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第四話
エリック兄上と調査を開始してみた。
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《side フライ・エルトール》
学園都市は、フェスティバルの喧騒に包まれていた。
広場では大道芸人が火を操り、路地裏では小さな商人たちが珍しい品々を並べて呼び込みをしている。
そんな賑わいの中で、エリック兄上は、誰が異端者かわからないのに探さなければならない。これだけの、観光客が溢れる中で、見分けるのは至難の業だ。
「これだけの人混みの中で異端者を探せ、なんてなかなか無茶だよね」
私は溜息をつきながら、フェスティバルの喧騒を見渡した。
エリック兄上は冷静な顔で周囲を観察している。彼の鋭い視線は、すでにいくつもの疑わしい動きを捕らえているようだった。
「だからこそ、私が来たんだ」
「エリック兄上には、相手を見つける方法があるの?」
「フライ、私もただ、魔塔で研究だけをしていた訳じゃないんだ。見ていてくれ」
エリック兄上が魔法を発動すると、魔力がゆっくりと薄く広がっていく。
すると、それぞれが光を放つように見えた。
「うわ~なんか初めて見る魔法だね。なんだいこれ?」
「ふふ、これは相手の魔力や属性を知ることができる魔法だ。私の魔力は全属性を含んでいて、その同じ属性に反応するように輝くように魔力を波動として放出させているんだ」
「これで何がわかるの?」
「異端者は、魔術を使っていると言ったよな?」
エリック兄上に頷く。
「それは全属性以外の力と言われているんだ。それ以外の魔力の波動を検知することができるってことだ」
なるほど、だけどそれは聖痕や私のような無属性も入るんじゃないだろか?
「それって僕の無属性でも反応するんじゃない?」
「それはそうだな。だけど、特定はできる!」
自信満々ながらも、少し欠陥があるところが、エリック兄さんらしいね。
「だからこそ、フライの観察力も借りたい。フライは人を見る目があるだろ? 私はあまり人付き合いをしていないからな」
真面目に研究する陰キャなエリック兄上は堂々と、友人がいないという。
「そうだね。僕は友人付き合いが多いからわかるかな」
「ああ、頼りにしているぞ!」
私は苦笑いを浮かべつつ、広場に溶け込む人々を観察し始めた。露店でお菓子を買う子供、恋人同士で楽しそうに歩く若者、そして、エリック兄上の魔法に反応した者たちに視線を向ける。
「エリック兄上、あの三人組、妙に周囲を気にしてるね」
私は視線を合わせないようにしながら、路地の先でひそひそ話している三人組を指差した。彼らは目立たない服装をしていたが、フェスティバルの雰囲気とは明らかに異質だった。
「確かに不自然だな」
「それに学園都市では、あまり見ない連中だね」
エリック兄上は冷静にうなずき、すぐに行動に移った。
三人組が路地を抜けて細い道に入るのを確認すると、私たちもさりげなく後を追った。人混みの中を進むと、やがて喧騒が遠ざかり、薄暗い路地裏にたどり着いた。
「ついてくるなよ……」
三人のうちの一人が振り返り、鋭い目で私たちを睨みつける。その目は、何かに怯えたようにも見えた。
「おやおや、こんなところで何をしてるんだい? フェスティバルの会場は向こうだよ」
私はわざと軽い口調で話しかけたが、三人組は警戒心を隠そうともせず、じりじりと後退する。
「ここで何をしているかは、お前に関係ないだろう」
「関係ないかどうかは、話を聞いてから決めるさ。僕の名前はフライ。学園の生徒でね。困っているなら手伝えると思うよ」
「フライ! 何をしているんだ! 怪しいなら捕まえろ!」
エリック兄上が威圧感を含んだ声を発して、三人組の動きが一瞬止まった。
「逃げるぞ!」
