番?呪いの別名でしょうか?私には不要ですわ

紅子

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プロローグ~私の祈り~

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「僕はこの戦で手柄をたてて、必ず君のことを認めてもらう。身分なんて関係ないんだ。君は僕の半身なんだから。だからどうか待っていて」

あなたに抱き締められ、明日、戦地へと向かうあなたの無事を祈る。私とあなたは秘密の関係だから大っぴらに見送ることはできない。

「はい。ずっとお待ちしております。どうぞこれをお持ちください」

あなたの無事を願って刺したクリスタルリリーの刺繍を施したハンカチを渡した。クリスタルリリーの花言葉は「願いは叶う」だ。

「ありがとう。必ず君のもとに帰って来るよ」

それが最後の会話だった。






彼が戦地に赴いてから1年が経った。その間、私は毎日、神殿に足を運び彼の無事を祈り続けた。そして・・・・。



「漸く戦が終わったなぁ」

「第2王子殿下が敵の将を討ち取ったとか」

「だが、相討ちだっていうじゃないか。生死の境目をさ迷ってるって聞いたよ」

そんな噂が国中で囁かれるようになった。実際、王宮でいち文官として働く私の父は医務官たちが慌ただしくしていると食事の席で話していた。第2王子殿下は、戦場に近い公爵家で治療を受けているそうだ。私は祈る。“どうか、ご無事で”と。



それから3月。第2王子殿下は奇跡的に命をとりとめ、後遺症もなく王宮に帰って来たと父から聞いた。彼から私のもとに連絡はない。私は祈る。ただただ彼の無事を。


そして・・・・。半年後、第2王子殿下は公爵家の令嬢と婚約を発表した。生死の境目をさ迷う第2王子殿下を献身的に看病したのだとか。彼女の祈りが第2王子殿下を救ったともっぱらの噂だ。そしてもうひとつ。父がポツリと呟いた何気ない一言。「第2王子殿下はあの怪我で記憶をなくしたらしい」

結局、私が彼に会うことは2度となかった。毎日神殿に通い、熱心に祈る私に神官長が声を掛けてくれた。「神殿の巫女にならないか?」と。神殿に勤めるということは、神の花嫁となることを意味する。私はそれを受けた。いつまでも家にはいられない。何処かに嫁ぐことは考えられなかった。私が巫女であり続けた間、神殿に寄付をし続けてくれた両親や兄、甥には感謝してもしきれない。

神殿での生活は穏やかで静かなものだった。私は神殿に誘ってくれた神官長と時々お茶を一緒に飲む仲になった。強面で屈強な体格の神官長は、その外見に似合わず、とても繊細で物静かな人だった。ほとんど会話もないけれど、心落ち着く時間だった。が、その神官長も流行り病で呆気なく神の御元へ行ってしまった。



「君は僕の半身なんだから。だからどうか待っていて」

私は今日も祈る。“あなたが幸せでありますように”と。あなたは私のもとには帰っては来ないと知っていても私は待ち続ける。私はあなたの半身だから。
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