番?呪いの別名でしょうか?私には不要ですわ

紅子

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エピローグ

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「あの時はどうなるかと思った」

「本当に。まさか、この家にまで来るとは思わなかったわ」

「執着か執念か」

「どちらもお断り。お姉様との婚約が整ったのだから、後はこのままこの世界が終わることを願うばかりよ」

あの日、わざわざ私に会うためにこの家に押し掛けてきたウィリアム殿下は、私に番がいることを疑っていた。自分の番のはずだと。最終的に、番の匂いがしないこと、私とクラウスの仲の良さを自分の目で見て諦めて帰っていった。そして、私の匂いのついたドレスを着た姉のクリスレイアを番と認め、婚約に至った。国家を跨ぐ婚約は番であるないに関わらず、婚約の時点で番避けの装飾品を身につけることになっている。国同士の契約である婚姻に、番を理由に破棄されるのを防ぐことが目的だ。戦争になりかねない。今回はそれを利用した形になる。

「ふたりが幸せになってくれるといいわ」

「そうだな。そして、この世界が終わる」

あとは、ふたりが幸せに人生を終えるのを待てばいい。例え、偽りの番であっても、偽りの愛であっても、ふたりが幸せを噛みしめてこの生を終えるなら、この世界もまた終わるのだから。

「そうだわ!クラウスは私と会うために探してくれたのでしょう?」

「ああ」

突然、話題が切り替わったことに戸惑うクラウスを尻目に、私はずっと聞きたかったことを尋ねた。

「じゃあ、この世界で私と会えたのだから、もう逢えないの?」

クラウスの肩を掴みじっと見つめた。自然と眉がハの字になってしまった。クラウスは驚いた顔をしている。

「マリー・・・・。ここは本来あるべき世界じゃないし、普通なら過去の記憶はないはずだ。だから、この世界での出会いはカウントされない」

「本当に?」

「ああ。本当だ。俺にまた逢いたいと思ってくれるのか?」

私は無言で頷いた。その瞬間クラウスは痛いくらいに私を抱き締めた。「反則だ。・・・・マリーが可愛すぎる」などとぶつぶつ呟いていたのは聞かなかったことにして、そっと自分の胸に仕舞った。




それから、数十年。私とクラウスの想いで男の子2人と女の子2人を授かった。ウィリアム殿下は王位を継ぎ、国王となった。もちろん隣に立つ王妃は姉のクリスレイアだ。ふたりは2男1女を授かり、そのうちの一人は私たちの子の番だった。平穏に月日は流れ、クリスレイアはウィリアム様の腕の中で旅立った。そして、ウィリアム様がそれを認めると、世界はさらさらと砂の城が崩れるように崩壊を始めた。私とクラウスはその前にこの世界から旅立ち、時の狭間でそれを見ていた。この世界が消えるその刹那。ウィリアム様が狭間にいる私に視線を合わせ、口角を上げた気がした。


「終わったわ」

「終わったな」

「今度は現で逢いましょう」

「必ず見つける」

私とクラウスの最後の会話だった。




番とは自身の魂の片割れ。匂いなどなくても分かる。ひとつの生が終われば、私たちは魂の国で再開し、再びひとつに戻る。それが理。


~次は、魂の国でお会いいたしましょう~










~END~













最後までお読みいただき、ありがとうございました\(^o^)/
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