45 / 153
第二話
研究者って怖い!
しおりを挟む
夜の学園都市は、別の顔を見せてくれる。
学園と言いながらも幅広い年齢の人間が街を作っており、酒場も存在して、冒険者や傭兵などの柄の悪い者たちが宿をとっている場所も存在する。
「ふふ、ご主人様と二人でデートだと言ったら、ジュリアちゃん、レンナちゃんに嫉妬されてしまいます」
先ほどから火酒をガンガンに飲んでいるチョコ。
私は一杯でダウンしてしまいそうな度数の高い酒なのだが、チョコの前に次々と男たちがダウンして行く姿を見て、恐ろしくなりますね。
「二人で来ている気分には全然なれないけどね」
「あはははは、皆さんお酒を奢ってくれるので、本当にお優しいです」
「はは、奢っているというよりも潰されているという感じだけどね」
なぜ、こんなことになっているのかと言えば、チョコはテルから、私が助けたい少女がいて、その少女に絡む男たちに横から声をかけて酒の飲み比べをしては酔い潰していた。
幼さと美しさを内包させたチョコの妖艶さが、男たちを翻弄してどんどん潰していく。
「あっ、あのお客様」
私に声をかけてきたのは、トアだった。ミニスカ給仕服を着たトアは髪の毛とビン底メガネをしているので、他のキャストに比べると人気がない。
それでも誰でも良いと思う男たちに狙われるので、私の専属として、横についてもらってお酒を注いでもらっていた。
マスターには専属としての金貨を通常の倍払っていた。
所謂、指名だな。
お世辞にも可愛い見た目ではないが、実際の彼女はとても美しくて聡明な人間だ。ただ、高いお酒を飲む場所には似つかわしくない人物ではある。
「なんだい?」
「この間、助けてくれた方ですよね?」
「うん? よく覚えていないな」
「嘘です。私を家まで送ってくれた方が教えてくれました。偉い方の考えはわからないって」
テルの奴が何やらボヤいていたってことかな? まぁそれでも素性のわからない貴族の息子に気に入られて戸惑っているって感じだろうな。
「わからないならわからないでいいんじゃないかな? 僕はただ適当に生きているだけだよ」
「適当にですか?」
「ああ、そうだ。例えば、ここに火属性の魔石がある」
「えっ? 魔石ですか?」
私は彼女に少しだけ、不思議な話をすることにしました。
「ああ、そしてここに四角い形をした絹のハンカチがある。これに防火のためにニスを塗って火属性の魔石の上に置くと浮くんだ」
「えっ?! なんですかこれ??」
トアと話すために用意しました。
「はは、僕はね。自由なんだよ。こんな遊びを思いついて無駄に高い魔石を購入してしまうぐらいにね」
これは気球の原理であり、どうして私がこんな話をしたのか? それは彼女の将来に関係している。
「興味深いです!」
「君なら、そのうち気づいただろうけどね」
「えっ?」
「いいや、なんでもないよ。気体の力って凄いよね。僕らには見えないのに、そこには存在するんだ」
「気体?」
ふむ。この世界は魔法が発展しているせいで、科学的な言葉がどうしても通じにくい。
「そうだね。世界には見えないけど様々な物体が存在しているんだ」
「はい!」
「それらには重さがあって、熱することで、絹の中に溜まった気体が温められて、周りの冷たい気体たちよりも軽くなって、押し上げられて浮くんだよ」
まぁ、詳しいことは私にはわからないんですけどね。昔の偉い人がそういう原理を発見して、気球を作った。
そして、この世界には魔法が存在するので、空を飛ぶのにも魔法が使われる。
だが、それは魔力が多く存在する魔導師の特権であり、魔力が少ない者には不可能なことなんだよね。
「あの!」
「うん?」
「フライ様で、よかったですよね」
「ああ、僕はフライだよ」
「もっと教えていただけませんか?」
「えっ?」
先ほどまで私の横でお酒を注ぐことを嫌々でやっていたトアが、目をキラキラとさせて僕に問いかけてくる。
どこかで見たことがある顔だと思って、子供の頃のエリック兄上を思い出す。
「私、子供の頃から魔力が少なくて、だけど自分で使える魔道具を作りたくてずっと考えていたんです。ですが、今の発想で何か閃きそうなんです! なんでもします! どうか、フライ様、私にご教授ください!」
うんうん、知識のために色々したいのはわかるけど、私は適当に言っていただけなので、詳しくは教えられないんだよね。
「えっと、さっきも言ったけど、僕のは遊びだよ。気体とか、浮力を使って遊んでいるだけで」
「浮力!!! また新しい単語ですね! 浮く力ということは、物を浮かすんですよね? 先ほどの熱によって浮く力ですね!」
うわ~これが研究者って奴なんですね。メチャクチャめんどくさい。
しかも、先ほどまでオドオドしていたのに、今は生き生きとしてよく口が回る。
