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第二話
僕だって考えてしたいことがある。
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もしも、誰かが悪いことをしようとするときには、常に後めたい感情がどこかで生まれてしまう。
私はあまり人の感情を見ないようにしてきた。それは見ようとしても見えないものであり、それでいて見ようとすると間違うこともあるからです。
だけど、その気持ちを持たないように、たくさんの人たちの感情が介入して入り乱れてわからないようにしているなら、逆にどんなものなのか見たくなってしまう。
その悪いと思う行動や感情が失われて、わからなくなってしまった答えを追い求める。
では、どうすれば、そのわからない感情を見つけることができるのか? そう考えたとき、一つ一つのピースを揃えて、パズルを組み上げるように、答えを見つけるしかない。
では、バクザンがもたらしてくれた。
リベルタス・オルビスという言葉、自分が知りえる小説の知識。そして、フェル爺さんの警戒する表と裏は同じだという思い。
それらのピースを合わせる作業が必要になる。
だから、久しぶりに地下迷宮を訪れました。
鼠人族の生活圏であるこの場所は、以前よりも活気づいているように見えます。
水脈が流れ、薄明るい光が迷宮全体を照らしている。フェスティバルの影響で、学園都市全体の人口が増えて、鼠人族たちが行き交う仕事も忙しくなっています。
私は、その中でミミを探しました。
彼女は実家に戻って、お仕事の手伝いをしているからです。
彼女は確かに私のところにきて、外の世界を知るための努力をしています。ですが、それは迷宮を捨てたわけでも、迷宮の者たちを見捨てたわけでもない。
こうして、忙しいときには手伝いにくる。
そんなミミの可愛らしい彼女の姿を見つけるのに時間はかからなかった。
「ミミ、ちょっと話があるんだけど、いいかな?」
私が声をかけると、ミミは驚いたように耳をピクピクと動かしながら振り返った。
「フライ様? どうしてこちらに……また、迷宮を見学したいのですか?」
彼女は少し戸惑いながらも微笑む。以前と同じ控えめな様子だが、その目には以前よりも力強さが宿っていた。
トアと共に勉強をしながら、少しずつ世界のことを知り出した彼女は自信が宿っている。
「いや、今日はちょっと違うんだ。ミミ、君に頼みたいことがあってね」
私が真剣な表情をしていることに気づいたのか、ミミは表情を引き締めて頷いた。
「私に……何かできることがあるのですか?」
彼女の問いに、私は優しく微笑んだ。
「もちろんさ。君たち鼠人族には、学園都市の迷宮や地下の情報に詳しいだろう? 君たちのその知識と力が、今の僕には必要なんだ」
ミミは驚いた表情を浮かべ、目を瞬かせる。
「私たちの力が必要なんでチュ??! フライ様が、皆さん聞きましたっチュ! 我らが恩人が我らの力を求めて……いらしたっチュ」
それまで作業をしていた鼠人族も手を止めて、一斉に私に視線が注がれる。
「でも、私たちは地上の人たちと違って、武器を持って戦う力もありませんっチュ。魔力もそんなに多くありません。ただ、この迷宮を守るだけで精一杯なのでチュ」
「いや、それで十分なんだよ。何よりも君たちに聞きたいのは迷宮の情報と、ここに出入りする人々の情報だからね。君たちが一番得意なことだ」
私は彼女の目をしっかりと見つめながら続けた。
「ミミ、君たちはこの学園都市の地下の隅々までを知っている。そして、誰よりもこの迷宮での生活に精通している。それがどれだけの力になるか、君には分からないかもしれない。でも、僕は分かるよ。君たちの情報が、そして君たちが持つネットワークが、僕にとってどれだけ重要かってことをね」
ミミは私の言葉に戸惑ったような表情を浮かべた。
「でも、私たちはただの鼠人族でチュ……」
「種族なんて、関係ないと僕は思うけど、それでも気になるなら言ってあげるよ。君たちは最高だ!」
私は大きな声で全員に声が届くように声を張り上げる。
暗闇の中で大勢の鼠人族の瞳が怪しく光って浮かび上がる。
「ミミ、立派なことってなんだと思う? 剣を振るって戦うこと? 魔法を使って敵を倒すこと? いや、僕は違うと思う。自分たちに出来ることを理解して、その出来ることで精一杯生きることだ。人に出来ることは多くない。決められた人生の中で、出来ることを考え、自分を信じ続けること。それが立派なんだと思う」
彼女はじっと私の言葉を聞き、しばらくの間考え込んだ。そして、少しずつ顔を上げた。
「私たちにも……できることがあるのでしょうかっチュ?」
「もちろんだよ」
私は笑顔を浮かべながら頷いた。
「まずは、君たちの知識を貸してほしい。君たちがこれまでやってきたことが、僕を助けてくれる。僕を助けてくれないかい?」
「もちろんっチュ!」
ミミの瞳は決意を固めたように頷いていた。
「フェスティバルが始まって、人が増えていると思う。迷宮の中で怪しい動きがないか、誰がどこにいるのか、それを把握してくれるだけでも助かる。そして、もし可能なら、鼠人族の中で協力してくれる人員を集めてほしいんだ」
「人員が欲しいっチュ……?」
「そう。何か大きな問題が起きたとき、僕だけじゃ解決できないことがある。そのとき、君たちが動いてくれるだけで、僕は助かる」
ミミは少し不安そうに眉を寄せたが、やがて頷いた。
「分かりましたっチュ。フライ様のために、できる限りのことをしますっチュ」
「ありがとう、ミミ。君がいてくれて、本当に助かるよ」
彼女の表情にはまだ少し不安が残っていたが、それでも覚悟を決めたような強さが見えた。
「では、私たちの長老に相談してみますっチュ。そして、できるだけ多くの仲間を集めて、協力できるようにしますっチュ」
「頼むよ。君たちの力が必要なんだ」
彼女は深く頭を下げ、すぐに走り去った。その背中を見送りながら、私は少しだけ安堵の息を漏らした。
「さて、僕も準備を進めないとね」
地下迷宮でのミミたちの協力が、これからの戦いの鍵になる。彼女たちの力を信じ、私は次の一手を考え始めた。
パズルのピースを集めるのに、彼らほど適任者はいない。
私はあまり人の感情を見ないようにしてきた。それは見ようとしても見えないものであり、それでいて見ようとすると間違うこともあるからです。
だけど、その気持ちを持たないように、たくさんの人たちの感情が介入して入り乱れてわからないようにしているなら、逆にどんなものなのか見たくなってしまう。
その悪いと思う行動や感情が失われて、わからなくなってしまった答えを追い求める。
では、どうすれば、そのわからない感情を見つけることができるのか? そう考えたとき、一つ一つのピースを揃えて、パズルを組み上げるように、答えを見つけるしかない。
では、バクザンがもたらしてくれた。
リベルタス・オルビスという言葉、自分が知りえる小説の知識。そして、フェル爺さんの警戒する表と裏は同じだという思い。
それらのピースを合わせる作業が必要になる。
だから、久しぶりに地下迷宮を訪れました。
鼠人族の生活圏であるこの場所は、以前よりも活気づいているように見えます。
水脈が流れ、薄明るい光が迷宮全体を照らしている。フェスティバルの影響で、学園都市全体の人口が増えて、鼠人族たちが行き交う仕事も忙しくなっています。
私は、その中でミミを探しました。
彼女は実家に戻って、お仕事の手伝いをしているからです。
彼女は確かに私のところにきて、外の世界を知るための努力をしています。ですが、それは迷宮を捨てたわけでも、迷宮の者たちを見捨てたわけでもない。
こうして、忙しいときには手伝いにくる。
そんなミミの可愛らしい彼女の姿を見つけるのに時間はかからなかった。
「ミミ、ちょっと話があるんだけど、いいかな?」
私が声をかけると、ミミは驚いたように耳をピクピクと動かしながら振り返った。
「フライ様? どうしてこちらに……また、迷宮を見学したいのですか?」
彼女は少し戸惑いながらも微笑む。以前と同じ控えめな様子だが、その目には以前よりも力強さが宿っていた。
トアと共に勉強をしながら、少しずつ世界のことを知り出した彼女は自信が宿っている。
「いや、今日はちょっと違うんだ。ミミ、君に頼みたいことがあってね」
私が真剣な表情をしていることに気づいたのか、ミミは表情を引き締めて頷いた。
「私に……何かできることがあるのですか?」
彼女の問いに、私は優しく微笑んだ。
「もちろんさ。君たち鼠人族には、学園都市の迷宮や地下の情報に詳しいだろう? 君たちのその知識と力が、今の僕には必要なんだ」
ミミは驚いた表情を浮かべ、目を瞬かせる。
「私たちの力が必要なんでチュ??! フライ様が、皆さん聞きましたっチュ! 我らが恩人が我らの力を求めて……いらしたっチュ」
それまで作業をしていた鼠人族も手を止めて、一斉に私に視線が注がれる。
「でも、私たちは地上の人たちと違って、武器を持って戦う力もありませんっチュ。魔力もそんなに多くありません。ただ、この迷宮を守るだけで精一杯なのでチュ」
「いや、それで十分なんだよ。何よりも君たちに聞きたいのは迷宮の情報と、ここに出入りする人々の情報だからね。君たちが一番得意なことだ」
私は彼女の目をしっかりと見つめながら続けた。
「ミミ、君たちはこの学園都市の地下の隅々までを知っている。そして、誰よりもこの迷宮での生活に精通している。それがどれだけの力になるか、君には分からないかもしれない。でも、僕は分かるよ。君たちの情報が、そして君たちが持つネットワークが、僕にとってどれだけ重要かってことをね」
ミミは私の言葉に戸惑ったような表情を浮かべた。
「でも、私たちはただの鼠人族でチュ……」
「種族なんて、関係ないと僕は思うけど、それでも気になるなら言ってあげるよ。君たちは最高だ!」
私は大きな声で全員に声が届くように声を張り上げる。
暗闇の中で大勢の鼠人族の瞳が怪しく光って浮かび上がる。
「ミミ、立派なことってなんだと思う? 剣を振るって戦うこと? 魔法を使って敵を倒すこと? いや、僕は違うと思う。自分たちに出来ることを理解して、その出来ることで精一杯生きることだ。人に出来ることは多くない。決められた人生の中で、出来ることを考え、自分を信じ続けること。それが立派なんだと思う」
彼女はじっと私の言葉を聞き、しばらくの間考え込んだ。そして、少しずつ顔を上げた。
「私たちにも……できることがあるのでしょうかっチュ?」
「もちろんだよ」
私は笑顔を浮かべながら頷いた。
「まずは、君たちの知識を貸してほしい。君たちがこれまでやってきたことが、僕を助けてくれる。僕を助けてくれないかい?」
「もちろんっチュ!」
ミミの瞳は決意を固めたように頷いていた。
「フェスティバルが始まって、人が増えていると思う。迷宮の中で怪しい動きがないか、誰がどこにいるのか、それを把握してくれるだけでも助かる。そして、もし可能なら、鼠人族の中で協力してくれる人員を集めてほしいんだ」
「人員が欲しいっチュ……?」
「そう。何か大きな問題が起きたとき、僕だけじゃ解決できないことがある。そのとき、君たちが動いてくれるだけで、僕は助かる」
ミミは少し不安そうに眉を寄せたが、やがて頷いた。
「分かりましたっチュ。フライ様のために、できる限りのことをしますっチュ」
「ありがとう、ミミ。君がいてくれて、本当に助かるよ」
彼女の表情にはまだ少し不安が残っていたが、それでも覚悟を決めたような強さが見えた。
「では、私たちの長老に相談してみますっチュ。そして、できるだけ多くの仲間を集めて、協力できるようにしますっチュ」
「頼むよ。君たちの力が必要なんだ」
彼女は深く頭を下げ、すぐに走り去った。その背中を見送りながら、私は少しだけ安堵の息を漏らした。
「さて、僕も準備を進めないとね」
地下迷宮でのミミたちの協力が、これからの戦いの鍵になる。彼女たちの力を信じ、私は次の一手を考え始めた。
パズルのピースを集めるのに、彼らほど適任者はいない。
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