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12章:ルシオ・フェルナンデス消失事件
12話:ルシオ・フェルナンデスの消失
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町を見下ろすそこは、夏にしては涼しい風が吹き抜ける。そこにある腰掛けるには丁度いい石に座って、ルシオは町の煌めきを見下ろした。
「綺麗だな」
町の明かりは祭りの彩りを受けて更に輝き、宝石箱のように見える。耳を澄ませば風に乗って、人々の幸せな声が聞こえてきそうだ。
花火は上がらなかった。レンゼールの思惑は全て散ったということだ。騎士団が守り抜いてくれた。それを見届けて、それで十分だった。
背後で草を踏む音がして、同時に空気を裂く音がした。ルシオは素早く石から飛び退き、背後を見た。
「やぁ、待っていたよレンゼール・ブラハム。君はよほど、私が目障りなんだろ?」
目の前に立つ男、肩に触れる濃いブラウンの髪に同色の瞳を持つレンゼールは剣を手元に戻して「ふん」と笑った。
「あぁ、目障りだルシオ・フェルナンデス。皇帝の犬め」
「光栄だね。リードも首輪も取られたけれど」
なんて、バカみたいに言ってみる。もうヤケだ。
レンゼールの剣は粗野だが、底には確かな基礎がある。一方ルシオは付け焼き刃だ。幼馴染みのクラウルが何度も教えてくれたが、どうしても合わなくて逃げてきた。もう少し真面目にやっていればよかった。そうは思っても、今更だ。
剣を合わせる度に追い詰められるのはルシオのほう。手が痺れて腕が上がらない。防戦一方のまま、やがて剣を弾き飛ばされた。
剣が肩を突き抜け、焼き付くような痛みに呻く。レンゼールはそのままルシオを押し倒し、まるで地面に杭で打ち止めるように剣を深く突き立てた。
「くっ!!」
歯を食いしばり、息を呑む。体が一気に熱くなる。こんなにも痛みには逆らえないのか。そう思うと、色んなものが辛かった。
「ははっ、やっとこの時だ。お前のことは本当に気にくわなかったんだ、ルシオ!」
鈍い音がして、頬骨が軋むような痛みが走る。馬乗りになり殴りつける男の狂気が目に映る。
「お前がことごとく俺達の動向を騎士団に伝えたんだろう! 事を起こす前から潰されて、いい加減我慢ならん!」
「うっ!」
胃液が逆流して、口の中が酸っぱくなる。腹を思い切り殴られる。痛みは鈍いが、気持ちが悪い。
それでもルシオは笑った。嘲るように鮮やかに笑い、鋭い緑色の瞳で睨み付けた。
「お前達の様なバカの動きも考えも筒抜けだ。壊すばかりの奴の、何が革命だ。お前に理想なんて物があるのか!」
「何だと!」
肩を貫く剣が更に深く刺さり、鋭い剣が肉を裂く。流れた血が背中を温かくしていく。
「皇帝のクソが俺の親父を殺して、全てを奪ったんだろうが!」
「暗殺に加担した奴が何を偉そうに言ってる! お前の親父は、カーライルを殺そうとしてしくじったんだろ! お前の命だけでも助けたカーライルは寛大だ!」
「なんだと!」
一気に引き抜かれた剣が、もう片方の肩に埋まる。呻きだけを上げたが、悲鳴は上げなかった。情けない自分を許せないからだ。
「見ろ、町を。お前達の謀は全て防がれた。お前の組織は騎士団によって壊滅だ。もう、何も残っていない。残念だったな、私の所のカスを集めたのに、このザマで」
「お前、まさか!」
レンゼールのブラウンの瞳が見開かれ、次には叩きつけられるような拳が降った。もう、声が出ないかもしれない。そのくらい、息が苦しかった。
「お前の所の奴が俺の所にきたのは、お前の差し金か!」
そうであると同時に、そうじゃない。こいつの所に行った奴らは、別にどうでもいい奴だっただけだ。信頼した部下ではない。それに、ザルなのも分かっていた。こいつらよりは賢いが、動けば動くほどその足取りは掴めた。
意識が飛ぶ。瞳はぼんやりと光景を映している。感覚が少し遠いかもしれない。でも、なぜか安心した。静かな夜は星が綺麗だ。横にはカーライルがいて、その奥にはクラウルがいて、こうして空を見上げた。あの星は何に見えるとか、違うとか、他愛ない事で言い合った。
あの時に戻りたい。戻れるなら、何をしてもいい。でも、叶わないなら消えてしまいたい。彼らの泣く顔を、見たくない。
途切れる寸前、何かが動いた。そして次には、レンゼールの体はルシオの上からなくなり、代わりに上半身を抱き上げられた。
「ルシオ!」
クラウルの必死な顔が覗き込んでいる。声を出そうとして、出ない。代わりに咳き込んで、口の中に血の味がした。
「ルシオ!」
「クラウ……ル?」
掠れた声で問いかける。どうしてここに? なんで来たの。色々と感情があった。でもやっぱり、嬉しいのだ。胸が詰まるくらい、嬉しいのだ。
「バ、カ。どうして、きたの? ダメじゃないか」
こんな所を誰かに見られたら、君の立場は悪くなる。カーライルを任せられるのは、個人的にはやっぱり君なのに。
「ルシオ、直ぐに治療する。だから」
「ダメだよ」
どうにか上がった腕で胸を押した。本当に、嫌なのだ。もう、限界なのだから。
「生きていたくない……」
「ルシオ!」
「側に、いたいんだ」
息が切れる。満足に吸えていないからだ。腹部に痛みを感じる。感じなかった時より、ましかもしれない。
「嫌なんだ、もう……私だけが隣にいられない」
「ルシオ」
「どうして、殺してくれなかったんだ……」
こんなことをクラウルにぶつけるのは残酷だ。優しい奴なんだ、本当は。痛みに表情を歪めるくらい、友を思う奴なんだ。
分かっている。それでも止まらない。気持ちが限界だった。ボロボロと、涙が落ちる。
「どうして来たんだ……死にたかったのに」
「っ」
「私はもう、二人の側にいられない。辛いんだ。嫌なんだよ、もう……死にたいんだ」
よほど痛い目をした友が、くしゃりと表情を歪める。抱きしめる腕に力がこもる。厚い胸板だ。その背に、どうにか持ち上がる腕を回した。
「私に出来る事はもうない、頼むから休ませて。見逃さなくていい、これ以上一人で生きていたくない。私は、思い出に縋るにはもう……」
思えば思うほどに現実が伴わない。約束が呪縛のようだ。バカな父が謀反など考えて、友を救いたくて必死に動いた。人を使ってクラウルに陰謀を漏らしたのはルシオだ。当然、これで自分の未来が消えたのは分かった。それでも、友を失う光景は見たくなかった。
その後も、必死だった。テロリストや犯罪者に甘い国になってはいけない。だから、自分にも厳しい処分をして欲しい。不問にすると言いそうなカーライルを見て、共謀の噂を流した。処刑されてもいいと思った。
でも、生かされた。生かされて、絶望した。生きている痛みに耐えきれなかった。けれど、語った未来が残った。人が笑っている世界。生き方を選べる世界。強い王の元で、特権を払い自由に生きられる世界。
踏みとどまった。そして、人を苦しめるばかりの事案をテロという形で表面化させ、問題とすることで法を整え、同時にそれらを行う奴を牢に放り込む事を考えた。
順調だった。変わっていく法を聞いて、満足した。形は歪んだが、何かを残せている。その思いが隣にいられない喪失感を埋めた。
でも、それらも終わった。即位五年、早足だったカーライルの治世は少しだけ落ち着いた。人々の顔に笑みが浮かび、徐々にだが貴族だけの世界の門扉は開いた。後は前例や実績を重ねていけばいい。急なやり方はより歪にしてしまう。最初をどうにかすれば、後は流れに任せるんだ。
そうしたら、何をしていけばいいのか分からなくなった。そして残ったのは、自分が国にとっての敵であり、A級の犯罪者だという烙印だけだった。
「君が手を下さなくても、放置すればいい。血が、止まらないから」
腕の傷はそこを通る太い血管を傷つけたのだろう。血が止まらない。少しずつ体が寒くなっていく。このまま放置すれば、失血死だ。
「ルシオ、聞いてくれ。俺はお前を失えない。カールも同じだ。お前に、戻ってきてもらいたい」