「あ~トアはなんだか凄いね」
「はっ?! 申し訳ありません。つい、自分の興味があることだと夢中になってしまって」
知ってるよ。君が開発する飛行船は、この世界を変える力を持っているんだから。
私は飛行船は知っていますが、造れるのか聞かれれば答えはノーです。
普通に考えて出来ませんよね? 骨組みとか、原理とか、全部覚えているわけがない。まぁ一部のゲームで飛行船に乗って様々な世界を旅する話はとても興味深かったので、憧れたこともありますけどね。
「あの!」
「うん?」
「わっ、私の貧相なお体で満足していただけるのかわかりませんが、あなたの知識をいただけるなら、この体を好きにしてください! 私に差し出せるのもはこれしかありません!」
うん。いきなりぶっ飛んだことを言っているね。
これどうしようか?
「はいはい、ダメですよ。フライ様のDTはみんなが狙っているので、いきなり現れたあなたには上げません」
戻ってきたチョコがトアを引き離してくれる。酒場の中を見れば、すでに立っている男は僕以外にいなかった。
「チョコ?」
「ふふ、フライ様。そろそろ帰りましょう。もう飲んでくれる人がいないので」
「あっ、ああ。トア、また今度な」
「必ず!」
うん。とんでもない子に火をつけてしまったのかもしれない。
学園と言いながらも幅広い年齢の人間が街を作っており、酒場も存在して、冒険者や傭兵などの柄の悪い者たちが宿をとっている場所も存在する。
「ふふ、ご主人様と二人でデートだと言ったら、ジュリアちゃん、レンナちゃんに嫉妬されてしまいます」
先ほどから火酒をガンガンに飲んでいるチョコ。
私は一杯でダウンしてしまいそうな度数の高い酒なのだが、チョコの前に次々と男たちがダウンして行く姿を見て、恐ろしくなりますね。
「二人で来ている気分には全然なれないけどね」
「あはははは、皆さんお酒を奢ってくれるので、本当にお優しいです」
「はは、奢っているというよりも潰されているという感じだけどね」
なぜ、こんなことになっているのかと言えば、チョコはテルから、私が助けたい少女がいて、その少女に絡む男たちに横から声をかけて酒の飲み比べをしては酔い潰していた。
幼さと美しさを内包させたチョコの妖艶さが、男たちを翻弄してどんどん潰していく。
「あっ、あのお客様」
私に声をかけてきたのは、トアだった。ミニスカ給仕服を着たトアは髪の毛とビン底メガネをしているので、他のキャストに比べると人気がない。
それでも誰でも良いと思う男たちに狙われるので、私の専属として、横についてもらってお酒を注いでもらっていた。
マスターには専属としての金貨を通常の倍払っていた。
所謂、指名だな。
お世辞にも可愛い見た目ではないが、実際の彼女はとても美しくて聡明な人間だ。ただ、高いお酒を飲む場所には似つかわしくない人物ではある。
「なんだい?」
「この間、助けてくれた方ですよね?」
「うん? よく覚えていないな」
「嘘です。私を家まで送ってくれた方が教えてくれました。偉い方の考えはわからないって」
テルの奴が何やらボヤいていたってことかな? まぁそれでも素性のわからない貴族の息子に気に入られて戸惑っているって感じだろうな。
「わからないならわからないでいいんじゃないかな? 僕はただ適当に生きているだけだよ」
「適当にですか?」
「ああ、そうだ。例えば、ここに火属性の魔石がある」
「えっ? 魔石ですか?」
私は彼女に少しだけ、不思議な話をすることにしました。
「ああ、そしてここに四角い形をした絹のハンカチがある。これに防火のためにニスを塗って火属性の魔石の上に置くと浮くんだ」
「えっ?! なんですかこれ??」
トアと話すために用意しました。
「はは、僕はね。自由なんだよ。こんな遊びを思いついて無駄に高い魔石を購入してしまうぐらいにね」
これは気球の原理であり、どうして私がこんな話をしたのか? それは彼女の将来に関係している。
「興味深いです!」
「君なら、そのうち気づいただろうけどね」
「えっ?」
「いいや、なんでもないよ。気体の力って凄いよね。僕らには見えないのに、そこには存在するんだ」
「気体?」
ふむ。この世界は魔法が発展しているせいで、科学的な言葉がどうしても通じにくい。
「そうだね。世界には見えないけど様々な物体が存在しているんだ」
「はい!」
「それらには重さがあって、熱することで、絹の中に溜まった気体が温められて、周りの冷たい気体たちよりも軽くなって、押し上げられて浮くんだよ」
まぁ、詳しいことは私にはわからないんですけどね。昔の偉い人がそういう原理を発見して、気球を作った。
そして、この世界には魔法が存在するので、空を飛ぶのにも魔法が使われる。
だが、それは魔力が多く存在する魔導師の特権であり、魔力が少ない者には不可能なことなんだよね。
「あの!」
「うん?」
「フライ様で、よかったですよね」
「ああ、僕はフライだよ」
「もっと教えていただけませんか?」
「えっ?」
先ほどまで私の横でお酒を注ぐことを嫌々でやっていたトアが、目をキラキラとさせて僕に問いかけてくる。
どこかで見たことがある顔だと思って、子供の頃のエリック兄上を思い出す。
「私、子供の頃から魔力が少なくて、だけど自分で使える魔道具を作りたくてずっと考えていたんです。ですが、今の発想で何か閃きそうなんです! なんでもします! どうか、フライ様、私にご教授ください!」
うんうん、知識のために色々したいのはわかるけど、私は適当に言っていただけなので、詳しくは教えられないんだよね。
「えっと、さっきも言ったけど、僕のは遊びだよ。気体とか、浮力を使って遊んでいるだけで」
「浮力!!! また新しい単語ですね! 浮く力ということは、物を浮かすんですよね? 先ほどの熱によって浮く力ですね!」
うわ~これが研究者って奴なんですね。メチャクチャめんどくさい。
しかも、先ほどまでオドオドしていたのに、今は生き生きとしてよく口が回る。
「あ~トアはなんだか凄いね」
「はっ?! 申し訳ありません。つい、自分の興味があることだと夢中になってしまって」
知ってるよ。君が開発する飛行船は、この世界を変える力を持っているんだから。
私は飛行船は知っていますが、造れるのか聞かれれば答えはノーです。
普通に考えて出来ませんよね? 骨組みとか、原理とか、全部覚えているわけがない。まぁ一部のゲームで飛行船に乗って様々な世界を旅する話はとても興味深かったので、憧れたこともありますけどね。
「あの!」
「うん?」
「わっ、私の貧相なお体で満足していただけるのかわかりませんが、あなたの知識をいただけるなら、この体を好きにしてください! 私に差し出せるのもはこれしかありません!」
うん。いきなりぶっ飛んだことを言っているね。
これどうしようか?
「はいはい、ダメですよ。フライ様のDTはみんなが狙っているので、いきなり現れたあなたには上げません」
戻ってきたチョコがトアを引き離してくれる。酒場の中を見れば、すでに立っている男は僕以外にいなかった。
「チョコ?」
「ふふ、フライ様。そろそろ帰りましょう。もう飲んでくれる人がいないので」
「あっ、ああ。トア、また今度な」
「必ず!」
うん。とんでもない子に火をつけてしまったのかもしれない。
233
あなたにおすすめの小説
転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚
熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。
しかし職業は最強!?
自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!?
ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。
無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~
ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。
玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。
「きゅう、痩せたか?それに元気もない」
ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。
だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。
「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」
この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
転生したら遊び人だったが遊ばず修行をしていたら何故か最強の遊び人になっていた
ぐうのすけ
ファンタジー
カクヨムで先行投稿中。
遊戯遊太(25)は会社帰りにふらっとゲームセンターに入った。昔遊んだユーフォーキャッチャーを見つめながらつぶやく。
「遊んで暮らしたい」その瞬間に頭に声が響き時間が止まる。
「異世界転生に興味はありますか?」
こうして遊太は異世界転生を選択する。
異世界に転生すると最弱と言われるジョブ、遊び人に転生していた。
「最弱なんだから努力は必要だよな!」
こうして雄太は修行を開始するのだが……
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる