ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~

紅子

文字の大きさ
6 / 45

魔法の常識

しおりを挟む
私たちがふたりで、キャッキャウフフと美味しくお茶を戴いているところに、お父様がやって来ました。嘘です。レオナルド様がせっせとお菓子を私の口に運んでいるだけです。ニコニコと出されるので、つい食べてしまいます。

「やあ。楽しそうだね」

「お父様!」

「お邪魔しています、カイザール様」

「ところで、我が家のシンボルツリーは大変なことになっているね?」

「?シンボルツリー、ですか?」

「うん。ガゼボの後ろにある大きな木。君達が今日遊んでた木」

うっ!

私の創ったアスレチックがお父様に見つかったようです。

何故、見つかったのでしょうか?

「えっと・・・・、何故、ご存じなのですか?」

理由は簡単。お父様の執務室から大きな木の半分は丸見えなのです。私が創っていたときには、私が枝の影に上手いこと隠れて誤魔化されていましたが、レオナルド様と遊んだことで、私たちの笑い声に外を見たお父様とレイモンドは顎が外れるほど驚いたのだとか。知らない間に我が家のシンボルツリーが様変わりしていたのですから。

「ごめんなさい」

しょぼんと落ち込んでしまいました。シンボルツリーだとは知らなかったのです。

「怒ってるんじゃないよ?誰に作ってもらったの?」

「わたくしが魔法で創りました」

「・・・・。うん?」

お父様頭の上に????がたくさん見えます。

「わたくしが土属性の魔法で創りました」

「ごめん。お父様、疲れてるみたいだよ。ロッテが創ったって聞こえちゃった。ちょっと休憩しようかな・・・・」

現実逃避、ですね、お父様。

「うん。お父様が疲れいらっしゃるのはいつもです。今日はまだ大丈夫ですよ?わたくし、わたくしが創りました、と言いましたもの」

「!!!」

お父様は、頭を抱えて蹲ってしまいました。

どうしましょうか?

その後、疲れた顔をしたお父様を私のアスレチック招待しました。そして、土属性を使って魔法を見せると、開き直ったようで「少し早いけど、アレクと一緒に魔法の勉強をしよう。ロッテを自由に好き勝手させた方がアレクの習得が早そうだ」と、1月後からお兄様と私、レオナルド様の3人で魔力の扱いを学ぶことになりました。レオナルド様も一緒なのは私がお願いしたからです。教えてくれるのはもちろんお父様。なんて贅沢なのでしょう。1月後なのは、レオナルド様が魔力制御を練習するためです。




そして、いよいよ魔法を学ぶ日がやって来ました。レオナルド様は1月で魔力制御が出来るようになりました。これは、あり得ないくらい早いのだそうです。

「さて、まずは魔力玉を出すところからだね」

これはお兄様も私もレオナルド様ももう手慣れたものです。私とお兄様は6個、レオナルド様は5個の魔力玉をさっと並べます。レオナルド様は、水属性に適性がありません。それでも充分に凄いのですよ?

「次は、その玉の大きさを変えずに色を濃くして」

色が濃くなるほど含有魔力量が増え、飽和状態になると僅かに光だします。ただし、魔力を圧縮しながらなので、難易度は高く、気を抜くと魔力玉がどんどん大きくなって爆発するかレオナルド様のようにぱん!と消えてなくなります。魔力量が多くなるほど、爆発の規模も被害も増すため、魔力制御は必須です。

「うん。もう余裕だね。じゃあ、実際に魔力を魔法に変えるよ?」

魔力を魔法に変える?
なるほど!

お兄様もレオナルド様もどういうこと?と疑問を浮かべています。言葉だけ聞くと何のことかさっぱりわかりません。

「ハハハハ。意味がわからないかな?ロッテは分かるよね?」

「はい。魔力に方向性を与えるということですよね?」

「うん。そういうこと。属性の魔力玉は、魔力を外に出して目に見えるようにしただけ。魔力制御の練習だね。魔法は、その属性魔力に方向性、何をするのかを明確に示して、その現象を引き起こすこと。例えば・・・・」

お父様は、指先に小さな蝋燭を思わせる炎を灯しました。

なるほど。明確に示す・・・・つまり、イメージすればいいってことですよね?私はそれでアスレチックを創りました。

「最初から火属性はあぶな・・・・」

私はお父様を真似て、指先に小さな炎を灯しました。魔力を少しずつ加えて、炎を大きくするのではなく、大きさはそのままに温度をあげていきます。魔力玉の応用です。と、途中で、酸素を加えることを思い付きました。すると一気に温度は上がり、使用魔力量は減りました。

ここでも、火は酸素が燃料なんですね。

私は自分の中の知識と照らし合わせます。場所惑星によっては、違うこともあるからです。

「フフ」

満足した私の目にお父様達が写りました。みんな、呆然と私を見ています。

「どうかなさいましたか?」

口をパクパクとしている3人に、理由がわからず聞いてしまいました。一番最初に声を出したのはお兄様。

「ロッテの炎は青いの?」

「温度が高くなれば、青くなりますよね?」

「えっと、ロッテ。魔力だけでそこまで高温にするには相当の魔力が必要なんだよ?それに、無詠唱で魔法を扱うには、相当の訓練が必要なんだ」

え?
あ!

やってしまいました。随分前の生ですが、魔法のある世界で生きていた記憶がひょっこりと顔を出しました。その時にも無詠唱での発動は出来ず、短くても詠唱が必要でした。どうやら、無意識にひとつ前の生の記憶に引っ張られているようです。そこは魔法のない異世界でしたけど、魔法を扱う世界の物語がたくさん出版されていました。きっとその影響でしょうね。

「魔法は、イメージや発想力、想像力が大切だとお父様、言いましたよね?それに何故、魔力だけでするのですか?」

「「え?」」

お父様とお兄様は、ポカンとしてしまいました。何か可笑しなことを言ったでしょうか?

「イメージ?」

お父様は私の言わんとすることがよく分からなかったようです。

「ええ。だって、お父様は、“その属性魔力に方向性、何をするのかを明確に示して”と仰ったでしょう?つまり、自分の中に確固たるイメージを持って発動する、と言うことではないのですか?安全のためにもイメージが不確定なうちは詠唱するのも有効だとは思いますが」

「なるほど。イメージか。確かに私は魔力量、魔法の形態、強さ、規模なんかをはっきりとイメージしているな」

やはりそうですか。

「ねえねえ、ロッテは魔力以外に何を混ぜたの?」

レオナルド様は興味津々というお顔をしています。

「空気です。裏庭で包丁を打ち直してるところを見たことがあって。その時に、火が青くて綺麗だなぁって。だから、どうして青いのかお伺いしました。魔力の他にたくさんの空気を与えるのだと教えていただきました」

嘘ではありません。裏庭で屋敷の包丁や剣の鍛冶を行っていますし、実際に見たこともあります。ただ、職人さんに尋ねたことはありませんが。

「ロッテは魔力以外に空気を混ぜて炎を出したのかい?」

そういうことになります。コクンと頷く私にお父様は、疲れた顔をなさいます。まだ何かあるのでしょうか?

「できた!」

レオナルド様が指先に私と同じような青い炎を出しています。お父様は、また頭を抱えて蹲ってしまいました。どうしたというのでしょうか?

「レオナルドも無詠唱・・・・」

レオナルド様だけでなく、お兄様も青い炎を出すことができました。お父様には内緒ですが、私たちは混ぜ合わせた魔力で魔力玉を作って遊んでいますから、そんなに難しくはありません。お兄様までもが青い炎を出したことに、頭を抱えて蹲っていたお父様が復活なさいました。開き直ったようです。

「そうだった。ロッテには自由にさせるんだった。それに君たちに魔法の常識は通じないことがよく分かったよ。自由にやってみるといい。凝り固まった私よりも凄い魔法ができそうだ。課題を出そう。まず、何でもいいからひとつ、魔法を出してごらん?」

どうやら、開き直って自由にやらせてくれるようです。早速、お兄様は土属性を使って大きな落とし穴を作りました。私はその穴の上に細く長い枝を作りだし十字にのせていきます。レオナルド様は風属性でその枝の上に落ちている木の葉を巻き上げ敷き詰めて、周りと馴染ませ、落とし穴の完成です。

「良くできました。暫くは簡単な魔法を使って魔法になれていこう。慣れてきたら、次は防御魔法と回復魔法で最後が攻撃魔法だよ?」

まだまだ先は長そうです。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~

こひな
恋愛
市川みのり 31歳。 成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。 彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。 貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。 ※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。

治療係ですが、公爵令息様がものすごく懐いて困る~私、男装しているだけで、女性です!~

百門一新
恋愛
男装姿で旅をしていたエリザは、長期滞在してしまった異国の王都で【赤い魔法使い(男)】と呼ばれることに。職業は完全に誤解なのだが、そのせいで女性恐怖症の公爵令息の治療係に……!?「待って。私、女なんですけども」しかも公爵令息の騎士様、なぜかものすごい懐いてきて…!? 男装の魔法使い(職業誤解)×女性が大の苦手のはずなのに、ロックオンして攻めに転じたらぐいぐいいく騎士様!? ※小説家になろう様、ベリーズカフェ様、カクヨム様にも掲載しています。

異世界に喚ばれた私は二人の騎士から逃げられない

紅子
恋愛
異世界に召喚された・・・・。そんな馬鹿げた話が自分に起こるとは思わなかった。不可抗力。女性の極めて少ないこの世界で、誰から見ても外見中身とも極上な騎士二人に捕まった私は山も谷もない甘々生活にどっぷりと浸かっている。私を押し退けて自分から飛び込んできたお花畑ちゃんも素敵な人に出会えるといいね・・・・。 完結済み。全19話。 毎日00:00に更新します。 R15は、念のため。 自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)

【完結】公爵令嬢の育て方~平民の私が殿下から溺愛されるいわれはないので、ポーション開発に励みます。

buchi
恋愛
ポーシャは、平民の特待生として貴族の学園に入学したが、容貌もパッとしなければ魔力もなさそうと蔑視の対象に。それなのに、入学早々、第二王子のルーカス殿下はポーシャのことを婚約者と呼んで付きまとう。デロ甘・辛辣・溺愛・鈍感コメディ(?)。殿下の一方通行がかわいそう。ポジティブで金儲けに熱心なポーシャは、殿下を無視して自分の道を突き進む。がんばれ、殿下! がんばれ、ポーシャ? 

【本編完結】王子の寝た子を起こしたら、夢見る少女では居られなくなりました!

こさか りね
恋愛
私、フェアリエル・クリーヴランドは、ひょんな事から前世を思い出した。 そして、気付いたのだ。婚約者が私の事を良く思っていないという事に・・・。 婚約者の態度は前世を思い出した私には、とても耐え難いものだった。 ・・・だったら、婚約解消すれば良くない? それに、前世の私の夢は『のんびりと田舎暮らしがしたい!』と常々思っていたのだ。 結婚しないで済むのなら、それに越したことはない。 「ウィルフォード様、覚悟する事ね!婚約やめます。って言わせてみせるわ!!」 これは、婚約解消をする為に奮闘する少女と、本当は好きなのに、好きと気付いていない王子との攻防戦だ。 そして、覚醒した王子によって、嫌でも成長しなくてはいけなくなるヒロインのコメディ要素強めな恋愛サクセスストーリーが始まる。 ※序盤は恋愛要素が少なめです。王子が覚醒してからになりますので、気長にお読みいただければ嬉しいです。 ※本編完結しました。 ※後日談を更新中です。

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?

せいめ
恋愛
 政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。  喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。  そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。  その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。  閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。  でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。  家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。  その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。    まずは亡くなったはずの旦那様との話から。      ご都合主義です。  設定は緩いです。  誤字脱字申し訳ありません。  主人公の名前を途中から間違えていました。  アメリアです。すみません。    

【完結】転生白豚令嬢☆前世を思い出したので、ブラコンではいられません!

白雨 音
恋愛
エリザ=デュランド伯爵令嬢は、学院入学時に転倒し、頭を打った事で前世を思い出し、 《ここ》が嘗て好きだった小説の世界と似ている事に気付いた。 しかも自分は、義兄への恋を拗らせ、ヒロインを貶める為に悪役令嬢に加担した挙句、 義兄と無理心中バッドエンドを迎えるモブ令嬢だった! バッドエンドを回避する為、義兄への恋心は捨て去る事にし、 前世の推しである悪役令嬢の弟エミリアンに狙いを定めるも、義兄は気に入らない様で…??  異世界転生:恋愛 ※魔法無し  《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆

ヒロインに躱されて落ちていく途中で悪役令嬢に転生したのを思い出しました。時遅く断罪・追放されて、冒険者になろうとしたら護衛騎士に馬鹿にされ

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され
恋愛
第二回ドリコムメディア大賞一次選考通過作品。 ドジな公爵令嬢キャサリンは憎き聖女を王宮の大階段から突き落とそうとして、躱されて、死のダイブをしてしまった。そして、その瞬間、前世の記憶を取り戻したのだ。 そして、黒服の神様にこの異世界小説の世界の中に悪役令嬢として転移させられたことを思い出したのだ。でも、こんな時に思いしてもどうするのよ! しかし、キャサリンは何とか、チートスキルを見つけ出して命だけはなんとか助かるのだ。しかし、それから断罪が始まってはかない抵抗をするも隣国に追放させられてしまう。 「でも、良いわ。私はこのチートスキルで隣国で冒険者として生きて行くのよ」そのキャサリンを白い目で見る護衛騎士との冒険者生活が今始まる。 冒険者がどんなものか全く知らない公爵令嬢とそれに仕方なしに付き合わされる最強騎士の恋愛物語になるはずです。でも、その騎士も訳アリで…。ハッピーエンドはお約束。毎日更新目指して頑張ります。 皆様のお陰でHOTランキング第4位になりました。有難うございます。 小説家になろう、カクヨムでも連載中です。

処理中です...