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9章:帰りたい場所
1話:ファウストの弟
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頃は四月の末日。安息日の今日、ランバートはいつもと同じようにファウストと早朝の手合わせを終えていた。
「?」
なんとなく感じていたが、今日のファウストは様子が違う。おそらく何らかの心配事があるのだろう。眉間に皺が寄っている。だが周囲の師団長にも団長達にも変わった様子はないから、他に話す事がはばかられるのか。
「何か、困った事でもありましたか?」
溜息をついて軽く笑い、それとなくランバートは聞いた。向けられた視線が困ったように細くなる。そして珍しく、大きな溜息をついた。
「個人的にな」
「個人的?」
思わぬ言葉に少し驚き、ランバートは問い返す。ジッとランバートを見たファウストは、そのままどっかりと修練場に腰を下ろした。
「俺の弟が王都で仕事をしているのは知っているな?」
「えぇ」
ランバートは素直に頷く。
ファウストはシュトライザー公爵と愛人の母親との間の子だが、何故か一人だけシュトライザーの籍に入っている。そして実はその下に実弟と実妹がいる。この二人はシュトライザーの籍には入らず、母方の籍にある。あまり知られていない話だ。
そしてその弟は現在、王都で調香師、つまり香水を調合する仕事をしている。
「実は弟の所にライバル店の者がきて、引き抜きの誘いをしているらしい」
これについては珍しい話ではない。調香師やパティシエ、コック、ショコラティエなどの職人はその腕だけで大金を稼ぎ出す。そういう人物をヘッドハンティングする大店は今も昔もあるものだ。商売を左右するような大事だから、大抵は揉めるのだが。
「それで、揉め事ですか?」
「いや。そもそもあいつは一人で店を切り盛りしている。先代から引き継いだ店で、亡くなった時に一人になって弟子もない。店に愛着を持っているから、たたんでまで他の店に移るような事は考えていないそうだ」
「ちょっと、待って下さい」
ランバートは冷静に考えて、ファウストの話を一旦切った。
ファウストの弟の店は西地区のウルーラ通りという場所にあると聞いた。そこは一流の店が競うように軒を連ねている。その場所に、個人が店を出している。それだけでも実は凄い事だ。
ちなみに、ファウストの妹へのプレゼントを選んだ宝飾店もこの通りにある。
「あの、個人がウルーラ通りに店を出しているんですか?」
「ん? あぁ、そうだ。通りのかなり端のほうだが」
「裏通り?」
「いや、表通りだ」
「もの凄く実力ある人じゃないですか」
何でも無い事のように言うこの人は、おそらく自分の弟の凄さを理解していない。そんな様子があった。
「そうなのか? 小さな店で、お客は個人の取引が多いと言っていたが。俺は香水はつけないから、よく分からない」
「もう少し身の回りの事に気をつけてもいいんですけどね、ファウスト様は」
大貴族で、地位もあって、陛下の御前にも出る身分だと言うのに。制服がある職業の弊害なのか、この人はあまり自分の服装などにこだわりがない。身ぎれいだし、清潔感はあるのだが、装飾はほぼない。もう少し飾ってもいいだろうに。
「でも、そんな相手を引き抜きなんて。普通に考えて、応じるわけがないのに」
「何でもこの一ヶ月の間に王都に出店した店らしい。少し探ったが、あまりいい噂を聞かなくてな」
「例えば?」
「服飾と宝飾、香水を扱うようだが、職人の引き抜きが強引らしい。店で暴れたり、悪い噂を流されたりしていられなくなった職人もいるとか。元は地方からきたとも聞いた」
「手が悪いですね」
話を聞くかぎり、もしかしたら犯罪の可能性もありそうだ。街で暴れている所を捕まえられれば治安維持という事で拘束できる。だが商業法違反となれば騎士団の管轄ではなく内務の仕事になる。難しい話だ。
「俺が出たいんだが、それだけは絶対に止めてくれと弟に言われてな。それに俺も、内務の話にまで首を突っ込む事はできない。今の内務大臣は公平な人だから、あいつが訴えれば調べてくれると思うが」
「まぁ、俺としては弟さんの気持ちも分からないではないですけれど」
過保護なんだろうと思う。邪魔とは思わないものの、そこに頼る事をいいとは思わない人なら余計な心配をさせたくないだろう。
「暴力事件にはまだなっていないらしいが、前例があるから心配だ。今でも噂を流されているようだし、訴えればいいのにそうはしない。大げさだと笑われて終わってしまった」
「確かに、少し気になる話ではありますね」
前例があるなら同じ事をするだろう。何よりも信頼が重要な貴族相手の商売だ、悪評すらも業務妨害だというのに。裁判を起こすことも評価を下げる事になるから、そうしないのだろうか。
ふと考えて、ランバートは笑う。そして隣で思案顔のファウストに向き直った。
「俺が少し気をつけておきましょうか?」
「ん?」
「俺、明日から街警ですよ」
第二師団は来月、つまり明日から街警担当だ。当然ランバートも街の砦で一ヶ月を過ごす。そして好都合な事に、西地区担当だ。
ファウストもその事実を思い出したのだろう。目を見張って、だが次には眉根をきつく寄せる。
「お前にばかり頼るわけにはいかない」
「街の治安を守るのも、街警の仕事ですよ。俺がやるのは普通の警邏。その一環として、店の前を通って異変がないかをみてみるってだけです」
勿論、業務外の時間については何をしていても犯罪じゃなければ咎めはない。制服を脱いで街に出れば、門限の十時までは自由だ。
あくまで業務の範疇の事だと言われ、ファウストは腕を組んで考え込む。葛藤が見て分かる。そうして次には、疲れたように脱力だ。
「お前に話した俺が悪いな」
「ですね」
「すまない、手を貸してくれ」
「はい、頼まれなくとも」
この人の味方であることは、ランバートにとってとても嬉しい事なのだ。
「あっ、でも店を知りませんし、弟さんの顔も」
ふと一番大事な事を思い出して口にする。ランバートも西地区には買い物なり食事なりで足を運ぶが、ファウストに似た人物は知らない。何も知らないんじゃ守りようもない。
ファウストが小さく笑い立ち上がる。伸べられた手を取って立ち上がったランバートに、彼は穏やかな笑みを向けた。
「着替えて出るぞ」
「え?」
「弟に紹介しておく。何かあった時にはお前を頼るようにも言っておく。今日は安息日で、あいつの店も休みのはずだ」
決まれば早いこの人らしい。思って笑い、ランバートは素直にファウストに従った。
◆◇◆
ウルーラ通りは古くからある通りで、服飾や宝飾に関わる店が多い。城に近い場所は実は新しく、大きな店が実に誇らしく店を構えている。だが古い貴族の家などは端の方にある店を好む。通りを関所に近い端の方に行くと、そこは昔からある小さな店が多くなる。ここらは古くからあり、腕前の確かさと信頼で成り立っている。
ファウストの弟がやっている店というのも、この通りにある。控え目な店構えはショーウィンドーに花を飾り、中が見えるようになっている。どこか愛らしくも感じる佇まいだ。
「ここが店だ」
「……」
見上げたランバートは頭が痛い思いだった。それというのも、ランバートはこの店を知っている。実によく知っているのだ。
「どうした?」
隣で疑問そうに首を傾げるこの人の無知が憎い。そして声を大にして言いたい。貴方の弟さんは王都一と言われるほどの調香師だと。
香水店、『Le ciel』は古くからある店だが、現在は若い調香師が一人で切り盛りしている。古い貴族家はここで香水を買っているだろう。それほどに品質も香もいい、一流の店なのだ。多分、大のつく貴族でこの店の名を知らない奴はモグリだ。そして隣の人はきっとモグリだ。
「今日は安息日で表は開いていない。裏に回るぞ」
気にしない様子で店の裏手へと回ったファウストについて、ランバートも裏へと回った。
一人が通るだけという感じの控え目なドアをノックすると、中からのぞき戸が開く。格子のはまったスライド式の木戸が開くと、明るい空色の瞳がファウストを見つけた。
「あれ、兄さん? どうしたの?」
「あぁ、少しな。入ってもいいか?」
「うん、どうぞ」
どこか少年が抜けていない目が笑う。のぞき戸が閉まると直ぐに重そうな鉄の音がして、木戸が押し開けられた。
「兄さん、何かあったの?」
「様子はどうかと思ってな」
「もう、心配しすぎだよ。商売なんかしてるとある話なんだから、気にしなくていいんだよ」
現れたのは到底、この人の弟とは分からない人だった。身長としてはランバートよりも低く、短い黒髪に青い瞳の青年だった。大人びた雰囲気のあるファウストとは違い、あどけなさもある人に見える。感情が豊かで、困っていても柔らかさがある。
「それより、兄さんはちゃんと休んでるの? 休みの日まで気を使わないで休んでよ」
「それは平気だ」
腰に手を当てて怒ったような仕草をする弟さんと、それを前にタジタジという様子のファウスト。それを見るのがこんなに楽しいとは思わなかった。思わずファウストの後ろで口元を押さえて笑っていると、黒い瞳がジロリと睨んだ。
「ランバート」
「だって」
敬愛と畏怖を一身に受ける軍神の頭の上がらぬ様なんて、そうそう見られるものではない。現に今も睨まれたって何の凄みもないのだ。
青い瞳がファウストの後ろに隠れていたランバートを見る。ひょこりと顔が見えて、それにランバートは笑いながらも丁寧に頭を下げた。
「ご無沙汰しています、店主」
「ランバートさん! あの、どうしたんですか? あっ、もしかして注文ですか?」
パッと青い目が驚きに丸くなり、次には職人の顔になる。にこやかに笑う姿はランバートも知っている姿だ。
「知り合いなのか?」
ファウストは本当に疑問そうな顔をしている。それに苦笑し、ランバートの方が呆れた顔をしてしまった。
「ここを知らない大貴族は、モグリですよ」
収まらない笑いを押し殺すようにして言うと、ファウストは明らかに嫌な顔をした。
何はともあれ表で立ち話もなんだと、彼は中へと招いてくれる。店の奥にあるそこは勝手口とダイニングキッチン。簡単な調理が出来るキッチンと、即座に食べれる四人掛けっぽいテーブルと椅子があるばかりだ。
「ランバート、お前ここの客だったのか」
椅子の一つに腰を下ろしたファウストがジロリと睨む。どうやら笑った事を根に持っているようだ。案外子供っぽい部分がこの人にはある。大事にはしないのだが。
「えぇ、そうですよ。ただ、ここの店主がファウスト様の弟さんだとは今日まで知りませんでしたが」
ランバートは忙しくお茶を淹れる人の背を見て言う。何か手伝おうとしたのだが、「座っててください」と言われてしまった。
「似てないですよね。ある意味、商売するならこの顔もどうかと思いますが」
「お前な」
「あはは、本当に。兄さんの顔立ちって、整いすぎて厳ついっていうか、妙に凄みがあるっていうか。客商売って感じがしないんですよね」
そう言って手早く出されたお茶とお茶菓子を囲んで、なんだか不思議な状態になった。彼はまずランバートとファウストを見て首を傾げる。
「まずはランバート、紹介する。俺の弟でルカだ」
「改めまして、ルカと申します。兄がお世話になっております」
「俺の方こそお世話になりっぱなしです」
そう言って向かい合ったルカとランバートは互いに深々とお辞儀をする。ちょっと可笑しくなってきた。
「それで、兄さんはランバートさんを僕に紹介しにきたの?」
「ん? あぁ、まぁ」
「もしかして、結婚?」
「!」
思わぬ先制パンチにファウストがお茶を詰まらせて思いきりむせている。ランバートはその背をさすったり叩いたりしてあげた。
それにしても、愛らしい雰囲気を漂わせながら凄まじい攻撃力だと思う。今もわくわくした顔で続きを待ち続けている。咳き込んで話せる状態にないファウストに代わって、ランバートが首を横に振った。
「違います。俺はファウスト様から貴方の抱えている問題について話を聞いて、それで」
「え、違うんですか? そっか、残念。兄さんもどこかに落ち着いたかなって期待したのに。アリアだって兄さんのお嫁さんが見たいって、誕生日に会いに行った時に言ってたよ」
「お前達は何を話してるんだ!」
「え? 兄さんの幸せと未来の『お兄さん』について」
「ルカ!」
怒鳴ってもまったく効果はない。軽く受け流して笑っている。実は彼こそが最強ではないかと思ってしまった。
「ファウスト様、落ち着いてください。ルカさんも、あまり虐めないでください。この人本気で落ち込みますから」
「事実だけどね。まぁ、それは追々ね」
追々なんだ……。とは、流石にランバートもこれ以上言えなかった。
「それで、ランバートさんは兄とはどのような関係なんですか?」
「昨年の夏頃から、騎士団に入団したんです。その関係でここにあまりうかがえず、ご無沙汰してしまって」
「兄が面倒をかけます。横暴な事を言われたり、無理難題を言われたりしてませんか? 兄は人使いが荒いので、迷惑でしたらはっきり言っていいんですよ」
「ルカ、お前は実の兄をどんな目で見ているんだ」
「うーん、仕事に厳しく自分に頑固。それでもって心配性で気苦労で不器用?」
「ルカ……」
ガックリと肩を落とすこの人をこれほど気の毒に思った事はないだろう。そしてやっぱりルカはファウストの弟だ。なかなか人間観察が鋭い。
なんとも邪気のない顔で笑っている人が実は凄まじい人物に見え始めたが、ランバートは気を取り直した。
「ファウスト様から聞きました。何やら良くない奴に目をつけられたとか」
言うと、ルカの顔も僅かに曇る。嫌な、というよりは困ったように。静かにお茶を飲み込むと、苦笑された。
「商売をしていると、ある事です。でも僕は先代から引き継いだこの店が好きですし、僕や先代の仕事を信頼して変わらずに来てくれるお客様が好きです。なので、移動したり店をたたんだりすることは考えていません」
途端に落ち着いた大人の顔をしたルカを見て、ランバートも表情を引き締める。ファウストに対しての屈託のない顔とはやはり違う。老舗の看板を背負っているルカは、芯のある青年だ。
「それでも、商売の妨害となればここに来る客にも危害が及びかねません。目に余るようなら、訴える事も考えては?」