「犯罪者は、極刑だよ?」
「そうはさせない!」
体が寄せられる。強い力は少し痛い。でも、それ以上に胸が痛くて首を横に振った。
「ダメだよ? 法を曲げたら……例外なんて作ったら」
綻びが出る。為政者がそれを堂々行っていいわけがない。分かっている、だからルシオは五年前に覚悟したのだから。
「大丈夫、法は曲げない。お前を、俺達の側に戻す」
「魔法使いみたいなこと言わないでよ……」
その時、馬車の音がした。ルシオは体を強ばらせてクラウルの胸を押した。こんな光景を他人に見せる訳にはいかない。そう、焦ったのだ。
「やぁ、片付いたみたいだね」
馬車の音が止んで、軽薄な声が聞こえる。霞みそうな視線を向けると、そこには声と同じ軽薄そうな男が立っていた。
耳のラインで切りそろえた淡い栗色の髪に、猫のような青い瞳。口元に貼り付けたような笑みを見せる男は、静かに草を踏んで近づいた。
「ハムレット殿」
「あらら、ボロボロだね。ちょっと触診するわ」
側に膝をついた男は優美に手を触れる。腕の上部を紐で強く絞め、殴られて痣になった腹に触れていく。
「うーん、弱いかな。まぁ、でも開腹するような事はないね。時間かけて投薬で。腕は後で縫うよ。血液型はAだったね」
うんうんと頷きながら、男は言って馬車に手で合図をする。すると御者をしていた人物が馬車の中から何かを持ってくる。見間違いじゃなければ、それは人だった。
「あ、服は脱いで。その服必要だから」
言われるままにトントンと服を脱がされている。クラウルまでもがなぜか協力的だ。野外で衣服を剥ぎ取られている間に、御者がルシオの側に持ってきたものを置いた。
「!」
驚きに声が出ず、見開いて凝視した。それは全裸の男だが、問題は顔だ。ルシオとあまりに似ている。いや、多分誰もが間違う。それほどなのだ。
「あっ、驚いた? もう、生きてる条件で背格好や年齢合わせるのって素材探しが大変なんだよね。でもさ、顔はそっくりでしょ? もう、自信作なんだ。君の肖像画とか見て作ってみたんだけど、どう?」
「どう?」と問われて、なんて言えばいい。確かに男の胸は上下している。だが、その瞳が開くことはない。なんとも気持ちが悪いが、同時に目の前の男の正体を知った。
ハムレット・ヒッテルスバッハ。ランバートの直ぐ上の兄だろう。
「服はそいつに着せて。服に合わせて傷もつけないとね」
「! やめ!」
言いかけた目の前で、ハムレットは躊躇いもなく男の両肩を深く剣で突き刺す。上がった血は、まだ温かい。男が生きている証なのに、固く閉じた瞳が開くことはなく、痛みに叫ぶ事もない。
「どうして……」
「あぁ、うん。こいつね、組織でヘマして生きてるけど死んでるんだ。頭の中が酷くて。処理頼まれたんだけど、丁度よかったよ。可愛い弟から熱烈に頼まれてた条件にピッタリだったんだ。だからもう、死なせない為に必死に治療しちゃった」
照れたように頬を染めた男のそれは、狂気にしか映らない。血濡れた剣を握ったまま頬に手を当てクネクネしている。なんて、ちぐはぐな光景だ。
「さてと、服も着せたし。後は」
「あ……!」
振り上げた剣がどこに振り下ろされるのか、ルシオは見る事ができなかった。裸の肌に触れるクラウルの腕がグッと引き寄せ胸に顔をつける。その背に、温かな飛沫を感じた。
「流石だね、クラウル団長。目を逸らさなかったのは、立派だよ」
まるで何でも無い事のように、ハムレットは剣を放り投げる。そして、落ちた首に手を合わせた。
「この人の名前はね、ビンスって言うんだ。地方の家の子沢山家族の真ん中くらいで、思春期にグレてとある闇組織に入っちゃったんだけど、そこそこ顔がよくてボスの女と関係持っちゃってさ。バレてボコボコ。ほんと、迷惑な話なんだけどね」
震えてしまう。人を人とも思わない所業は見てきた。だが少なくとも、こんなに躊躇いなく殺す人間には会っていなかった。結果的な殺人はあっても、物を処理するような行いはなかった。
