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不気味な影
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王都に戻った私達は、戴冠式を終えたばかりの新国王陛下レイノルド様―アルのふたつ下の弟だ―と秘密裏にお会いするため、前々国王であるセルバート様のお屋敷にいる。アクラム様も同席している。レイノルド様の側近や護衛も排した完全に極秘の会だ。
「どうだった、アルフォンス」
「ああ、北がヤバイことになっている。シェルバー領主には、騎士団に援軍を請うよう勧めておいた。もう少し我々の到着が遅れていたら、小規模なスタンピードになりかねない状況だった。粗方の魔獣は始末したが、あの様子だとすぐに増えるだろう。ベルキア帝国がどうなっているか、気になる」
アルは、アクラム様に話を向けた。レイノルド様は、眉を寄せて苦い顔だ。
「最新の情報、と言っても10日前だが、ベルキア帝国の帝都周辺も魔獣は増えているが、帝国騎士団が日頃から刈っているからそれほどでもないようだ。だが、こちらへ向かう街道でもあまり使われないような街道や小さな村などは酷い有り様のようだ。農民は皆、近くの砦に避難しているらしい。砦の騎士達も交替で討伐してはいるようだが、シェルバーと同じ状況だと考えていいだろう。まだ今は、雪が深くて農作業もないからいいが、これが、春以降も続くとなると・・・・。王都より北の状況はまだ、入って来ない」
北に何かあるのかな?
「神獣様は何か分かったことはありますか?」
レイノルド様は、従魔達に情報を求めた。彼は、国王となる前日の忙しいときに、誓約の魔法を受け入れ、私の素性と従魔達のことを知らされた。「もっと違う日にして欲しかった」との呟きに同情したのは言うまでもない。
「うむ。我等も神域に戻り、それぞれの属性から情報を得てきたのだが・・・・」
蒼貴は、そこで口籠った。いつも雑談混じりにポロポロと重要な情報を漏らすのに、珍しい。
「北の果てに海を隔てて大きな島がひとつだけあるじゃろう。知っておるか?」
緑葉が蒼貴の後を引き継いだ。
「私は、知っております。ベルキア帝国を訪れた折、1度だけ最北の領地に視察に行ったことがございます。その時、微かに島の影を見ました」
セルバート様が王太子の時と言うから、随分前だ。
「うむ。あそこは、かつて、異世界の魔術師が召喚された場所じゃよ。今は、あの島の周辺だけ海が荒れ、上陸できんようになっとるはずじゃが、何者かが侵入した」
緑葉は、厳しい顔を崩さない。どうやら、とても深刻なようだ。
「我らは、それぞれが司る属性から情報を得る。今回、我と白銀は何者かが海を渡ったとの情報を掴んだ。だが、上陸の前後は、我らの誰一人、情報がない」
「どういうことでしょう?」
レイノルド様は、訝しげに尋ねる。
「つまり、そいつは、上陸する前の痕跡も上陸してからの痕跡もない、ということだ。風に当たらず、土に触れず、水も飲まず、火も扱っていない。深夜、忽然と姿を現して船に乗り、上陸後、忽然と消えた」
「そんな!あり得ない」
そう、土や風や火や水に触れないなんてあり得ない。水を出して飲めば、いつ何処で水を飲んだという情報が水に伝わる。不特定多数の個人は特定できないが、性別くらいなら情報として保持される。白銀は、その情報を読むことが出来るのだ。他の神獣たちも同様だ。よく知っている相手ならば、個人を特定して情報を得ることも探し出すことも出来る。
「えっ、待って。それって体液も無いってこと?」