「今の所はそこまでの事態にはなっていませんし、ここのお客様は噂に左右されるような方ではありません。これで離れてしまうのでしたら、僕の腕はその程度だったということです」
「ルカ、お前の身に危険があるのは」
「だから、そこまでの事にはなってないの。それに、僕個人の事で騎士団を動かしちゃダメって何度言えばいいの? 心配だってだけで騎士団を動かすのは職権乱用だよ」
ピシャリと叱る調子で言って腕を組んだルカを前に、ファウストは言いつのろうとしたのだろう。だがどう考えてもルカの言うことが正論だ。それを分かっているから、ファウストも悔しそうに言葉を飲むしかなかった。
「それでも、他にそのような被害を受けた職人もいると聞いてます。少し警戒してもいいのでは?」
「気をつけてはいます。表に高価な物を置かないようにしていますし」
「貴方の身の危険を言っているのですが」
「なんとかします」
あっけらかんと言われてしまった。ファウストが額に指を置いて首を振っている。なるほど、これはなかなか強敵だとランバートも感じた。
「実は俺、明日から街警なんです。なので少し、気をつけてここを回ろうかと思って」
「そんな! もう、兄さんが」
「ファウスト様は関係ありません。街の治安維持は街警の仕事ですし、争いの種がありそうな場所を注視するのは通常の業務でもあります。店の前を通って問題がなさそうならそのまま過ぎるし、少しでも騒がしいと感じれば事態鎮圧のために介入する。それが俺達の仕事です」
少し強い調子でピシャリと言う。これにはルカばかりでなくファウストも目を丸くして、次には兄弟そろって顔を見合わせて苦笑した。
「ランバートの言うとおりだ」
「うーん、そう言われると僕は何も言えなくなります。ランバートさんの仕事だって言うなら」
勝ち誇ったようなファウストの満足そうな顔ったらない。ルカも苦笑してしまった。
「それでは、ランバートさんの仕事の範疇でお願いします」
「はい、よろしくお願いします」
まぁ、お願いされなくても勝手にやるつもりではあったが、了解があったほうが気兼ねがない。ニッコリ笑って頷いたランバートは満面の笑みだった。
「それにしても、ランバートさんって案外強いんですね。兄さん、尻に敷かれてるでしょ」
「その表現はどうなんだ」
「押し切られてるでしょ? 兄さんって、けっこう押しに弱い部分があるから」
楽しそうにルカはファウストを弄り始めた。ファウストはタジタジだ。そしてそんな兄弟の様子を見ているランバートは、実に微笑ましい気分になる。
「あっ、ルカさん一つお願いが」
「あっ、はい。なんでしょうか?」
「実は使っているものがそろそろ無くなるので、一つ注文をお願いしたいのですが」
ふと思い出したランバートはそう言った。休みの日や酷く汗をかいたときには少量の香水を使う。臭いがきつくならないように少量ずつ使っているから減りが遅いが。
ルカの瞳が途端にパッと輝く。そうして出してきたのは一冊のノート。それをめくると、ランバートの項目が出てきた。
「以前の香水はどうでしたか?」
「えぇ、好きでした。時間が経つと少し甘くなって、だからと言って甘ったるくはなくて」
「それは良かったです。ランバートさんはいつもシトラス系の爽やかな物を好まれるので、少し甘めも挑戦したくて。もしもお気に召さなかったらと、ちょっと不安でした」
ランバートは首を横に振る。実際今もつけている香水は、最初は爽やかな香りがする。けれど肌に馴染んでくると徐々に柔らかく甘い香りがしてくるのだ。最初は驚いたし、自分に似合うのかとも思ったのだが、慣れてくるととても安らげる感じがした。
「今つけているのがそれか?」
ほんの少しファウストが近づいてくる。ちょっとドキッとしたのは、その距離の近さだ。
「これは香水の匂いだったんだな」
「常につけているわけじゃありませんが。今日は朝から稽古をしましたし、汗を拭うだけで外出でしたから」
「気にしているものだな」
そういうファウストは香水はつけないのだろう。それでも肌から香る体臭はどこか甘く誘惑的な気がする。
思い出したのは少し前の花見の夜。直接熱い肌に触れた時に感じた、あの甘い香りだ。
「どうした?」
「あっ、いいえ。あの、ルカさん。よければ新しいものを作っていただけませんか?」
心臓が意外と速く鳴っている。そんな自分を落ち着けようと、ランバートは努めて平然と装った。
ルカはというと新しい香水の注文と聞いて青い瞳が更に輝いている。そして、何度も頷いてくれた。
「では、作業場など見ていかれませんか? 香料のサンプルなどを試しながら決めていくというのは」
「いいのですか?」
「勿論! わぁ、新しいのが作れる。腕が鳴るし楽しいし」
