お気楽公爵家の次男に転生したので、適当なことを言っていたら英雄扱いされてしまった。

イコ

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第三章

奇襲作戦

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 七日間の間、全くゲームが進行しないのでは、モニターでこちらの戦いを見物している観客からすれば面白くない。

 そのため、運営側として様々な仕掛けが用意されている。

 一日目の仕掛けとして、領地を手に入れたクラウンが、自分の領地に降りかかる魔物の脅威にどうやって立ち向かうのか?

 もちろん、生徒に命の危険が及ぶ場合は助っ人が救出することになっているが、ここに選ばれて参加している選手が簡単に魔物にやられるとは想定されていない。

 私もトアやミミのような非戦闘員を選ばなかった理由としては、彼女たちに危険が及ぶ可能性があるからです。

 バトルロワイヤルという競技名に相応しく。

 クラウンを奪取する場合には、学生同士の戦闘が行われるのです。

「フライ様、ゴブリンがいるの」

 偵察に行っていたメムが戻ってきて報告してくれる。夢魔族のメムは蝙蝠のような黒い羽を持ち空を飛ぶことができる。

「バクザンとノクスは?」
「戦っているの。問題はないと思うの」
「そうか、レンナ、一応、応援に向かってくれるか?」
「私がゴブリン退治?」
「ゴブリンだけで終わらないかもしれないからな」
「なるほどね。任せておきな」

 メムの案内でレンナが向かっていく。

「ご主人様、私は?」
「ジュリアは、ここで護衛を頼むな。魔物の察知などを頼めるか?」
「任せて!」

 モフモフのジュリアの頭を撫でてやりながら、魔物の登場にも慌てることはない。セシリアが用意した生徒たちも、慌てる者も少ない。

「フライ様、ご指示ありがとうございます」
「指揮官の勤めを果たしただけだよ。セシリアがクラウンなのに逆に申し訳ないね。僕が指揮をとって」
「いえ、王は将軍に指揮を任せるものです。私は王として、将軍に守られる女王でありたいと思います」

 セシリア嬢はニッコリと笑って守られる意志を伝えてきた。

「ならば、将軍としてあなたを守るとしましょう」
「はい!」

 セシリア嬢と話をしながら、のんびり過ごしていると、バクザンとノクスが戻ってくる。

「フライの兄貴! 魔物の討伐完了だ」
「お疲れ様、それでどうだった?」
「ああ、ゴブリンの後に、サイクロップスが出てきやがった。学生では厳しいレベルだろうな」
「それで?」
「ああ、竜人の姉さんが一撃で終わらせた」
「はは、レンナか」

 どうやら応援に向かわせて良かったような。

「さて、次の手を打とうか」
「フライの兄貴は悪いねぇ~」

 一日目は、各チームは魔物を討伐することに専念する。なら、初日から襲撃されないと思っている。

「ノクス、隣接するチームの情報は頭に入っているか?」
「ああ、隣は学生同盟だ」
「仕掛けてくれるかい?」
「任されよう」

 ノクスは戦うことが好きなようだ。私の指示に笑って答えた。

 ♢

《sideノクス》

 太陽が真上に昇る昼下がり、俺は学生同盟の陣地がある岩場を見下ろせる地点に潜んでいた。運営が仕掛けた魔物の襲撃が、すでに彼らの陣地を混乱に陥れている。

 岩場の周囲には、巨大なサイクロップスと、ゴブリンの群れが学生同盟を襲撃している。それを必死に迎え撃つ学生同盟のメンバーたちの姿があった。

 彼らは連携をとって、魔物の討伐を成功させている。

 このクラウン・バトルロワイヤルに参加するだけの実力を持っているメンバーだと理解できる。

「フライさんの予想通りだな。魔物に気を取られて、守備がガラ空きだ」

 俺は状況を確認しながら呟いた。

「フライの兄貴がくれた俺たちの出番だな」

 バクザンさんが拳を鳴らし、戦闘への意欲を示す。

「ええ、楽しみです」
「くくく、ノクス。お前も随分とフライの兄貴のことを気に入っているみたいだな」
「不思議なんですよ。あの人の側にいると楽しいと思える」
「いいことだ」

 人種なんて関係ない。自由なフライさんと話していると、しがらみがなくなっていく。何よりもフライさんは、妹の孤児院を支援してくれた。

 俺にとって恩人でもある。

「バクザンさん。奇襲は慎重に行くべきだが、俺はおもいっきりやりたい」
「くくく、いいぜ。暴れてやろう」

 俺たちは二人で、一気に岩山を駆け降りて、学生同盟の背後から襲撃を仕掛ける。

「バクザンさん、クラウンの居場所を突き止めた。岩場の中央に設置されたテントだ。護衛は二人、だがどちらも疲弊している」
「よし、作戦開始だ」

 バクザンさんが先陣を切り、混乱に乗じて岩場に突撃する。豪快な一撃が学生同盟の背後を襲撃する。

 ゴブリンの大群を分断し、鋭い攻撃が後方の敵を威嚇する。

「なっ! なんだこいつらは?!」
「ゴブリンどもが来ているぞ!」
「こいつはなんだ?!」

 学生同盟が混乱している中で、バクザンさんの攻撃が学生同盟を蹴散らす。

「俺も自分の仕事をするか」

 岩場の中央へと進む。

「止まれ! ここは……」

 護衛の一人が声を上げるが、俺は冷静に一歩踏み出し、剣を振るう。

「悪いが、ここを通らせてもらう」

 護衛の剣を受け流し、相手を一瞬で戦闘不能にする。

 バクザンさんやロガン様に比べれば、大した相手じゃない。

 二人の護衛を倒して、俺はテントへと駆け込んだ。

 テントの中には、クラウンに選ばれた女性が座っていた。彼女のそばには、簡易的な物資が積まれている。

「あなたは!?」
「すまないが、初日に消えてもらう」
「私たちは負けません!」

 槍を構える女性に、俺は剣を向ける。

 室内で長物と剣なら、剣の方が有利だ。

「あなたたちは何を……」
「これはゲームだ。君たちは負けてもらう」

 勝負は一瞬だった。突かれた槍が引かれる前に近づいて、剣を振るう。

「くっ!?」

 俺は学生同盟のクラウンを倒した。

『初日、最初の脱落チームが決定しました! 平民学生同盟のセレナーデ選手。ローズガーデンのノクス選手によって撃たれました。これにより、平民学生同盟の生き残りは、ローズガーデンに吸収され、また平民学生同盟の陣地はローズガーデンの物となります!』

 実況が、俺の勝利を報告してくれる。

 俺は小さくガッツポーズをした。

 
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