血液どころか体内の水分がないってことだ。
「そうだ。あるいは、体液を持たない何か。実際に、船に乗っていた者が何者かはわからん。我らに分かったのは、船が海を渡り、かの島に辿り着いた、ということだ」
「「「な!」」」
「えっと、死んでるかミイラってこと?」
「さあな。滅多にすることではないが、あまりにも情報がないから仕方なく、島にいる存在の身体に干渉したが、出来なかった。島には、虫はおろか魔獣もおらんな。生物の反応がない」
「既にその島にいないのでは?」
「いや、島を出たという情報はない。周りは海だ。島を出たなら、海が教えてくれる」
「上陸してから神獣様の目すらも掻い潜り、何処かに潜んでいるということか。厄介だな」
「それが、儂らの術を掻い潜れるものが、只ひとりだけおる。・・・・異世界の魔術師じゃよ」
「!!!ですが!かの者は、死んではいないが、生きてもいないのでしょう?動けない者がどうやって海を渡るのです?!」
「そうだね。魂はもう存在しないから、生きているとは言えない。でも、肉体は、体液を喪っても瑞々しいまま、朽ち果てることはないよ」
「では、神獣様方の術を掻い潜れるとは、どういうことなのでしょう?」
「儂らの術は、正の魔力に反応する。この世界にあるものは、ほぼ、正の魔力で満たされておる。魔獣であっても、負の魔力だけでは生存できん。多少なりもと正の魔力を含んでおるのじゃ。だが、異世界の魔術師だけは、違う」
「ですが、2年前、シェリアが回復し、負の魔力を極限まで減らしたではないですか!純粋な魔力になったのでしょう?」
うんうんと、みんなが頷く。
「そうだ。だから、今回の件に異世界の魔術師が関わっているのは考えにくいのだが、方法が無いわけではないのだ。禁忌の魔法とされ、全ての資料は廃棄されたはずだが、召喚聖女の件がある以上、全く資料がないとも言い切れん。それに、以前、シェリアを襲った負の魔力が気になる」
「その禁忌の魔法を行使するとどうなるのでしょう?」
セルバート様がじっと蒼貴を見据えた。
「ハァ、あまり伝えたくはないのだが・・・・」
「今更じゃろう?知らねば、対策も練れん。その方法は、教えることはできんがな」
「そうだな。まず、召喚聖女が異世界の魔術師に使う回復とは、正確に言えば、召喚聖女の力で、異世界の魔術師の魔力を作り出す器官をギリギリまで細く小さくすることだ。小さくなったそれは500年ほどかけて、徐々に元の大きさに戻っていく。つまり異世界の魔術師は、召喚聖女が回復をしても正の魔力に変わることはない。純粋な魔力というのは例えで、負の魔力がほぼゼロになった状態を指す。それは、実際に回復をしたシェリアと共にいたアルフォンスがよく分かっているだろう?」
そうなのだ。あれは、ある意味回復ではなかった。そして、私の手に残った小さな虹色の玉。負の魔力の結晶と帰還の魔方陣。白銀の説明で納得した。全てが仕組まれた茶番劇。罪を忘れさせないためのパフォーマンスなのだ。茶番と分かっても、それをしなければこの世界は、破滅へと向かう。
「だが、負の魔力そのものに興味を抱いたある魔術師が、人工的に負の魔力を作り出せないか研究を始めた。召喚術で痛い目を見たというのに、学習能力のない天才が、ある日、その魔方陣を完成させてしまった。ただし、その術を行使して無理に魔力の質を変えた場合、体内で作られる魔力は、限りなく負に近いものになるが、この世界の肉体では耐えきれず数ヶ月で朽ちてしまう。これは、昔、その術が編み出された時代に実験として施された者達から分かったことだ」
