お気楽公爵家の次男に転生したので、適当なことを言っていたら英雄扱いされてしまった。

イコ

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第三章

王は孤独である

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《side ブライド・スレイヤー・ハーケンス》

 王は孤独である。

 生まれながらに、対等と呼べる相手はおらず、我は能力も優れていた。
  
 それは本来対等になり得た兄弟姉妹たちすらも相手にしなくて良いほどに高かった。

 幼い頃から、我はその現実を嫌というほど実感することになる。

 剣を交えれば、すぐに強くなり、魔法を覚えれば人以上の多い魔力と強力な魔法を放つ放つことができた。

 もしも、世界が誰よりも優れた者を王とするならば、誰よりも孤独な者がその王冠を戴く。

 周囲にいるのは臣下と敵ばかり。

 私の父は、帝国の支配者だった。

 そして、その背中を見て育った私は、王とはどうあるべきかを知った。

 笑顔を見せている者の半数以上が、内心では剣を突き立てようとしている。

 褒め称える者たちは、贈り物に毒を忍ばせ、王に成り代わろうとしている。

 だが、誰にも負けずに生き続け、王座に座り続ける存在でなければならない。

 だからこそ、我は他者を信じない。他者を理解しない。他者と相入れない。

 能力を測り、価値を見極め、駒として使う。

 それだけが我にとっての生きる道だった。

 だが、奇妙なことだ。

 私は、自分と対等に渡り合える「敵」を求めている。

 ――敵。

 それは、王にとっては不必要な存在であり、同時に必要不可欠な存在に思えた。孤高の王であればあるほど、強敵がいなければその価値は輝かない。

 帝国第二王子という肩書き。

 それは、兄の影に隠れながらも、王に成る能力を与えられた我だからこそだ。

 次期皇帝候補として、いずれ、我は己の価値を示す時が来るであろう。

 その時には、あらゆる手段を用意いる。

 だが、そのために我は世界を知らなければならない。

 強いだけでは理解できないこともある。

 それをフライ・エルトールを見て理解した。

 奴はどこか不思議な存在だった。我を唯一友と呼び、威圧を与えようと、殺気を飛ばそうと、動じない強者だ。

 不気味な存在ではあるが、奴は敵ではない。

 奴を見ていると何故か安心する。バカな話だ。誰かを見て安心する自分がいるなど。

 だからこそ、我の人生に必要なのは「敵」だ。

 敵がいなければ、競い高めることはできない。己を磨き、他者を下し、駒を動かすだけの存在では、王としての価値は高まらない。

 ただ生きているだけなど、意味はない。

 だから、我は求める。
 
 我に挑む者を。我の好敵手を。我に剣を向ける者を。

 その者が我を打ち倒すために現れたなら、我はそれを喜んで受け入れよう。その者を喰らって、我はさらに高みへ上がる。

 もっと我を強くするために、戦う相手が必要なのだ。

 学園都市で開催されるフェスティバル。

 それは、私にとっての舞台装置に過ぎない。

 ここに集う優秀な生徒たち。才能を持ちながらも目立たない者、潜在能力を秘めた者、そして力を誇示する者。

 我はその全てを見定め、その中から「敵」を選び出す。

 敵とは、我に勝つ可能性を持つ者だ。

 我を打ち倒すかもしれない者。だが、それ以上に、我を楽しませてくれる存在でなければならない。

 この帝国、いや、この大陸全土を見渡しても、我の敵となり得る者は数えるほどしかいない。

 だが――

「アイス・ディフェ・ミンティ……」

 奴はあった時から反発して、合わない存在だった。

 あの男は病弱で、決して我に勝てるような武力を持たない。それなのに知力と魔力で我に対抗していく。

 気に入らないやつだ。

 何よりも、生まれながらに王太子として、恵まれ継ぐ権利を持っていることも気に入らない。

 奴の目の奥に宿るものは野心だ。

 我の目は欺けない。奴のような者こそが、真に争うべき相手であり、我の好敵手になりえる存在となる可能性を秘めている。

 だが、奴になりきれていない。

 あの男には仲間がいる。家族がいる。部下がいる。奴の存在は、我とは真逆だ。

 王は孤独である。

 仲間に囲まれた者は弱みを持っている。

 だが、不思議なことだ。

 奴は真逆にいるはずなのに、まるで我と同じ孤独を持っているようにも感じるのだ。

 同族嫌悪、そんな言葉が浮かんでくるが、そんなことがあるのだろうか? 我の敵となるならば、奴しかいない。

 夜空を見上げる。

 星々の煌めきは、遠く離れた私には届かない。

 だが、それでいい。王に光は不要だ。

 私は影の中で、己の王道を歩む。それが私の役目であり、宿命なのだから。

「ブライド様、ここにおられたのですか?」
「アイク。どうした?」
「《グランド・ユナイト・フェスティバル》の三週目になり、イベントが変わります。ブライド様が言われていたゲームではないでしょうか?」
「クラウン・バトルロイヤルか」

 学園内で作られた派閥同士の争いを、フェスティバルの中で試してみる価値はありそうだ。

「いくぞ。アイク」
「はっ!」
「エドガーの準備はできているのか?」
「はい」
「ならば良い」
 
 すでに準備はできているのだ。あとは我が用意した仕掛けに対して、アイス・ディフェ・ミルディ。お前はどう対処する?

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 あとがき

 どうも作者のイコです。

 第三章開始です。
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感想 3

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