それでも沈んだ声でハムレットは言うのだ。手を合わせて、伝えるのだ。たった今終えた、見知らぬ者の生涯を。
「君の身代わりに死んでくれた人だから、君だけは祈ってやって。忘れずにいてやってよね。そして毎年、手を合わせて。まぁ、僕は毎日祈らないといけないけれど、欠かさないんだよ。そんな事も忘れたら、流石に人間じゃなくなりそうだし」
御者が持ってきた外套で体を巻かれ、ルシオはその御者の手で抱き上げられる。クラウルはなんとも言えない暗い瞳を向けて立ち上がった。
「頼む」
「任せて。そっちは任せるから、ちゃんとしておくように。後、秘密基地にくるときは見られないようにね」
二人の間には何かしらの合意があるのだろう。馬車に押し込められたルシオは、遠ざかって行く友を思ってひたすらに不安になった。
◆◇◆
城は上手く防衛できた。シウスが直ぐに火薬を別の場所に分散して移し、見張りをつけて対処した。そしてオスカルがカーライルの寝室で件の女暗殺者を捕らえた。これでもう、脅威は去った。
今は一人用の病室にいる。ベッドから遠くで灯る明かりが柔らかく、ランバートの金の髪を輝かせた。
ランバートをエリオットの所に連れて行った時、青い顔を見て不安がこみ上げた。腹を強く蹴りつけられた様だったから、内臓へのダメージが怖かった。こればかりは専門ではないから、分からない。それに胸の傷も、指で抉られていた。直ぐに消毒はしたが、破傷風にでもなれば助かる見込みはない。
顔色が悪く、息も浅い彼を腕に抱いて生きた心地がしなかった。そして、自分を責めた。金属の高い音が聞こえて、探りながら急いで引き返した。どうにか駆けつけた時には抵抗できずに組み敷かれ、今にも腕を折ろうとしていた。落ちていた石を思い切り投げつけた。あんなに焦ったことはない。
エリオットは直ぐに手術室へとランバートを運び、治療をしてくれた。それでも、胸の傷は多少の痕が残るだろうと言っていた。指で抉られた歪さが、縫合を容易にはさせてくれなかったらしい。
心配していた内臓へのダメージは思ったよりも軽かった。それでも食事と投薬で回復させなければということだ。
ベッド脇に椅子を置き、髪を梳く。落ち着いた呼吸を繰り返す事に安堵しながら、助けられなかった事を後悔している。
脇に置いた剣を抜いた。刃はこぼれてガタガタだ。それでも、戦ったのだ。諦めそうな場面で、希望を捨てなかったのだろう。戦いの痕跡が、そう言っている。
回復度合いにもよるが、三日は入院。一週間は安静にさせたい。完全に仕事復帰させるのは、一ヶ月くらいみておきたい。そう、エリオットは言っていた。
「ゆっくり休め」
ランバートの剣を片手に、ファウストは病室を出た。そして、激戦を耐えた剣を綺麗に研ぎ直す手はずを整えに走った。
「綺麗だな」
町の明かりは祭りの彩りを受けて更に輝き、宝石箱のように見える。耳を澄ませば風に乗って、人々の幸せな声が聞こえてきそうだ。
花火は上がらなかった。レンゼールの思惑は全て散ったということだ。騎士団が守り抜いてくれた。それを見届けて、それで十分だった。
背後で草を踏む音がして、同時に空気を裂く音がした。ルシオは素早く石から飛び退き、背後を見た。
「やぁ、待っていたよレンゼール・ブラハム。君はよほど、私が目障りなんだろ?」
目の前に立つ男、肩に触れる濃いブラウンの髪に同色の瞳を持つレンゼールは剣を手元に戻して「ふん」と笑った。
「あぁ、目障りだルシオ・フェルナンデス。皇帝の犬め」
「光栄だね。リードも首輪も取られたけれど」
なんて、バカみたいに言ってみる。もうヤケだ。
レンゼールの剣は粗野だが、底には確かな基礎がある。一方ルシオは付け焼き刃だ。幼馴染みのクラウルが何度も教えてくれたが、どうしても合わなくて逃げてきた。もう少し真面目にやっていればよかった。そうは思っても、今更だ。
剣を合わせる度に追い詰められるのはルシオのほう。手が痺れて腕が上がらない。防戦一方のまま、やがて剣を弾き飛ばされた。
剣が肩を突き抜け、焼き付くような痛みに呻く。レンゼールはそのままルシオを押し倒し、まるで地面に杭で打ち止めるように剣を深く突き立てた。
「くっ!!」
歯を食いしばり、息を呑む。体が一気に熱くなる。こんなにも痛みには逆らえないのか。そう思うと、色んなものが辛かった。
「ははっ、やっとこの時だ。お前のことは本当に気にくわなかったんだ、ルシオ!」
鈍い音がして、頬骨が軋むような痛みが走る。馬乗りになり殴りつける男の狂気が目に映る。
「お前がことごとく俺達の動向を騎士団に伝えたんだろう! 事を起こす前から潰されて、いい加減我慢ならん!」
「うっ!」
胃液が逆流して、口の中が酸っぱくなる。腹を思い切り殴られる。痛みは鈍いが、気持ちが悪い。
それでもルシオは笑った。嘲るように鮮やかに笑い、鋭い緑色の瞳で睨み付けた。
「お前達の様なバカの動きも考えも筒抜けだ。壊すばかりの奴の、何が革命だ。お前に理想なんて物があるのか!」
「何だと!」
肩を貫く剣が更に深く刺さり、鋭い剣が肉を裂く。流れた血が背中を温かくしていく。
「皇帝のクソが俺の親父を殺して、全てを奪ったんだろうが!」
「暗殺に加担した奴が何を偉そうに言ってる! お前の親父は、カーライルを殺そうとしてしくじったんだろ! お前の命だけでも助けたカーライルは寛大だ!」
「なんだと!」
一気に引き抜かれた剣が、もう片方の肩に埋まる。呻きだけを上げたが、悲鳴は上げなかった。情けない自分を許せないからだ。
「見ろ、町を。お前達の謀は全て防がれた。お前の組織は騎士団によって壊滅だ。もう、何も残っていない。残念だったな、私の所のカスを集めたのに、このザマで」
「お前、まさか!」
レンゼールのブラウンの瞳が見開かれ、次には叩きつけられるような拳が降った。もう、声が出ないかもしれない。そのくらい、息が苦しかった。
「お前の所の奴が俺の所にきたのは、お前の差し金か!」
そうであると同時に、そうじゃない。こいつの所に行った奴らは、別にどうでもいい奴だっただけだ。信頼した部下ではない。それに、ザルなのも分かっていた。こいつらよりは賢いが、動けば動くほどその足取りは掴めた。
意識が飛ぶ。瞳はぼんやりと光景を映している。感覚が少し遠いかもしれない。でも、なぜか安心した。静かな夜は星が綺麗だ。横にはカーライルがいて、その奥にはクラウルがいて、こうして空を見上げた。あの星は何に見えるとか、違うとか、他愛ない事で言い合った。
あの時に戻りたい。戻れるなら、何をしてもいい。でも、叶わないなら消えてしまいたい。彼らの泣く顔を、見たくない。
途切れる寸前、何かが動いた。そして次には、レンゼールの体はルシオの上からなくなり、代わりに上半身を抱き上げられた。
「ルシオ!」
クラウルの必死な顔が覗き込んでいる。声を出そうとして、出ない。代わりに咳き込んで、口の中に血の味がした。
「ルシオ!」
「クラウ……ル?」
掠れた声で問いかける。どうしてここに? なんで来たの。色々と感情があった。でもやっぱり、嬉しいのだ。胸が詰まるくらい、嬉しいのだ。
「バ、カ。どうして、きたの? ダメじゃないか」
こんな所を誰かに見られたら、君の立場は悪くなる。カーライルを任せられるのは、個人的にはやっぱり君なのに。
「ルシオ、直ぐに治療する。だから」
「ダメだよ」
どうにか上がった腕で胸を押した。本当に、嫌なのだ。もう、限界なのだから。
「生きていたくない……」
「ルシオ!」
「側に、いたいんだ」
息が切れる。満足に吸えていないからだ。腹部に痛みを感じる。感じなかった時より、ましかもしれない。
「嫌なんだ、もう……私だけが隣にいられない」
「ルシオ」
「どうして、殺してくれなかったんだ……」
こんなことをクラウルにぶつけるのは残酷だ。優しい奴なんだ、本当は。痛みに表情を歪めるくらい、友を思う奴なんだ。
分かっている。それでも止まらない。気持ちが限界だった。ボロボロと、涙が落ちる。
「どうして来たんだ……死にたかったのに」