そう言った彼はルンルンでランバートを手招きしている。立ち上がり「少し行ってきます」とファウストにことわってから後を追った。こうしてランバートはファウストの側を離れる事に成功したのだった。
「?」
なんとなく感じていたが、今日のファウストは様子が違う。おそらく何らかの心配事があるのだろう。眉間に皺が寄っている。だが周囲の師団長にも団長達にも変わった様子はないから、他に話す事がはばかられるのか。
「何か、困った事でもありましたか?」
溜息をついて軽く笑い、それとなくランバートは聞いた。向けられた視線が困ったように細くなる。そして珍しく、大きな溜息をついた。
「個人的にな」
「個人的?」
思わぬ言葉に少し驚き、ランバートは問い返す。ジッとランバートを見たファウストは、そのままどっかりと修練場に腰を下ろした。
「俺の弟が王都で仕事をしているのは知っているな?」
「えぇ」
ランバートは素直に頷く。
ファウストはシュトライザー公爵と愛人の母親との間の子だが、何故か一人だけシュトライザーの籍に入っている。そして実はその下に実弟と実妹がいる。この二人はシュトライザーの籍には入らず、母方の籍にある。あまり知られていない話だ。
そしてその弟は現在、王都で調香師、つまり香水を調合する仕事をしている。
「実は弟の所にライバル店の者がきて、引き抜きの誘いをしているらしい」
これについては珍しい話ではない。調香師やパティシエ、コック、ショコラティエなどの職人はその腕だけで大金を稼ぎ出す。そういう人物をヘッドハンティングする大店は今も昔もあるものだ。商売を左右するような大事だから、大抵は揉めるのだが。
「それで、揉め事ですか?」
「いや。そもそもあいつは一人で店を切り盛りしている。先代から引き継いだ店で、亡くなった時に一人になって弟子もない。店に愛着を持っているから、たたんでまで他の店に移るような事は考えていないそうだ」
「ちょっと、待って下さい」
ランバートは冷静に考えて、ファウストの話を一旦切った。
ファウストの弟の店は西地区のウルーラ通りという場所にあると聞いた。そこは一流の店が競うように軒を連ねている。その場所に、個人が店を出している。それだけでも実は凄い事だ。
ちなみに、ファウストの妹へのプレゼントを選んだ宝飾店もこの通りにある。
「あの、個人がウルーラ通りに店を出しているんですか?」
「ん? あぁ、そうだ。通りのかなり端のほうだが」
「裏通り?」
「いや、表通りだ」
「もの凄く実力ある人じゃないですか」
何でも無い事のように言うこの人は、おそらく自分の弟の凄さを理解していない。そんな様子があった。
「そうなのか? 小さな店で、お客は個人の取引が多いと言っていたが。俺は香水はつけないから、よく分からない」
「もう少し身の回りの事に気をつけてもいいんですけどね、ファウスト様は」
大貴族で、地位もあって、陛下の御前にも出る身分だと言うのに。制服がある職業の弊害なのか、この人はあまり自分の服装などにこだわりがない。身ぎれいだし、清潔感はあるのだが、装飾はほぼない。もう少し飾ってもいいだろうに。
「でも、そんな相手を引き抜きなんて。普通に考えて、応じるわけがないのに」
「何でもこの一ヶ月の間に王都に出店した店らしい。少し探ったが、あまりいい噂を聞かなくてな」
「例えば?」
「服飾と宝飾、香水を扱うようだが、職人の引き抜きが強引らしい。店で暴れたり、悪い噂を流されたりしていられなくなった職人もいるとか。元は地方からきたとも聞いた」
「手が悪いですね」
話を聞くかぎり、もしかしたら犯罪の可能性もありそうだ。街で暴れている所を捕まえられれば治安維持という事で拘束できる。だが商業法違反となれば騎士団の管轄ではなく内務の仕事になる。難しい話だ。
「俺が出たいんだが、それだけは絶対に止めてくれと弟に言われてな。それに俺も、内務の話にまで首を突っ込む事はできない。今の内務大臣は公平な人だから、あいつが訴えれば調べてくれると思うが」
「まぁ、俺としては弟さんの気持ちも分からないではないですけれど」
過保護なんだろうと思う。邪魔とは思わないものの、そこに頼る事をいいとは思わない人なら余計な心配をさせたくないだろう。
「暴力事件にはまだなっていないらしいが、前例があるから心配だ。今でも噂を流されているようだし、訴えればいいのにそうはしない。大げさだと笑われて終わってしまった」
「確かに、少し気になる話ではありますね」
前例があるなら同じ事をするだろう。何よりも信頼が重要な貴族相手の商売だ、悪評すらも業務妨害だというのに。裁判を起こすことも評価を下げる事になるから、そうしないのだろうか。
ふと考えて、ランバートは笑う。そして隣で思案顔のファウストに向き直った。
「俺が少し気をつけておきましょうか?」
「ん?」
「俺、明日から街警ですよ」
第二師団は来月、つまり明日から街警担当だ。当然ランバートも街の砦で一ヶ月を過ごす。そして好都合な事に、西地区担当だ。
ファウストもその事実を思い出したのだろう。目を見張って、だが次には眉根をきつく寄せる。
「お前にばかり頼るわけにはいかない」
「街の治安を守るのも、街警の仕事ですよ。俺がやるのは普通の警邏。その一環として、店の前を通って異変がないかをみてみるってだけです」
勿論、業務外の時間については何をしていても犯罪じゃなければ咎めはない。制服を脱いで街に出れば、門限の十時までは自由だ。
あくまで業務の範疇の事だと言われ、ファウストは腕を組んで考え込む。葛藤が見て分かる。そうして次には、疲れたように脱力だ。
「お前に話した俺が悪いな」
「ですね」
「すまない、手を貸してくれ」
「はい、頼まれなくとも」
この人の味方であることは、ランバートにとってとても嬉しい事なのだ。
「あっ、でも店を知りませんし、弟さんの顔も」
ふと一番大事な事を思い出して口にする。ランバートも西地区には買い物なり食事なりで足を運ぶが、ファウストに似た人物は知らない。何も知らないんじゃ守りようもない。
ファウストが小さく笑い立ち上がる。伸べられた手を取って立ち上がったランバートに、彼は穏やかな笑みを向けた。
「着替えて出るぞ」
「え?」
「弟に紹介しておく。何かあった時にはお前を頼るようにも言っておく。今日は安息日で、あいつの店も休みのはずだ」
決まれば早いこの人らしい。思って笑い、ランバートは素直にファウストに従った。
◆◇◆
ウルーラ通りは古くからある通りで、服飾や宝飾に関わる店が多い。城に近い場所は実は新しく、大きな店が実に誇らしく店を構えている。だが古い貴族の家などは端の方にある店を好む。通りを関所に近い端の方に行くと、そこは昔からある小さな店が多くなる。ここらは古くからあり、腕前の確かさと信頼で成り立っている。
ファウストの弟がやっている店というのも、この通りにある。控え目な店構えはショーウィンドーに花を飾り、中が見えるようになっている。どこか愛らしくも感じる佇まいだ。
「ここが店だ」
「……」
見上げたランバートは頭が痛い思いだった。それというのも、ランバートはこの店を知っている。実によく知っているのだ。
「どうした?」
隣で疑問そうに首を傾げるこの人の無知が憎い。そして声を大にして言いたい。貴方の弟さんは王都一と言われるほどの調香師だと。
香水店、『Le ciel』は古くからある店だが、現在は若い調香師が一人で切り盛りしている。古い貴族家はここで香水を買っているだろう。それほどに品質も香もいい、一流の店なのだ。多分、大のつく貴族でこの店の名を知らない奴はモグリだ。そして隣の人はきっとモグリだ。
「今日は安息日で表は開いていない。裏に回るぞ」
気にしない様子で店の裏手へと回ったファウストについて、ランバートも裏へと回った。
一人が通るだけという感じの控え目なドアをノックすると、中からのぞき戸が開く。格子のはまったスライド式の木戸が開くと、明るい空色の瞳がファウストを見つけた。
「あれ、兄さん? どうしたの?」
「あぁ、少しな。入ってもいいか?」
「うん、どうぞ」
どこか少年が抜けていない目が笑う。のぞき戸が閉まると直ぐに重そうな鉄の音がして、木戸が押し開けられた。
「兄さん、何かあったの?」
「様子はどうかと思ってな」
「もう、心配しすぎだよ。商売なんかしてるとある話なんだから、気にしなくていいんだよ」
現れたのは到底、この人の弟とは分からない人だった。身長としてはランバートよりも低く、短い黒髪に青い瞳の青年だった。大人びた雰囲気のあるファウストとは違い、あどけなさもある人に見える。感情が豊かで、困っていても柔らかさがある。
「それより、兄さんはちゃんと休んでるの? 休みの日まで気を使わないで休んでよ」
「それは平気だ」
腰に手を当てて怒ったような仕草をする弟さんと、それを前にタジタジという様子のファウスト。それを見るのがこんなに楽しいとは思わなかった。思わずファウストの後ろで口元を押さえて笑っていると、黒い瞳がジロリと睨んだ。
「ランバート」
「だって」
敬愛と畏怖を一身に受ける軍神の頭の上がらぬ様なんて、そうそう見られるものではない。現に今も睨まれたって何の凄みもないのだ。
青い瞳がファウストの後ろに隠れていたランバートを見る。ひょこりと顔が見えて、それにランバートは笑いながらも丁寧に頭を下げた。
「ご無沙汰しています、店主」
「ランバートさん! あの、どうしたんですか? あっ、もしかして注文ですか?」
パッと青い目が驚きに丸くなり、次には職人の顔になる。にこやかに笑う姿はランバートも知っている姿だ。
「知り合いなのか?」