みんな、固唾を飲んで聞き入っている。
「じゃが、ひとつだけ負の魔力を作り続ける方法がある。・・・・その方法とは、・・・・この世界の者ではない肉体を手に入れ、その術を施す。あるいは・・・・異世界の魔術師を復活させることじゃ」
全ての視線が、一斉に私に注がれた。
「この事は、誰も知らないけど、その馬鹿な天才魔術師は、異世界の魔術師を復活させる魔方陣も完成させてるんだよ。それは、理論上は可能なんだ。理論上はね。どんな副作用があるかは分からない。実験をする前にその魔術師は死んだからね。僕達も今回のことで初めて知ったんだ」
「そしてこの世界のものではない肉体はここにある。北の果ての島にいる者は、何故だかわからんが、シェリアの存在に気づいておる。つまり、どちらも実行可能というわけだな」
情報が壮大すぎて頭が追い付かない。魔法が使えて、魔力があるから、こちらの人と変わりないと思ってた。違うのか・・・・。ビックリだよ。
「では、その者は、負の魔力を生成するのが目的だと?何のために?魔獣が増えるだけで何のメリットもない」
「・・・・この世界の破滅、か」
ぼそりと呟いたアルのその言葉に、神獣様達も含めて、みんな固まった。
それこそ、何のために?だ。
「アルフォンス、どういうことだ。説明しろ」
アクラム様が少しイラッとしているのが分かった。
「この世界に、何らかの強烈な憎悪を抱く者の仕業だと考えれば、負の魔力を増やして魔獣を大量に作り出すことも納得がいく。憎悪の対象であるこの世界を破壊するのが目的だ。独りでは破壊できなくても、魔獣がどんどん増えれば、いずれ私達はそれに、抗えなくなる。どういう経緯でかは分からないが、異世界の魔術師を復活させる魔方陣も負の魔力を造り出す魔方陣も手に入れた。自分がどうなろうと躊躇わず実行したはずだ。そいつは、恐らく、優秀な魔術師だ」
それは、・・・・凄まじい憎悪だ。世界を滅ぼすほどの憎悪とは、いったいその人に何があったのか?そんな人が私を狙っているだなんて・・・・。私は、身体の震えが止められなくなっていた。アルが私の腰に廻している腕に力を込めた。
「とにかく、異世界の魔術師がどうなっているかビジュー王国に確かめる必要があるな」
「そうだな。あの空間は、我らとて干渉はできぬ」
「シェリア、大丈夫だ。連れ去るなど絶対にさせない。だから、何があっても離れるな」
私は、震えながら頷くしかない。私を負の魔力から遠ざけることが出来るのはアルだけだ。
異世界の魔術師の事がわかり次第集まることとなり、一旦、極秘の会は解散した。
「どうだった、アルフォンス」
「ああ、北がヤバイことになっている。シェルバー領主には、騎士団に援軍を請うよう勧めておいた。もう少し我々の到着が遅れていたら、小規模なスタンピードになりかねない状況だった。粗方の魔獣は始末したが、あの様子だとすぐに増えるだろう。ベルキア帝国がどうなっているか、気になる」
アルは、アクラム様に話を向けた。レイノルド様は、眉を寄せて苦い顔だ。
「最新の情報、と言っても10日前だが、ベルキア帝国の帝都周辺も魔獣は増えているが、帝国騎士団が日頃から刈っているからそれほどでもないようだ。だが、こちらへ向かう街道でもあまり使われないような街道や小さな村などは酷い有り様のようだ。農民は皆、近くの砦に避難しているらしい。砦の騎士達も交替で討伐してはいるようだが、シェルバーと同じ状況だと考えていいだろう。まだ今は、雪が深くて農作業もないからいいが、これが、春以降も続くとなると・・・・。王都より北の状況はまだ、入って来ない」
北に何かあるのかな?
「神獣様は何か分かったことはありますか?」
レイノルド様は、従魔達に情報を求めた。彼は、国王となる前日の忙しいときに、誓約の魔法を受け入れ、私の素性と従魔達のことを知らされた。「もっと違う日にして欲しかった」との呟きに同情したのは言うまでもない。
「うむ。我等も神域に戻り、それぞれの属性から情報を得てきたのだが・・・・」
蒼貴は、そこで口籠った。いつも雑談混じりにポロポロと重要な情報を漏らすのに、珍しい。
「北の果てに海を隔てて大きな島がひとつだけあるじゃろう。知っておるか?」
緑葉が蒼貴の後を引き継いだ。
「私は、知っております。ベルキア帝国を訪れた折、1度だけ最北の領地に視察に行ったことがございます。その時、微かに島の影を見ました」
セルバート様が王太子の時と言うから、随分前だ。
「うむ。あそこは、かつて、異世界の魔術師が召喚された場所じゃよ。今は、あの島の周辺だけ海が荒れ、上陸できんようになっとるはずじゃが、何者かが侵入した」
緑葉は、厳しい顔を崩さない。どうやら、とても深刻なようだ。
「我らは、それぞれが司る属性から情報を得る。今回、我と白銀は何者かが海を渡ったとの情報を掴んだ。だが、上陸の前後は、我らの誰一人、情報がない」
「どういうことでしょう?」
レイノルド様は、訝しげに尋ねる。
「つまり、そいつは、上陸する前の痕跡も上陸してからの痕跡もない、ということだ。風に当たらず、土に触れず、水も飲まず、火も扱っていない。深夜、忽然と姿を現して船に乗り、上陸後、忽然と消えた」
「そんな!あり得ない」
そう、土や風や火や水に触れないなんてあり得ない。水を出して飲めば、いつ何処で水を飲んだという情報が水に伝わる。不特定多数の個人は特定できないが、性別くらいなら情報として保持される。白銀は、その情報を読むことが出来るのだ。他の神獣たちも同様だ。よく知っている相手ならば、個人を特定して情報を得ることも探し出すことも出来る。
「えっ、待って。それって体液も無いってこと?」
血液どころか体内の水分がないってことだ。
「そうだ。あるいは、体液を持たない何か。実際に、船に乗っていた者が何者かはわからん。我らに分かったのは、船が海を渡り、かの島に辿り着いた、ということだ」
「「「な!」」」
「えっと、死んでるかミイラってこと?」
「さあな。滅多にすることではないが、あまりにも情報がないから仕方なく、島にいる存在の身体に干渉したが、出来なかった。島には、虫はおろか魔獣もおらんな。生物の反応がない」
「既にその島にいないのでは?」
「いや、島を出たという情報はない。周りは海だ。島を出たなら、海が教えてくれる」
「上陸してから神獣様の目すらも掻い潜り、何処かに潜んでいるということか。厄介だな」
「それが、儂らの術を掻い潜れるものが、只ひとりだけおる。・・・・異世界の魔術師じゃよ」
「!!!ですが!かの者は、死んではいないが、生きてもいないのでしょう?動けない者がどうやって海を渡るのです?!」
「そうだね。魂はもう存在しないから、生きているとは言えない。でも、肉体は、体液を喪っても瑞々しいまま、朽ち果てることはないよ」
「では、神獣様方の術を掻い潜れるとは、どういうことなのでしょう?」
「儂らの術は、正の魔力に反応する。この世界にあるものは、ほぼ、正の魔力で満たされておる。魔獣であっても、負の魔力だけでは生存できん。多少なりもと正の魔力を含んでおるのじゃ。だが、異世界の魔術師だけは、違う」
「ですが、2年前、シェリアが回復し、負の魔力を極限まで減らしたではないですか!純粋な魔力になったのでしょう?」
うんうんと、みんなが頷く。
「そうだ。だから、今回の件に異世界の魔術師が関わっているのは考えにくいのだが、方法が無いわけではないのだ。禁忌の魔法とされ、全ての資料は廃棄されたはずだが、召喚聖女の件がある以上、全く資料がないとも言い切れん。それに、以前、シェリアを襲った負の魔力が気になる」
「その禁忌の魔法を行使するとどうなるのでしょう?」
セルバート様がじっと蒼貴を見据えた。
「ハァ、あまり伝えたくはないのだが・・・・」
「今更じゃろう?知らねば、対策も練れん。その方法は、教えることはできんがな」
「そうだな。まず、召喚聖女が異世界の魔術師に使う回復とは、正確に言えば、召喚聖女の力で、異世界の魔術師の魔力を作り出す器官をギリギリまで細く小さくすることだ。小さくなったそれは500年ほどかけて、徐々に元の大きさに戻っていく。つまり異世界の魔術師は、召喚聖女が回復をしても正の魔力に変わることはない。純粋な魔力というのは例えで、負の魔力がほぼゼロになった状態を指す。それは、実際に回復をしたシェリアと共にいたアルフォンスがよく分かっているだろう?」
そうなのだ。あれは、ある意味回復ではなかった。そして、私の手に残った小さな虹色の玉。負の魔力の結晶と帰還の魔方陣。白銀の説明で納得した。全てが仕組まれた茶番劇。罪を忘れさせないためのパフォーマンスなのだ。茶番と分かっても、それをしなければこの世界は、破滅へと向かう。
「だが、負の魔力そのものに興味を抱いたある魔術師が、人工的に負の魔力を作り出せないか研究を始めた。召喚術で痛い目を見たというのに、学習能力のない天才が、ある日、その魔方陣を完成させてしまった。ただし、その術を行使して無理に魔力の質を変えた場合、体内で作られる魔力は、限りなく負に近いものになるが、この世界の肉体では耐えきれず数ヶ月で朽ちてしまう。これは、昔、その術が編み出された時代に実験として施された者達から分かったことだ」
みんな、固唾を飲んで聞き入っている。
「じゃが、ひとつだけ負の魔力を作り続ける方法がある。・・・・その方法とは、・・・・この世界の者ではない肉体を手に入れ、その術を施す。あるいは・・・・異世界の魔術師を復活させることじゃ」
全ての視線が、一斉に私に注がれた。
「この事は、誰も知らないけど、その馬鹿な天才魔術師は、異世界の魔術師を復活させる魔方陣も完成させてるんだよ。それは、理論上は可能なんだ。理論上はね。どんな副作用があるかは分からない。実験をする前にその魔術師は死んだからね。僕達も今回のことで初めて知ったんだ」
「そしてこの世界のものではない肉体はここにある。北の果ての島にいる者は、何故だかわからんが、シェリアの存在に気づいておる。つまり、どちらも実行可能というわけだな」
情報が壮大すぎて頭が追い付かない。魔法が使えて、魔力があるから、こちらの人と変わりないと思ってた。違うのか・・・・。ビックリだよ。
「では、その者は、負の魔力を生成するのが目的だと?何のために?魔獣が増えるだけで何のメリットもない」
「・・・・この世界の破滅、か」
ぼそりと呟いたアルのその言葉に、神獣様達も含めて、みんな固まった。
それこそ、何のために?だ。
「アルフォンス、どういうことだ。説明しろ」
アクラム様が少しイラッとしているのが分かった。
「この世界に、何らかの強烈な憎悪を抱く者の仕業だと考えれば、負の魔力を増やして魔獣を大量に作り出すことも納得がいく。憎悪の対象であるこの世界を破壊するのが目的だ。独りでは破壊できなくても、魔獣がどんどん増えれば、いずれ私達はそれに、抗えなくなる。どういう経緯でかは分からないが、異世界の魔術師を復活させる魔方陣も負の魔力を造り出す魔方陣も手に入れた。自分がどうなろうと躊躇わず実行したはずだ。そいつは、恐らく、優秀な魔術師だ」
それは、・・・・凄まじい憎悪だ。世界を滅ぼすほどの憎悪とは、いったいその人に何があったのか?そんな人が私を狙っているだなんて・・・・。私は、身体の震えが止められなくなっていた。アルが私の腰に廻している腕に力を込めた。
「とにかく、異世界の魔術師がどうなっているかビジュー王国に確かめる必要があるな」
「そうだな。あの空間は、我らとて干渉はできぬ」
「シェリア、大丈夫だ。連れ去るなど絶対にさせない。だから、何があっても離れるな」
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