「っ」
「私はもう、二人の側にいられない。辛いんだ。嫌なんだよ、もう……死にたいんだ」
よほど痛い目をした友が、くしゃりと表情を歪める。抱きしめる腕に力がこもる。厚い胸板だ。その背に、どうにか持ち上がる腕を回した。
「私に出来る事はもうない、頼むから休ませて。見逃さなくていい、これ以上一人で生きていたくない。私は、思い出に縋るにはもう……」
思えば思うほどに現実が伴わない。約束が呪縛のようだ。バカな父が謀反など考えて、友を救いたくて必死に動いた。人を使ってクラウルに陰謀を漏らしたのはルシオだ。当然、これで自分の未来が消えたのは分かった。それでも、友を失う光景は見たくなかった。
その後も、必死だった。テロリストや犯罪者に甘い国になってはいけない。だから、自分にも厳しい処分をして欲しい。不問にすると言いそうなカーライルを見て、共謀の噂を流した。処刑されてもいいと思った。
でも、生かされた。生かされて、絶望した。生きている痛みに耐えきれなかった。けれど、語った未来が残った。人が笑っている世界。生き方を選べる世界。強い王の元で、特権を払い自由に生きられる世界。
踏みとどまった。そして、人を苦しめるばかりの事案をテロという形で表面化させ、問題とすることで法を整え、同時にそれらを行う奴を牢に放り込む事を考えた。
順調だった。変わっていく法を聞いて、満足した。形は歪んだが、何かを残せている。その思いが隣にいられない喪失感を埋めた。
でも、それらも終わった。即位五年、早足だったカーライルの治世は少しだけ落ち着いた。人々の顔に笑みが浮かび、徐々にだが貴族だけの世界の門扉は開いた。後は前例や実績を重ねていけばいい。急なやり方はより歪にしてしまう。最初をどうにかすれば、後は流れに任せるんだ。
そうしたら、何をしていけばいいのか分からなくなった。そして残ったのは、自分が国にとっての敵であり、A級の犯罪者だという烙印だけだった。
「君が手を下さなくても、放置すればいい。血が、止まらないから」
腕の傷はそこを通る太い血管を傷つけたのだろう。血が止まらない。少しずつ体が寒くなっていく。このまま放置すれば、失血死だ。
「ルシオ、聞いてくれ。俺はお前を失えない。カールも同じだ。お前に、戻ってきてもらいたい」
「犯罪者は、極刑だよ?」
「そうはさせない!」
体が寄せられる。強い力は少し痛い。でも、それ以上に胸が痛くて首を横に振った。
「ダメだよ? 法を曲げたら……例外なんて作ったら」
綻びが出る。為政者がそれを堂々行っていいわけがない。分かっている、だからルシオは五年前に覚悟したのだから。
「大丈夫、法は曲げない。お前を、俺達の側に戻す」
「魔法使いみたいなこと言わないでよ……」
その時、馬車の音がした。ルシオは体を強ばらせてクラウルの胸を押した。こんな光景を他人に見せる訳にはいかない。そう、焦ったのだ。
「やぁ、片付いたみたいだね」
馬車の音が止んで、軽薄な声が聞こえる。霞みそうな視線を向けると、そこには声と同じ軽薄そうな男が立っていた。
耳のラインで切りそろえた淡い栗色の髪に、猫のような青い瞳。口元に貼り付けたような笑みを見せる男は、静かに草を踏んで近づいた。
「ハムレット殿」
「あらら、ボロボロだね。ちょっと触診するわ」
側に膝をついた男は優美に手を触れる。腕の上部を紐で強く絞め、殴られて痣になった腹に触れていく。
「うーん、弱いかな。まぁ、でも開腹するような事はないね。時間かけて投薬で。腕は後で縫うよ。血液型はAだったね」
うんうんと頷きながら、男は言って馬車に手で合図をする。すると御者をしていた人物が馬車の中から何かを持ってくる。見間違いじゃなければ、それは人だった。
「あ、服は脱いで。その服必要だから」
言われるままにトントンと服を脱がされている。クラウルまでもがなぜか協力的だ。野外で衣服を剥ぎ取られている間に、御者がルシオの側に持ってきたものを置いた。
「!」
驚きに声が出ず、見開いて凝視した。それは全裸の男だが、問題は顔だ。ルシオとあまりに似ている。いや、多分誰もが間違う。それほどなのだ。
「あっ、驚いた? もう、生きてる条件で背格好や年齢合わせるのって素材探しが大変なんだよね。でもさ、顔はそっくりでしょ? もう、自信作なんだ。君の肖像画とか見て作ってみたんだけど、どう?」
「どう?」と問われて、なんて言えばいい。確かに男の胸は上下している。だが、その瞳が開くことはない。なんとも気持ちが悪いが、同時に目の前の男の正体を知った。
ハムレット・ヒッテルスバッハ。ランバートの直ぐ上の兄だろう。
「服はそいつに着せて。服に合わせて傷もつけないとね」
「! やめ!」
言いかけた目の前で、ハムレットは躊躇いもなく男の両肩を深く剣で突き刺す。上がった血は、まだ温かい。男が生きている証なのに、固く閉じた瞳が開くことはなく、痛みに叫ぶ事もない。
「どうして……」
「あぁ、うん。こいつね、組織でヘマして生きてるけど死んでるんだ。頭の中が酷くて。処理頼まれたんだけど、丁度よかったよ。可愛い弟から熱烈に頼まれてた条件にピッタリだったんだ。だからもう、死なせない為に必死に治療しちゃった」
照れたように頬を染めた男のそれは、狂気にしか映らない。血濡れた剣を握ったまま頬に手を当てクネクネしている。なんて、ちぐはぐな光景だ。
「さてと、服も着せたし。後は」
「あ……!」
振り上げた剣がどこに振り下ろされるのか、ルシオは見る事ができなかった。裸の肌に触れるクラウルの腕がグッと引き寄せ胸に顔をつける。その背に、温かな飛沫を感じた。
「流石だね、クラウル団長。目を逸らさなかったのは、立派だよ」
まるで何でも無い事のように、ハムレットは剣を放り投げる。そして、落ちた首に手を合わせた。
「この人の名前はね、ビンスって言うんだ。地方の家の子沢山家族の真ん中くらいで、思春期にグレてとある闇組織に入っちゃったんだけど、そこそこ顔がよくてボスの女と関係持っちゃってさ。バレてボコボコ。ほんと、迷惑な話なんだけどね」
震えてしまう。人を人とも思わない所業は見てきた。だが少なくとも、こんなに躊躇いなく殺す人間には会っていなかった。結果的な殺人はあっても、物を処理するような行いはなかった。
それでも沈んだ声でハムレットは言うのだ。手を合わせて、伝えるのだ。たった今終えた、見知らぬ者の生涯を。
「君の身代わりに死んでくれた人だから、君だけは祈ってやって。忘れずにいてやってよね。そして毎年、手を合わせて。まぁ、僕は毎日祈らないといけないけれど、欠かさないんだよ。そんな事も忘れたら、流石に人間じゃなくなりそうだし」
御者が持ってきた外套で体を巻かれ、ルシオはその御者の手で抱き上げられる。クラウルはなんとも言えない暗い瞳を向けて立ち上がった。
「頼む」
「任せて。そっちは任せるから、ちゃんとしておくように。後、秘密基地にくるときは見られないようにね」
二人の間には何かしらの合意があるのだろう。馬車に押し込められたルシオは、遠ざかって行く友を思ってひたすらに不安になった。
◆◇◆
城は上手く防衛できた。シウスが直ぐに火薬を別の場所に分散して移し、見張りをつけて対処した。そしてオスカルがカーライルの寝室で件の女暗殺者を捕らえた。これでもう、脅威は去った。
今は一人用の病室にいる。ベッドから遠くで灯る明かりが柔らかく、ランバートの金の髪を輝かせた。
ランバートをエリオットの所に連れて行った時、青い顔を見て不安がこみ上げた。腹を強く蹴りつけられた様だったから、内臓へのダメージが怖かった。こればかりは専門ではないから、分からない。それに胸の傷も、指で抉られていた。直ぐに消毒はしたが、破傷風にでもなれば助かる見込みはない。
顔色が悪く、息も浅い彼を腕に抱いて生きた心地がしなかった。そして、自分を責めた。金属の高い音が聞こえて、探りながら急いで引き返した。どうにか駆けつけた時には抵抗できずに組み敷かれ、今にも腕を折ろうとしていた。落ちていた石を思い切り投げつけた。あんなに焦ったことはない。