リーダー格らしき男が叫ぶと、三人は散り散りに逃げ出した。だが、その行動は予想済みだった。
「ハァ~」
私は深々とため息を吐いた。
「おいおい、どこに行くつもりだ?」
エリック兄上が困惑した顔で追いかけようとする。
「エリック兄上、天然過ぎだよ」
私としては三人組を疑っていたわけではない。だけど、話を聞ければと思っただけだ。
仕方ないので、私は魔法を使って三人を捉えることにした。
「探索! 停止!」
無属性魔法は八属性以外の魔法を使うことができる。
「何をしたんだ?!」
「いいから、ついてきて」
路地裏の壁際に三人組を追い詰めた。
私たちは、エリック兄上の指示で彼らを尋問し始める。
彼らは最初こそ口を閉ざしていたが、エリック兄上の質問と私の軽い牽制の前に、徐々に口を開き始めた。
「俺たちはただの運び屋だ……学園都市に届け物をしに来ただけなんだ」
「届け物ね。それにしちゃ妙に周囲を気にしてたけど?」
私が問いかけると、男たちは顔を見合わせた。
「本当にそうなら、どうして逃げたんだ?!」
エリック兄上が威圧する声で言うと、リーダー格の男は諦めたように息を吐いた。
「わかった、話すよ。ただ、これ以上深入りしないほうがいいぜ。この街には……本当に危ない奴らがいる」
その後の話で、彼らは学園都市に裏社会の一部と接触するために派遣されていたことを白状した。ただし、その正体や目的についてはほとんど知らないらしい。
「なるほどね。まぁ、君たちにはもう少し詳しく話を聞く必要があるかな」
私は軽い調子で言いながら、エリック兄上に視線を送った。兄上は無言で頷き、三人組を調査員たちに引き渡す準備を始めた。
「フライ、この街にはまだ何かが潜んでいる。この三人だけじゃない。次はもっと大物が動くはずだ」
エリック兄上の言葉に、私は静かにうなずいた。
「まぁ、その時はその時さ。僕らしいやり方で対応するよ」
フェスティバルの喧騒に戻ると、再び街は平和そのものの顔を見せていた。だが、その裏には確実に異端者たちの影が迫っている。
「楽しいお祭りだね。でも、こういう時こそ気を緩めちゃいけないね」
私は自分に言い聞かせるように呟き、次なる動きに思いを巡らせた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あとがき
どうも作者のイコです。
第四章スタートです!
学園都市は、フェスティバルの喧騒に包まれていた。
広場では大道芸人が火を操り、路地裏では小さな商人たちが珍しい品々を並べて呼び込みをしている。
そんな賑わいの中で、エリック兄上は、誰が異端者かわからないのに探さなければならない。これだけの、観光客が溢れる中で、見分けるのは至難の業だ。
「これだけの人混みの中で異端者を探せ、なんてなかなか無茶だよね」
私は溜息をつきながら、フェスティバルの喧騒を見渡した。
エリック兄上は冷静な顔で周囲を観察している。彼の鋭い視線は、すでにいくつもの疑わしい動きを捕らえているようだった。
「だからこそ、私が来たんだ」
「エリック兄上には、相手を見つける方法があるの?」
「フライ、私もただ、魔塔で研究だけをしていた訳じゃないんだ。見ていてくれ」
エリック兄上が魔法を発動すると、魔力がゆっくりと薄く広がっていく。
すると、それぞれが光を放つように見えた。
「うわ~なんか初めて見る魔法だね。なんだいこれ?」
「ふふ、これは相手の魔力や属性を知ることができる魔法だ。私の魔力は全属性を含んでいて、その同じ属性に反応するように輝くように魔力を波動として放出させているんだ」
「これで何がわかるの?」
「異端者は、魔術を使っていると言ったよな?」
エリック兄上に頷く。
「それは全属性以外の力と言われているんだ。それ以外の魔力の波動を検知することができるってことだ」
なるほど、だけどそれは聖痕や私のような無属性も入るんじゃないだろか?
「それって僕の無属性でも反応するんじゃない?」
「それはそうだな。だけど、特定はできる!」
自信満々ながらも、少し欠陥があるところが、エリック兄さんらしいね。
「だからこそ、フライの観察力も借りたい。フライは人を見る目があるだろ? 私はあまり人付き合いをしていないからな」
真面目に研究する陰キャなエリック兄上は堂々と、友人がいないという。
「そうだね。僕は友人付き合いが多いからわかるかな」
「ああ、頼りにしているぞ!」
私は苦笑いを浮かべつつ、広場に溶け込む人々を観察し始めた。露店でお菓子を買う子供、恋人同士で楽しそうに歩く若者、そして、エリック兄上の魔法に反応した者たちに視線を向ける。
「エリック兄上、あの三人組、妙に周囲を気にしてるね」
私は視線を合わせないようにしながら、路地の先でひそひそ話している三人組を指差した。彼らは目立たない服装をしていたが、フェスティバルの雰囲気とは明らかに異質だった。
「確かに不自然だな」
「それに学園都市では、あまり見ない連中だね」
エリック兄上は冷静にうなずき、すぐに行動に移った。
三人組が路地を抜けて細い道に入るのを確認すると、私たちもさりげなく後を追った。人混みの中を進むと、やがて喧騒が遠ざかり、薄暗い路地裏にたどり着いた。
「ついてくるなよ……」
三人のうちの一人が振り返り、鋭い目で私たちを睨みつける。その目は、何かに怯えたようにも見えた。
「おやおや、こんなところで何をしてるんだい? フェスティバルの会場は向こうだよ」
私はわざと軽い口調で話しかけたが、三人組は警戒心を隠そうともせず、じりじりと後退する。
「ここで何をしているかは、お前に関係ないだろう」
「関係ないかどうかは、話を聞いてから決めるさ。僕の名前はフライ。学園の生徒でね。困っているなら手伝えると思うよ」
「フライ! 何をしているんだ! 怪しいなら捕まえろ!」
エリック兄上が威圧感を含んだ声を発して、三人組の動きが一瞬止まった。
「逃げるぞ!」
リーダー格らしき男が叫ぶと、三人は散り散りに逃げ出した。だが、その行動は予想済みだった。
「ハァ~」
私は深々とため息を吐いた。
「おいおい、どこに行くつもりだ?」
エリック兄上が困惑した顔で追いかけようとする。
「エリック兄上、天然過ぎだよ」
私としては三人組を疑っていたわけではない。だけど、話を聞ければと思っただけだ。
仕方ないので、私は魔法を使って三人を捉えることにした。
「探索! 停止!」
無属性魔法は八属性以外の魔法を使うことができる。
「何をしたんだ?!」
「いいから、ついてきて」
路地裏の壁際に三人組を追い詰めた。
私たちは、エリック兄上の指示で彼らを尋問し始める。
彼らは最初こそ口を閉ざしていたが、エリック兄上の質問と私の軽い牽制の前に、徐々に口を開き始めた。
「俺たちはただの運び屋だ……学園都市に届け物をしに来ただけなんだ」
「届け物ね。それにしちゃ妙に周囲を気にしてたけど?」
私が問いかけると、男たちは顔を見合わせた。
「本当にそうなら、どうして逃げたんだ?!」
エリック兄上が威圧する声で言うと、リーダー格の男は諦めたように息を吐いた。
「わかった、話すよ。ただ、これ以上深入りしないほうがいいぜ。この街には……本当に危ない奴らがいる」
その後の話で、彼らは学園都市に裏社会の一部と接触するために派遣されていたことを白状した。ただし、その正体や目的についてはほとんど知らないらしい。
「なるほどね。まぁ、君たちにはもう少し詳しく話を聞く必要があるかな」
私は軽い調子で言いながら、エリック兄上に視線を送った。兄上は無言で頷き、三人組を調査員たちに引き渡す準備を始めた。
「フライ、この街にはまだ何かが潜んでいる。この三人だけじゃない。次はもっと大物が動くはずだ」
エリック兄上の言葉に、私は静かにうなずいた。
「まぁ、その時はその時さ。僕らしいやり方で対応するよ」
フェスティバルの喧騒に戻ると、再び街は平和そのものの顔を見せていた。だが、その裏には確実に異端者たちの影が迫っている。
「楽しいお祭りだね。でも、こういう時こそ気を緩めちゃいけないね」
私は自分に言い聞かせるように呟き、次なる動きに思いを巡らせた。
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あとがき
どうも作者のイコです。
第四章スタートです!
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