ファウストは本当に疑問そうな顔をしている。それに苦笑し、ランバートの方が呆れた顔をしてしまった。
「ここを知らない大貴族は、モグリですよ」
収まらない笑いを押し殺すようにして言うと、ファウストは明らかに嫌な顔をした。
何はともあれ表で立ち話もなんだと、彼は中へと招いてくれる。店の奥にあるそこは勝手口とダイニングキッチン。簡単な調理が出来るキッチンと、即座に食べれる四人掛けっぽいテーブルと椅子があるばかりだ。
「ランバート、お前ここの客だったのか」
椅子の一つに腰を下ろしたファウストがジロリと睨む。どうやら笑った事を根に持っているようだ。案外子供っぽい部分がこの人にはある。大事にはしないのだが。
「えぇ、そうですよ。ただ、ここの店主がファウスト様の弟さんだとは今日まで知りませんでしたが」
ランバートは忙しくお茶を淹れる人の背を見て言う。何か手伝おうとしたのだが、「座っててください」と言われてしまった。
「似てないですよね。ある意味、商売するならこの顔もどうかと思いますが」
「お前な」
「あはは、本当に。兄さんの顔立ちって、整いすぎて厳ついっていうか、妙に凄みがあるっていうか。客商売って感じがしないんですよね」
そう言って手早く出されたお茶とお茶菓子を囲んで、なんだか不思議な状態になった。彼はまずランバートとファウストを見て首を傾げる。
「まずはランバート、紹介する。俺の弟でルカだ」
「改めまして、ルカと申します。兄がお世話になっております」
「俺の方こそお世話になりっぱなしです」
そう言って向かい合ったルカとランバートは互いに深々とお辞儀をする。ちょっと可笑しくなってきた。
「それで、兄さんはランバートさんを僕に紹介しにきたの?」
「ん? あぁ、まぁ」
「もしかして、結婚?」
「!」
思わぬ先制パンチにファウストがお茶を詰まらせて思いきりむせている。ランバートはその背をさすったり叩いたりしてあげた。
それにしても、愛らしい雰囲気を漂わせながら凄まじい攻撃力だと思う。今もわくわくした顔で続きを待ち続けている。咳き込んで話せる状態にないファウストに代わって、ランバートが首を横に振った。
「違います。俺はファウスト様から貴方の抱えている問題について話を聞いて、それで」
「え、違うんですか? そっか、残念。兄さんもどこかに落ち着いたかなって期待したのに。アリアだって兄さんのお嫁さんが見たいって、誕生日に会いに行った時に言ってたよ」
「お前達は何を話してるんだ!」
「え? 兄さんの幸せと未来の『お兄さん』について」
「ルカ!」
怒鳴ってもまったく効果はない。軽く受け流して笑っている。実は彼こそが最強ではないかと思ってしまった。
「ファウスト様、落ち着いてください。ルカさんも、あまり虐めないでください。この人本気で落ち込みますから」
「事実だけどね。まぁ、それは追々ね」
追々なんだ……。とは、流石にランバートもこれ以上言えなかった。
「それで、ランバートさんは兄とはどのような関係なんですか?」
「昨年の夏頃から、騎士団に入団したんです。その関係でここにあまりうかがえず、ご無沙汰してしまって」
「兄が面倒をかけます。横暴な事を言われたり、無理難題を言われたりしてませんか? 兄は人使いが荒いので、迷惑でしたらはっきり言っていいんですよ」
「ルカ、お前は実の兄をどんな目で見ているんだ」
「うーん、仕事に厳しく自分に頑固。それでもって心配性で気苦労で不器用?」
「ルカ……」
ガックリと肩を落とすこの人をこれほど気の毒に思った事はないだろう。そしてやっぱりルカはファウストの弟だ。なかなか人間観察が鋭い。
なんとも邪気のない顔で笑っている人が実は凄まじい人物に見え始めたが、ランバートは気を取り直した。
「ファウスト様から聞きました。何やら良くない奴に目をつけられたとか」
言うと、ルカの顔も僅かに曇る。嫌な、というよりは困ったように。静かにお茶を飲み込むと、苦笑された。
「商売をしていると、ある事です。でも僕は先代から引き継いだこの店が好きですし、僕や先代の仕事を信頼して変わらずに来てくれるお客様が好きです。なので、移動したり店をたたんだりすることは考えていません」
途端に落ち着いた大人の顔をしたルカを見て、ランバートも表情を引き締める。ファウストに対しての屈託のない顔とはやはり違う。老舗の看板を背負っているルカは、芯のある青年だ。
「それでも、商売の妨害となればここに来る客にも危害が及びかねません。目に余るようなら、訴える事も考えては?」
「今の所はそこまでの事態にはなっていませんし、ここのお客様は噂に左右されるような方ではありません。これで離れてしまうのでしたら、僕の腕はその程度だったということです」
「ルカ、お前の身に危険があるのは」
「だから、そこまでの事にはなってないの。それに、僕個人の事で騎士団を動かしちゃダメって何度言えばいいの? 心配だってだけで騎士団を動かすのは職権乱用だよ」
ピシャリと叱る調子で言って腕を組んだルカを前に、ファウストは言いつのろうとしたのだろう。だがどう考えてもルカの言うことが正論だ。それを分かっているから、ファウストも悔しそうに言葉を飲むしかなかった。
「それでも、他にそのような被害を受けた職人もいると聞いてます。少し警戒してもいいのでは?」
「気をつけてはいます。表に高価な物を置かないようにしていますし」
「貴方の身の危険を言っているのですが」
「なんとかします」
あっけらかんと言われてしまった。ファウストが額に指を置いて首を振っている。なるほど、これはなかなか強敵だとランバートも感じた。
「実は俺、明日から街警なんです。なので少し、気をつけてここを回ろうかと思って」
「そんな! もう、兄さんが」
「ファウスト様は関係ありません。街の治安維持は街警の仕事ですし、争いの種がありそうな場所を注視するのは通常の業務でもあります。店の前を通って問題がなさそうならそのまま過ぎるし、少しでも騒がしいと感じれば事態鎮圧のために介入する。それが俺達の仕事です」
少し強い調子でピシャリと言う。これにはルカばかりでなくファウストも目を丸くして、次には兄弟そろって顔を見合わせて苦笑した。
「ランバートの言うとおりだ」
「うーん、そう言われると僕は何も言えなくなります。ランバートさんの仕事だって言うなら」
勝ち誇ったようなファウストの満足そうな顔ったらない。ルカも苦笑してしまった。
「それでは、ランバートさんの仕事の範疇でお願いします」
「はい、よろしくお願いします」
まぁ、お願いされなくても勝手にやるつもりではあったが、了解があったほうが気兼ねがない。ニッコリ笑って頷いたランバートは満面の笑みだった。
「それにしても、ランバートさんって案外強いんですね。兄さん、尻に敷かれてるでしょ」
「その表現はどうなんだ」
「押し切られてるでしょ? 兄さんって、けっこう押しに弱い部分があるから」
楽しそうにルカはファウストを弄り始めた。ファウストはタジタジだ。そしてそんな兄弟の様子を見ているランバートは、実に微笑ましい気分になる。
「あっ、ルカさん一つお願いが」
「あっ、はい。なんでしょうか?」
「実は使っているものがそろそろ無くなるので、一つ注文をお願いしたいのですが」
ふと思い出したランバートはそう言った。休みの日や酷く汗をかいたときには少量の香水を使う。臭いがきつくならないように少量ずつ使っているから減りが遅いが。
ルカの瞳が途端にパッと輝く。そうして出してきたのは一冊のノート。それをめくると、ランバートの項目が出てきた。
「以前の香水はどうでしたか?」
「えぇ、好きでした。時間が経つと少し甘くなって、だからと言って甘ったるくはなくて」
「それは良かったです。ランバートさんはいつもシトラス系の爽やかな物を好まれるので、少し甘めも挑戦したくて。もしもお気に召さなかったらと、ちょっと不安でした」
ランバートは首を横に振る。実際今もつけている香水は、最初は爽やかな香りがする。けれど肌に馴染んでくると徐々に柔らかく甘い香りがしてくるのだ。最初は驚いたし、自分に似合うのかとも思ったのだが、慣れてくるととても安らげる感じがした。
「今つけているのがそれか?」
ほんの少しファウストが近づいてくる。ちょっとドキッとしたのは、その距離の近さだ。
「これは香水の匂いだったんだな」
「常につけているわけじゃありませんが。今日は朝から稽古をしましたし、汗を拭うだけで外出でしたから」
「気にしているものだな」
そういうファウストは香水はつけないのだろう。それでも肌から香る体臭はどこか甘く誘惑的な気がする。
思い出したのは少し前の花見の夜。直接熱い肌に触れた時に感じた、あの甘い香りだ。
「どうした?」
「あっ、いいえ。あの、ルカさん。よければ新しいものを作っていただけませんか?」
心臓が意外と速く鳴っている。そんな自分を落ち着けようと、ランバートは努めて平然と装った。
ルカはというと新しい香水の注文と聞いて青い瞳が更に輝いている。そして、何度も頷いてくれた。
「では、作業場など見ていかれませんか? 香料のサンプルなどを試しながら決めていくというのは」
「いいのですか?」
「勿論! わぁ、新しいのが作れる。腕が鳴るし楽しいし」
そう言った彼はルンルンでランバートを手招きしている。立ち上がり「少し行ってきます」とファウストにことわってから後を追った。こうしてランバートはファウストの側を離れる事に成功したのだった。
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