」
「ローションなら、ありましたよ」
「そういう問題じゃない」
憎たらしいと隠しもしない態度が笑える。熱は相変わらず嵐のように体の中を荒れているのに、二度目を放ってもそこはまだ立ち上がって蜜を流しているのに、普通に会話ができている。おかしな感じだ。
「言っただろ、俺は部下と寝ない」
「……そう、ですね」
切ないというのは、こういう感情だ。胸が締め付けられて苦しくなる。でもそれは分かっている事だ。ランバートだって、この人とどうこうとは考えていない。むしろ今だって、本当に事故としか言いようのない状態だ。
「だが」
不意にファウストが笑った。男の色香を含む瞳だ。
「少しだけ、体を借りる。流石に俺もこれでは眠れる気がしない」
そう告げた人の瞳が危険な色を持つのを見て、ランバートは受け入れた。とても素直に全てを預けられた。
ローブの紐を解き、はだけた肌に触れる。薄らと汗を浮かべる逞しい体に手を置いて、距離をつめた。
「んぅ……」
上向いた唇に重なった唇から、舌が深く入り込む。受け入れたそれは熱を持ち、絡みつく。吸われて甘く声が漏れる。その間にも、下肢に触れる手は上下に揺れる。
ただ、さっきとは少し違う。手はランバートのものだけを握っているのではない。ファウスト自身のものも一緒に握り込み、扱かれている。
「くっ」
甘い熱を持つ吐息に声が混じる。肩に触れるようなそれはランバートを安堵させ、同時に追い詰めた。
自分のものとは違う熱い存在。先端をこすり合わせるように扱かれる。ひりつくような激情が少し薄れたから、どうにか体を動かせる。自ら腰を振って、先端を強くこすり合わせるようにしてみた。
「あぅ、んぅっ」
ビリッと駆け上がる刺激は思いのほか強い。けれど癖になる。
「お前な……」
そう言いながらも気持ちいいのか、ファウストが深く息を吐き辛そうに眉根を寄せている。明らかに感じている、そう分かる仕草だ。
ランバートは止められなくて何度も腰を揺り動かした。たまらなく気持ちがよくて、でもなかなか上り詰めない。流石に三度目だ、簡単じゃないのかもしれない。
そしてファウストも静かに息を早める。耐えるような表情だが、上下する手の動きは欲望のままに速くなっている。こすりあわせ、濡れた音がより卑猥に広がり、熱く浮き立つ筋の感じやカリに触れてビクンと浮く。
「もっ、いっ……」
腰が重く息が乱れて周囲が見えなくなっていく。見上げると、ファウストも同じように乱れた表情をする。扇情的なその瞳がゆっくりと近づいて、深く再びキスをする。絡ませて、吸い上げて、飲み下せない唾液が口の端を伝い落ちていく。
「んぅ! ふっ、ふぅぅ!」
先に上り詰めたのはランバートだった。流石にもう出る物が少なくて、焼き付くような感覚とほんの僅かな残りがトロトロと溢れ出る。
「んっ」
綺麗な眉根が寄って、ほんの短く息を詰めたファウストもまた、温かなものを放つ。こんなにも熱いものだろうか。朦朧とした意識が肌で感じる情報を伝えてくる。もう体はドロドロだ。
近づいていた体が離れて、寝かされる。柔らかな布団は包むように気持ちいいけれど、触れていた熱が消えてしまうのは少し寂しい。
出ていったファウストが湯に濡らしたタオルを持ってきて、丁寧に体を拭いてくれる。それは少しくすぐったくて、思わずくすくすと笑った。
「寝れるか?」
静かに問われた言葉に、まどろみながら頷く。まだどこかで燻っている気はする。けれどそれはこれまでの切迫感なんてなくて、体の疲れに勝るものじゃなかった。
「では、ゆっくりと寝ろよ」
体が少し浮いて、しばらくしてまた布団の上に下ろされる。事態をあまり正しく認識しないまま、ランバートは引きずられるように眠った。
10
あなたにおすすめの小説
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
売れ残りオメガの従僕なる日々
灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才)
※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!
ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。
無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。
【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
* ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。
BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)
本編完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
きーちゃんと皆の動画をつくりました!
もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画
プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら!
本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新!
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新!
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
新年に余り物でおせちを作ったら、冷酷と噂の騎士団長様に「運命の番」だと求婚されました
水凪しおん
BL
料理人だった俺が転生したのは、男性オメガというだけで家族に虐げられる不遇の青年カイ。
新年くらいはと前世の記憶を頼りに作ったのは、この世界にはない『おせち料理』だった。
それを偶然口にしたのは、氷のように冷酷と噂される最強の騎士団長リアム。
「お前は俺の運命の番だ」
彼の屋敷に保護され、俺の作る料理が彼の心を溶かしていく。
不器用で、だけどまっすぐな愛情を注いでくれる彼と、美味しい料理で紡ぐ、甘くて温かい異世界スローライフ。
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる