お気楽公爵家の次男に転生したので、適当なことを言っていたら英雄扱いされてしまった。

イコ

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第二話

グラディエーター・アリーナ決勝戦 前半

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 グラディエーター・アリーナの決勝戦がついに幕を開けた。

 アリーナ全体が異様な熱気に包まれ、観客席からは大歓声が湧き上がる。

 私はエリザベート、ジュリア、アイリーンと共に、特等席から試合を見守っていた。

「いやぁ、ここまで来ると誰が優勝するか分からないね」

 私は目の前の広大なアリーナに視線を向けながら呟いた。それぞれの選手が入場してくるたびに、観客たちの声援がさらに大きくなる。

「そうですわ。これだけの猛者たちが揃うと、どの試合も見応えがありますわね」

 エリザベートが優雅に扇を揺らしながら答える。ジュリアは手を握りしめ、緊張した面持ちで選手たちの姿を見つめていた。

「ご主人様……王子は強いのですか?」
「王子? ロガン王子のことかな? うん、強いよ。でもね、決勝戦ともなると全員が全力を出すから、勝負は最後まで分からないさ。それに勝ち上がりのトーナメント方式だから、一回戦で当たる相手に消耗されると準決勝、決勝と勝ち進む内に消耗してしまうからね」

 私はジュリアの肩を軽く叩いて微笑んだ。

「さぁ、いよいよ第一試合の開始です! 最初の組み合わせは《獅子王》ロガン・ゴルドフェング選手対《蒼炎の魔剣士》セリーナ・シルヴァ選手! 王者の風格と精霊族の優雅さが激突する一戦です!」

 実況ちゃんの声が響き渡り、観客たちが一斉に沸き立った。

 第一試合:ロガン vs セリーナ

 アリーナ中央で対峙するロガンとセリーナ。

 ロガンは獅子のような堂々とした姿勢で立ち、セリーナはその対角線上で剣を構え、冷静にロガンを見据えている。

「一年次で優勝候補とは凄いのね。ロガン王子」
「精霊族の戦士セリーナだな。本気で俺に勝つもりか?」
「当然よ。あなたが王子だろうと、ここでは全員平等ですもの」

 セリーナが剣を振り上げると同時に、鮮やかな青い炎が剣先に宿る。その光景に観客席がどよめく。

「きたな……ならば、全力で応じよう!」

 ロガンが吠えるように叫び、両手を地面に突き立てる。その瞬間、砂埃が巻き上がり、彼の筋肉が一段と膨れ上がる。

 試合開始の合図と共に、ロガンが一気に間合いを詰めた。その速度は圧倒的で、セリーナがギリギリのところで横に跳んでかわす。

「さすがだわ!」

 セリーナが青い炎をまとった剣でロガンに切りかかるが、ロガンは拳でその剣を受け止めた。

「拳で受け止めるなんて……!」

 セリーナが驚くが、ロガンは余裕の表情を浮かべている。そのまま反撃の拳を繰り出すが、セリーナは炎を纏った魔法で距離を取る。

「すごいな、セリーナ選手もロガン選手に引けを取らない!」

 ジュリアが興奮した声を上げる。エリザベートも扇を軽く閉じて微笑んだ。

「精霊族の魔法と剣術の融合……素晴らしいわ。でも、このロガン王子相手にどこまで通じるのかしらね」

 アイリーンは静かに観戦しながら、何かを考え込んでいるようだった。

 試合は互角の展開を見せていたが、最後の局面でロガンが一瞬の隙を突き、セリーナを地面に叩き伏せた。

「勝者、ロガン・ゴルドフェング!」

 実況ちゃんの声が響き渡り、観客たちは大歓声を上げた。

 第二試合:ノクス vs ガルバ

 次に呼び出されたのは、《無名の剣士》ノクスと《難攻不落》ガルバ・ストーンブレイカーだった。

「ノクス選手……頑張るのです!」

 ジュリアが応援の声を上げる中、ノクスが静かに剣を構える。対するガルバは豪快に笑いながら巨大な戦槌を振り上げた。

「俺の防御を破れるものならやってみろ!」

 ノクスは冷静に距離を取りながら、ガルバの動きを観察している。そして、攻撃の隙をつくように一気に懐に飛び込んだ。

「行け!」

 ノクスの剣がガルバの防具の隙間を狙い、一撃を与える。観客席からは驚きの声が上がった。

「なんと! ノクス選手が防御の隙間を的確に狙って攻撃しています!」

 試合は緊張感のある展開が続いたが、最終的にノクスがガルバを翻弄し、見事勝利を収めた。

 次々と繰り広げられる戦い

 続く試合では、《鉄の竜槍》ドラガがその豪槍を駆使して圧倒的な力を見せつけ、《氷壁の魔術師》エリオットが相手を氷の壁で封じ込める巧みな戦術を披露するなど、どの試合も見応えがあった。

「いやぁ、どの試合も本当にすごいね。これだけの戦いを見られるなんて、やっぱり来て良かったよ」

 私は笑顔で言った。エリザベートは満足げに頷き、ジュリアは興奮した表情を浮かべている。

「どの選手も見応えがありましたわ。本当に素晴らしい試合ばかりですわね」
「次はどんな試合になるのかしら……ますます楽しみね」

 アイリーンが微笑みながら呟く。

 決勝戦はまだまだ続く。

 観客席全体が興奮と熱狂に包まれる中、私は次の試合を心待ちにした。

 不意に、影が私たちの座っていた観客席にやってきた。

「少し外すね」
「どこにいかれるのですか?」
「お花摘みにね」
「お気をつけて行ってきてくださいませ」

 ジュリアに問われて、エリザベートたちに応える。

 三人は苦笑いして見送ってくれる。

 そして、柱の影に向かえば、ミミがいた。

「フライ様、このアリーナの地下に不審な物を見つけたっチュ」
「ありがとう。案内してくれる?」
「でも、危険なものかもしれないっチュ」
「うん。だから僕が行くんだ。そろそろバクザン君の出番だからね。あまり余計な心配をかけたくないんだ」
「かしこまりましたっチュ」

 私はミミに案内してもらって、アリーナの地下へと向かった。
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