エリオットは直ぐに手術室へとランバートを運び、治療をしてくれた。それでも、胸の傷は多少の痕が残るだろうと言っていた。指で抉られた歪さが、縫合を容易にはさせてくれなかったらしい。
心配していた内臓へのダメージは思ったよりも軽かった。それでも食事と投薬で回復させなければということだ。
ベッド脇に椅子を置き、髪を梳く。落ち着いた呼吸を繰り返す事に安堵しながら、助けられなかった事を後悔している。
脇に置いた剣を抜いた。刃はこぼれてガタガタだ。それでも、戦ったのだ。諦めそうな場面で、希望を捨てなかったのだろう。戦いの痕跡が、そう言っている。
回復度合いにもよるが、三日は入院。一週間は安静にさせたい。完全に仕事復帰させるのは、一ヶ月くらいみておきたい。そう、エリオットは言っていた。
「ゆっくり休め」
ランバートの剣を片手に、ファウストは病室を出た。そして、激戦を耐えた剣を綺麗に研ぎ直す手はずを整えに走った。
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「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
売れ残りオメガの従僕なる日々
灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才)
※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!
ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。
無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。
【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
* ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。
BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)
本編完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
きーちゃんと皆の動画をつくりました!
もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画
プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら!
本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新!
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新!
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
新年に余り物でおせちを作ったら、冷酷と噂の騎士団長様に「運命の番」だと求婚されました
水凪しおん
BL
料理人だった俺が転生したのは、男性オメガというだけで家族に虐げられる不遇の青年カイ。
新年くらいはと前世の記憶を頼りに作ったのは、この世界にはない『おせち料理』だった。
それを偶然口にしたのは、氷のように冷酷と噂される最強の騎士団長リアム。
「お前は俺の運命の番だ」
彼の屋敷に保護され、俺の作る料理が彼の心を溶かしていく。
不器用で、だけどまっすぐな愛情を注いでくれる彼と、美味しい料理で紡ぐ、甘くて温かい異世界スローライフ。
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
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